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カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

HCCシェルターの紹介<人気の職業訓練は?>

2005年11月22日 19時48分07秒 | 人身売買・性的虐待 被害者支援
みなさんこんにちは。平野です。
昨日に続き、HCCのシェルターについてご紹介します。
昨日の概要で触れましたが、HCCのシェルターで行われている職業訓練には、手工芸品・理容・織物・洋裁の4つのコースがあります。今回はその中で最も人気がある洋裁コースについてお話します。

【縫製工場へのあこがれ】

洋裁コースは2種類に分かれます。足踏みミシンを使用した自営向け洋裁コースと、電動ミシンを使用した縫製工場向け洋裁コースです。そして全コースを通じて、最も人気が高いのが縫製工場コースなのです。

この縫製工場向け洋裁コースは、比較的習得が簡単らしく、早い子は1ヶ月程度で最低限の技術は習得してしまうそうです。また、最終的に自営を目指している子が、資金をためるためにまずは縫製工場で働く、というケースもあるといいます。

人気の秘密には、一つには縫製工場で働く場合、寮に入って他の女の子たちと共同生活できることもあるようです。やはりプノンペンで働くにあたり、身寄りのない人は一人では不安でしょうから、もっとも理由ではあります。一方で、複雑な背景を持った子もいますので、村に帰りたくないのかな、という懸念も頭をよぎります。

【シェルターを卒業したら】

縫製工場への就職斡旋、というのは、人身売買業者の手口であるウソの仕事斡旋によく見られるパターンではありますが、このシェルターを卒業した子の場合は、HCCのスタッフが現場に足を運び、マネージャーなどと面会した上で、労働環境等が適切と判断された工場に斡旋されていきます。また、就労に必要な書類等を揃えるため、村長などに連絡を取るのもHCCスタッフの役目です。

住居についてもHCCが斡旋します。工場の周辺に5人などの相部屋で住むということです。最初の一ヶ月は、住居費と食費をHCCが支援します。これは最初の給料日まで収入がない事を考慮しての措置です。その後引っ越したいという希望があれば、HCCに届けさえ出せば引越しはもちろん可能ですが、これまで希望者はいない、ということです。そしてこの工場・住居の斡旋のほかに、月2回彼女たちを訪ねてフォローアップをするのもHCCスタッフの仕事です。

【よしとすべきか、どうなのか

彼女たちの見込み収入は25ドル~80ドルといいます。チーフなどになれば100ドル以上稼ぐ人たちもいますが、それはごく一握りの人たちです。出勤日ベースで支払われるため、病気などで休むと一気に生活に響くこともあるでしょう。また住居は前述のように相部屋が普通ですし、工場での虐待や不当な給与未払い、夜勤時の強盗事件なども耳にします。先日の講演会が盛況のうちに終わった元女性省大臣ムー・ソクアさんも「縫製工場で働く女の子たちにいい生活をしている子などいない」とおっしゃっています。HCCのスタッフはできる限りのことをしていますし、買春宿に売られることを考えたら、とも言えますが、それはやはり言うべきではないでしょう。

そしてまた、今後カンボジアの縫製業界がどのように発展していくのか、という点も懸念材料です。幸い今年は好調ですが、インドと中国は依然大きな脅威です。また、洋裁は多くのNGOの職業訓練の定番です。今後どんどん供給が増えていった場合貧しい人の職を貧しい人が奪うようなことにはならないでしょうか?やはり開発に関る中で「富の再配分」というテーマからは逃れられないように思います。

※写真はシェルターで作ったクロマー(カンボジア手ぬぐい)を手にした少女です。撮影は当センターの永野恵理関東委員です。

1000円だって立派な「富の再配分」です。そして、カンボジアでは10,000円、またはそれ以上の価値があります。↓
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