カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

第13回 アンコールワット国際ハーフマラソン in シェムリアップ

2008年12月29日 11時34分05秒 | Weblog
12月7日、アンコールワット遺跡群で名前の知られるシェムリアップにて第13回アンコールワット国際ハーフマラソンが開催されました。今回の大会には、過去最高の43カ国から2966人(マラソン2593人、バイク175人、ウォーキング198人)の参加者がありました。このマラソンの参加費は、地雷などによって手足を失った方への義足支援の資金となります。広大に広がるアンコールワット遺跡群の中を、21Km、10Km、5Km、3Kmのコースに分かれて走ります。私は初めてのマラソン出場で、21Km完走には自信がなく、5Kmでは物足りないと思い、でも10Km完走も自信ないけど、やってみなければ分からない!ということで10Kmに参加をしてきました。

朝6時、アンコールワット前に集合するために、ゲストハウスからトゥトゥク(三輪バイクタクシー)に乗って出かけました。早朝にも関わらず、町中には多くのトゥクトゥクが各国から来たマラソン走者を乗せて走っており、6時にアンコールワットに到着した時には、アンコールワット前は、人、人、人でごった返していました。

一番最初にスタートを切ったのは21Kmコース、6時30分スタートでした。私が参加した10Kmコースは10分遅れの6時40分にスタートを切りました。スタートのピストルの音と共に、老若男女一斉に我先にと、短距離走のように走り出しましたが、すぐに、かたまりとなっていた多くの人々が一本のラインに変わり、それぞれのペースで走りだしました。日の出時刻は過ぎていましたが、空気がひんやりとして、体が温まるまでに時間がかかり、始めの2・3Kmはきつかったです。でも、自分のペースに乗れてくると、周りの景色や同走者との会話を楽しみながら、という余裕が出てきました。「チョコレートバーいる?」「どこから来たの?」「気持ちがいいね」「近道あるか知ってる?」と話しかけられ、シェムリアップ滞在中にはマラソンのみならず、観光やご飯など多くの時間を共に過ごすきっかけにもなりました。10Kmコースで見た遺跡群、また遺跡を取り囲んでいる自然は、本当に本当に美しかったです。何千年と地に根を張ってきた木々の根が地上に浮き出て、その根が遺跡を守るようにそびえ立っていたり、細かく施された彫刻が今でも残っていたり、広大な敷地は森のように自然に溢れ、その中にどーんと遺跡が残っているのです。正直、「石ばかり見ていても飽きちゃうよ」とタカをくくっていて、あまり期待していませんでした。ところが!大間違いでした。まったく飽きませんでした。崩れているところも多々ありましたが、残っていたり、修復されたりして遺跡はそびえ立っていました。走りながら遠くから少しずつ見えてくる一つ一つの遺跡に「わぁ!!!」の一言でした。圧巻!感動しました。

途中、遺跡がなく、森の中の一本道を走るところもありましたが、猿がいたり、象がいたりで楽しかったです。また、道のわきには多くの子どもたちが自分の体よりも大きな袋抱えて立っていました。2.5Kmごとにある水分補給地点では、ペットボトルの水が渡されます。そのペットボトルの回収をしている子どもたちです。カンボジアではエッチャイと呼ばれる有価物拾いの仕事があります。ペットボトルや、缶を回収して、お金にするのです。ペットボトル回収のために子どもたちが多く目立っていたのは、この一本道でした。走りながら「児童労働」「子どもの権利侵害」という言葉が頭をよぎりました。

5Kmの折り返し地点を過ぎて間もなく、遺跡の写真を撮ってもたもたしていた私の横を、猿の着ぐるみが私を追い抜いていきました。中に人が入っているとは言え、猿に抜かれた悔しさから、その猿を追いかけ、抜き抜かれを1・2Km繰り返し、猿はトイレ休憩で森の中へ消えました。

完走したのは、スタートを切って1時間5分後でした。(猿は1時間20分頃完走していました)完走した時、「あれ、もう終わりなの?」というのが感想でした。1位でも2位でもありませんでした。でも、本当に気持ちが良かったです。満足です。アンコールワット遺跡群を走る機会は滅多にないことと思います。来年は21Km出場目指します!

アンコールワット国際ハーフマラソン公式サイト:http://www.angkormarathon.org/(英語・日本語)
アンコールワット遺跡群:http://www.angkorwat.jp/


「生きる」ことに対するパワーの強い普通の人たち(スタディーツアー感想最終回)

2008年12月26日 13時06分32秒 | Weblog
「生きる」ことに対するパワーの強い普通の人たち     鈴木智子

「カンボジアはどうだった?」と帰国後、よく聞かれます。私は「皆ふつうの人だった。」と答えています。それがツアー参加後、一番に感じていることだからです。バスから見える地方のワラブキ屋根にすむ人は、一見「貧しそう」に見えます。生活は日本と比べて確かに厳しいかもしれません。けれど子どもは近所の子どもたちと素直になって遊び、すぐ傍らには家族がいてとても楽しそうに見えました。

ツアー中は様々なNGOやセンターを訪問し、多くの人の笑顔と真剣な顔を見てきました。宿泊したHCCグッディセンターでは皆が「家族」で大きい子が小さいこの面倒を見て、助け合って生活していました。皆、笑って、泣いて、怒って・・・私たちとなんら変わらない「ふつうの人」です。ただ、私たちよりも「生きる」ことに対するパワーが強い、と感じました。「生きる」ことは皆が平等に持っている権利で誰にも邪魔されることはあってはなりません。子どもたちが持つ将来の夢への道も壊してはなりません。

カンボジアの子どもたちが可哀相だから支援するのではない。「生きる」ことに対する不条理さを取り除くだけです。日本の子どもたちも直面している問題は多々あります。天秤にかけてこれらの問題を考えることは辞めにしようと、あらためて感じました。

 こうした事は、本を読んでいると知った気になっていましたが、いまいち自分のことのように考えることはできませんでした。やはり、現場を見て、自分の肌で感じることが一番だと感じました。多くの素敵な出会いに心から感謝したいです。

次回のスタディーツアーは、2009年3月20日(金)から3月27日(金)を予定しております。詳しくは東京事務局(03‐5817‐3980)までお問い合わせください。
シーライツ ホームページ:http://www.c-rights.org/
シーライツ あなたにできること:http://www.c-rights.org/join/kaiin.html
シーライツ スタディーツアー2009年春 http://www.c-rights.org/bcb.html

写真 前列一番右が鈴木智子さんです。

子どもと流した涙(スタディーツアー感想)

2008年12月22日 18時11分40秒 | Weblog
子どもと流した涙        米川舞

HCCが運営している(あるいは人身売買の被害にあった子どもたちを保護している)グッディセンター訪問がとても楽しかったです。

直接子どもたちと触れ合え、とてもよい時間を過ごせました。

子どもたちは私たちには想像もできない悩みや苦しみや様々なバックグラウンドをもっている中、でも、たくさん笑顔を私たちに見せてくれていました。夜中に泣き出す子もいると聞いて、少しでもいろんなことを忘れて楽しい時間を一緒に作ってあげられるといいなと思って、いっぱいいろんな遊びや踊りや歌を歌って一緒にすごしました。

帰りに子どもたちがありがとうと言って抱きついてきてくれて胸がいっぱいになりました。涙を流している子もいて一緒に泣いてしまいました。少しでも忘れていろんなことから解放してあげることができたのかなと思いました。

次回のスタディーツアーは、2009年3月20日(金)から3月27日(金)を予定しております。詳しくは東京事務局(03‐5817‐3980)までお問い合わせください。
シーライツ ホームページ:http://www.c-rights.org/
シーライツ あなたにできること:http://www.c-rights.org/join/kaiin.html

写真は、HCCスラム学校を訪問した時のものです。後列一番左が米川舞さんです。

ショックと驚きと思い出と(スタディーツアー感想)

2008年12月15日 12時40分42秒 | Weblog
ショックと驚きと思い出と        大塚朝咲

アジアは旅行で何カ国か行ったことがあり、旅行以外でのアジアも見てみたいと思い参加しました。記事や話に聞くのと実際に行ってみるのは違い、カンボジアの現状を目の当たりにしてショックと驚きでいっぱいでした。

まず驚いたことは子どもの小ささです。想像していたのと実際とで全く年齢が一致せず、とてもびっくりしました。そして子どもたちの勉強への意識の高さ。圧巻でした。

思い出深いのは人身売買などの被害にあった子どもたちを保護しているグッディセンターです。こんなに優しくて思いやりのある子どもたちが被害にあっているなんて信じられなくて、胸が締め付けられました。床に寝るということでしたが、全然問題なく寝れました。水浴びも暑かったので大丈夫でした。せっかく行ったのだから、参加者にはぜひグッディセンターに泊まることをおすすめしたいです。

中川香須美さんのお話は子どもたちではなく女性に目を向けたお話だったので新鮮でした。被害にあっているのが子どもたちだけではなく女性や男性にまでのぼっていることを知らされ、その過酷な現実を突き付けられて、他人事ではないなと思いました。大人でも被害にあうと思うとぞっとします。

スタディツアーに参加するのは初めてでしたが、とても勉強になったしまた自分の目でいろいろなことを見ていきたいと思いました。カンボジアに限らず、他の貧しい国を見て新しいものを感じ取りたいです。

スタッフさんにはとてもお世話になりました。みなさん優しくてとてもよかったです!ありがとうございました。

次回のスタディーツアーは、2009年3月20日(金)から3月27日(金)を予定しております。詳しくは東京事務局(03‐5817‐3980)までお問い合わせください。
シーライツ ホームページ:http://www.c-rights.org/
シーライツ あなたにできること:http://www.c-rights.org/join/kaiin.html
シーライツ スタディーツアー2009年春 http://www.c-rights.org/bcb.html

写真は、スタディーツアー中昼食時のものです。左大塚朝咲さん 右斉藤美奈子さんです

背伸びしたけれど、、、(スタディーツアー感想)

2008年12月12日 12時03分21秒 | Weblog
背伸びしたけれど、、、         若杉幸代

 背伸びしてこのツアーに参加して、本当に良かったなと思います。海外でNGOの活動をしている方たちに直接会って話を聞いたり、また、日頃は可愛いなと思っても接する機会のない子どもたち、しかもカンボジアの子どもたちと運動会をしたり、一緒に生活したりするのが楽しみでした。日本では今のところ感染することのないマラリアなどが流行している発展途上国で、ボランティア活動をしている方たちをすごいなぁと思います。私自身は、途中で嫌になるかもしれないと思い、ボランティア活動をする自信はないので、このツアーには場違いかなと不安でしたが、ツアー中にスタッフの方が「何かできることがないかと考えたときに、日本の人がセックスツーリストになっているという現実を伝えることができる」とおっしゃってくれたので、ツアーを楽しんだだけでなく、ツアーの経験も生かせると思い、嬉しくなりました。

 このツアーで印象的だったのは、子どもが生き生きとしている様子でした。スバイリエンでは、広報活動を行っている子どもたちがいくつかのグループに分かれてシーライツの万智子さんからの質問に対する意見を模造紙にまとめ、みなの前で発表してくれました。どのグループの子も、堂々と発表しており、質問内容をその場で聞いたとは思えませんでした。HCCセンターの子どもたちと出会って、10歳そこそこの女の子がどうしてこんなに心遣いができるのだろうとびっくりしました。一緒に食事をした際、大きな皿からおかずを自分の皿へよそうとき、隣にいた女の子は、私の皿にまだおかずが残っていることを確認してから自分の皿へおかずをよそい、そのとき、私の皿におかずがなかったら、私の皿へ入れてくれました。夜就寝の際には、蚊帳の裾をござの下に入れてくれました。私が彼女たちの年頃には、何かしてもらうことばかり考えていたように思います。彼女たちを支援しているHCC、シーライツの活動に、これからも関心をもちつづけたいと思いました。

 NGOスタッフや参加者の方々の話はとても刺激になりました。HCCのテリーさんは、カンボジアで働くことは考えていなかったが、ゴミ箱をあさっている子どもにお金をあげたら、それをめぐって子どもたちがけんかをしたので、単にお金をあげるだけではダメだと思い、このHCCの仕事に関わったのだと話して下さいました。人を助けるのが好きだとおっしゃるテリーさんは、生き生きとしていました。参加者の方々の感想を聞く時間も設けられ、見たり聞いたりしたことは同じでも、いろんなことを感じて表現できるのだと感心しました。ツアーを企画してくださった方々に、感謝しています。ありがとうございました。

次回のスタディーツアーは、2009年3月20日(金)から3月27日(金)を予定しております。詳しくは東京事務局(03‐5817‐3980)までお問い合わせください。
シーライツ ホームページ:http://www.c-rights.org/
シーライツ あなたにできること:http://www.c-rights.org/join/kaiin.html

写真左、若杉幸代さんです。チャイルドセーフメンバーのトゥクトゥクに乗って市場へ買い物へ出かけました。

感謝と希望と「ひとり」の重さ  (スタディーツアー感想)

2008年12月05日 10時34分54秒 | Weblog
スタディーツアー報告は前回をもって終了し、今日から5回にわたって、ツアー参加者の方の感想を掲載させて頂きたいと思います。

感謝と希望と「ひとり」の重さ                  小林孝男

 今回のスタディーツアーを振り返り思うことは、下記の三点です。 まず第一は、様々な方々にお世話になって、充実したスタディツアーを経験できたということです。このことにまず心から感謝します。シーライツのスタッフの皆さん、HCC、AFESIP、FRIENDSのスタッフの皆さん、色々な場所で出会った子どもたちや女性たち、通訳、ガイド、ドライバー、そして9日間共同生活をした参加者の皆さん、本当に有難うございました。

 二番目は、性的搾取や人身売買、児童労働の被害を受け大変な状況から自立しようと努力している子どもたちや女性たちと、いわば「集団」として出会い、教育や職業訓練を受けている様子を垣間見ることができたわけですが、集団の中に一人ひとりが背負ってきた人生は、ものすごく重く過酷なものであったはずです。「ひとり」の人生の重さを忘れてはいけないなあと思いました。それはトゥールスレンでも感じました。たくさんの人たちが虐殺されたわけですが、「ひとり」の命は地球より重いということに、無感覚になってはいけないと自戒しました。

 三番目は、希望です。シーライツのスタッフを初め今回出会ったNGOのスタッフたちは、お金儲けのためではなく、困難な状況の中にいる隣人のために生き生きと活動していました。また、高い参加費を払って日本の若者がツアーに自主的に参加していました。そんな姿を見てこれからの日本と世界の未来には、「希望はある!」そう確信しました。皆さんどうも有難うございました!

次回のスタディーツアーは、2009年3月20日(金)から3月27日(金)を予定しております。詳しくは東京事務局(03‐5817‐3980)までお問い合わせください。
シーライツ ホームページ:http://www.c-rights.org/
シーライツ あなたにできること:http://www.c-rights.org/join/kaiin.html

写真は、ツアー中の昼食時のものです。右から、甲斐田代表理事、小林さん、新垣七海さんです。

スタディーツアー報告⑬振り返り(CSECチームと出版物)

2008年12月01日 11時58分01秒 | Weblog
今日はスタディーツアー報告⑬振り返りの時間の最後にC-Rights CSECチームメンバー兼スタディーツアー参加者の三関理沙さんからC-Rights CSECチームについての紹介と、甲斐田代表からのC-Rightsの出版物やその他推薦本についての紹介をもって振り返りの時間を終了しました。以下、その報告をさせて頂きます。

最後にC-Rights CSECチームについて
CSECチームメンバー・ツアー参加者の三関理沙さんよりアピール
・CSECとは:Commercial Sexual Exploitation of Children(子どもの商業的性的搾取)
・子どもの商業的搾取とは:対価として金銭や物品を、子どもあるいは第3者に渡し、大人が性的に虐待をする事であり、根本的な子どもの権利の侵害である。この犯罪において子どもは、性的かつ商業的な‘モノ’として扱われ強制労働や現代的な奴隷労働の形に等しい。
・子どもとは:子どもの権利条約第1条に18歳未満のすべての人と定義づけされている。
・C-Rights CSECチームの活動紹介:2001年「第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議(通称、横浜会議)」の開催をきっかけに、この問題に取り組みだした。国内の中心団体として横浜会議への準備や世論喚起を促すイベントを開催。外務省やNGO、(財)ユニセフ協会と準備会合に参加したり、CSECに関する世論を高める為の学習会や、アジアなどの南の貧しい国で子どもが子ども買春に入らざるを得ない状況などを考えるワークショップの開催、パネルの展示などをしている。

読んでほしい参考書籍・DVDなど
・『カンボジアで子どもの権利を守るためのガイドブック』
 (甲斐田万智子、国際子ども権利センター、\600、シーライツ東京事務所(お問合せ:03‐5817‐3980))
・『闇の子供たち』(ヤン・ソギル、幻冬舎文庫、\686+税)=映画化もされています!
・『子どものねだん』(マリー・フランス・ボッツ、社会評論社、\2,835税込)
・『幼い娼婦だった私へ』(ソマリー・マム、文藝春秋、\1,524+税)
・『子どもたちに寄り添う』(工藤律子、JULA出版、\735税込)
「カンボジアのドメスティックバイオレンスと子どもの女性の人身売買」
     Domestic Violence and Trafficking in Children and Women in Cambodia
(\1,000、シーライツ東京事務所(お問合せ:03‐5817‐3980))
  
C-Rights CSECチームについて、詳しくはこちら↓をご覧ください
ウェブサイト:http://www.c-rights.org/~csec/modules/dmm/index.php?content_id=2

出版物:「横浜会議報告書 子ども買春・子どもポルノにNO!」2002年
(国際子ども権利センター、\1,000、東京事務所(お問合せ:03‐5817‐3980))

振り返りの会終了後、ツアー参加者一行はプノンペンを離れ、シェムリアップの世界遺産アンコールワット遺跡観光、カンボジアの伝統舞踊アプサラダンス鑑賞のひと時を過ごし、一路日本へ帰国しました。ツアー参加者の皆様お疲れ様でした!

写真は、振り返りの会終了後に撮影した集合写真です。

子どもたちが人身売買の手口に騙されないようにするため、ぜひ会員になってください!
シーライツ あなたにできること: http://www.c-rights.org/join/kaiin.html
シーライツ ホームページ: http://www.c-rights.org/