みなさんこんにちは、平野です。
号外としてサラーンさんの紹介を一回挟み、今回から再度アフェシップの保育サービスについてお届けする予定でしたが、元女性省大臣ムー・ソクアさん囲む会を11月7日に控え、今回は直前企画として、Human Rights Watch(ヒューマン・ライツ・ウォッチ、アメリカの大手人権NGO)のプレスりリースをもとに、まさしく今のカンボジアの人権の状況についてお伝えしたいと思います。10月18日のものを抜粋して要約しています。http://hrw.org/english/docs/2005/10/18/cambod11892.htm
囲む会についてのご案内はこちらをご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/jicrc-jp/e/4579a2e61dafe14bb8b703773a7a8dcc
【首相は反対派の弾圧を始めた 活動家は逮捕を逃れようと試みている 言論の自由に対する新たなる攻撃である】
フン・セン首相は、政府に批判的な言動をしたというかどで最近逮捕した活動家を釈放し、活動家に対する全ての逮捕状をを取り下げ、彼がここ数日間で生み出した恐怖に満ちた情勢に終止符を打つべきである。フン・セン首相は、ベトナムとの国境についての協定に対する批判に対して、教職員組合のトップや、カンボジアで唯一の独立した(政党によるものでない)ラジオのディレクター、モム・ソノンドー氏を逮捕し、他にも市民活動家を逮捕しようと狙っている。
「これは97年のフンセンによるクーデター以来最悪の弾圧である。国際社会は、この10年での基本的人権における進歩を逆行させるような行為は許されないことを首相にはっきり示さなくてはならない」とヒューマン・ライツ・ウォッチのブラッドアダムス、アジア局長は発表した。
モム・ソノンドー氏は、国境協定に批判的なフランス在住ののカンボジア人活動家をインタビューした理由で、逮捕された。やはり批判的な声明を出したNGO、the Cambodia Watchdog Council(CWC)の4人にも逮捕の手続きを取っており、「国土をベトナムに売った」などと批判する人間は反逆罪にあたり、すべて逮捕すると発表した。CWCの4人のうち1人である、カンボジア独立教職員組合の委員長、ロン・チュン氏は、亡命を求めてタイ国境を越えようとしたところを、逮捕状もないままに逮捕された。扇動罪なら最高5年の刑、名誉毀損罪なら最高1年の刑と2500ドルの罰金が科せられる。他には、カンボジア自由労働組合の委員長、民主主義のための学生運動の代表、そして公務員組合の委員長も訴えられている。
「反対派を黙らせるために法の執行がなされるべきではない。民主主義の社会では,議論を呼ぶような政治的決断をすれば、批判されることもあるという事をフン・セン首相は受け入れなくてはならない」とアダムスは語る。
フン・セン首相は、10月17日に放送されたテレビ演説の中で、王制の廃止に言及し、自分に従わないものは将軍でもクビにすると脅し、国際社会には不干渉を、タイ政府には、カンボジアからの亡命者の送還を要求した。
「タイ政府は、平和的なやり方で自分の政治信条を表明しただけで告訴された人たちの返還を検討することさえしてはいけない。そうすれば表現の自由弾圧の共謀になる」とアダムスは語る。
【国境策定問題~平野補足~】
国境策定問題は今カンボジアで最も議論を呼んでいる問題です。今回のベトナムとの合意自体は、1985年に結ばれた国境線規定協定の追加条項への合意という形になりますが、反対派にとっては、追加条項の合意は占領下の協定である1985年の協定自体を認めることになり、また、フランス統治時代に策定された国境線(the Brevie line)を、正式に国境線として認定することになります。これは、当時フランスの「保護領」だったカンボジアから、「直轄領」であったコーチシナに有利なようにフランスが引いた海上の国境線です。
コーチシナとは、カンボジア人には「カンプチア・クロム(下のほうのカンボジア)」と呼ばれるメコンデルタに位置するベトナムの南部3州で、ここは、ベトナムがクメール王朝の内紛に際して手に入れ、そして1862年フランスの侵攻に屈して差し出した地域です。この地域はメコンの恵みを受けた非常に肥沃な土地であり、今でも多くのクメール人が住んでいます。
※写真はパトカーに乗せられるその瞬間にも言論の自由を訴えるロン・チュン氏。次回はその10月17日の、フンセン首相の2時間に渡る火の出るような演説の抜粋要約をお届けします。
号外としてサラーンさんの紹介を一回挟み、今回から再度アフェシップの保育サービスについてお届けする予定でしたが、元女性省大臣ムー・ソクアさん囲む会を11月7日に控え、今回は直前企画として、Human Rights Watch(ヒューマン・ライツ・ウォッチ、アメリカの大手人権NGO)のプレスりリースをもとに、まさしく今のカンボジアの人権の状況についてお伝えしたいと思います。10月18日のものを抜粋して要約しています。http://hrw.org/english/docs/2005/10/18/cambod11892.htm
囲む会についてのご案内はこちらをご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/jicrc-jp/e/4579a2e61dafe14bb8b703773a7a8dcc
【首相は反対派の弾圧を始めた 活動家は逮捕を逃れようと試みている 言論の自由に対する新たなる攻撃である】
フン・セン首相は、政府に批判的な言動をしたというかどで最近逮捕した活動家を釈放し、活動家に対する全ての逮捕状をを取り下げ、彼がここ数日間で生み出した恐怖に満ちた情勢に終止符を打つべきである。フン・セン首相は、ベトナムとの国境についての協定に対する批判に対して、教職員組合のトップや、カンボジアで唯一の独立した(政党によるものでない)ラジオのディレクター、モム・ソノンドー氏を逮捕し、他にも市民活動家を逮捕しようと狙っている。
「これは97年のフンセンによるクーデター以来最悪の弾圧である。国際社会は、この10年での基本的人権における進歩を逆行させるような行為は許されないことを首相にはっきり示さなくてはならない」とヒューマン・ライツ・ウォッチのブラッドアダムス、アジア局長は発表した。
モム・ソノンドー氏は、国境協定に批判的なフランス在住ののカンボジア人活動家をインタビューした理由で、逮捕された。やはり批判的な声明を出したNGO、the Cambodia Watchdog Council(CWC)の4人にも逮捕の手続きを取っており、「国土をベトナムに売った」などと批判する人間は反逆罪にあたり、すべて逮捕すると発表した。CWCの4人のうち1人である、カンボジア独立教職員組合の委員長、ロン・チュン氏は、亡命を求めてタイ国境を越えようとしたところを、逮捕状もないままに逮捕された。扇動罪なら最高5年の刑、名誉毀損罪なら最高1年の刑と2500ドルの罰金が科せられる。他には、カンボジア自由労働組合の委員長、民主主義のための学生運動の代表、そして公務員組合の委員長も訴えられている。
「反対派を黙らせるために法の執行がなされるべきではない。民主主義の社会では,議論を呼ぶような政治的決断をすれば、批判されることもあるという事をフン・セン首相は受け入れなくてはならない」とアダムスは語る。
フン・セン首相は、10月17日に放送されたテレビ演説の中で、王制の廃止に言及し、自分に従わないものは将軍でもクビにすると脅し、国際社会には不干渉を、タイ政府には、カンボジアからの亡命者の送還を要求した。
「タイ政府は、平和的なやり方で自分の政治信条を表明しただけで告訴された人たちの返還を検討することさえしてはいけない。そうすれば表現の自由弾圧の共謀になる」とアダムスは語る。
【国境策定問題~平野補足~】
国境策定問題は今カンボジアで最も議論を呼んでいる問題です。今回のベトナムとの合意自体は、1985年に結ばれた国境線規定協定の追加条項への合意という形になりますが、反対派にとっては、追加条項の合意は占領下の協定である1985年の協定自体を認めることになり、また、フランス統治時代に策定された国境線(the Brevie line)を、正式に国境線として認定することになります。これは、当時フランスの「保護領」だったカンボジアから、「直轄領」であったコーチシナに有利なようにフランスが引いた海上の国境線です。
コーチシナとは、カンボジア人には「カンプチア・クロム(下のほうのカンボジア)」と呼ばれるメコンデルタに位置するベトナムの南部3州で、ここは、ベトナムがクメール王朝の内紛に際して手に入れ、そして1862年フランスの侵攻に屈して差し出した地域です。この地域はメコンの恵みを受けた非常に肥沃な土地であり、今でも多くのクメール人が住んでいます。
※写真はパトカーに乗せられるその瞬間にも言論の自由を訴えるロン・チュン氏。次回はその10月17日の、フンセン首相の2時間に渡る火の出るような演説の抜粋要約をお届けします。