みなさんこんにちは、平野です。9月17日、20日の記事では縫製工場で働く2人の女性たちかたら聞いた話をもとに彼女たちの暮らしや縫製工場で働くに至った経緯や人身売買に関する知識などについてご紹介しました。この2人の女性は親戚でともにスバイリエン州という州の出身ですが、そのうちの1人、クンティアさん(仮名)のほうが自分の故郷について興味深い話をしてくれました。このお話は2006年度の国際子ども権利センターの支援プロジェクトとも関連しています。インタビュー形式でお聞きした話ですが、内容は変えずに平野が再構成しています。
【ベトナムに出稼ぎに出る子どもたち】
スバイリエン州は三方をベトナム国境に囲まれた州で、「オウムのくちばし」などとも形容されるかたちをしています。面積が小さい割りに人口が多く、全国平均を大きく上回る人口密度でありながら、米の単位あたり収量は全国平均をやや下回っており、カンボジアの全24州/特別市の中でもかなり貧しい州カンボジアの全24州/特別市の中でもかなり貧しい州です。またベトナム戦争時に北ベトナムと南ベトナムを結ぶ「ホーチミンルート」が走っていたことから、国境沿いは激しい米軍の空爆を受けており、いまだに不発弾も多く出るため、日本の地雷/不発弾除去NGOであるJMAS(日本地雷処理を支援する会)も活動されています。以下クンティアさんのお話です。
「私の故郷はスバイリエン州のコンポンローという郡です。コンポンローからは沢山の子どもたちがベトナムに行っています。仕事をする子もいるでしょうが、物乞いに行く子が多いのです。ベトナムで捕まると出身を偽る子も多いのですが、コンポンロー郡の中でもAというコミューン集合村出身の人がとても多いのです」
【雷にうたれると言い伝え】
「別にAコミューンばかりが貧しいわけではないのですが…習慣でしょうね。“物乞いをしないとカミナリに打たれる”という言い伝えがあるそうだから(笑)ポルポトから解放された79年以降そういう話になったみたい。まあそれはそれでそういう仕事なんだな、とは思うけど…。物乞いとはいえど、瓦の家に住んでいるしねぇ。経済状態は正確にはわからないけど、なにしろ瓦の家なんだから」
「周囲の人は、見下している人もいるけど、まあ(そういう人もいるということに)慣れているしね。私?私はそんな言い伝え信じないわよ!(笑)言い伝えのことは、物乞いに行く人をきらっている人たちが見下してそういうことを言っているのかもね」
【それも商売の一種 】
「他のコミューンの人も、もし行ってみて儲かれば、また行くでしょ。商売の一種だから。子どもも行っています。家族で行っていますから。ベトナムでの稼ぎの方が多ければ、ベトナムに行くでしょう。行かない人はベトナムに媚びたくないから行かないのじゃないかしら」
近所の出身ではありますが、クンティアさん(仮名)のお話は彼女の知識に基づいた私見に過ぎません。しかしスバイリエン州からベトナムへの出稼ぎが近年問題になっていることは間違いありませんし、その後の私の経験から、ベトナムへの物乞いに対する物乞いをしない人の一般的な認識のひとつと言えると思われます。
※写真はスバイリエン州の農村の風景です。
子どもの物乞い/出稼ぎをなくしましょう↓
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