私の移動用の無線機はIC-706だが この機種はコンパクトながら1.9~430MHzまでをオール・モードで運用できる優れ物だが、すべの物にはある泣き所が有る、其れは混信除去装置で一応、DSPタイプの除去装置はオプションとして組み込んでいるが どうもトンネル内で聞いている様な反響音的な受信音が私としては耳慣れない感じで馴染め無い。
移動運用の大半は7MHzが主体で土、日曜日の7MHzバンド内が混み合う時間帯を使用する事が多いが時として故意の「ジャマクリ」や妨害に会うと受信に苦労する事が有る。妨害は在る意味で移動局に付き纏う勲章の様な物(沢山呼ばれている事に対する妬みや腹立たしさでパイルが起こると発生する表裏一体の物)と私は自覚しているが途中で根を挙げる事は相手の思う壺なので苦しくても平気な感じで運用する必要が有る。相手は自分の電波の強さを確認している訳で弱さを見せると連続するので我慢の運用が続くのだが其の時は混信除去装置の良否が大きく影響する。
其の意味ではIC-706では如何しても非力さを感じてしまう。移動運用の最初の2年間は何処に行っても最高交信数が200~300局程度で余り不足を感じなかったが2010年の2ヶ月半の長野、東北、北海道を廻り帰り道での長野県の小海町の運用時、トランシーバーのファイナル・ユニットをドライブするトランジスターが不良に成り故障した時、初めて予備の本格的なトランシーバーを使用した時、其の歴然とした受信能力の差を目の前にして驚きと「此れだ!」との確信を得た。其の後、昨年の沖縄、離島の移動運用時は毎日7~8時間のオペレートと600局を越す交信を1ヶ月間、毎日続けたが其の疲れ方の差は歴然として、帰ってから本格的なトランシーバーを探し始める事にした。
探した機種は新品は無職の私には荷が重く、移動に使うと如何しても擦り傷や打痕は必至なので其れ相応のTS-850.TS-450.IC-756PROかPROⅡを中心にオークションに目を光らせた。最初はアイコムを中心に探したが古いIC-756PROを探したが市場では5~8万はしたので諦めTS-850を探したが、価格的には前者と保々同等で可也の価格で最終的にはTS-450に絞って探す事に、其の最大の理由はSSBとCWのオプション・フィルターを所有していたから、6ヶ月以上の間、オークションを注意深く見ていた或る日、目に留まるTS-450が現れた。
其の無線機を冷やかし半分で入札したら競合も無く落札してしまい其の瞬間「しまった」とも思ったが届いた無線機はマイクとアンテナ端子を見た瞬間(相手もその様に書いてはいたが)殆ど使用感が無かった「ラッキー!」と思いテストをすると最新の機種に比べるとキャリヤ・サプレッションが少し悪い感じ、固定機で聞くとハッキリとキャリヤ漏れのビート音が確認出来た。「こりゃ拙いな」と思い調整したが余り良化しない 相手に聞こえなければ問題は無いのだろうが自分で確認出来る事は相手に解る可能性が有る。其処が問題で有る。通常の交信では相手も此方が聞かなければ電波の質を彼是とは言ってくれない。然しながら解る人には即知られてしまう。
そして其れが其の局の評価に繋がる事を肝に命じなければ成らない。其の局の力量はいくら講釈を言っていても電波を聞けば直ぐに解る。特に上級局は心すべき事と思う。移動局はパワーが限定されるのでマイク・コンプレッサーをガンガン掛けて電波が歪んでいる局が大半、然しながらコンプレッサーのS.Wを入れた瞬間から電波は歪む物だと認識すべきだし其の瞬間から誰かに迷惑を掛けて居る事を認識しなければ成らない。ましてやSメータが音声に伴って変化せず振り切った状態ですくんでいる等は言語道断である。此の状態で移動運用しても其の事に対して何も言わない人が大半だが其の局の値打ちを落としているだけの事に成る。
アマチュア無線は当り前だが見えない不特定多数の人と交信する遊び、その人のオペレーションや電波の質はその人の人格で有り顔とも言える部分、お互いに気を付けたいと思う。
今回、TS-450用の外付けのD・S・P(デジタル・シグナル・プロセッサー)を手に入れた。「旧型ながら少しでも良い電波の発射を」との思いから奮発したが多分近い内の移動運用から活躍してくれる事だろう 最後に移動中の私の電波に問題が有れば遠慮なく申し出て戴く事を御願い致します。