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デモクラシー・ナウ日本版 ワシントンポストを買ったアマゾンはグローバル企業の象徴

2014年01月06日 | 現代遊記デモクラシー・スノーデン・ネグリ

デモクラシー・ナウ日本版番組 ワシントンポスト紙がアマゾン・ドット・コムCEOのジェフ・ベゾス氏に売却

ワシントンポストを買ったベゾスのアマゾン・ドット・コムはグローバル企業の象徴

 

日本語版 放送日 2014年1月6日 深夜更新

英語版放送日: 
2013/8/7(水)
 
再生時間: 33分 
 
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エイミー・グッドマン 来日!
 
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以下デモクラシー・ナウ日本版番組案内 解説より
 

ワシントンポスト紙がアマゾン・ドット・コムCEOのジェフ・ベゾス氏に売却されたことは、凋落が続く米国の新聞産業の転換点となるのかもしれません。2億5千万ドルという買収金額も、大富豪のベゾス氏にとっては資産の1%にもとどきません。米国を代表する有力新聞がポケットマネーで買えちゃう時代、言論もお安 くなったものです。文化も畑もまったく異なる国際ネット通販の創業者が、ワシントンポスト紙なんか買って何をするつもりか、いろいろ憶測を呼んでいます。 新聞事業の赤字体質は解消できるのか、大胆なオンライン化が突破口となるのか、などと。でも、もしかしたらベゾスさんは赤字のままでぜんぜん平気なんじゃ ないかしら。なにせ、ご本尊のアマゾン・ドット・コムが利益を出さない企業なのですから。

ニューヨークの独立出版社メルビルハウスの共同設立者デニス・ジョンソン氏は、アマゾン・ドット・コムの特異な体質について興味深い情報を教えてくれます。アマゾンは1994年 の起業当初から「当分のあいだは黒字化しない」と宣言し、収益改善よりも事業拡大にひた走り、巨大なキャッシュフローだけで営業がなりたっている不思議な 会社です。税金を払わないことがモットーで、当初は消費税を納税しなくて済むようにインディアン保留地に会社登記しようとさえ考えていたくらいです。国際 的に事業展開している会社ですから、租税条約のすきをついて、どこの国にも税金を払わないという芸当もやります。昨年は日本の国税庁からも140億円ほどの追徴課税を受けていましたし、最近ではイギリスの独立書店が、アマゾンにちゃんと税金を払わせろと自国政府に要求する嘆願書に10万人近い署名を集めました。

アマゾンは雇用すら税金逃れの手段に使います。オバマ大統領は7月 末、テネシー州チャタヌーガにあるアマゾンの物流センターに出向いて演説をぶち、法人税を切り下げる代わりに雇用を創出させるという「大きな取引」を提案 し、モデルケースとしてアマゾンを持ち上げました。これには書籍業界ものけぞりました。アマゾンはテネシー州に進出して以来、15年間に一度も消費税を納入したことがありません。ついに州当局から納税を命令じられると、アマゾンは取り引きをもちかけ、2千人を新たに雇用するかわりに、もう一年だけ納税を先延ばしにすることで話をつけたというのが実情なのです。

そ うして創出したアマゾンの物流センターの労働の実情はどんなものか?マック・マクリーランド記者のオンライン通販向倉庫の潜入ルポで描かれるのは、巨大な 倉庫で休みなく搬送ロボットのように働かされる低賃金の重労働です。そんな非人間的な仕事でも、この不況の中で、他に仕事のない人々がいくらでも集まりま す。こんなものを「ミドルクラスの雇用創出」だと持ち上げるオバマの演説は、「問題がある」を通り越して、もはや「異様な光景」です。

ふり返ってみれば、アマゾン・ドット・コムはグローバリゼーションの象徴のような企業です。たしかにアマゾンのサービスは画期的で、私のように洋書をよく買う人間には救世主のように思えました。アマゾンのサイトに並ぶ書籍カタログはそれだけで大きな知識をもたらしてくれます。それまでの書籍の流通システムでは、とうていアクセスできなかった情報が安価に手に入ることは感動的でさえありました。結果的に書店に足を運ぶことはなくなり、普通に手に入る新刊でもアマゾンで買っちゃいます。これが既存の出版流通システムに大打撃をあたえたのですが、それはむしろ既得権益にあぐらをかいた従来のシステムの方の努力不足だと思いこんでいました。でも、いまから思うと、それはほんとうにフェアな競争だったのでしょうか?

デ ニス・ジョンソンが言うように、もともと書籍業界というものは、大きな利益があがる商売ではありません。この業界で働く人たちは、本屋にしても、出版社に しても、そもそも本が好きだからやっているのであって、お金儲けが第一の目的ではありません。お金儲けがしたければ、他にもっと有望な仕事があるでしょう。収入はそんなに多くなくても、本に囲まれて暮らすことができるのなら満足という人たちが、こじんまりとした世界をつくり、その中で共存共栄していくと ころだったのです。本の「手ざわり」だとか「におい」が意味を持つ世界なのです。

ジェフ・ベゾスに、そんなこだわりはありません。ネット通販事業を始めるにあたり書籍販売を選んだのは、事業形態としていちばん効率がよいからにすぎず、場合によってはIT機器でも、健康食品でもよかったのです。だから「本」というものを「グッズ」に変え、一律1000円のカタログ販売にすることに何のためらいもありません。そんな流儀の、どれだけ赤字を作っても平気な会社が、けた違いのサービスで攻勢をかけてきたのです。税金も払っていないし、まともな雇用もしないのですから、競争条件が違いすぎます。

本が好きという「書店員」が、物流センターでロボットのように働かされる「倉庫労働者」に置き換えられていく光景を思い浮かべてみれば、グローバリゼーショ ンの本質がよく見えてきます。「働く」ことの意味が、マニュアルどおりにタスクをこなして、賃金を得るだけのことに矮小化されていくのです。グローバル化 が提供するのは、いつでも取り換え可能なパーツとしての労働であり、そこには職業意識も職人的なプライドも入り込む余地がありません。プロフェッショナリズムの死滅と言い替えてもいいでしょう。

というわけで、グローバル化の問題点を 集約したようなアマゾンという企業にあらためて興味がわいたのですが、こんな企業のオーナーが名門新聞を買って、自社の理念を推進するということになれば、おぞましい話です。加えて同社には、米国政府の国民監視システムに一枚かんでいるのではないかという疑惑もあります。8月初めに、アマゾンがCIAと6億ドルのクラウドサービス提供の契約を結んだことが報道されました。アマゾン傘下でサーバービジネスを展開するAmazon Web ServiceがIBMとの競争に勝ってものにした契約で、今後の世界各国の政府向けクラウドサービス市場が視野に入っています。エドワード・スノーデン氏が暴露したPRISMプログラムの協力企業9社にはアマゾンが入っていませんが、CIAのサーバーのホスティングをするのであれば、当然アマゾンもApple, Google, Facebook, Microsoft, AT&T, Verizon な どの巨大ネット企業と並ぶネット監視ビジネスの一翼と考えられます。その意味でベゾス氏によるワシントンポスト買収は、米国の国家安全保障機構との連携と いう観点からも気になる事件です。新聞ビジネスの突破口どころか、ジャーナリズム死滅の幕開けにならなければよいのですが。 (中野真紀子)

 
 

ゲスト

*デニス・ジョンソン(Dennis Johnson):出版社メルビルハウス共同設立者。
*ロバート・マクチェズニー(Robert McChesney):フリープレスの共同創設者。『資本主義がネットを民主主義の敵に変える』など著書多数
*ジェフ・コーエン(Jeff Cohen): イサカ大学教授。メディア監視団体「FAIR」の創設者。

 

字幕翻訳:齋藤雅子 校正:斉木裕明

 
 

 

以下 

1月6日着の番組より

 

司会者 

当面 経営陣は維持されますが

世界屈指の資産家が米国の名門紙を買収しました  

ワシントンポスト紙の発行元を買収したジェフ・ベゾス氏は  

アマゾン創業者で 買収価格の2億5千万ドルは個人資産280億ドルの1%にすら満たないそうです

 友人でもある旧社主の一族は同紙を80年間保有していました

 当面 経営陣は維持されますが  将来像は不透明です

 2012年のことですが ベゾス氏は独ベルリナー紙の取材に 「20年後に紙の新聞は姿を消し」 「高級ホテルの贅沢品としてのみ 存在する」と予測しています

買収批判派は同氏と 米政府の関係を危惧します

 

エイミー・グッドマン

2010年 アマゾンはサーバーからウィキリークスを削除し2013年にはCIAと6億ドルの
契約を締結しました

ロバート・マクチェズニーさんは フリープレスの共同創設者で 『資本主義がネットを民主主義の敵に変える』など著書多数

近著は共著 『ドルとメディアが壊す米国の民主主義』 です

イサカ大のジェフ・コーエン教授は メディア監視団体「FAIR」の 創設者でもあります

デニス・ジョンソンさんは 出版社メルビルハウス社長で 「めざせアマゾン─オバマの事業計画」の筆者です

マクチェズニーさん ベゾス氏によるポスト紙買収は 新聞業界に衝撃を与えましたね

 

マクチェズニー

この買収の背景には 業界の構造的な問題があります

ポスト紙など 報道企業の株価は 1990年代後半の1割以下の水準で

もはや まともな投資対象では なくなってしまいました

商業報道からは利益が期待できず 投資家は逃げ出していますが

首都で独占状態のポスト紙には 政治的価値があります

カネにはならなくても 強い政治力があるのです

地域独占のシカゴトリビューンや ボストングローブも同じで 名門紙には価値があります

短期の効率は悪くても ベゾス氏ほど金持ちなら 

政治目標を推進する道具として 長期的に大きな見返りがあります

 

コーエンさん ワシントンポスト紙買収について同紙の株価下落が続いているとの今の指摘をどうお考えでしょうか

なぜベゾス氏は 買収を決めたのでしょうか

 

コーエン

ベゾス氏の意見では紙の新聞が ホテルの贅沢品になるそうですが

たぶんワシントンポスト紙は そうならないと思います

電子化は進むでしょうが 首都の新聞であり続けます

ベゾス氏が欲しいのは影響力です

有力紙ワシントンポストの 個人所有者としての 同氏の政治姿勢に注目しています

10年前 ポスト紙は イラク侵攻支持の世論を作りました

ベゾス氏は多くの企業幹部と同様 社会政策ではリベラルで同性婚の支持者ですが

富と力の源泉である会社に関わる 経済政策では強硬保守です

首都では ある運動に反対するため巨額の資金を提供しました

その運動とは最富裕の1%への 特別所得税を推進する運動で

ビル・ゲイツ氏らも支持しましたがベゾス氏は反対に回りました

労務方針でも保守的で アマゾンの労働条件は劣悪です

さらに深刻な問題があります

米国の報道機関にとっての 最大の障害は監視国家と そこから利益を得る諸企業です

情報機関の予算のうち7割は 民間企業に支払われます

最近アマゾン社はCIAと巨額の クラウドサービス契約を結びました

当然 他の契約もねらっています

 

エイミー・グッドマン 

メルビル社のジョンソン社長 出版人の目で見て アマゾンをどう思いますか  

ベゾス氏による ポスト紙買収については?

 

メルビル社のジョンソン

出版人としても米国人としても 意見は同じです

言論市場の仕組みをひっくり返した アマゾンは強敵です

お二人のご意見にも関連しますが  アマゾンは特殊な会社で 創業以来
納税を回避し続けています  

米国でも国外でも 売上税や付加価値税を払いません

 

エイミー・グッドマン

説明してください

 

ジョンソン

小売業者として払うべき 売上税を払わないのです

当初は先住民居住地で 会社登記を試みました

独立国扱いで 売上税が免税だと考えたのです

結局シアトルに本社を置いたのも 売上税を最小にするためです

テネシー州の同社の物流拠点での オバマ大統領の演説は 悪い冗談のようです

ここに物流拠点があるのは 州が免税措置を延長したからです

一方で雇用はたった2千人

大統領は称賛していますが 非常に問題のある経営姿勢です

英国その他の欧州でも 同じ問題で批判されています

また奇妙なのは 同社の赤字体質で  一度も利益を出さなくても平気です

売上は常に増えて天文学的水準で 2013年の第2四半期は1570万ドル

でも赤字も一貫して増えています

こんな会社との競争は不可能です 書籍小売りは大手も中小も

採算度外視の会社には 対抗できません

ワシントンポストを受け継いでも 利益を上げるかどうかなど

おそらく全く関心がない とにかくそういう体質なのです

 

エイミー・グッドマン

でも280億ドルも持っています

 

ジョンソン

そのとおりで 個人資産では 世界最大の大金持ちの一人です

でも会社は一貫して 利益を出したことがありません

 

司会者

利害衝突の批判は気にしておりポスト紙の従業員に宛てた書簡で

 「ポスト紙の方針は今後も不変」

「株主でなく読者の利益を尊重」と 説明していますが

懸念は アマゾンが巨額を投じて 政府に影響を及ぼしていることです

デニス・ジョンソンさん アマゾン社によるロビー活動

そして買収後のポスト紙への 影響をどう評価しますか

 

ジョンソン

本の世界から見ただけでも 意図はあからさまです

ベゾス氏は政治関与を強めています

つい最近も司法省が 出版業界を訴追しました

これは独禁法への衝撃的な挑戦です

アマゾンが黒幕だと思われ 実際 最初は同社による告発でした

この訴訟に勝つことで 元々独占企業だったアマゾンは

政府公認の独占企業になりました

判定の数日後 米国大統領は アマゾンの倉庫に行き

「ごくろうさま」と 労をねぎらったのです

 

エイミー・グッドマン

そこに今回の買収発表です 大統領は知っていたのか

同紙の記者は一様に
衝撃を受けているようです

ジョンソン

情報管理は徹底していましたが 1カ月前には合意があったようです

エイミー・グッドマン

NSAの情報収集能力を考えると 大統領は知っていた?

 

一同笑い

 

ジョンソン

ベゾス氏の電話やメールも 読んでいるでしょうからね

たぶん知っていたでしょう 

事実を見てみましょう

大統領はアマゾンが 中産階級を増やすと称賛しますが

時給11ドルでは生活できません

脱税のお礼に僅かな雇用 それが大統領の雇用政策ですか

 

エイミー・グッドマン

休憩後に続きます

メルビルハウス出版の ジョンソン社長

フリープレスのマクチェズニーさん

イサカ大学のコーエン教授が 本日のお客様です

 

番組 再開

エイミー・グッドマン

アマゾンのジェフ・ベゾス氏による ワシントンポスト紙買収について

メルビルハウスのジョンソン社長

フリープレスのマクチェズニーさん

イサカ大のコーエン教授に伺います

コロンビア大 大学院理事の エミリー・ベルさんが

ベゾス氏について書いた 記事をご紹介します

「クラウドサービスでCIAと 6億ドルの契約を結んだいま」

「自分の新聞がハイテク企業とNSAの秘密協定を暴いたり」

「アマゾンの労働環境を 追及したりすれば どう思うのか」

「大統領や政府高官をいらだたせ」

「辞職に追い込めば成功の業界で やっていけるのか」

 

面白い問いかけですね

どれも いい疑問ですが 追加があります

ポスト紙が神聖な伝統として掲げる 報道の使命です

買収関連の一連の報道に 興味を持つ人は誰もが知っている

ポスト紙の伝統です ウォーターゲートや ペンタゴン・ペーパーの
ワシントンポストはどうなるのか

報道に興味を持つ人なら 誰でも心配していると思います

ウォーターゲート事件や ペンタゴン・ペーパーを報じた

ポスト紙の伝統をベゾス氏が壊すと しかし過去40年間そして今後も

ポスト紙は民主 共和両党の 共通認識を反映するだけです

イラク侵攻が可能になったのも  同紙を牛耳るタカ派ハイアット氏の社説のおかげです

イラク侵攻直前の5カ月間に 20を超える社説を発表し侵攻をあおりました

 侵攻に対する懐疑論は 社説によって徹底的に否定され 発言など許されませんでした

「ウォーターゲートのワシントンポスト」の話を聞くと

「シカゴの貧困層に寄り添う 地域リーダーのオバマ」の話を 思い出します

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