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『誰がチェ・ゲバラを殺したのか CIAの完全犯罪』の著者にエイミー・グッドマンが聞く 

2012年08月15日 | 中南米・カリブ海・キューバ革命・ゲバラ

TBSニュースバードでの放送は以下の通り

8月13日(月)「ポール・クルーグマン『さっさと不況を終わらせろ』」
ゲスト:共同通信 杉田 弘毅 編集委員

8月14日(火)「チェ・ゲバラの処刑はCIAの完全犯罪? 」ゲスト:TBS元アメリカ総局長 金平茂紀

8月15日(水)「シリアへの軍事介入の是非を問う」
ゲスト:敬愛大学国際学部 水口 章 教授

8月16日(木)「TPPは巨大企業による世界支配の道具」
ゲスト:TBS解説委員 中西正利

◎放送時間
・月、火、水、木、初回放送は、それぞれ15時過ぎ~
・月曜日の再放送は、21時~
 火、水、木の再放送は、26時~(翌日の午前2時です)


そのうちデモクラシー・ナウの日本語版インターネット放送でもUPされると思うが、8月14日(火)放送「チェ・ゲバラの処刑はCIAの完全犯罪? は、まだ日本語訳のない著作で、面白く聞いた。

『 WHO KILLED CHE ? 』の2人の著者マイケル・ラトナーとマイケル・スチーブンス・スミスを迎え、早口のエイミー・グッドマンが聞く。以下放送の中で興味ある部分の会話・発言部分は以下の通りである。

マイケル・スチーブンス・スミス(憲法上の権利センター理事・弁護士) 以下 スミスと略記。

エイミー・グッドマン (デモクラシー・ナウの司会者)以下 エイミーと略記。

マイケル・ラトナー (米国法律家ギルド元代表) 以下 ラトナーと略記。



スミス

最近4冊のゲバラ伝が出て新事実が明らかになった
ラトナーが情報公開請求で入手した情報のおかげです。

米国の公式な立場は 「ボリビア軍が勝手に殺した」

これは嘘です。

ホワイトハウスが作戦全体を指揮していた。

CIAはこの頃には準軍事組織になっていて、大筋の指令を受けるだけで、大統領には報告しない。ばれたら聞こえが悪いからホワイトハウスの指令は「ゲバラをしとめろ」でした。

ゲバラ伝を書いたメキシコ外交官で歴史家のカスタネダが元CIA工作員の証言を取りました。 この画の人物です。

彼は親米のボリビアの独裁者バリエントスのもとに急ぎ、

「ゲバラ捕獲に全面協力する。捕らえたらすぐに殺せ」と伝えた。

バリエントス大統領は必ず実行すると約束しました。

ゲバラ暗殺計画は、それ以前もあり、カストロ暗殺には602回も失敗した。


ルムンバを殺したのも死体を運んだのもCIAです。

まさに殺人会社 体制転換がその動機です。

キューバ革命では民衆が勝利し、米国に亡命した1%の特権階級は資本主義の復活を夢見ています。それがキューバ封鎖の目標です。


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エイミー

CIA関与の証拠は?


ラトナー 

大統領補佐官だったウォルト・ロストウのメモです。

彼の情報はすべてCIAが情報源でした。

CIAが上げた情報では何もかもゲバラの仕業だった。

ロストウが表向きを否定しても 彼のメモで明らかです。

殺害は米国の希望だった。

中南米や世界の革命機運にとどめを刺そうとしたのです。


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エイミー

チェ・ゲバラの最期についてお話しください。

ラトナー

1967年10月8日 イゲラ村の近くで、捕まった時、銃撃で負傷していました。彼の銃はまだ熱かった。村に連行され、監禁されていろんな人に尋問された。CIAの現地工作員フェリス・ロドリゲスは、翌日に面会したようです。


エイミー

後にイラン・コントラ事件で有名になった人ですね?


ラトナー

ええ ニカラグアの革命政権をつぶす工作でした
今は我々の血税で楽隠居の身ですよ。

彼(フェリス・ロドリゲス)は1967年10月9日 イゲラ村でゲバラの部屋にいた。 

ことの経緯については これまで諸説がありました。

有力なのはロドリゲスの証言です。

「殺すなと指令されたが、ボリビア政府が処刑命令を出し」
「米国手出しが出来なかった」                   なんて言うのです。

こんなデタラメが何十年も通用してきたのが驚きだ。これじゃ 何でもありだ。

新たな情報開示で、ロドリゲス証言の嘘が判明した。

ゲバラ殺害の指令は受けていないと米国の関与を否定し現地の指揮官に責任を押しつけた。
大事な点は この頃の米国はまだ捕虜を殺したり、公人を暗殺しているとばれぬよう気遣っていたことです。

ルムンバをはじめ、多数の人を暗殺していたのですけどね。



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スミス

(ボリビアでは)何もかもうまくいかなかった。

ゲバラが設けたボリビアの訓練拠点は、すぐに発見され、彼は持病の薬を奪われました

隊はバラバラになってしまい、二度と合流できませんでした。半数は農民の密告で川で襲われ、タニアも殺されました。


エイミー

タニアとは誰ですか

スミス

東ドイツ出身の革命家でした。両親が共産主義者(マルクス主義者)でした。ゲバラとは東ベルリンで知り合い意気投合して、地下組織を作るためボリビアに侵入しましたが、ゲバラの意に反し野営地にジープでやってきた。

政府軍がジープを発見して車内の資料から作戦を嗅ぎつけ、米軍とCIAの介入が始まりました。

この本で公表した米政府の覚え書き によれば

「ベトナム帰りの特殊部隊を送り現地兵を訓練しよう」

「直接手を下すのはまずい」


エイミー

ジョンソン政権はベトナム戦争を拡大中だったのに

スミス

ボリビアにも干渉したのです。

ボリビアの民主政権はとても弱い立場でした。

マイケルラトナーが言ったように、チリ・アルゼンチン・キューバ支持の民主政権は次々とつぶされ、持ちこたえたのはメキシコのみ、圧倒的な圧力に抗してキューバが生き残るためには、革命の拡散しかないと思ったのですが、すべて裏目に出たのです。

本ではこの悲劇を詳述しました。

包囲・武装解除・捕縛 そして処刑されるまでの経緯です。


エイミー

『誰がチェを殺したのか CIAの完全犯罪』 の中に、

ゲバラ殺害作戦の中心人物 W・ロストウ氏の発言があります。

「ロマンチックな革命家を殺し、ゲリラの士気をくじけ」

「ゲバラを捕らえるだけで、ゲリラ撲滅作戦にはプラスだが」

「彼が死ねば効果は百倍だ」


スミス

チェを生かしておきたいと米国が思ったはずはない。

「国益」 に反するからです。 

革命運動への大打撃を期待してチェの死をマスコミに知らせた。

報道発表ではグスタボ・ビジョルドがこのようにチェの死体の後ろに立っていた白黒写真が残っています。

エイミー

本の表紙は油彩画ですね。

スミス

彼はキューバの大富豪の一族の出で、GM工場や大農園を革命ですべて失いました。

CIAに雇われ、この作戦を指揮しました。

ロドリゲスは彼の部下です。

エイミー

ボリビアで?

スミス

ええ。

チェの遺体をヘリコプターに縛り付けバジェグランデの町に運び、病院の地下にあったセメントの台に置きました

報道陣を集め写真を撮らせたが、遺体を公開したのは、大失敗でした。

誇らしげに付き添ったビジョルドは報道発表が済むと、遺体の両手を切り落としてCIAの本部に送りました。

本部は指紋を照合し、ゲバラ本人であると確認しました。

ところが結果的にはチェ・ゲバラの殺害を宣伝したのは、逆効果でした。

チェは社会変革を求める民衆の英雄になりました。

ラトナー

私ガ一番驚いたのは、(私は)若い頃から自国政府を信用したことがないので、ゲバラ
を扱う作家が、ほぼ全員ロドリゲスの説明を信じたことです。

「米国はゲバラの生存を望んだ」    なんて信じちゃだめだ。

最近のシリアなどをみても米国の説明は嘘だらけです。

この本で本当に伝えたいのは、米国が世界で何をしているのか、政府の説明はまず疑えということ

シリアでもリビアでも、1973年のチリでも、キューバ封鎖の継続についてのオバマの説明についてもです。

残念ながら米国のメディアは過去から学んでいません。

政府の発表を垂れ流すだけで、人々を誘導するだけだ。


エイミー

チェは負傷して捕らえられ、ほどなく処刑されました。

殺しに来た兵士に言った最期の言葉は

「お前は人間を殺すのだ」


ラトナー

推測でしかないのですが、その言葉の意味はたぶん

「私は他の皆と同じ人間だ」

「それをお前は殺そうとしている」

「私は人間だ」 と言いたかったのでしょう。


スミス

このボリビア人の軍曹はゲバラを殺す栄誉をクジで引き当てたものの、最初に入った時は緊張のあまり退散した。


エイミー

チェ は横になっていた?

スミス

腰掛けていましたが、「座れ」と言われて

「立ったままでいいと」 答えた。

運命を知っていたのです。

軍曹は殺意が失せて処刑が出来ませんでした。

一度外に出て酒を飲んで戻った軍曹に、ケリをつけさせるため 諭すように言いました

「いいか お前は人間を殺すのだ」

顔は撃つなと命じられていたのに、軍曹は緊張のあまり銃を乱射した。

ゲバラは肺の出血で絶命しました。


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スミス

権力を握ったゲリラたちの最初に制定した法律は首相の資格年齢の引き下げでした。

カストロは若干33歳でしたから。

ゲバラはもっと若く、次の法律でキューバ人になりました。


エイミー

(ゲバラは)もとはアルゼンチン人。


スミス


次が大農地改革法で、これで米国の虎の尾を踏んだ。

ユナイテッド・フルーツ社の資産を国有化したからです。

CIA長官 アレン・ダレス は同社(ユナイテッド・フルーツ社)の大株主でした。

アレンの兄で国務長官のジョン・F・ダレス も(同社の大株主)です。


エイミー

彼は同社(ユナイテッド・フルーツ社)の顧問弁護士でしたね。


ラトナー

ええ。ゲバラはその5年前にグアテマラを訪れています。

アルベンス政権の転覆に抵抗して戦って敗れました。

(グアテマラ)の民主的(選挙)に選ばれた政権が倒されたのは、ユナイテッド・フルーツ社の土地を接収したためです。

全部つながっている。


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エイミー

ダレス兄弟が主役となったグアテマラ政変(軍事クーデター)直前の1953年に兄弟はセオドア・ルーズベルトの孫をイランに送り込んで、民主的に選ばれたモサデク大統領を倒しました。

この「楽勝」に味をしめて、米国政府は次の標的をグアテマラに定めました。

でもルーズベルトの孫は任務の途中で降りてしまいました。


ラトナー

現在のグアテマラとイラン政府が、米国に対して抱く不審の源には、1950年代の政変(軍事クーデター)があります。

これは重要な視点です。


以上 番組 引用終わり。


ダレス兄弟/国務長官/CIA長官 ーユナイテッド・フルーツ社ー キューバGM- グスタボ・ビジョルド-CIA雇用-ロドリゲス

この頃の国防長官マクナマラ(フォード社社長)


 

アメリカのキューバ経済封鎖50年にあわせて作られた数少ない硬派番組、日本のメディアはもっとしっかり デモクラシー・ナウの志の高さに学ぶべきではないだろうか。

アメリカの大手メディアはもう、9.11報道で明らかになったように「大本営」放送。
国家の隠された意図(相当明らかなはずだが)をチェックできないメディアは、いずれメディアの御用新聞時代として、歴史の一古層として堆積していくのではないか。


TBSニュースバードさん、定時放送枠にデモクラシー・ナウを取り込むべき。  


(続く)














 






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