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オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史 1-2-2 付箋メモ

2014年10月04日 | オリバー・ストーン、ピーター・カズニック

          ▲ 『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』 早川書房2013

オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史 1-2-2 付箋メモ

黒色の文はブログ主のコメント、茶色の文は著者たちの文 です。また緑色の部分は章立て、小項目タイトルなどです) 

 

序章 帝国のルーツ 「戦争はあこぎな商売」

帝国の旗を高く掲げよーネオコンの新傾向 

「今や人々は『帝国』という言葉を誰憚ることなく口にし始めた」と指摘 」  ニューヨーク・タイムズ コラムニスト チャールズ・クラフトハマー (20p)

2003年1月5日、「ニューヨーク・タイムズ」日曜版表紙に踊る文字は「アメリカ帝国ーこの言葉に慣れよ」である。(20-21p)

ネオコンの言説ならアメリカは帝国であるのは昔から当たり前、右翼的な連中だからといえようが、2001年の911事件を経たアメリカは、すでに愛国一色、テレビメディアはあの頃、愛国バッチを胸に付けて戦争報道していましたね。

ついに、「ニューヨーク・タイムズ」までも、このころには帝国主義内新聞となりはてていたようだ。恥ずかしがらずに「帝国」という言葉を堂々と使おうというわけだ。おそるべき倫理的退廃だね。アメリカ帝国はいよいよ軍産複合体はもとより、メディアも、権力監視を一切放棄した帝国主義プロパガンダにも等しい言葉を掲げるようになったのだね。 (黒色の文はブログ主、茶色の文は著者たちの文 です。また緑色の部分は章立て、小項目などです

「例外主義」による正当化

「ネオコンの多くは帝国の誕生を最近の動向と見ているが、拡張しようとするアメリカの衝動は今に始まったものではない。初めてこの地にイギリス植民地を築いた時代から、その衝動のままに住み着き、広がり、征服してきた。この衝動はのちに「自明の運命」の思想となって具体化され、モンロー主義に反映されていく。(21p)

「最初の入植者がイギリスからバージニアに到着し、西へと移動を始めたときから、ここは帝国主義の国家であり、他を征服する国だった」 ポール・ケネディ (21p)

「西洋が世界の勝利者になったのは、西洋の思想、価値観、宗教が優れていたからではなく、むしろ組織的な暴力をふるうことに優れていたからである。西洋人はこの事実をよく忘れるが、西洋以外の人々はけっして忘れない。」  サミエル・ハンチントン (21-22p)

ハンチントンは保守系の歴史家だが、上記の記述部分にたいしては、著者たちも歴史事実と見て評価している。西洋主義がひろがったのは、西洋思想や価値観が優れていたからなのではなく、暴力が優っていたからだという点。これにはブログ主も異論はない。

「軍事基地帝国」という支配の新様式

「アメリカが帝国なのかそうでないわかりにくいのは、その支配力と行動は帝国特有のものでありながら、従来の帝国とは装いが異なるからである。」 (24p)

アメリカは従来のような帝国(イギリス・フランス・スペインなど)として植民地主義的ふるまいも試みることもあったが

「一部から「門戸開放」帝国と「呼ばれる形をとってきた、つまり、実際の人民や領土を収めるよりも、市場を支配するなどして経済を統治することのほうに関心がある。・・・経済的利益や民間投資が脅かされそうになるとたびたび軍事力に物を言わせ、その国を長期にわたって占領することまでしてきた。もっと最近のアメリカは別のやり方で支配を進めていて、それをチャルマーズ・ジョンソンはいみじくも「軍事基地帝国」と呼んだ。昔の植民地に代わるものが軍事基地というわけである。」(24p)

「2002年の時点における国防総省の統計によると、国連加盟国190カ国のうち132カ国に何らかの形で駐留している。数十億ドルかけた空母戦闘群も加えれば、アメリカの軍事展開は掛け値なしに地球規模だ。」 (24p)

 

 ▲チャルマーズ・ジョンソン 『アメリカ帝国の悲劇』 2004 文藝春秋 定価2800+税

この本上記のように『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』でも引用されているが、チャルマーズ・ジョンソンはアメリカ政府組織・中央情報局顧問としても勤務したことのある経験を持つ。やがて政府批判者となった経緯をもっている。豊富な軍事関係資料をもとにアメリカ帝国の傲慢を曝いたチャルマーズ・ジョンソンの主著とも言える本。沖縄にも取材したことのある著者は惜しくも2010年11月に死去。ブログ主とっておきの推薦本。オリバー・ストーンの著書の脇に置いて参照すると、有益このうえない。アメリカは軍事基地「帝国」であると納得がいく。

アメリカを愛するが故に、チャルマーズ・ジョンソンは、「反帝国主義者」となっていく。

この経緯は、去年話題を呼んだエドワード・ジョゼフ・スノーデンの遍歴と機密文書暴露に至った経緯とも似ていることがあると思う。

 

本日は短いが、次回へ続く

今日はこれから、『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』 2巻・3巻の付箋メモ作業へ。

『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』 2巻の裏帯には、アメリカ国防省のベトナム秘密報告を曝き、リークさせた、ダニエル・エルズバーグの賛辞が寄せられている。

「『民衆のアメリカ史』を著した歴史家のハワード・ジンが生きていれば、アメリカ帝国をめぐるこの『民衆の歴史』を気に入ったことだろう。

本書は間然するところなく書かれた、一読巻を措くあたわざる傑作である」ダニエル・エルズバーグ

この 「間然するところなく書かれた、一読巻を措くあたわざる傑作」という言葉、久方ぶりだなぁ。

でもこのことば、真っ直ぐに、あたっているよ。

では。

 

 

 



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