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オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史 1-1

2014年10月01日 | オリバー・ストーン、ピーター・カズニック

           ▲ 『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』 2013 早川書房 1巻2000円・2巻2000円・3巻2200円 税込みでは全3巻で6696円。全3巻の総頁数 本文1218頁、注112頁、総頁1330頁。注の数2082項目。

堂々のボリュームなので、本文をよみつつ、引っかかるところは注にもどりつつ、メモしながら、読むと、借用期限の2週間がまたたく間に過ぎ、図書館から返却催促がくるであろう本。

よって古書店に出るまで、我慢ということに。

出版から1年以上経ってようやく、東京・高原書店で3巻セットを入手。送料込みで3560円也。ハワード・ジンの『民衆のアメリカ史』は貧乏庶民にはとても届かない高い価格設定。むっとして未だに入手していない。5巻分冊くらいにして、早川書房並みの2000円程度にしてもらわないと。

さて今回の『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』

原注はきちんと省略せずに掲載してあるようなのだが、索引がないので、人物、事項、年表などは、自分で作るほかないだろうしそれでも、自分で整理しながらやると、思わぬ収穫があるかも知れない。

オリバー・ストーンとピーター・カズニックの共同作業から生まれた、アメリカの語られざる歴史。
ほとんどのアメリカ人が教わってきたアメリカ合衆国の基本的な歴史に対して根本的な疑問を投げかける本になったといっていい。

この本と、アメリカの高校生が通常学ぶ教科書と比較すると、もっと明確に違いがわかるかもしない。

風のたよりによれば、ブッシュ政権の時代に、テキサス州のアメリカ歴史教科書が、重用され、テキサス州で使われた内容の教科書をもとにしたものが全米にひろまり、さらにチェイニー副大統領の妻が、改訂というか、ヴァージョン・アップに貢献したようなのですが。きっと日本の戦前の国定教科書のように、強く・正しい・自画自賛の(民主主義の)オンパレードなのでしょう。

  ▲ 『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』 2013年 早川書房 2巻  帯の推薦文

 

NHKBSの深夜のドキュメンタリー枠の時間で、2013年春、『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』の放送があった。毎回資料やニュース・ドキュメントフィルムを交え、事実の提示をもとに、(教科書には)語られなかった、アメリカの隠された現代史。あいかわらずのタフなオリバー・ストーンの語りおろしが見事だった。

「史実なのか、想像を交えたただのフィクションなのか」 という、いつものオリバーストーンへの執拗なメディア攻撃があったのだが。

今回は映画・フィクションではないアメリカの近現代史に真っ向から取り組んだドキュメンタリーであり、それに基づく歴史究明書だ。

アメリカ現代史研究者ピーター・カズニックの精緻な資料探索と的確な裏付けの提示によって、かつてストーンの映画 『JFK』 について手厳しい「事実とフィクションのごちゃまぜ」という難点を乗り越える論点を提示している。より歴史の事実に深く沈潜して、根も葉もない悪質な攻撃を撃破する力量をオリバー・ストーンとピーター・カズニックは身につけたと言えるのではないだろうか。

アメリカの帝国主義者真っ青の仕上がりだね。こんなすごいもの、アメリカ市民には見せてはならないと、読ませてはならないと、アメリカ本国では、『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』のドキュメンタリー放送は、当然のごとく四大ネットワークで放送拒否。ようやく、オリバー・ストーンや関係者の努力で、じぶんたちで金を払いつつ有料テレビ枠で放送したようだ。

さて

今や、なりふり構わぬ、アメリカの傲慢な世界外交は、最近のウクライナをめぐる、無根拠で声高なロシアへの攻撃を見ると、すでに新聞とテレビで洗脳されている人でさえ「ピンとくる」ほどのお粗末さとわかると思うのだが。

なぜか、9月の暫定中間事故報告の後、急にマレーシア航空機MH17便の記事がでなくなりましたね。

いまや、記事はイスラム国テロ、香港民主化デモに完全移行!

(これだって、この『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』を読むと、よく考える癖が身につくので、「眉つばかもしれん」と冷静に対処できるはず)

ところで、当たり前のことですが、ある国内を飛行する航空機の安全確保は、その国の領土上空を飛行許可している国に管理・指導・連絡責任があるのは国際規約ですよね。つまりその国ウクライナの管制官がウクライナ上空の安全航行のためマレーシア航空MH17便のパイロットに指示・連絡する義務があるわけです。この一番大事な基本的な事項に何の疑問も、解明もなしに、マレーシア航空MH17便の事故が起きたと攻撃するのは国際規約上かからみてもおかしい。内戦状態にある危険地帯上空を飛行させない、つまり、ウクライナ領土内の安全航行の責任はウクライナにあるのは明白なことです。

事故機の飛行だけなぜ、ウクライナ北東部の、それ以前もそれ以後も飛んでいない紛争地上空へと誘導したのでしょうか。またどうして、7月17日、マレーシア航空MH17便の事故当日の管制官の記録が公開できないのでしょうかね?

新聞報道も、テレビも、記者たちは、即、疑問に思い、ウクライナ当局の発表や、アメリカの親露派勢力の航空機撃墜だと非難する報道に対して、記者たちは

「基本的な基礎情報の提示を求めます、、今すぐ開示できるし、また開示しなければならない管制官の記録と証言をだすべきじゃないですか、ウクライナは、ウクライナ上空を飛ぶ航空機の安全飛行に関して監督する責任があります。管制官に聞き取り調査をしていないのですか。管制官と、パイロットとどんなやりとりがあったんですか」 

「スペイン人とされる当日の担当管制官は、今どこにいるんですか」 と問いただす記者はいたのか、いなかったのか??その管制官は今生きているのですかね?という問いを発するべきであったね。

自由で、かつ民主主義を自認する欧米の記者には、このこと(事故原因調査の初期段階での管制官からの聴取と証拠保全)を求め、問い質そうというまっとうな記者は、いなかったようだ。

このことに関してはロシアのメディア報道の方がはるかに公正であったことがわかます。(「ロシアの声」の事故後の報道を読んでみると、多くの国が加わった、公正な調査委員会の設立のもとでの事故調査を提案していた)

自由で、民主主義のふりをしているプロパガンダが、欧米メディアの基本姿勢になってしまってはいませんか?(オリバー・ストーンは、アメリカのマスコミはもう死んでいると言っています。映画『JFK』をめぐって、ニューヨークタイムズやワシントンポストからも悪質な言論攻撃にあっていたことは当ブログ2013年1月3日に記事あり)

  ここ▼

http://blog.goo.ne.jp/jfk1122zzzya/e/a8a9c7956702bfacf30026d5b4b9ce9c

 

マレーシア航空MH17便の事故報告書が来年出たとしても、今公開できるはずの資料を公開しないのですから、これから1年以上かけて、管制官の記録証言、飛行航路など隠蔽工作した上で、ねつ造証拠だらけのエセ報告書になること必定ですね。なぜイギリス・欧州だけが事故調査を独占するのでしょう。事故調査の公正性はどこで担保できるのでしょうか?

いわゆる、「鵞鳥の世話を狐に頼むようなもの」ということですね。

例えば裁判で、犯罪の認否を、被告側からの反論のための証拠提出と弁護の陳述なしに、一方的に裁判における裁定があり得るでしょうか。あったとしたら、暗黒裁判以外のなにものでもないでしょう。

ほんとうに、ひどい、メディアの、政府発表丸投げ、会見丸飲み報道の凡庸さ、にある、救いがたい報道の腐りかた、劣化。

世界中に記事発信している寡占欧米大手メディアが日本の戦前の大本営放送とおなじような構造に、うり二つになってきてはいませんか。

上のような、一見アメリカとは直接関係がないように見える事象も、この、『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』を読むと、謎が、一気に氷解するんです。 え! どうして?

『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』 を読むと これらの謎が、「納得!」の一言で言い切れるようになるから不思議なんです。

第2次世界大戦後の世界のそこここで起きている紛争や戦争が、実は多くの場合マッチ・ポンプかもしれないという疑いが・・・・・・・・・!!

3巻目の帯で、この本のさわりかと思えること、主題をさらりと、そして端的に表現している。

       ▲ 『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』 3巻 裏帯

「20世紀のアメリカ政治史は、アメリカが自覚的な意思のもとに帝国となったのであり、

2大政党のどちらかが政権を担当しようと、この帝国を維持するあがきをやめることができない事情を端的に明らかにするものだ。」

 

 ▲ 原著は1冊本で700頁越えているようだが、早川書房の日本訳は3冊合わせると厚さ10cm近くある。重さは1670グラムあった。

片手で持っているととしびれます。日本語訳の本文1218頁、注112頁、総頁1330頁。注の数2082項目。

ストーンはドキュメンタリー作品をつくりながら、映画作品も何本か完成し、またピーター・カズニックは大学の授業のかたわら、本書のほかに著作数冊と、この本を共著で出した。さすがに4年半かかったようだが、「すこぶる快著」であると思う。オリバー・ストーンは、どこかで、もうアメリカ大統領の映画は、(ばかばかしくて)撮る気がしないと言明していた。なるほどね。納得。

アメリカ帝国がいずれ黄昏がやってくるとき、その終末の時刻の前に、すこしばかり覚醒の瞬間を促す請け合いの本となるではないだろうか。ここでアメリカ市民も覚醒しないと、また、属国日本も、今、ここで、世界で何が起きているのか、明晰な自覚・猛省のラスト・チャンス。

という次第で、今回は1-1ということで、例によって、1巻の目次案内

 

 

 

 

 

 

 

 この項しばらく続く

次回 1-2 から気になる付箋のピックアップ。

全14章あるので、1回1章としても14回やらないと終わらないか



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