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『ケネディ暗殺 ウォーレン委員会50年目の証言』 フィリップ・シノン 2013年 文藝春秋 ほか 1-1

2016年03月13日 | JFK ケネディをめぐる本・新聞記事

        ▲ 『ケネディ暗殺 ウォーレン委員会50年目の証言』 フィリップ・シノン 2013年 文藝春秋 定価1600円×2冊+税

 『ケネディ暗殺 ウォーレン委員会50年目の証言』 フィリップ・シノン 2013年 文藝春秋および『ケネディ暗殺50年目の真実』 KILLING KENNEDY ビル・オライリー 2013 講談社2013年ケネディ暗殺50年の節目の年に日本訳が出版された。

当時、本の広告および朝日新聞書評欄を読んだのだが、すぐにとびつくだけの内容なのか、疑問を持った。いずれ入手しやすい手頃な古書価格になるだろうから、それまでまで待とうと決断。刊行から2年以上経過し、定価の半額から6-7割程度で入 手できる環境となり、ようやく入手したのだが、果たして読むに値する本であったのだろうか!?

本の刊行から2年以上経過した今、もはや話題性はないし、 ニュース性もなくなっているが、それはそれ。アメリカのケネディ調査・研究者の世代交代した者たちは、それまでの調査・研究者の何を継承し、何を継承しなかったのだろうか。

▼  『ケネディ暗殺 ウォーレン委員会50年目の証言』 目次1

▲ 『ケネディ暗殺 ウォレン委員会50年目の証言』 目次1

 

▼ 『ケネディ暗殺 ウォーレン委員会50年目の証言』 目次2

 

 ▲ 『ケネディ暗殺 ウォーレン委員会50年目の証言』 目次1

 

 ▼ 『KILLING KENNEDY ケネディ暗殺 50年目の真実』

▲『KILLING KENNEDY ケネディ暗殺 50年目の真実』 ビル・オライリー、マーティン・デュガード 著 枝泰子 訳  2013 講談社 定価2000円+税

 

また 『ケネディ暗殺 ウォレーン委員会50年目の証言』以外にも、2013年には『KILLING KENNEDY ケネディ暗殺 50年目の真実』 ビル・オライリー、マーティン・デュガード 著 枝泰子 訳  2013 講談社が刊行されている。

 原著にもないのかもしれないが、この翻訳書には、目次というものがない。もしかして、これは、ノンフィクション風の小説?と一瞬疑いの気持ちがよぎる。また、原著の引用・索引は、インターネットで講談社の翻訳刊行書の頁にアクセスしなければならないのは、どうしたことか。少しでも経費を削減するためか、あるいはさほど重要ではない言説に依拠しているのを隠蔽するため?

「ケネディ暗殺の真実」というよりも、ケネディ暗殺事件の年にははまだ生まれてないか、または生まれて間もないので、まったくケネディのことを知らない読者のために多くの頁を費やすようになっているのだろうか。ケネディ家勃興から、ホワイト・ハウス入りの経緯、王宮なみの豪華な生活の描写などは、それなりに詳しい。

しかし、一気に、「暗殺の真実」に切り込んでほしい私としては、全くの肩すかしの本であった。この本に2000円+税は高く感じる。訳者の解説も興奮を呼び起こさない。なぜだろうと考えてみたが、ケネディ暗殺についてはあんな説、こんな説もあるがと紹介しているのだが、肝心の自分はどういった証拠をもとに、どのような見解をとるのかということを、書こうとしていない。また例によって、参考・引用文献をはずしている。

 

▲カミーユ・ジル 松谷健二 訳 『パリの狙撃者 ケネディを狙ったもう一人の男 J・ロメロの告白』1975 立風書房 当時定価890円

ケネディを狙った狙撃者は、アメリカ以外にも、狙える場所にはどこでも照準を定めていた!

「ジャッカルの日」の小説や記憶もあって、気になっていたものだが、上記の2冊の読後感が最悪で意気消沈。気分転換で小説として、軽い気持ちで読んだのだが、これは楽しめた。

作者カミーユ・ジルは、アルジェリア出身のフランスジャーナリスト・作家という肩書きのようだが、1960年代初頭には、仏のドゴール大統領がアルジェリア独立認めることを政治課題としていた時、フランスでは賛否両論の嵐が巻き起こっていた。植民地主義者はフランスにも多く存在し、実際ドゴールは、政府内にも存在していた植民地擁護派の一部応援もあり、大統領の行程には、狙撃者がさまざまなところで待ち受けていた。大統領の車列の日程が、迅速に狙撃者に伝えられていた。そんな記憶をたどりながら、読んでいくと、戦前の植民地主義的・帝国的秩序から戦後政治世界のために一定程度革新しようとしていたドゴールと、ケネディは、共通する課題で一致できるところがあった。

ケネディの欧州外遊に照準を定め、ケネディ・ドゴール両頭目を一気に始末すること。旧体制下の軍事帝国主義をやめられない勢力は、絶好の機会と成り得る・・・・・・

フランスや旧帝国主義下の各国では、「外国人傭兵」というものを正式に自らの軍事組織に組み入れているのだが、戦後の国連中心の政治が始動した世界にあっても、旧体制時代の容帝国主義時代の軍・軍事組織は若いケネディのような人物が、世界で影響力を発揮するなど児戯に等しいとうそぶく輩がいたということは大いにありうることだ。

アルジェリア独立・植民地存続をめぐるフランス国内世論の対立の影に先だって、スペイン・フランコファシズム政権対スペイン人民戦線の闘争の後裔が、無為・無策の中で、帝国の傭兵に転身していく様は、リアルである。

フランス人民戦線でアナーキストとして戦った経歴の父を持つ人物として描かれ、父とともにアルジェリアに渡り、その後、フランスの外人傭兵部隊の一員となる。さらに、高額の報酬と引き替えに政府要人に対するヒットマンとして雇用される。・・・・・・・・

要人暗殺実行依頼者が手配していた、寄り添う協力者は、実は実行犯となる自分を監視し、その後、証拠隠滅のため、始末する役柄なのではないかと、はたと気がつき、からくも犠牲の羊になることから脱出する。

私は、もしかして、ケネディ暗殺におけるオズワルドの役割であり、私に協力して常に寄り添う人物は、ジャック・ルビーなのか?

ヒットマンの恐怖!?

ヒットマンを偽装させられたヒットマンをヒットする役柄という、手の込んだ工作が、存在していたのではないか

という身の毛がよだつような工作の恐怖が、この本の主要なメッセージなのではないだろうか。

虚実皮膜

これはひるがえって、ケネディ・あるいはドゴールどちらでもヒットする影の勢力の存在を示唆するような暗喩に満ちているともいえる。

フランス領アルジェリア出身ジャーナリストの作家が事実と創作定かならぬあたりを彷徨するドキュメント。

これを何ととらえるかは、読者に委ねられている・・・・・・のだが。

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ケネディ没後50年頃に出版された、上記の『ケネディ暗殺 ウォーレン委員会50年目の証言』 フィリップ・シノン 2013年 文藝春秋および『ケネディ暗殺50年目の真実 KILLING KENNEDY 』ビル・オライリー 2013 講談社

のお粗末さには、ほんとうに、むなしさを禁じ得ない。

1964年ウォーレン委員会報告書で結論した「オズワルドが放った3発の銃弾」で、ケネディは暗殺された」という ウォーレン委員会報告のシナリオをそのまま踏襲し、繰り返しているだけなのだ。

例の魔法の銃弾・・・・・ケネディを貫いた銃弾が、コナリーを貫き、手首を打ち砕き、さらに足にあたった。・・・ え!?

まだこんな説をアメリカのネットワークテレビ局のアンカーマン(ビル・オライリー)や元ニューヨーク・タイムズ記者フィリップ・シノンが、50年後の今も事実として踏襲しているのである。

参考文献、インタビューして得た情報の数を誇っているのだが、ケネディの品格を貶めるゴシップをこれでもかと掘り下げているのには驚くやら、悲しいやら。

 

特にメジャーな3大ネットワークテレビ、ニューヨーク・タイムズ、ワシントンポストなどには、アメリカの情報機関の内通者が、記者として放たれているということがよくわかる。

櫻井春彦さんの「櫻井ジャーナル」の記事で繰り返し書いていることであるが、ワシントンポスト記者だったバーンスタインが政府機関・CIAのスパイが新聞・テレビなど報道機関に400名もいると、「ローリング・ストンズ」誌に1977年頃書いていたと記していた。

ウォーレン委員会報告書から50年も経過した今でも、アメリカ国民が、いつも目にするテレビのアンカーマンや、主要新聞の記者は、政府見解の筋書き通りである。

アメリカのメジャー・ジャーナリズムはもう完全に寡頭勢力の広報機関となっている。

 

では、数多くの文献を渉猟したとする2著が、ある著書や、ケネディ暗殺をめぐる裁判に触れていないか見てみよう

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 



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