恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

8/29(水)池袋山野楽器落語会 第2部 熱血・若手落語会170回

2018年08月29日 | 噺とか
午後に少し時間が取れたので、池袋まで出向いて落語を聞きに行きます。
鈴々舎馬桜師匠が以前から音頭をとって行っている楽器屋さんでの落語会です。
普段は楽器屋さんに出入りすることなどないので、少し緊張しながら会場へ。
広めのスタジオの中に高座が設えてあり、30名程度のコンパクトな会場です。
最近は大きなホール落語より、これぐらいの規模のほうが落ち着くのです。
馬桜師匠が出演されるということもあり、他の会場で見た人もちらほら。
初演の会とかそういうところですが。
開演前にはほぼ満席になるという、平日にしては盛況な中、開演。

文 雀「伽羅の下駄」
おさん「強情灸」
馬 桜「質屋庫」
馬るこ「宿屋の仇討」

普段の落語会と違い、いきなり真打が登場するのが面白いですね。
文雀師匠は今回が初出演で、本来はたこ平さんなのだそうで。
今日は上野精養軒で9月からの新真打のお祝いパーティが行われていて、
そのための代演とのことでした。
アウェー感を感じつつも熱演されておりました。
確か以前に同じ噺を寄席で聴いたような。
いずれにしても珍しい噺ですね。

おさん師匠も新真打のパーティから会場に入られたそうで。
寄席でもよくお目にかかる「強情灸」なのですが、
通常の噺の構成とはちょっと違った感じで、聞きなじみのない展開。
雲助師匠や龍玉師匠でこの噺をよく聞くのですが、
それが古今亭スタンダードだとすると、柳家流の構成なのですかね。
いずれにしても最後の熱演が笑いを誘っておりました。
そのおかげでパーティで飲んだ酒が回ってしまったようですが・・・

馬桜師匠は昨年末の病から順調に回復しておられるようですが、
まだ多少の不安もあるということで見台を用いての高座でした。
拍子木も使ってまるで上方落語のようなスタイルでしたが。
菅原道真や藤原時平など、歴史の知識がないと下げがわかりづらいのですが、
その辺のところはマクラでしっかりと説明があります。
大宰府で日本語が聞こえないのはまさに同感。
グローバル化もいいのですが、なんだか考えさせられます。
普段はなかなか聞く機会のない噺をたっぷりと聞かせてもらいました。

トリの馬るこさんは相変わらずパワフルな高座でした。
なんでしょうね、間違いなく古典の噺なのですが、
ところどころの登場人物の立ち居振る舞いやセリフなどに新作の匂いが。
絶妙のタイミングで入るくすぐりが噺の面白さを増幅しています。
10月に末廣亭で昼のトリを務められるそうで、
その日の夜には真打の披露目があり、ぜひどうぞ、と宣伝しておられました。
マクラでの新真打のパーティに関する裏話も秀逸。

4人の真打が出て800円は破格ではないでしょうか。
平日の午後、贅沢な時間を過ごすことができました。

恐懼謹言。
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8/18(土)三遊亭天どん独演会@夢ART工房

2018年08月18日 | 噺とか
なんとなく第1回という響きに弱いんですね。
そんな状況が天どん師匠の「友引寄席」の一節にありますが、まさにそんな感じ。
あまり縁のない地域ではありますが、東急田園都市線「つくし野」駅から歩いて10分。
おそらく普段は工房として使用されているであろう大きな一軒家で天どん師匠の独演会がありました。
8月ながら秋の空気が漂う中、お出かけがてら行ってまいりました。
35人という限られた人数で、のんびりと楽しむ会なのですが、
なんとまぁこれがチケット完売御礼で満席。
おそらくはお客さんの多くが工房に通っている方かご近所さんなのでしょうかね?
最近、落語協会のHPにお弟子さんのごはんつぶさんが掲載されるようになり、
今日も出てくるのかなと思いきや、今日は天どん師匠がしっかり3席。

天どん「ろくろ首」
天どん「ひろっちゃった!」
-仲入り-
天どん「茶の湯」

客席の様子を探りかねている天どん師匠、いきなり新作では、ということで古典を。
以前も夏の独演会で聴いている演目ですが、楽しい噺ですね。
天どん師匠が演じる与太郎さんもさることながら、
与太郎とおじさんの何とも言えない軽妙なやりとりが癖になります。
あー、そうそう、こういう空気感だなぁ、ってやつ。

一席終えて、続いて新作の「ひろっちゃった!」へ。この噺は2度目。
まぁとにかくこの噺に出てくる登場人物の思考回路もぶっ飛んでますね。
物事をどんどん悪いほうに考えて悲観する人がいますが、
茶封筒を拾う→誰かに見られる→ネットにアップ→炎上→警察に捕まる
→公安による取り調べ→脱がされる

という流れはもう飛躍しすぎてて何とも言えません。すごいよなぁ。

仲入りをはさんで、もう1席は新作で行くのかなぁと思いきや、ここも古典「茶の湯」で。
先日聴いたばかりのように思いますが、演じ手が変わると噺の印象も変わりますね。
青黄粉と椋の皮で点てたお茶を飲む際のくすぐりとか、もうたまりませんね。
天どん師匠では初めて聞く噺でしたが楽しませてもらいました。

落語がブームになる中で各所で落語会が開かれていますが、
その会場それぞれに温かさや良さがあるものですね。
今日の会場でもお茶とお菓子のサービスがあり、温かく迎えてくださいました。
落語を演じる噺家さんもそうですが、そこにかかわる運営の方の努力も大切なんですね。
遠くまで出かけた甲斐があったというものです。

恐懼謹言。
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8/15(水)葛西イオン寄席

2018年08月15日 | 噺とか
あれこれと夏にアクティブに活動していると、一休みしたくなる日もあります。
ちょっと体にも疲れが来る、そんな8月の折り返し地点。
ほぼ地元といってもいい葛西のイオンで無料の落語会が定期的に開かれています。
物は試し、とばかりに足を運んできました。

金の助「狸の札」
さん八「替り目」

前座さんが一人に真打という構成が多いようですね。
会場には30分ぐらい前に到着しましたが、それでもかなりの席の埋まり具合。
最終的には立ち見も出るという盛況ぶりでした。
たいがいは地元の高齢者の方、といった感じでしょうか。
で、会場もイオンの催事コーナーのようなところなので、
通行人の姿は見えるわ、館内放送が入るわ、騒ぎ声は聞こえるわで、
無料の落語会だからとあまり期待はしていなかったのですが、
それでも十分に噺を楽しむことができました。

前座の金の助さんは芸協の方なので、はじめてお目にかかります。
軽い小噺をいくつか披露したうえで本題へ。この辺りは手馴れていそう。
「狸の札」をしっかりやって降りていきました。
とちゅうちょっと中だるみしてしまいましたが、まぁ仕方ありますまい。

さん八師匠は地元江戸川の出身ということもあって、会場のウケもいい。
今日が終戦記念日であることに触れながら、いろいろな思い出話を。
師匠である5代目小さん師匠の思い出も普段は聞くことができないので興味深いですね。
また、お盆の時期にも触れておられました。
東京では現在7月がお盆だが、田舎は8月である、と。
にもかかわらず、ここ葛西は今でも8月にお盆をやっていて、
同じ江戸川区の中でも新川を境にして風習が変わるんだそうな。
隣接した地域でもどこかを境にして変わることってあるんですねぇ。
なお、日本では8月25日からお盆、という地域もあるんだそうで。

あれこれとマクラを振って本題は酔っぱらいの出てくる「替り目」へ。
持ち時間がたっぷりあるためか、丁寧にしっかりとした描写で描かれます。
さん八師匠の風貌といい、声色といい、実に酔っぱらいが気持ちよさそうに描かれ、
会場もその雰囲気に引き込まれていきました。
マイクを通じて大きな声をたまたま聴いた通行人は驚いたでしょうけど。

無料の落語会でも満足度のある会っていうのもあるものですね。
たまにはこういう発見というのもいいものです。

恐懼謹言。
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8/8(水)鈴本演芸場夜席

2018年08月08日 | 噺とか
折からの台風13号接近に伴い、前日から雨風に見舞われていた東京。
テレビのニュースでは交通機関への影響が出る前の帰宅を盛んに呼びかけ、
不要不急の外出は避けるようにしきりにアナウンスしております。
そんな時に不謹慎といわれればそれまでですが、どうしても寄席に行きたくなるわけで。
別に「こういう時に来てくださるお客様が本当のお客様」なんていう、
噺家さんの見え透いたおべんちゃらを聞きに行きたいわけではないのですが、
なんというか、こういう時の寄席の雰囲気が妙に好きなんです。
ということで、顔付けも好みな鈴本の夜席へ。

まめ菊「たらちね」
ぴっかり(演題不明「親の鏡」? 小朝師匠の新作)
翁家社中「太神楽」
百 栄「寿司屋水滸伝」
文 蔵「夏泥」
ペペ桜井「漫談」
志ん彌「狸の鯉」
馬 石「浮世床(夢)」
-仲入り-
ロケット団「漫才」
歌之介「龍馬伝」
二 楽「紙切り(人魚姫・雨上がり)」
文 菊「死神」

前座さんはここのところよく見かける菊之丞師匠の弟子、まめ菊さん。
一生懸命さと心地の良い笑顔がいいですね。
しかしやはりどういうわけか師匠に表情が似ていくよなぁ。

ぴっかりさんは初めて聞く新作の噺。
昔話にある「姥捨山」を題材にとったような噺です。
ただ、信濃が舞台になっているのに「島流し」という表現や、
犯罪人を殿様自ら裁く描写など、新作とはいえ少し引っかかってしまう。
そんな細かいこと気にしないで楽しんだらいいんですよね。ええ。

文蔵師匠の「夏泥」に出会うのは2回目のような気がします。
ここで出てくる「殺せー!」の迫力が何とも言えません。
その一方で間抜けな泥棒のあたふたする様子の描写など、これもいい感じ。

志ん彌師匠、いつもの「両国」のマクラから狸の噺へ。
一瞬、「狸の札」はよくかかりますが、ひさしぶりの「鯉」でした。
途中、何回か言い間違いがあったのが残念・・・。

仲入り前の馬石師匠は「浮世床」でした。いやー、馬石師匠の良さが際立ちますね。
登場人物のどこか憎めない、とぼけた描写をやらせたら一番ではないでしょうか。
軽妙な語り口が癖になってしまいます。

ロケット団は小猫さんの代演。夜席で見かけるのはレアかも。
最近は夜席ばかりに行っていたので、久しぶり。
早速、ボクシングの山根会長を盛り込んでくるあたり、さすがです。

歌之介師匠、直前のロケット団が大ウケだったので、そのあおりを受けたかいつもより笑い少なめか。
小猫さんのあとだったらそんなことないんだろうけどねぇ。
顔付けって難しいですね。

トリの文菊師匠は「死神」を口演されました。
客席に子供がいたこともあって、わかりやすい噺にしたのかな?
とはいえ、独特の語り口でどんどん世界に引き込まれる。
死神の不気味さや、不条理さが一種の怪談噺のような雰囲気にも感じさせます。
でもって、死神の語り口調が稲荷町の彦六師匠のそれになっているのも面白いところ。
マクラもそこそこに本題に入ってしっかり35分程度。
飽きさせず、そして聞かせる話術はさすがだと思いました。

終演後、西日本豪雨の募金に文菊師匠と馬石師匠が立たれておりました。
雨もそこまで強くなく、いつもより乗客の少ない電車に揺られ、
無事に家路につきましたとさ。
満足満足。

恐懼謹言。
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8/2(木)亀戸梅屋敷寄席

2018年08月02日 | 噺とか
亀戸で行われている円楽党の寄席です。
ここで行われているということは知っていたんですが、足を運ぶ機会がなく。
明日から遠出の予定もあり、今日は近場で楽しもうとこの機会に足を運びます。
トリには好楽師匠も出るとあって、しめしめと。
笑点で見ているといまいちなのですが、いろいろと情報収集していると、
落語の腕は確かである、とか良く記述も目にするわけで、
これを好機とばかりに確かめに。

ところがどっこい、多忙な好楽師匠、スケジュールの関係でトリのはずがサラ口に。
前座のあと、いきなりお目当てが登場という事態ですが、
ここ亀戸梅屋敷ではよくあることのようで・・・

鳳 月「本膳」
好 楽「蛇含草」
しゅりけん「牛ほめ」
円 福「たがや」
-仲入り-
楽 八「猫の皿」
楽 松「子別れ」

前述のように、好楽師匠のスケジュールの関係で順序が変わっております。
好楽師匠、テレビで見るよりやはり貫禄がありますねぇ。
今年72歳におなりなんだそうで。いやはや、人の歳はわからない。
ネタは珍しい部類に入る「蛇含草」でした。
以前に一之輔師匠で聴いたことがあるでしょうか。
ネタとしては「そば清」と同類のサゲですが、聞く機会は少ない。
しっかりとしたテンポと語り口で心地よい噺でした。
滑稽なところではしっかりと笑いがある。
いいですねぇ。

円福師匠、「たがや」をかけました。
先日、鬼丸師匠でも聞きましたが演じ手が変われば当然印象も変わる。
どうしても比べてしまうのはいけませんが、
季節の話としてはいいもんですね。
踊りで「奴さん」を披露して仲入りへ。

楽松師匠は「子別れ」を演じられました。
本来ならば好楽師匠がトリでお目当てなのに、
みんな帰ってしまったのでは、と思ったそうですが・・・。
で、実際に聴いてみるとじっくり聞き入ってしまう。
笑いあり、そしてほろりと来る展開の名作でございました。

初めて梅屋敷寄席に足を運びましたが、これはやはりお値打ちでしょうね。
円楽党の落語会には足を運んでいなかったのですが、
それぞれによさってありますね。

強いて不満があるとすれば自由すぎるお客さんかなぁ。
人と笑いのポイントがずれたり、笑うべきところでないのに笑いが起こったり、
いや、そりゃ人それぞれなんでしょうが、ちょっと気になりますねぇ。
それも含めて地域に根付いた落語会の良さなのかもしれませんが・・・

恐懼謹言。
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