恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

10/28(月)末廣亭昼席(主任:林家木久扇)

2019年10月28日 | 噺とか
今月の5日に引き続き、「末廣友の会」の10月締め切りのチケット消費のため、
久しぶりの平日休みを末廣亭に費やします。
どちらかといえばこの日は夜席の龍玉師匠の芝居のほうが好みなのですが、
そこは時間の制約もあり、昼席のみで我慢。
笑点メンバーの人気者がトリということもあって、
平日ながら混雑は必至だろうと覚悟しつつも、
誰を目当てとかっていうことでなく、
なんとなく寄席に足を運んだ頃を思い出して、いざ。

やまびこ「からぬけ」
 扇 「平林」
小 猫「ものまね」
歌武蔵「支度部屋外伝」
さん福「親子酒」
夢 葉「奇術」
若圓歌「桃太郎」
菊 春「子ほめ」
こいる「漫談」
小団治「ぜんざい公社」
歌 司「小言念仏」
にゃん子・金魚「漫才」
一 朝「蛙茶番」
-仲入り-
久 蔵「目薬」
楽 一「紙切り」(羽生結弦・大坂なおみ・タイガーウッズ)
木久蔵「紙入れ」
しん平「焼肉屋」
翁家社中「太神楽」
木久扇「明るい選挙」

若圓歌師匠は本当に久しぶり。
久しぶりにこの師匠を聞いて先代の圓歌師匠を思い出してみたり。
語り口調とか、雰囲気がちょっと似ているように思います。
「桃太郎」もスタンダードな形ではなく、少し変化球。
これがなかなか面白かったのはいい収穫。

久蔵師匠はなんだかんだ初めてお目にかかるかもしれません。
客席の雰囲気を悟ってか「目薬」でした。
久しぶりに聞いたなぁ、この噺。

しん平師匠は漫談でしたが、調べてみると「焼肉屋」という題らしいですね。
なぜ牛はよだれを垂らしているのか、というところから展開される、漫談。
あまりお目にかかることもないのですが、この方の非凡な才能の一端を感じます。

トリの木久扇師匠は定番の「明るい選挙」。
彦六師匠や田中角栄、立川談志のモノマネについ引き込まれてしまいます。
この漫談も幾度となく聞いていますが、やはり面白いですね。
笑点の人気者ということもありますが、
その穏やかそうな人柄は客のみならず多くのお弟子さんにも受け継がれているのかも。

さて、今日を振り返って。
入場前に並んでいるところから、今日は団体が入る旨の告知。
ハガキ大の招待券では入場できないことが合わせて告知されると、
招待券を持参していた多くの客から不満の声がもれました。
そこは「以前から告知している」の一点張りでしたが、
新聞屋が配布したであろう招待券を持つ高齢者はTwitterなんか見ないですよね。
招待券にも「満席の場合は入場できない」ことが書いてありますがね。
ある者は現金で入り、あるものは入場せずに帰るというありさま。
んー、この辺の客あしらいも浅草っぽいが。

浅草っぽいのはやはり有名人目当てで来たと思しきお客さんの数々。
最終的には二階まで開いて満席近くなりましたが、
高座に向かってヤジったり、客席でのおしゃべりなど、
なんとなくガサガサした雰囲気は浅草そのもの。
いや、こういうのもある意味で私にとっては初心に帰った感じですが。
そうなると「目薬」なんて話にも巡り合うんですがね。

寄席に行くときは大概が目当てがあってくるものでしょうが、
そうでない寄席の楽しみ方もあったかなぁと思ったのが今日の末廣亭でした。


恐懼謹言。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10/5(土)末廣亭昼席(主任:柳家小せん)

2019年10月05日 | 噺とか
「末廣友の会」に入会しておりまして、この7月で更新したため、
10月まで有効の招待券が2枚あるんです。
先日も鈴本へ足を運んでしまったし、どこかで使わねば、と、
末廣亭の昼席に足を運んできました。
夜席は新真打の披露興行で、今日は柳家喬の字改め小志ん師匠の披露目ですが、
時間の都合もあって昼席だけで失礼しました。
場内はたくさんの花で彩られ、お祝いムードで溢れておりましたが。

まめ菊「手紙無筆」
あお馬「両泥」
のだゆき「音楽パフォーマンス」
馬 石「ざる屋」
琴 調「出世の春駒」
ダーク広和「奇術」
駒 治「十時打ち」
志ん輔「夕立勘五郎」
小 菊「粋曲」
正 蔵「西行鼓ヶ滝」
小袁治「犬の目」
小 猫「ものまね」
文 楽「替り目」
-仲入り-
こみち「トンビの夫婦」
正 楽「紙切り」(悪代官・紅葉狩り・お月見)
文 蔵「道灌」
小里ん「真田小僧」
勝 丸「太神楽」
小せん「ガーコン」

あお馬さんの泥棒の噺は「両泥」というんだそうで。
あれこれ調べてみると、芸協の新真打である小痴楽師匠がやってるようで。
空き巣の帰りにぶつかった相手が偶然にも空き巣で、という噺。
なんだかありがちな展開で軽い噺ですが、初めて聞きました。
あお馬さん、なかなかいい腕だなぁと。

駒治師匠の「十時打ち」は演題こそ知っていましたが、初めて聞くことができました。
鉄道落語ここに極まれり、といった感じですが、
途中から出てくるSF的な展開もとてつもなく好きですね。
東京駅と上野駅の熾烈な争い、鶯谷駅のどうでもいい扱いなど、
細かい設定についつい笑ってしまいつつ、引き込まれます。
末廣亭でこれが聞けたというのが驚きというか。

小袁治師匠の毎日更新される新日刊マックニュースの読者となって久しいのですが、
高座では久しぶりにお見掛けしました。
噺は軽めの「犬の目」ですが、こういう噺がしっかりと面白いのっていいですね。

仲入りをはさんでこみち師匠は「トンビの夫婦」という噺。
これも初めて聞いたのですが、百栄師匠あたりもやられているようで。
乱暴者の夫にあえて手を上げさせておいて、
そこに付け込んで何か買ってもらおうとするちゃっかり者の妻。
現代社会ならだったらDVだなんだと大変なことになりそうですがね。
珍しい噺を聞かせてもらいました。

文蔵師匠は扇辰師匠の代演で、なぜか羽織を着ずに高座へ。
特にそのことについては言及されていませんでしたが。
十八番の「道灌」は何度も聞いていますが、
前座さんがやるそれとは大きく違ってまぁ面白い。
短い時間の、しかも代演でもしっかりとお仕事される文蔵師匠でした。

トリの小せん師匠はまさかの「ガーコン」でした。
持ちネタにあるということは知っていましたが、ここで聞くことになるとは。
川柳師匠をあまり寄席でお見掛けしなくなりましたが、
数年前までこの「ガーコン」が寄席の定番だったことを思うと、
ついついそれと重ね合わせて胸が熱くなりました。
もちろん、川柳師匠のそれとは違いもあって、
いい声で昭和前期の歌謡曲を歌い上げるあたりや、
ところどころに入る噺家のパロディが場内を沸かせていました。
脱穀機の所作(?)もあって、川柳師匠を彷彿とさせつつも、
小せん師匠のオリジナルな「ガーコン」なのでありました。
しっかりとした古典のトリネタを聞くつもりのお客(私もでしたが)からすると、
ちょっと戸惑いもあるかもしれませんが、
終わってみると大きな拍手で幕が締まりました。

引き続き場内は夜の披露目へと向かっていくわけですが、
時間の制約もあって、客席後方の花を手直しするスーツ姿の小志ん師匠を横目に、
場外へと去っていきました。
んー。披露目まで見たかったなぁ。

恐懼謹言。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10/1(火)鈴本演芸場昼席(主任:柳家喬太郎)

2019年10月01日 | 噺とか
本日より消費税が増税と相成り、その影響もあって鈴本演芸場も入場料が3000円に。
これを機に、と「東京かわら版」を購入して200円割引を使用しましたが、
なかなか定席にも足を運びにくくなりますね。
頼みの綱は、友の会の末廣亭と価格据え置きの池袋でしょうか。
そんな中、鈴本の10月上席の初日に足を運んできました。
土日に行ったら大混雑必至でしょうから、動ける平日に。

値上げ効果なのか、平日だからなのか、
最初のころはかなり空席が目立ち、後半でもそこそこ空席がありました。
人気者の喬太郎師匠がトリの興行としては珍しいかも。

左ん坊「道灌」
小太郎「転失気」
勝 丸「太神楽」
歌 司「親子酒」
燕 路「たらちね」
笑 組「漫才」
百 栄「ホームランの約束」
志ん陽「つぼ算」
のだゆき「音曲漫談」
一 朝「三方一両損」
-仲入り-
ロケット団「漫才」
小ゑん「下町せんべい」
馬 石「金明竹」
二 楽「紙切り」(ラグビー・恐竜)
喬太郎「首ったけ」

百栄師匠、ここのところよく聞かせてもらっており、
幸いなことに噺のかぶりがありません。
どちらかというと陽気な客席だったので、どうなるかと思いましたが、
マクラ少なめで本題へ。
以前聴いたことがありましたが、改めて聞いても面白いですね。
サゲのところ、以前から志らく師匠をいじる感じでしたっけ?

一朝師匠は「三方一両損」。
仲入りの出番で持ち時間たっぷりと、という感じですね。
さすが一朝師匠の江戸前口調が冴えわたります。
啖呵を切るあたりも小気味よい調子でトントンと。
寄席のオールラウンダーとはよく言ったもので。

馬石師匠の「金明竹」はちょっと変化球でしょうかね。
挙動不審な登場人物が随所に出現します。
馬石師匠の落語の登場人物にありがちなきゃらですが、
なんかもうこれはこれで確立してますね。

喬太郎師匠が高座に上がると、まず目立つのが唇にある傷。
最初に口唇ヘルペスになってしまったことを説明。
疲れがたまるとこういうことがたびたびあるんだそうで。
さすが人気者というだけあります。噺には影響なさそうですが。
なんでも師匠のさん喬師匠もたびたびかかるんだそうですが、
「ヘルペス」の名称が人によって性病だと思われるんだそうで、迷惑してるそうな。
まぁなんとなくわからんでもないですねぇ。
マクラでは吉原についてあれこれと語りつつ、
客席にいる小さな女の子に気づきますが、そんなことは気にせず、一気に廓話へ。
「首ったけ」はかつて天どん師匠で聞いたことがあるぐらいで、
あまり聞きなじみのない噺です。
どちらかといえば喬太郎師匠の新作を期待したのですが、古典もいいですね。
特に喬太郎師匠の演じる妖艶な女性は古典でも新作でも特徴があって面白い。

久しぶりに喬太郎師匠の口演を楽しんだ鈴本の昼席でした。
おおむね楽しく過ごせたのですが、やはり客席のマナーがねぇ。
細かいことをあれこれ言うのも野暮なのですが、
人気者の興行だとどうも客席が荒れるというか、
浅草っぽい雑然とした空気になるというか。
そう考えるとやはり池袋の空気っていいよなぁと思ってしまいます。
池袋、決していかがわしくも、汚らわしくもありません。

恐懼謹言。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする