恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

12/28(月)池袋演芸場「富Q祭り」(主任:三遊亭白鳥)

2020年12月28日 | 噺とか
昨年に引き続き、今年もこの池袋へやってきました。
新作で人気の師匠方が豪華に顔付けされているのとともに、
古典からは菊之丞師匠や一之輔師匠が出るとあって、もうすごい。
以前からこの「富Q祭り」は開場前からの行列が必至なのですが、
それを耐えてでも行く価値があると考えるお客さんの多いこと多いこと。
今年も一時間以上前についたのにそれでも20人近い行列。
開場時には軽く70人はいたような。
行列の間の時間は読書で有意義な時間を過ごしました。

「堀の内」     ごはんつぶ
「グレコ奮闘記」  ぐんま
「不良クラブ」   天どん
「替り目」     菊之丞
「漫才」      ホンキートンク
「掛け声指南」   彦いち
「睨み返し」    一之輔
 -仲入り-
「新しい生活」   粋歌
「ぐるんぐるん」  小ゑん
「ものまね」    小猫
「富Q」      白鳥

昨年は前座だったぐんまさんは二つ目となってこの「富Q祭り」へ凱旋。
以前も聞いたことのある「グレコ奮闘記」ですが、久しぶりだったので、
大筋をほとんど忘れておりました。
高校時代にレスリング部に入っていたぐんまさんの自伝的新作。
白鳥師匠のお弟子さんだけあってやはり見せ場は座布団芸ですかね。
座布団を使ったバックドロップと、そこからの高座でのブリッジは、
この池袋の自由な空気を象徴するものですね。

天どん師匠はここに来る前の末廣亭で披露して痛い目にあったという「不良クラブ」。
高齢者3人が公民館に集まって不良のまねごとをしようというストーリーは、
高齢者の多い今日の末廣亭のお客さんにマッチしなかったとか。
そこは池袋、天どん師匠の新作は抜群の切れ味を発揮しておりました。
最後に高座で転げまわるのは織り込み済みとして、
ぐんまさんと同じく高座の上でのブリッジはなかなかの見ものでありました。

菊之丞師匠はここで落ち着きましょう、と「替り目」。
それでも、通常通りではなくて、おかみさんがおでんを買いに行くシーンで、
小ゑん師匠の「ぐつぐつ!」を入れ込む。
今日は古典派は私と一之輔さん。まともなのは私だけ、と言いつつも、
ここにそういう新作ファンを喜ばせるネタを突っ込んでくるのはさすが。

漫才のホンキートンクはメンバー変更になってから2回目。
前回見たときは以前とほぼ同じネタだったわけですが、
今回は大部分が新ネタになっておりました。
ちゃんと進化しているんですね。
弾さんが嫌いな奴、ということで某漫才師と某人気講談師の名前を挙げていましたが、
あれはいったいどういうことなんだろう・・・。

彦いち師匠はちょっとご無沙汰であります。
マクラでは以前マンタ倶楽部の会で聞いたアウトドアでのエピソード。
そんなマクラから全く関係のない本題に入ってみたい、と、
「掛け声指南」でございました。かなり久しぶり。
ムアンチャイのキャラクターがいい味出してますよね。
新作の会にふさわしい一席です。

もう一人の古典、一之輔師匠は年末らしく「睨み返し」でした。
コンパクトな池袋だからこそ、顔の表情の変化がよく見て取れるわけで。
新作派の中にあって、きちんと古典をやっても爆笑を誘う一之輔師匠、さすが。
三遊亭白鳥が圓朝を継ぐ夢を見た、なんていうくすぐりも白鳥ファンを喜ばせます。

粋歌さんは今年の6月に作ったという「新しい生活」。
コロナ禍のリモートワークが進む中で、家にいる夫とそれに悩む主婦の噺。
かなりこういうことって実際にありそうだなーなんてあるあるネタですが、
今年一年振り返ると同じような思いをした人も多いはず。
あるあるネタが多いものの、ぶっ飛んだ要素があって、そんなところが笑いを誘います。
現実との中にこそ笑いがあったり。面白い一席でした。

小ゑん師匠は「ぐつぐつ」オマージュの「ぐるんぐるん」。
振り返ってみると昨年の1月に聞いているので、実質2年ぶりぐらい。
この池袋でも先日かけているようで、15分でもできることが分かったらしく、
今後も寄席で聞くことができるかもしれません。
久しぶりに聞きましたが、さすが面白いですね。
「ぐるんぐるん」のポーズも久しぶりに思い出しました。
67歳という年齢を公表しつつ、ここまで頑張る小ゑん師匠。さすがです。

混雑の影響もあってか押しに押して持ち時間が7分少々の小猫さん。
初春の鶯から始まってヌーまできっちりと。
客席全員でヌーの鳴き声をやるのはおそらく初めてでしょうか。

トリの白鳥師匠。
この日は最初に口演時間が50分あると宣言してからネタに入ります。
昨年2度ほど聞いていますが、話の筋の細かいところも聞くと思い出しますね。
今年ならではのネタや、小ゑん師匠の「ぐるんぐるん」なんかもネタにしつつ、
開場を熱狂の渦に巻き込んでいきます。
売れない若手落語家の悲哀は白鳥師匠の若手時代そのもの。
その当時は全く受け入れられない新作であっても、
時代が変わり、客が変わるとコロナ禍にありながら、
立ち見客が出るまでの盛況をもたらすことができる。
なにごともうまくいかないからと腐っちゃいけないんですよね。
爆笑に次ぐ爆笑、ナンセンスなネタも多々あるんですが、
この噺の根底にはそんなテーマがあるのかもしれません。

噺が終わった後で会場全体で三本締めで終了と相成りました。
今年もおそらくこれで落語納めになります。
一年の最後に大変に満足な一日を過ごすことができました。

恐懼謹言。
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12/25(金)正楽のラストクリスマスXXI

2020年12月25日 | 噺とか
もう何回目の参加になるでしょうか。年末クリスマスの風物詩となりました。
昨年もこの会には来ているのですが、アップはしていませんでした。
今回が21回目の開催となります。なぜか公式表記はローマ数字。
今年はコロナ禍の中でどこの寄席も客数が減っている中、
この会は例年通りとまではいかないまでもかなりの盛況でした。
開場前から長蛇の列ができており、客席も8割は埋まっていたような。
変異種のコロナウィルスが見つかったなどという昨今の情勢の中、
隣の席を開けない配置には少々の不安は覚えるものの、
きちんと検温と消毒はしていますからね。
とはいえ、例年配布される抽選用の番号札と飴のサービスはなし。
正楽師匠のステッカーのみ配布されました。
これをいただけただけでもありがたい限りで。

「紙遊び」   正楽
「平林」    まめ菊
「紙切り」   正楽
「太神楽」   鏡味仙三郎社中
 -仲入り-
「音曲」    小すみ
「掛取風景」  歌奴
「シルエット」 正楽

最初はおなじみ、サンタ姿の正楽師匠が立った状態で紙を切り抜きます。
「サンタとトナカイ」「トランプ大統領」「トナカイと門松」「サンタと門松」
を切り抜かれました。
いつもこの時の紙は客席には渡されないのですが、
一枚目だけ客席に渡されておりました。こういうこともあるのですね、

前座のまめ菊さんを挟んでいつも通りの正楽師匠。
鋏試しは「若駒」を切ってここからリクエスト。
「聖母マリア」「雪遊び」「はやぶさ2」「死神」「七福神」を。
先ほどの紙遊びもそうなのですが、例年より切る紙は少なめでした。
それでも、通常の寄席とは違った丁寧な技巧と、
楽しいおしゃべりのあれこれで楽しませていただきました。

太神楽の仙三郎社中は仙志郎さんと仙成さんのお二人。
仙三郎師匠は現在病気療養中とのことで、
手紙でのメッセージを寄せてくださいました。
このラストクリスマスにはずっと出演されてきているんだそうで、
たしかに例年楽しませてもらってきました。
この日を目途に復帰する予定だったそうですが、
思いのほか体力が落ちており、今回は残念ながら見送ったそうで。
やはり「寄席の吉右衛門」のフレーズと技がないとね。

仲入り後は、桂小すみさん。
こちらは芸協の所属ということもあって、私は初めまして。
もともとお囃子さんで、現在は高座も務められるようになったとか。
よくお見掛けする小菊師匠や橘之助師匠、あずみさんとはまた趣の異なる三味線で、
変化球ながらマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」をアレンジした楽曲はお見事。
いい声されてますし、聞きこんでしまいました。

次にどういうわけか歌奴師匠が登場。
プログラムにも名前がないのですが、ある意味でスペシャルゲスト。
年末に歌奴師匠がよく手掛ける「掛取風景」でした。
このネタは何度も聞いていますが、やはりこれも年末の風物詩。
寅さんのモノマネや芝居の所作など、どれもお見事。
これを聞けたのはちょっとラッキーでした。

最後にOHPを使用した正楽師匠の「シルエット」。
今年はCD音源ではなく、生の三味線と太鼓に乗せての披露となりました。
題材は「寄席風景」ともいうべき落語家さんや色物さんを題材に切り抜いたもの。
寄席が開いて前座さんが上がり、色物さんや落語家さんが高座を彩る、
そんな何気ない日常の寄席の風景を表現したのだと思います。
コロナ禍で今年一年は演芸業界もかなりのダメージを負った、そんな中で、
寄席で個性豊かな芸人さんの技を楽しめる、
そんな寄席こそ平和な日常の象徴なのかなと感じました。

コロナ禍での開催ということもあり今年のラストクリスマスはやや縮小気味。
芸人さんたちの茶番もなく、抽選会もなし。
紙切りの時間もやや短めではありましたが、
それでも今できる最大限の開催方法だったと思います。
来年は例年通りの開催に戻るといいなぁと、しみじみ思います。

恐懼謹言。
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12/19(土)黒門亭2部(主任:三遊亭金馬)

2020年12月19日 | 噺とか
午前中の仕事を終えて黒門亭の2部へ向かいます。
電話予約制になって久しい黒門亭ですが、今日の2部は10人満席でした。
もともと40人入る落語協会の2階は10人だとかなりゆとりがありますね。
この日は今年5代目を襲名した金馬師匠で、「文七元結」のネタ出しです。

「転失気」   さく平
「兵庫舟」   一猿
「二番煎じ」  馬治
 -仲入り-
「古手買い」  志ん丸
「文七元結」  金馬

前座のさく平さんはたい平師匠の長男だそうで。
いわれてみるとなんとなく声質が似ているような気もします。
正蔵一門もそうですが、こちらも血縁でつながってきますねぇ。
おならをペットボトルに入れて「ヘットボトル」というくすぐりは誰のネタだろう。

一猿さんは二つ目になってから2回目ぐらいでしょうか。
「鮫講釈」としても知られる「兵庫舟」は厳密には違う噺のようですが、
あんまり区別はしていないのかな?
途中の言い立てのあたりが聴きどころだと思うのですが、
この辺も言いよどみなく聞いていて楽しい一席でした。

馬治師匠は久しぶり。冬のお話で「二番煎じ」でした。
トリにかかるようなイメージのこの噺ですが、
黒門亭の持ち時間だと仲入りでもしっかりとできるのですね。
いい大人たちがそろって楽しそうに番小屋の中でふざけあうのが楽しいですね。

志ん丸師匠はかなり久しぶりでしょうか。
「古手買い」は初めて聞いた話でした。
前半部分は「壺算」と同じような展開で、
買い物下手な男が買い物上手のアニイに買い物を頼むところから。
古着屋の番頭とのやりとりは啖呵が聞いていて楽しい「大工調べ」のような。
もっと寄席でもかかってよさそうな噺なのですが、あんまり聞かないですね。
この日の収穫の一つでありました。

トリに金馬師匠。
今でも「金馬」の名前になかなかなじめないという。
マクラもそこそこに本題へと入っていきます。
先日、池袋で花緑師匠の「文七元結」を聞いたばかりではあるのですが、
細かい設定なんかも結構違うので驚きました。
左官の長兵衛の娘・お久は、登場する母親と血がつながっていない設定なんですね。
他にも細かいところで、そういう背景があるんだなぁなどと知ることもいくつか。
池袋昼席のトリだと時間の制約がありますが、
黒門亭2部のトリならちょっと余裕がありますからね。
実際に45分程度だったと思います。
長兵衛が佐野槌に呼び出されるシーンで、乞食に間違えられたり、
おかみさんからあれこれと小言を言われるシーンなど、
文七に金を貸すあたりの心情描写など、けっこう丁寧に描かれており、
聞きごたえたっぷりの1席でした。

「文七元結」は最近聞いたばかりだからいいかなーなどと思ってもいたのですが、
思い切ってこの日の黒門亭の予約を取ってよかったと思える、そんな一日でした。
なかなか10人限定、しかも要予約というのはハードルが高いのですが、
それでも1月以降も足を運べたらな、と思うのでありました。

恐懼謹言。
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12/17(木)鈴本演芸場昼席(主任:古今亭文菊)

2020年12月17日 | 噺とか
寄席の同じ芝居に足を運ぶことはあまりないのですが、
先日の鈴本昼席がいかんせん消化不良だったこともあって、平日にリベンジ。
顔付けも交互出演や代演などもあって、相当数が違う顔付けになっているのもいい感じ。
同じ芝居ながら、顔付けが変わると印象もかなり違うもので。
前座さん含めて15組中7組が前回とは違う顔付けなので、
もはや別の芝居といってもいいかもしれませんねぇ。
コロナ禍でしかも平日ということで、そこまでの人ではないだろうという予測の下、
開演時間ギリギリに入ってのんびりと演芸を楽しみます。
客席の人数は少ないながらも30人弱のちょうどいい空気。

「狸の札」    やまびこ
「片棒」     志ん吉
「ジャグリング」 ストレート松浦
「豊竹屋」    志ん輔
「楽屋外伝」   馬風
-仲入り-
「漫才」     ロケット団
「レプリカント」 小ゑん
「高砂や」    市馬
「奇術」     美智・美登
「尻餅」     一之輔
-仲入り-
「漫才」     ニックス
「鰻屋」     菊丸
「浮世根問」   甚語楼
「紙切り」    二楽 (松飾・雪まつり)
「三方一両損」  文菊

二つ目の志ん吉さんは短い時間ながらカラッとした「片棒」でした。
次男の弾け方がこの噺の肝になるところだと思いますが、
他の演者さんと違ってかなりのお調子者というか、今風に言えばチャラい感じ。
こういう感じの演じ方もあるんだなぁと感心しました。
できることならサゲまで聞いてみたかったなぁ。

小ゑん師匠の「レプリカント」はかなりご無沙汰で2回目。
ここのところちょいちょい寄席でもかけているようなのですが、
なかなか聞けない話を聞けるとちょっとお得な気分になります。
ご本人のTwitterによれば作ったのはかなり前なんだそうで、
たしかに公衆電話のくだりなどはそんな感じもするのですが、
それを含めても今でも十分に楽しめる噺です。
小ゑん師匠の新作の世界をもっと探究したいものです。

一之輔師匠は年末の風物詩ともいえる「尻餅」。
おそらく寄席で同じように年末に聞いたような気がしますが、
こういう噺を聞いて寄席で季節を感じるのも悪くないもので。

漫才のニックスさんも久しぶりに拝見しました。
ネタも大きく変化していて、楽しませてもらいました。
今回の芝居では漫才が2組顔付けされており、
前回からトータルすると4組聞かせてもらっていますが、
ロケット団、ニックス、にゃん子金魚、ホンキートンクとも、
いずれも寄席には欠かせない存在ですね。

トリの文菊師匠は大岡政談で「三方一両損」でした。
この噺、よく歌奴師匠で聞くことが多いのですが、
文菊師匠で聞くとまた大きくその印象も違うものです。
なんといっても江戸っ子の啖呵がこの上なく気持ちがよくて面白い。
文菊師匠の技が光るところだと思うのですが、
この師匠、喧嘩っ早い江戸っ子を演じさせても、色っぽい女性を演じさせても似合う。
今回は余計な客席のストレスもなく、たっぷりと楽しませていただきました。

やはり平日ののんびりとした寄席はいいですね。
平日に時間を確保して足を運ぶことって年に何度もないのですが、
こういう贅沢もあるもんだなぁとしみじみ感じた一日でありました。

恐懼謹言。
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12/12(土)鈴本演芸場昼席(主任:古今亭文菊)

2020年12月12日 | 噺とか
久しぶりの鈴本演芸場のような気がします。
以前と違って席数は半分、最前列は着席禁止で、座席は左右を開けた市松配置。
座席での飲食は自由ながら、飲酒は禁止になっております。
飲酒が発覚した場合、即刻退場の文字もなかなか。
どこの寄席もあれこれと工夫を凝らしていますが、平常に戻るのは時間がかかりそう。
そんな状況の中で、今日の客席は50人以上は入っていたでしょうか。
なかなかの盛況だったといっていいように思います。

「小町」      松ぼっくり
「真田小僧」    志ん松
「ジャグリング」  ストレート松浦
「熊の皮」     志ん橋
「楽屋外伝」    馬風
-仲入り-
「漫才」      ホンキートンク
「ぐつぐつ」    小ゑん
「穴泥」      市馬
「奇術」      美智・美登
「壺算」      志ん陽
-仲入り-
「漫才」      にゃん子・金魚
「宗論」      菊丸
「茗荷宿」     白酒
「紙切り」     二楽 (はやぶさ2・誕生日・宝船)
「棒鱈」      文菊

トリの文菊師匠、ネタは「棒鱈」でした。
たしかに寄席の昼席では時間に限りがありますもんね。
先日、巣鴨で「芝浜」を聞いていたので、
こういう楽しい噺が出て個人的にはラッキーでした。
先日池袋で菊之丞師匠から「棒鱈」を聞いていますが、
趣が違ってとても楽しませていただきました。
どちらにもそれぞれの良さがあります。

全体としては客の入りもそれなりに多く、
通常の寄席の雰囲気を感じられるような、楽しい一日でした。
ただ、どうも困るのが客席のマナーというかなんというか。
ここのところどうも私が座る近隣の方のマナーに気が行ってしまい、
心底楽しめないというのがなんとも悲しいところ。
いや、携帯鳴らすとか食べる音がうるさいとかそういうことではなく。

私が気を取られてしまうのが・・・
・ネタが始まったとたんに一目散に演題をメモする
・サゲを言い終わるかどうかのタイミングでのフライング拍手
・独り言ぶつぶつ
・公演中のおしゃべり

ここ数回で必ずこういう人が近くにいて、そっちに気が行ってしまうという。
スタジオフォーしかり、池袋しかり、今日もしかり。
演題のメモは別に気にする必要もないのでしょうが、
演者と合わせてネタを口にしたり、「あー、このネタかー」などと口走ったり、
もう家でテレビを見ているんじゃないんだから、と。
前述のようにビニール袋ガサガサとか携帯鳴らしたりすることに比べれば大したことではないのですが、
そういうことをするのはあまり寄席に足を運ばない人がほとんどではないでしょうか。
それに対してここ数回私が出会っているのはおそらくは「演芸通」のような人々。
で、あればこそもう少し周囲への気遣いというのもあってしかるべきではないかなと。

正直、そんなこと気にしすぎることでもないし、神経質なんだろうと思います。
そんなに気になるんだったら客席も移動すればいいだけのことで。
でも、せっかく席を確保したのに、そういう人たちのせいで自分が移動するのも癪だったり。

とにもかくにも、せっかくのいい演芸が周囲の環境で台無しになったり、
気が散ってしまったりするのがなんとも残念であります。
もっとも、自分自身も知らず知らずのうちに周囲にストレスを与えているかもしれませんので。
寄席演芸を楽しむ仲間同士、自分が楽しむだけではなく、
周囲へのちょっとした心遣いを大切にしたいものです。

恐懼謹言。
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12/7(月)池袋演芸場昼席(主任:柳家花緑)

2020年12月07日 | 噺とか
平日に仕事が午前中しかないというチャンスは年に何回もあることではないのですが、
今日がちょうどその日に当たったもので、寄席へと足を運びます。
当初、友の会チケットを使って末廣亭に行くつもりでいたのですが、
開場が少々早い末廣亭だと、途中からの入場になってしまう。
せっかくなら前座さんから、という思いもあったり、
はたまた顔付けに影響されたこともあって池袋へ。
休日明けの月曜日、寄席はそんなに混んでいないだろうという読みもあり。
実際に開場後は10人前後とコロナ禍にあっては平常通りの池袋演芸場。
それでもトリのころには20人超になって程よい入りでした。

「からぬけ」       八楽
「本膳」         圭花
「一目上がり」      市好
「漫才」         ロケット団
「健康診断に行こう!」  つくし
「町内の若い衆」     甚語楼
「紙切り」        正楽
「棒鱈」         菊之丞
「千早ふる」       はん治
「漫談」         ぺー
「鮑のし」        一朝
-仲入り-
「粗忽長屋」       勧之助
「紀州」         鉄平
「俗曲」         小菊
「文七元結」       花緑

【夜の部も少々】
「道灌」         市松
「権助魚」        美るく
「堀の内」        乃ゝ香
「漫才」         にゃん子・金魚
「二十四孝」       市馬
「桃太郎後日譚」     百栄
「紙切り」        楽一

昼夜ともに新二つ目の市好さんと乃ゝ香さんがお目見えしました。
どんどん新しい二つ目さんが増えてきますね。
名前が変わったりすると、どうもなかなか覚えられない昨今。

つくし師匠の「健康診断へ行こう!」は初めて聞いた新作でした。
なんとなく医師会かなんかから依頼でもされたような感じの噺ですが、
笑いはそこまで多くないものの、下げはしっかりと考えられた噺かな、と。

甚語楼師匠も久しぶりですが、こちらも安定の「町内の若い衆」。
いやー、もっと寄席でお見掛けしてもいい師匠ですね。
私が会ってないだけかもしれませんが。

菊之丞師匠の「棒鱈」も何度目かですが、相変わらずいいですね。

はん治師匠の「千早ふる」は初めてかな?
どうしても師匠特有の口調が「妻の旅行」と重なってしまうのはいかんなぁ。

トリの花緑師匠は「文七元結」でした。
先日、文菊師匠で「芝浜」を今シーズン聞いてしまいましたので、
なんとなく冬の二大巨頭を聞いてしまったような。
前半部分は大きく省略して、お久が佐野槌に身を寄せるところから。
印象としてはさらっとしながらも、重要な部分はしっかりと押さえて、
スピード感があって、花緑師匠独自の演出もあってとても楽しい一席でした。
んー、人によって演じ方は変わりますが、時間制限のある昼席のトリでなかったら、
もっと違った花緑師匠の「文七元結」が見られたかもしれません。

昼席の後、もう少しだけ、と居座りました。
市馬師匠の「二十四孝」は演題こそ知りながら初めて。
百栄師匠の「桃太郎後日譚」も名作ですね。
後に出てきた楽一さんは、鋏試しが「桃太郎」といいつつ、
百栄師匠の「後日譚」をテーマに切っていましたよ、と。

本来ならば夜席の最後までいたいのですが、
コロナ禍で再入場できなくなった池袋演芸場、居座り続けるのもなかなか厳しく、
後ろ髪引かれつつ途中でおさらばいたしました。

冬もこれから本格的になってくると、
落語の演題も冬を感じさせるものがどんどん増えていきますね。
そんなことを楽しみにしつつ、次に備えます。

恐懼謹言。
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12/4(金)第151回 四の日寄席@スタジオフォー

2020年12月04日 | 噺とか
西巣鴨のスタジオフォーで行われている「四の日寄席」です。
こちらにも何度かお邪魔しておりまして、
古今亭の人気師匠方の話をたっぷりと聞ける会です。
日にちの関係から来られる日にも限りがありますが、
今日は仕事の都合もうまいこといって参加することができました。
落語ファンも多く、最終的にはほぼ満席になる盛況ぶり。

「黄金の大黒」   やまと
「湯屋番」     馬石
「地下鉄戦国絵巻」 駒治
-仲入り-
「時そば」     左橋
「芝浜」      文菊

開口一番は、やまと師匠。
「黄金の大黒」を最後まで。
この噺も寄席では途中で切られてしまうことが多いのですが、
まぁ確かに最後まで演じたところで最後のサゲもさほど面白くないので、
それも納得といったところでしょうか。
楽しい一席でした。

馬石師匠は「湯屋番」で、この師匠の若旦那の描写も好きなんです。
なんとなく肩の力が抜けていて、すっ呆けている、そんな若旦那の描き方が素敵。
番台の上での妄想シーンも一工夫加えられており、
寄席でもよくかかるこの噺をうまい具合に面白く仕上げており、
聞いていて大変に楽しい一席なのでありました。
ここまででも結構な満足度。

駒治師匠はここのところ免許を取得して車の運転を始めたことを語っていますが、
この日も戸塚まで高速道路を使わず一般道で2時間半かけて行った話を。
途中、保土ヶ谷バイパスに入ってしまって大慌てしたという話は、
車で横浜界隈を運転したことのある人ならわかりそうな話で何とも面白い。
で、本題は「地下鉄戦国絵巻」という未聴の新作。
とはいえ、これも名作「鉄道戦国絵巻」のスピンオフのような噺で、
題材は東京メトロと都営地下鉄の対立。
都営三田線が東京メトロに裏切って…というあたりから始まって、
地下鉄のみならず都電や日暮里舎人ライナーやら乗り入れ先の私鉄なんかも出てくる、
鉄道好きにはニヤリな一席でありました。
いやー、この噺に出会えただけでも来た甲斐がありました。

仲入り後の左橋師匠は末廣亭からの掛け持ち。
末廣亭では客席に3人しかいなかったというが本当ですかね。
再び感染者が増える中で、平日の主な客層と思われる高齢者は警戒するんでしょうが、
それにしても他の寄席もなかなかに客席が埋まらないようで。
(仲入り中に落語ファンと思しきお客さんがそんなことを話しているのが耳に入りました)
ネタはどういうわけか「時そば」でした。
トリの前に軽い噺で、ということなのでしょうかね。
二件目の蕎麦屋が儲かっていない設定の時そばは初めてでした。
ちょっと意表を突かれて笑ってしまいました。

トリの文菊師匠、何をやるのかなーと思っていたらマクラで三道楽の話を始めたので、
まさかと思ったのですが、「芝浜」なのでありました。
もう師走なので、ちっともおかしくはないのですが、
どうにも「芝浜」は前もってこの噺を聞くぞと思って心の準備が必要な気がするのです。
2016年の年末の鈴本で文菊師匠の「芝浜」を聞いて感銘を受けたわけですが、
あれももう4年前ということもあって改めて芝浜の世界へ。
そこまであれこれ聞き比べたわけではないのですが、
やはり文菊師匠は技巧者だなぁと感心させられます。
不必要かなと思われるシーンはバッサリと切ってしまうので、
変に長くならず、かつしつこくならないようになっているかなと。
それでいて魚勝や女房の苦悩や温かい関係も丁寧に描かれており、
ついつい引き込まれてしまうのでありました。

「芝浜」を名作とみるかどうかなど様々なご意見もありますが、
それでもこの噺を聞くと年末だと感じさせるあたり、
それぞれの楽しみ方があっていいのではないかと思います。
「芝浜」の余韻に浸りつつ、
師走の地蔵通り商店街を散策して帰るのでありました。
満ち足りた落語会でありました。

恐懼謹言。
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