恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

8/8(水)鈴本演芸場夜席

2018年08月08日 | 噺とか
折からの台風13号接近に伴い、前日から雨風に見舞われていた東京。
テレビのニュースでは交通機関への影響が出る前の帰宅を盛んに呼びかけ、
不要不急の外出は避けるようにしきりにアナウンスしております。
そんな時に不謹慎といわれればそれまでですが、どうしても寄席に行きたくなるわけで。
別に「こういう時に来てくださるお客様が本当のお客様」なんていう、
噺家さんの見え透いたおべんちゃらを聞きに行きたいわけではないのですが、
なんというか、こういう時の寄席の雰囲気が妙に好きなんです。
ということで、顔付けも好みな鈴本の夜席へ。

まめ菊「たらちね」
ぴっかり(演題不明「親の鏡」? 小朝師匠の新作)
翁家社中「太神楽」
百 栄「寿司屋水滸伝」
文 蔵「夏泥」
ペペ桜井「漫談」
志ん彌「狸の鯉」
馬 石「浮世床(夢)」
-仲入り-
ロケット団「漫才」
歌之介「龍馬伝」
二 楽「紙切り(人魚姫・雨上がり)」
文 菊「死神」

前座さんはここのところよく見かける菊之丞師匠の弟子、まめ菊さん。
一生懸命さと心地の良い笑顔がいいですね。
しかしやはりどういうわけか師匠に表情が似ていくよなぁ。

ぴっかりさんは初めて聞く新作の噺。
昔話にある「姥捨山」を題材にとったような噺です。
ただ、信濃が舞台になっているのに「島流し」という表現や、
犯罪人を殿様自ら裁く描写など、新作とはいえ少し引っかかってしまう。
そんな細かいこと気にしないで楽しんだらいいんですよね。ええ。

文蔵師匠の「夏泥」に出会うのは2回目のような気がします。
ここで出てくる「殺せー!」の迫力が何とも言えません。
その一方で間抜けな泥棒のあたふたする様子の描写など、これもいい感じ。

志ん彌師匠、いつもの「両国」のマクラから狸の噺へ。
一瞬、「狸の札」はよくかかりますが、ひさしぶりの「鯉」でした。
途中、何回か言い間違いがあったのが残念・・・。

仲入り前の馬石師匠は「浮世床」でした。いやー、馬石師匠の良さが際立ちますね。
登場人物のどこか憎めない、とぼけた描写をやらせたら一番ではないでしょうか。
軽妙な語り口が癖になってしまいます。

ロケット団は小猫さんの代演。夜席で見かけるのはレアかも。
最近は夜席ばかりに行っていたので、久しぶり。
早速、ボクシングの山根会長を盛り込んでくるあたり、さすがです。

歌之介師匠、直前のロケット団が大ウケだったので、そのあおりを受けたかいつもより笑い少なめか。
小猫さんのあとだったらそんなことないんだろうけどねぇ。
顔付けって難しいですね。

トリの文菊師匠は「死神」を口演されました。
客席に子供がいたこともあって、わかりやすい噺にしたのかな?
とはいえ、独特の語り口でどんどん世界に引き込まれる。
死神の不気味さや、不条理さが一種の怪談噺のような雰囲気にも感じさせます。
でもって、死神の語り口調が稲荷町の彦六師匠のそれになっているのも面白いところ。
マクラもそこそこに本題に入ってしっかり35分程度。
飽きさせず、そして聞かせる話術はさすがだと思いました。

終演後、西日本豪雨の募金に文菊師匠と馬石師匠が立たれておりました。
雨もそこまで強くなく、いつもより乗客の少ない電車に揺られ、
無事に家路につきましたとさ。
満足満足。

恐懼謹言。
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