恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

9/29(土)第20回まとい寄席@茂原・妙弘寺

2018年09月29日 | 噺とか
仕事が夕方の中途半端な時間に終わり、
寄席にでもと思ったのですが、どうもピンとくるものがない。
昼席だったら足を運びたいところはあれど、夜席は・・・ということで、
あれこれネットで検索していると千葉県茂原市で無料の落語会の情報発見。
「初演の会」で何度も拝見している菊生師匠と、紙切りの楽一さんが出るという。
茂原と少々遠い位置にあるものの、開演が19時なのでこれは、と思って車を走らせます。

会場は茂原市にあるお寺で、妙弘寺。

檀家さんだけでなく地域の方を招いて毎年9月に落語会が無料で行われているんだそうで。
受付でカードを記入し、お茶とお菓子をもらう。
木戸銭無料なのになんと太っ腹なのでしょう。
開演の時間には会場であるお寺の本堂はほぼ満席になっておりました。
最初のころこそずいぶんとこじんまりとした会だったのだそうですが、
回を重ねるごとにここまで大きな会になったとか。
ご住職がそんな沿革をオープニングトークでお話しされ、落語会へ。

菊 生「熊の皮」
楽 一「紙切り」(貫一お宮・大谷翔平・闇夜の烏・一輪の彼岸花・大坂なおみ・伊達政宗・布袋様)
菊 生「七段目」

二つ目時代から出演していたという菊生師匠。
このお寺での落語会「まとい寄席」の命名をしたのも師匠だそうで。
高座の横にはお寺に伝わると思しき火消しの纏が設えられております。
そんなことに触れつつ、小噺から「熊の皮」へ。
甚兵衛さんのとぼけ具合と、やりとりが面白いですね。
「初演の会」では三題噺とか初演の噺ばかり聞いているので、
やりなれた噺で菊生師匠を聞くと面白みが違いますね。

一席終えてゲストの楽一さん。
鋏試しで馬・鶴・土俵入りを切って注文へ。
珍しくうっかりしていたのか、鋏試しの作品は客席には渡りませんでした。

仲入りなく菊生師匠がもう一席。
噺は「七段目」で、芝居の描写がもう抜群ですね。
こういう噺を聞くと自分も歌舞伎座なんかに足を運んで勉強したいなぁなんて思ってしまいます。
鳴り物入りで演じられるこの噺を聞いたことがありますが、
こういう会場ではそれもなく、かといって単調にもならず終始笑いが。
じっくりと菊生師匠を聞いたのは初めてかなと思いますが、
温かい客席もあって終始楽しい噺で、飽きることなく笑わせてもらいました。

普通なら木戸銭2500円も取っていいような会だと思うような満足度でした。
わざわざ茂原まで足を運んだ甲斐があったというものです。

恐懼謹言。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

9/24(月祝)池袋演芸場 昼席

2018年09月24日 | 噺とか
3連休の最終日、どこへ出かけても混雑すると思いつつも池袋へ。
各月下席の池袋は番組自体短めながら、お値段もお手頃です。
開場15分前に到着するとすでに30人以上の行列が。
皆さん考えることは同じようなものなのですかねぇ。
ちなみに鈴本の昼席は一之輔師匠がトリなので、そっちの混雑のほうがすごいのかも。
一方でこちら池袋は小ゑん師匠のトリなので、
普段にも増してコアなファンが多いのかもしれません。

きよひこ「初天神」
わさび「釜泥」
小せん「野ざらし」
天どん「肥辰一代記」
とんぼ・まさみ「漫才」
はん治「背なで老いてる唐獅子牡丹」
正 雀「四段目」
-仲入り-
歌 奴「宗論」
歌武蔵「支度部屋外伝」
ストレート松浦「ジャグリング」
小ゑん「アキバぞめき」

小せん師匠は浅い時間ながらたっぷり「野ざらし」。
好きな噺なので、ここで聞けるのが少し得した気分ですね。
この後にも共通するのですが、なんとなく客席の雰囲気が重く、
もっとウケてもいいのになぁなんて思って聞いていました。

天どん師匠は彦いち師匠の代演。
トリがトリなので新作だろうと思って構えていましたが、やはり。
円丈師匠作の「肥辰」は聞くのは3度目ぐらいでしょうか。
噺の内容はともかく、天どん師匠の自虐はいつ聞いても面白い。
どんどん客席が引いているのですが、私はそういう空気がとてつもなく好きでして。
本当なら夜の独演会にも行きたかったぐらいで・・・。

とんぼ・まさみの漫才は本当に久しぶり。
大筋はいつも通りですが、ちょいちょいネタを更新してありました。
落語協会所属だと上方系の漫才は珍しいほうだと思いますが、
ロケット団やホンキートンクなどに比べると少々物足りないかも。
たまたま今日の客席が重かっただけでしょうかね。

はん治師匠の「背なで老いてる唐獅子牡丹」は初めて聞きました。
今日も「妻の旅行」かなーと思っていたのですがね。
よくよく考えてみるとはん治師匠のネタで聞いたことあるのは、
「妻の旅行」「ぼやき酒屋」「粗忽長屋」ぐらいだったなぁ。
高齢社会のなかでの任侠世界を描いたこの作品、なかなか興味深いものがありました。

歌奴師匠はマクラで池袋で行われている二つ目勉強会の思い出を。
二つ目勉強会って今でも協会幹部が後ろで聞いているんですかね。
ウケがイマイチで、「宗論」に入ったことを珍しく後悔されておりました。

歌武蔵師匠、池袋で「支度部屋外伝」には少しびっくり。
客席が重かったのですが、これで少し盛り上がったのも事実ですが・・・。
とはいえ、ちょいちょい新ネタも挟まれていてこれはこれで良し。

ストレート松浦さん、ジャグリングしながら歌うスタイルに。
本来はBGMがあるんでしょうが、これはわざと狙っているのでしょうかね。

小ゑん師匠のトリネタは「アキバぞめき」でした。私は2度目になります。
もう完全にマニアックな世界にどっぷりで45分間たっぷり。
これこそ小ゑん落語の真骨頂なのかなと思います。
専門的な用語があまりにも多すぎて、人によってはお腹いっぱいになりそうですね。
ご本人曰く、自分のやりたい落語をやる、とのことでしたが、
小ゑん師匠の魅力はそこだと思います。
下手に客席におもねってやるよりも、このスタイルを貫き通してほしいですね。
かくいう私もどっぷり文系の人間なのですが、それでも十分に面白い。
時代感や専門知識をもっと身につけていたら楽しさ倍増でしょうけどね。

ほぼ満席の池袋演芸場、コンパクトながらたっぷりと楽しませてもらいました。
池袋の10月上席は顔付けがいいので、通しで行くことも検討中。

恐懼謹言。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

9/15(土) 第十五回「龍玉部屋」@お江戸両国亭

2018年09月15日 | 噺とか
蜃気楼龍玉師匠の独演会です。
以前、龍玉師匠と天どん師匠の二人会「大師匠噺」として同じ場所でやっていて、
それとは別に、こちらは独演会です。
末廣亭やら鈴本、池袋も顔付けがいいので迷ったのですが、
ネタ出しされている「にらみ返し」に興味があり、こちらへ。
あいにくのお天気ながら会場はほぼ満員の盛況でありました。

龍 玉「にらみ返し」
楽 一「紙切り(Jリーグ優勝・秋晴れ・大坂なおみ・にらみ返し)」
-仲入り-
龍 玉「鰍沢」

ネタ出しの「にらみ返し」はトリでやるのかと思いきや、1席目で。
この会は前座さんが出ないので、ちょっといきなり感はありましたが、
年末年始にまつわるマクラが始まったあたりから、
あれ?と思っていたのですが・・・。
ちなみに、初席の寄席の楽屋は戦場のように大変なのだそうで、
前座時代には楽屋入りした師匠によって雰囲気がガラッと変わるそうな。
華やかな高座とは裏腹に楽屋の苦労は大変なもんなんですねぇ。
で、本題の「にらみ返し」は年末の掛け取りが題材。
なんとなく「掛取万歳」のような噺かなと思いつつも、
にらみを利かせて借金取りを追い返すシーンでは龍玉師匠の表情がもうすごい迫力。
ラジオなどの音声ではもちろん、テレビなどでもこの雰囲気は伝わらないかも。

楽一さんはゲストで登場。いつもの寄席より少し持ち時間長目で。
ハサミ試しで「若駒」と「土俵入り」を切ってからスタート。
紙を切っているときのお囃子のCDが切り終わりにプツっと切れてしまうのはご愛敬。
しかし、ここのところ腕を上げられたなぁと思います。

龍玉師匠の2席目は「鰍沢」でした。有名な噺ですが、聞くのは初めて。
というか、どちらも冬が題材のお話でしたね。
涼しくなったとはいえ、なんとなく蒸し暑い今日、
そんな中でもある意味で涼しさを得られましたがね。
寒さに凍える新助、豹変するお熊など、龍玉師匠の熱演に見入ってしまいました。
これからの季節、寄席でもトリネタでかかる噺でしょうが、
龍玉師匠でしっかりと聞きこめたのはお得な気分です。

1時開演で3時前終演という、比較的コンパクトな会ではありましたが、
満足度のとても高い時間を過ごすことができました。
そんな余韻とともに、大相撲でにぎわう両国駅界隈を横目に見ながら家路につきました。

恐懼謹言。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

9/5(水)第10回どんぶらこっこ:ゑ彦印〜小ゑん・彦いち二人会〜

2018年09月05日 | 噺とか
本所地域プラザでの落語会です。
こちらの会場では以前から柳家吉緑さんの会にたびたび足を運んでいますが、
今回は新作派の両師匠が出演する、記念すべき10回目の会に初参加。
それぞれ2席ずつの高座で前売り1800円はお値打ちだと思いますね。
会場はきれいなすべて椅子席の会場で7割ぐらいの入りでしょうか。
駅からちょっと離れており、アクセス不便なこともあるかと思いますが。

きよひこ「うちの村」
小ゑん「鉄千早」
彦いち「青菜」
-仲入り-
小ゑん「下町せんべい」
彦いち「神々の唄」

前座のきよひこさんは彦いち師匠の二番弟子の女流落語家。
寄席の前座さんでもたびたび見かけますが、今回は新作を初めて拝見。
やはり彦いち師匠のお弟子さんだなぁと思えるような強引な設定も見られますが、
練って練っていくともっと面白さが増すのかなぁ。

小ゑん師匠はネタ出しで「鉄千早」でした。
古典落語「ちはやふる」をもとにした新作ですが、
タイトルからもわかるようにバリバリの鉄道ネタでございました。
過去には「鉄指南」を聞いたことがありますが、あっちのほうが刺激強めかな。
どちらかというとこちらは、よりマニア度が高い気がします。
電略とか普通の人は知らないですよねぇ。
9月に真打になる駒治師匠の鉄道落語とともに愛すべきネタですね。
あ、マクラであった駒治師匠の披露パーティでの様子も興味深く聞かせていただきました。

彦いち師匠の1席目はまさかの古典で「青菜」でした。
まさかここで古典を聞くことになるとは、と予想外でした。
過去ものネタを確認せずに来たのですが・・・。
新作で来るだろうと構えていましたが、またこの「青菜」の面白いこと。
さすが彦いち流だなぁと思います。
マクラでは、駒治師匠の披露パーティでの話を。
主賓のあいさつが用賀駅の駅員さんだったとか・・・。

小ゑん師匠の2席目は寄席でもおなじみのネタですね。
場所柄、浅草やスカイツリーなどが近いこともあり、地域的にも温まるネタ。

彦いち師匠の2席目はネタ出しで「神々の唄」でした。
マクラであった、新幹線の乗車変更の際の名古屋駅でのエピソードが秀逸。
もっとも本題とのかかわりを考えると「嘘」なのかもしれませんがね。
嘘も方便といいますから、悪質じゃなけりゃ楽しめていいんですが。
本題は初めて聞きましたが、なんか古典の設定でもありそうな噺ですね。
嘘をつくことが癖になっている男が、町内会のイベントに大物を呼ぶと約束するも、
結局それは嘘で、それをどうにかするために奥さんと悪戦苦闘、というストーリーでしょうか。
細かい笑いがあちこちにちりばめられており、さすが彦いち師匠の作品といったところ。

終わってみて、確かに新作5本じゃ疲れるよなぁという配慮からの「青菜」だったのかな、と。
週の真ん中、下町の一角で行われた新作落語会は熱いものがありました。
次は12月だそうで、ぜひとも予定を合わせて足を運ばねば。

恐懼謹言。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

9/1(土)黒門亭 第3194回から東京国立博物館「縄文 1万年の美の鼓動」展へ

2018年09月01日 | 噺とか
あっという間に8月も過ぎ去って暦は9月です。
早いもので街中ではおせちの広告なども見かけるようになりました。
気の早いもんですね。
とはいえ、今日は何とも言えない不快な湿度。
少し歩くだけで汗が噴き出すような一日でした。
当初、上野の東京国立博物館で行われている「縄文」展を見に行こうとしていたのですが、
やたらと盛況ということで急遽予定を変更して黒門亭へ。

門 朗「からぬけ」
あんこ「紀州」
右女助「目黒のさんま」
-仲入り-
三 朝「あくび指南」
正 朝「景清」

門朗さん、前座として安定の高座ですね。
くすぐりも師匠譲りでしょうか。しっかり笑いを取っていました。

あんこさん、師匠であり父である時蔵師匠のたたく太鼓で高座に上がります。
父も落語家でありながら、しん平師匠の下に弟子入りし、
様々な苦労をした話をマクラであれこれと。
本題の「紀州」も地噺なので、途中にあれこれとエピソードが披露されます。
通常の寄席ではなかなかやりにくいネタも、黒門亭ならOKなのでしょう。
他の寄席で見かけるよりも、面白く、また違った世界をのぞき込むことができました。
次週の謝落祭では出し物もあるようですし・・・

右女助師匠は著書「ひこうき雲」の話から、「目黒のさんま」の話題へ。
普段の寄席でかかる「目黒のさんま」よりも古い型があり、それを披露するとのこと。
詳しくは右女助師匠のHPを見ていただくとあれこれ解説されていますが、
なるほど、こんな違いがあるのかと思いました。
先日の山野楽器落語会では「強情灸」の別バージョンを聞きましたが、
こういうのって面白いですね。
噺も現代風に合わせてあれこれ変わっているという証拠でしょう。

三朝師匠は一人でグアムに旅行に行った話をマクラであれこれと。
某航空会社の機内食についての話をされていましたが、
個人的な経験からもやはり海外旅行で外国の航空会社を使うとあれこれ心配ですね。
ANA安定です。
本題は「あくび指南」をしっかりと。

トリの正朝師匠は「景清」をネタ出しで。
恥ずかしながらこのネタは初めて聞くのですが、確かに寄席ではかけにくいでしょうね。
「心眼」や「麻のれん」など、盲目の人が出てくる話はあれこれありますが、
このご時世、なかなか寄席でもかけられないのでしょうね。
以前別の会で一之輔師匠の「心眼」の時にも聞いた噺ですが、
盲目の落語好きの方の中にはむしろそういう噺が聞けないのが残念だ、
という方もいらっしゃるようで。
人によって感じ方はそれぞれですが、この日の「景清」もしっかりと聞かせていただきました。

終わって、東京国立博物館へ。
今日は土曜日ということもあって21時まで開場されています。
混雑する特別展も、夕方すぎれば空いてくるだろうと思ったらこれが甘い。
17時の時点でも40分待ちの行列ということで、仕方なく常設展を見て時間をつなぎ、
18時の時点ではほぼ待ち時間なく入ることができました。
なんせ会期が明日までということなので、場内も大混雑でございました。
会期がぎりぎりだから混んでいたのか。それとも世の中は縄文ブームなのか。
生命感を感じる様々な縄文土器や、国宝の土偶の数々を見て古の時代に思いをはせました。



しかしまぁ、寄席にせよ博物館にせよ、ほどほどの人の入りが一番です。

恐懼謹言。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする