恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

9/19(日)国立演芸場(主任:三遊亭天どん)

2021年09月19日 | 噺とか
久しぶりの国立演芸場です。
調べたら2018年の5月以来。
本来だと9月中席の国立は円丈師匠の芝居なのですが、
諸事情あってお休みとのことで、
白鳥師匠・天どん師匠・彦いち師匠の3人でトリを分担することに。
当然ながら新作色の濃い顔付けになっていますが、
久しぶりに天どん師匠の噺を聞きたいと国立へ。
ちなみに、この日は天どん師匠の最終日なのでありました。

「寄合酒」      二之吉
「うしみつであそぼ」 ぐんま
「あぁ無情」     究斗
「漫才」       ニックス
「男の花道」     正雀
 ー仲入りー
「東急駅長会議」   清麿
「奇術」       ダーク広和
「横松和平」     天どん

前座の二之吉さんは初めて。
なかなかいい腕を持っているなぁと思います。
ところどころのいい間違いが少し気になってしまいますがね。

ぐんまさん、地元群馬の廃園となった「カッパピア」をもとにした新作。
こういう世界観の新作ってかなり強引な感じもするのですが、
その辺はさすが白鳥師匠のお弟子さん。楽しませていただきました。
高座の上であれこれと暴れ合わるのも安定の定番芸。

究斗さんもかなり久しぶり。ほぼこの国立ぐらいでしかお会いしないような。
17年ぶりにミュージカルの舞台に立つのだそうで、この日もその稽古の合間での高座。
いろいろなバックグラウンドのある噺家さんがいますが、
この師匠の前職というのもすごいですよね。
「あぁ無情」もまさに「レ・ミゼラブル」をうまい具合に落語に落とし込んだ噺。
教養がなくて申し訳ないのですが、こうやって聞くとミュージカルも面白そうと思ってしまいます。

ニックスの漫才ももはや鉄板芸。
寄席の色物さんってこうあるべきだなぁというお手本。

正雀師匠は「男の花道」という講談をもとにした噺で、初めて聞きました。
もうこの話がトリでいいんじゃないかとは、後の天どん師匠の言葉ですが、
鳴り物も入って圧巻の人情噺なのでありました。
新作派ばかりのこの芝居にあって、ぐっと引き締まる。
この話を聞けただけでもこの日国立に来た甲斐があったなぁと。

清麿師匠の「東急駅長会議」ももはや名作。
久しぶりにうかがいましたが安定の面白さ。
清麿師匠の代表作でしょうね。
コロナ禍における電車内での一幕に関するマクラも秀逸。

ダーク広和先生の奇術も、国立の素晴らしい音響だとまたちょっとグレードアップ。
たびたび寄席でお目にかかりますが、そのたびに新ネタが入っていたり、
常に楽しませてくれる色物さん。
今日も手から塩が無限に出てくる奇術(?)は初めて拝見しましたよ。

トリの天どん師匠。まさかの出囃子を間違えられるハプニング。
途中から修正が入りましたが、こんなことってあるんですねぇ。
トリを3人で分けているから気楽だと話しつつも、
師匠である円丈師匠のことを意識しつつこの日は「横松和平」。
4年ほど前に日本橋で聞いているのですが、もはやうろ覚え。
聞いているうちにだんだんと思い出していきました。
売れない夫婦漫才師がレポーターに挑戦する噺ですが、
これも立松和平を知っていないと面白さは半減かも。
私ぐらいの世代でたぶんギリギリ。
末廣亭のレポートのシーンでは最近の時事ネタを入れてくるあたり、さすが。
ここでもやはり国立の音響と照明をフルに活用しておりました。
本来ないはずのオチの部分も天どん師匠はうまーく回収していきます。

久しぶりに来た国立、コンパクトながら満足度が非常に高い、そんな一日になりました。

恐懼謹言。
コメント
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