恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

8/29(土)吉緑だよりvol.20@本所地域プラザ

2020年08月29日 | 噺とか
この会に参加するのも久しぶりです。
コロナの影響でこの日になったということで、
吉緑さんとしては満を持して、というところでしょうか。
2016年にひょんなことから参加し続けたこの会も、これで最終回とのこと。
毎度ご丁寧に案内が届くので、足を運んできました。

「道具や」   左ん坊
「ガマの油」  吉緑
「あくび指南」 吉緑
-仲入り-
「音楽」    パーマ大佐
「五人廻し」  吉緑

前座の左ん坊さんは、先日に引き続き。
しっかり笑いをとる実力のある方ですね。
思えばこの会の前座さんは実力のある人が多いのかも。

吉緑さんの一席目は「ガマの油」でした。
今回のこの会ではすべてネタ出しされておりました。
コロナ禍でなかなか仕事のない中で、少しずつ仕事も戻り始めた吉緑さん。
地元である東金市で定期的に買いをやっているんだそうですが、
このたび市民会館の大ホールでの会を依頼されたんだそうな。
通常80人入る会議室でやっても満員にならないのに、
どういうわけかキャパ1200人の大ホール。
にもかかわらず、折からのソーシャルディスタンスに配慮して
40人しか客は入れないとか。講演時間も30分。念には念を入れたそうですが。
どこまで本当かわかりませんが、そこでやったのが「ガマの油」なんだそうで。
どちらかといえば笑いが多い噺ではありませんが、
聞き入ってしまう楽しい一席でした。

一旦下がって、再び高座に上がる吉緑さん。
ものを教えたり習ったりするのは難しいというマクラから。
入門したての頃に師匠と一緒にお客さんとの食事会に行くも、
好きなものを食べろと言われて好きなものを注文すれば怒られ、
かといって遠慮し続ければそれもそれでまた怒られる。
自分の容量の悪さもさることながら、ものを習うのって難しい、
というところから本題へ。
寄席でもよくかかる噺なのですが、
うまい具合にアレンジしているなぁと感じます。
所作がもう少し練られてくるともっといいかなぁなどと感じてしまいます。
これも熟練の技が必要でしょうか。

ゲスト枠では替え歌ネタで知られるパーマ大佐。
もちろん直接見るのは初めて。
ひところはTVなどのメディアにもよく出ておられたようですが。
看板ネタである「森のくまさん」のみならず、
有名な曲の歌詞を自分なりに解釈してつじつまを合わせる、というネタが素晴らしい。
ちょっとブラックなところもあるのですが、これが面白い。
久しぶりに声を出して笑ったかもしれません。
YouTubeにも動画が上がっているようなので、チェックしてみよう。
寄席でも十分通じる芸ですねぇ。

吉緑さん3席目のトリネタは「五人廻し」でした。
過去に何度か聞いたことがあるのですが、明確に記憶に残るわけでもなく。
次から次へと登場する人物の個性を上手に描き分けるのが難しいのでしょうね、この噺。
代わる代わる出てくる男たちの悲哀が面白く描かれており、
今日の中ではピカイチの出来だったと思います。
というか、本来ののサゲまでしっかり聞いたのは始めただったかも。

会場は通常120席満員のようですが、今日は50名限定。
それでも多くの席が埋まっており、盛況でした。
この「吉緑だより」はこれでいったん終わりになり、
次回11月からは場所を江戸東京博物館の小ホールで開催するそうで。
夜の時間なので参加は難しそうですが、今後もチェックしていきたいものです。

恐懼謹言。
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8/22(土)末廣亭昼席から夜席途中まで

2020年08月22日 | 噺とか
相変わらずのコロナ禍が続く日本列島。
4・5月は寄席も休業に追い込まれてしまったわけですが、
その影響もあって「末廣友の会」のチケットも期限が延長されました。
会員である私は、延長されたんだし行けるときに行けばいいやぐらいに思っていたのですが、
気が付いてみると期限が8月末日まで。
こりゃ何とかいかねばならんと、昼席メインで新宿まで足を運びました。
いつもだと会場ちょっと前になると長蛇の列が出ていたものですが、
今日は10人程度の行列ができているのみ。
相変わらず最前列は両端を除いて着席不可、他の座席も千鳥配置で人数制限されています。
おかげでのんびりと聞けるようなもんなんですがね。
夜席序盤、白鳥師匠のところまで。

【昼の部】
「まんじゅうこわい」 あられ
「呼び出し電話」   歌実
「漫才」       ロケット団
「のめる」      三語楼
「狸の札」      扇生
「ジャグリング」   ストレート松浦
「子ほめ」      志ん彌
「やかん」      圓歌
 -仲入り-
「漫談」       ぺー
「一眼国」      正蔵
「悋気の火の玉」   文楽
「紙切り」      正楽
「碁泥」       小里ん
-仲入り-
「ざるや」      美るく
「奇術」       アサダ二世
「新聞記事」     歌奴
「強情灸」      ひな太郎
「太神楽」      勝丸
「替り目」      歌る多

【夜の部】
「寿限無」      まんと
「普段の袴」     朝枝
「紙切り」      楽一
「粗忽の釘」     馬石
「アジアそば」    白鳥

今回気になったのは、前座さんと二つ目さんの噺の短縮の仕方。
末廣亭の持ち時間の関係もあるのでしょうが、初めて出会うパターンかも。

昼席の前座である桃月庵あられさん、「まんじゅうこわい」をやったわけですが、
10分間しか持ち時間がないためか、肝心のサゲまで行かず、
強がりを散々うそぶく男のところで終わってしまう。
これじゃ初めて聞いた人は何が何だかわからんのではないかなぁと。

同様なのは、夜席の朝枝さんの「普段の袴」もそう。
八五郎が大家の家で袴を借りたところで切ってしまう。
朝枝さん、二つ目になって改めてその良さを味わっていただけになんとも残念。
最後まで聞きたかったなぁと。

話を端折って時間短縮するパターンは多々出会ってきました。
今回の夜の前座、まんとさんも「寿限無」をかなり刈り込んでおられました。
この場合、全体のストーリーの構成は変わらないので、
違和感自体はそこまでないのですがね。

「宮戸川」とか「替り目」など、本来は後の部分まで続く噺も、
寄席では大概、前半部分で切られてしまう噺も多いとは思うのですが、
今回の「まんじゅうこわい」「普段の袴」のパターンは初めてだったので、
備忘録的に記させていただきました。

ゆっくり話を聞きたいんなら池袋か黒門亭に行け、ということなんでしょうかねぇ。
出演者多数の寄席、持ち時間って難しいですねぇ。

恐懼謹言。
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8/18(火)亀戸梅屋敷寄席

2020年08月18日 | 噺とか
久しぶりの亀戸梅屋敷寄席です。
寄席の定席はまだお盆興行の真っ最中で料金もお高め。
鈴本も浅草もあんまり足を運ぶ気にもならず、コンパクトに亀戸へ。
人気者の兼好師匠やベテランの鳳楽師匠あたりが有名どころ。
ここは以前と比べて人数の制限などもしていないのでしょうかね。
頻繁に足を運んでいるわけではないので、細かい変化に気が付かないわけですが、
いずれにしても40人近く入る盛況でした。

「道灌」     しゅりけん
「紙入れ」    楽天
「目黒のさんま」 とん楽
 -仲入り-
「黄金の大黒」  兼好
「寝床」     鳳楽

前座のしゅりけんさんは初めてでしょうかね。
兼好門下ということで、なんとなく声質やら話し方が似ているような。
「道灌」をかけましたが、なかなかいい感じで安定しておりました。
そして客席も前座さんからよく笑う笑う。

続いて楽天さん。こちらも初めてでしょうかね。
調べてみたら元ダンサーとのこと。
んー、噺家さんもいろいろな経歴がありますね。
最近の出来事として話題になっているジャニーズ事務所の山P問題に触れ、
そこからアンジャッシュ渡部問題などなど、男女関係のマクラ。
そんなところから間男に関する小噺をいくつか振って「紙入れ」でした。
妙におかみさんを演じる時の色気が色っぽくていいですね。
寄席でもよくかかる噺ですが、やはり流派が違うと細部も違うのか、
こういう演じ方もあるのだな、と感じながら見ておりました。

この方も初めて、とん楽師匠。
世間は暑い夏の盛りですが、落語の世界では少し季節を先取りするのですね。
今季初めて聞く「目黒のさんま」でしたが、これもよくある筋とは違う感じ。
殿様が野駆けに出るまでがかなり丁寧な描写。
何もすることがなくて退屈な殿様が、屋敷の馬場で乗馬の稽古をすることに。
ところが、狭い屋敷の中だけではつまらず、門番を脅して開門させて単騎出ていき、
それを慌てて家来衆が追いかける、なんていうあたりとか。
あとは馬が3頭いてその中から一番足の遅い馬を選ぶ、とか。
本来はこういう演じ方なのでしょうかね。
先ほどの「紙入れ」同様、演じ方の違いを感じさせられました。

仲入りの後に兼好師匠。
クーラー嫌いで寝るときにクーラーをつけていなかったら軽く熱中症になり、
逆にクーラーをかけて寝たら風邪をひいてしまったというエピソード。
まぁ確かに、この時期は調節が難しいもんです。
さらっと入った本題は「黄金の大黒」でした。
やはり流れるようにポンポン繰り出される語り口調は気持ちがいいですね。
先日も連雀亭で二つ目さんからこの噺を聞きましたが、
やはり演じ方でずいぶんと噺の印象も変わってきますね。
最後のサゲまで行かずに、途中まで。
さすが、技巧者といった高座でした。

トリは鳳楽師匠。
穏やかな語り口で風格を感じる高座ですね。
ネタは「寝床」で、この噺も久しぶりに聞いたように思います。
長屋の連中が次々と義太夫の会への出席を断り、
それに拗ねる旦那の様子から、それをなだめる番頭さん、
色々な事情で出席することを嫌がる長屋の連中など、
奇をてらうところはありませんが、
しっかりと聞かせて笑わせるところは笑わせるというベテランの技。
たっぷり35分でした。

お値段も1000円とお手頃な亀戸梅屋敷寄席。
基本的に平日のみの開催ですが、来ると様々な発見があるもので。

恐懼謹言。
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8/11(火)連雀亭日替り昼席

2020年08月12日 | 噺とか
梅雨が明けて折からの猛暑の東京。この日も灼熱の暑さでした。
仕事を午前中で切り上げて連雀亭へまいります。
ここのところよく足を運んでいるような気がしますが・・・。

「黄金の大黒」      一花
「鰻の幇間」       吉好
「花の若武者 那須与一」 実子・金魚
「金明竹」        花飛

一花さんは久しぶり。
やわらかい語り口ながら聞いていて心地よいですね。
猛暑の中を歩き続けてきたので、途中で意識が・・・。
面目ない・・・。

吉好さんは初めてお目にかかります。
こちらもオンラインで初めてやっただけという「鰻の幇間」を。
客を前にして初めてやるということでしたが、
こなれた感じがしていて楽しく聞かせてもらいました。
一花さんに続き、ちょっと途中で意識が・・・。
やはり寄席に来るときは体調を万全にしないといけませんね。反省。

続いて富士実子さんと曲師水乃金魚さん。
浪曲自体が本当に久しぶりで何年ぶりだろうという感じ。
大仰な舞台設備はなく、いつもの連雀亭に釈台のスタイル。
実子さん、連雀亭でやるのが2回目とのことで、緊張がこちらにも伝わってきました。
以前浪曲を見たのが国立演芸場だったので、
連雀亭の至近距離で浪曲を聞くとその迫力が違いますね。
那須与一の話は、講談やら落語でもよく知られていますが、
人物の描き方やストーリーなんかはだいぶ違うんですね。
しっかり目が覚めました。

トリは花飛さん。先日のらくごカフェ以来です。
妙に落ち着いている雰囲気の花飛さん、理系の大学を出ているらしく、
その時のエピソードあれこれ。
頭のいい人でも頭のねじが外れていることもあって…なんてところから、本題へ。
「金明竹」自体も久しぶりに聞いた気がしますが、
これも丁寧にやるとなかなかしっかり時間のかかる噺ですね。
肝心の上方の男の言い立ての部分、合計4回ありましたが、
途中ちょっと???となったように感じてしまいました。
んー、前座さんもかけるような噺なんですが、どうしたんでしょうかね。

いろんな表情を見せる連雀亭、今日は久しぶりの浪曲に巡り合えたのが収穫でしょうか。
まだまだいろんな発見があるものです。

恐懼謹言。
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8/5(水)池袋演芸場昼席(主任:柳亭左龍)

2020年08月09日 | 噺とか
記事の投稿が少し遅くなりました。
7月下席に続いて池袋に行ってきました。
長年8月上席は柳家小三治師匠の芝居だったせいか、お値段も2800円。
それでも顔付けを見るとずいぶんと豪華なもので、それも納得か。
昼席から夜席の仲入りまでたっぷりと楽しんできました。

【昼の部】
「道具屋」     左ん坊
「持参金」     小んぶ
「権助魚」     小平太
「奇術」      ダーク広和
「糖質制限初天神」 馬るこ
「干物箱」     一之輔
-仲入り-
「パントマイム」   カンジヤママイム
「一眼国」     扇辰
「夢の酒」     燕路
「漫才」      ロケット団
「転宅」      さん喬
-仲入り-
「のっぺらぼう」    喬志郎 
「短命」      白酒
「紙切り」      二楽
「明烏」      左龍   

【夜の部】
「子ほめ」     松ぼっくり
「高砂や」     あんこ
「狸の鯉」     おさん
「漫才」      おしどり
「宮戸川」     歌奴
「山号寺号」     一琴
「紙切り」     正楽
「締め込み」    圓太郎
「首提灯」     志ん輔

本来ならトリの正雀師匠まで見ていきたいところなのですが、
時間の制約で後ろ髪をひかれながら退出。
平日の寄席ということで人数はどうかな、とも思ったのですが、
最初10人ちょっとのこじんまりとした状態ではありましたが、
昼席のトリのころには30人超が入っていたように思います。
ソーシャルディスタンスから39人が定員ということを考えると、
「大入り」といってもいいのかもしれませんね。
夜になると人数も減って少数精鋭といった様相でしたが
寄席もこれぐらいの人の入りのほうが快適かも。
さすが池袋ということもあって、なかなか聞けない噺が出てきたのがいい感じ。
「首提灯」は初めて聞く噺でした。なかなか奥が深い。

夜の街真っただ中の池袋演芸場ですが、
コロナに負けず何とか頑張ってほしいものであります。

恐懼謹言。
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8/1(土)連雀亭ワンコイン寄席

2020年08月01日 | 噺とか
8月のスタートともに関東地方も梅雨明けが発表され、いきなりの猛暑となりました。
8月上席の顔付けを見ると、左龍師匠が昼トリの池袋が魅力的なのですが、
折からのコロナ対策で客席も39席に限定されているということもあり、ここはパス。
思案した挙句、コンパクトに楽しむワンコイン寄席へ。
珍しいのかどうかよくわかりませんが、3人全員が落語協会の噺家さん。
それなりに名の通った人たちということもあってか、客席はほぼ満席でした。

「紙入れ」 文吾
「紀州」  なな子
「長短」  花ごめ

開口一番は文蔵門下の文吾さん。前座時代からよく拝見しておりました。
二つ目になってからはこれといって目にする機会も減りましたが、
やはり落ち着きのある語り口と、多彩なマクラが安定感を感じます。
1日なので、師匠宅へ伺って食事をごちそうになるというエピソードは、
文蔵師匠のTwitterにもたびたび語られております。
シチューをごちそうになって「シチュー感染」なんていうギャグもここでならありですかね。
東出昌大と杏が離婚したニュースに触れてから浮気やら間男の小噺をいくつか。
本題はこのあたりからも予測されますが「紙入れ」でした。
とはいえ、この噺、誰の型なのかなぁと考えてしまいました。
大筋は同じなのですが、やはり細かい言い回しや描写が違う。
文蔵師匠では聞いたことがないようにも思うのですが、はてさて。
同じ噺でもいろんな差異があるのも面白いものです。

続いては正蔵門下5番弟子のなな子さん。
正蔵師匠の弟子によくありがちな地噺で「紀州」でした。
お若い方だなと思いきや、なな子さん、もう40歳手前なんですねぇ。人の歳はわからない。
久しぶりの連雀亭ということで、高座前にあるアクリル板についてひとくさり。
前のめりな芸はやはり正蔵門下の噺家さんにありがちな姿勢なんですかね。
通り一辺倒な「紀州」ではなく、自身のエピソードをあれこれ盛り込むあたりも楽しいもので。
落語として肩に力を入れて聴くよりも、こういうのもいいのかも。

トリに出てきたのは花ごめさん。
浅草演芸ホールで8月中席に行われている「納涼住吉踊り」のメンバーでもある花ごめさん。
今年はコロナの影響で出演者もかなり減らしているんだとか。
舞台上での密を避けるということなんだそうで。
5人で踊っていたところが人数が減ってしまうと、
間違えた時にすぐにバレてしまいそうなもんだけど、
人数が2人でやっているときならたとえ間違えたとしても、
自信満々の表情で踊っていれば客から見たら間違えたことにも気づかれない、
なんていう楽しい持論を繰り出しつつ、浅草の8月中席の宣伝。
一度足を運びましたが、今年は盛況になるんでしょうかね。
本題は特に大きな変化球でもなく「長短」でした。

ほぼ満席に近い連雀亭でしたが、客席は黒門亭の常連さんもちらほら。
たしかに土日にレギュラーで開かれている黒門亭も8月いっぱいは休止。
連雀亭が黒門亭の補完的役割を担っているのかも、なんて思いました。
手軽な料金で気軽に楽しめる落語会、という意味では共通してますもんね。
さて、8月スタート。次はどこへ行きましょうかね。

恐懼謹言。
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