恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

6/29(土)梶原いろは亭 週末昼席(主任:桂やまと)

2019年06月29日 | 噺とか
2019年1月に新たにできた落語定席の梶原いろは亭。
いつか行ってみようと思いながら半年が過ぎ、今日やっと行ってきました。
45席とコンパクトながらすべて椅子席で最前列以外は折り畳みテーブル付き。
飲食も禁止されておらず、同じキャパの黒門亭や連雀亭より寄席に近い雰囲気。
あまり落語になじみのなさそうな客層でしたが、8割ぐらい席が埋まりました。
ちなみにここの週末昼席は2300円ですが、
木戸横にチラシに500円の割引券があり、1800円で入場しました。
オプションで茶菓子や弁当が付くのですが、今回は入場のみで。

楽べえ「寿限無」
栄豊満「熊の皮」
扇 生「大山詣り」
-仲入り-
鯛 好「ちりとてちん」
紙太郎「紙切り」
やまと「阿武松」

前座は円楽党の楽べえさん。寿限無を10分程度でさらっと。
ところどころ危なっかしいような気もしますが・・・。

栄豊満(えいとまん)さんも円楽党の二つ目で初めてお目にかかります。
眼鏡をかけてマクラをしゃべり、本題に入るところで眼鏡をはずす。
たびたびこのタイプの方にお目にかかりますね。
汗を額に浮かべての熱演でした。
んー、ちょっと個人的には今一つというところ。

3席目は落語協会の扇生師匠。
旅のマクラに入ったあたりで、お、と思いましたが「大山詣り」でした。
仲入り前でこの大ネタが聞けるのはなかなかうれしいですね。
前の若手二人と違ってやはり噺に深みがあるとでも言いましょうか。
ついつい引き込まれてしまうんですねぇ。
この噺を聞けただけでもここに来た甲斐がありました。

仲入りの後は再び円楽党の鯛好さん。
40歳で弟子入りしたというプロフィールを聞いて驚き。
なるほど、落語協会では現在では弟子入りの際の年齢制限ができてしまいましたがね。
失礼ながら風格もあるのもあってか、噺も面白い。
「ちりとてちん」は何度も聞いていますが、演者によって工夫が違いますね。
調子のいい男と、後から出てくる男も演者によってキャラ設定が微妙に違うわけで。
仲入り後の楽しい一席でした。

次に紙切りになるわけですが、「はさみ家紙太郎」さんは初見。
林家一門だけじゃないんですねぇ、紙切りは。
和装ではなく、洋服で立って行うスタイルの紙切りで、
最初に鋏試しで「パンダ」「芸者さん」を切り抜き、
お客さんとのやりとりで「トラ」「トランプ大統領」「富士山」を切り抜かれました。
大声で注文する他の師匠方とはスタイルが違いますが、
トークを織り交ぜながらの紙切り芸はさすが。
林家一門のそれとはまた違った楽しみがあり、客席も沸いていました。

トリは桂やまと師匠で相撲のマクラから「阿武松」へ。
この噺を聞くのは2度目になるかと思いますが、これもまた面白い。
大飯を食べる若い力士の描写や板橋の旦那、錣山親方などそれぞれのキャラに魅力があり、
しっかり聞かせるところは聞かせて笑いもしっかりとある。
30分近くのトリネタですが、すっかりと引き込まれて聞いてしまいました。
個人的に現在の相撲界にはあまり詳しくないのですが、
寄席などで相撲の話に触れるとなんとなく気になっていまったり。

初めて足を運んだ梶原いろは亭ですが、運営から何から手作り感があり、
温かい雰囲気を感じさせられた地域寄席でした。
二つ目さんが中心にはなりますがいろいろな人を見ることができるので、
時期を見つけて再訪してみたいと思います。

恐懼謹言。
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6/22(土)第11回 大師匠噺@お江戸両国亭

2019年06月22日 | 噺とか
三遊亭天どん師匠と蜃気楼龍玉師匠の二人会で、私はこれが2度目。
あいにくの天気ながら、客席はほぼ満席に近い状況で、盛況でした。
開場時間よりも早く客席に入れてくれる雨への配慮は感謝。
どっちの師匠のお客さんメインなんだろうなぁと思いながら開演。

ごはんつぶ「寄合酒」
龍 玉「穴泥」
天どん「不精床」
-仲入り-
天どん「熱中症対策本部」
龍 玉「水屋の富」

前座のごはんつぶさん、高座では久しぶりかも。
師匠とは対照的にたっぷりある前髪がちょっと邪魔そう。
噛んだところを自分でネタにするあたりも師匠っぽさが。
「寄合酒」を短い時間でさらっと。
仲入りには必死でチケットを売っておられました。

龍玉師匠の一席目は「穴泥」で、これもあまり聞かない噺。
今日ネタ出ししている「水屋の富」は稽古した割に面白い噺ではなく、
多分今後やらないだろうということで、最初は別のネタにしたとのこと。
酒を飲みながら徐々に酔っぱらっていく様など、さすがですねぇ。
展開の読めてしまう噺ではありますが、楽しませてもらいました。

天どん師匠の一席目はネタ出しで「不精床」。
圓生師匠のネタをあれこれとやっていくと主要なネタはほとんどやってしまっていて、
前座噺のようなこの噺になったのだとか。
圓丈一門の弟子のエピソードをあれこれと。
弟弟子で真打昇進が決まっているたん丈さん、
たしかにほとんど噺を持っていなくてどうやって披露目を乗り切るのか、気になりますよねぇ。
で、自身が通っている自由が丘の床屋さんの話もあれこれと。
かつて通っていたところは鬼丸師匠のラジオが流れているんで行かなくなったそうな。
で、こっちにきたら一之輔師匠の声が流れておいおい、と。
本題よりもマクラのほうがたっぷりでしたねぇ。
「不精床」に出てくる床屋の親方がなんとなくいつもの天どん師匠の新作に登場するような感じで、
特にネタおろしということを意識することなく楽しく聞かせてもらいました。

仲入りをはさんで天どん師匠の二席目。
新作で「熱中症対策本部」という噺ですが、初めて聞く噺です。
栃木の田舎町の熱中症対策に臨むお役人二人の噺ですが、
こういうすっとぼけた人物の描写がたまらなく面白い。
なぜか登場人物がみんな田中さん。
そして、なぜかさっきの話に続いてこの噺の途中にも外を通る救急車の音に妨害される。
抜け目なくそれをネタにするあたりも何とも言えず面白いのですが。

龍玉師匠の二席目はネタ出しの「水屋の富」。
たしか黒門亭で一度聞いたように思いますが、言うほど面白くないわけでもないですね。
富くじを突くあたりのところから、くじに当たって狂喜する場面、
800両を持っているがためにあれこれと悩んで夢にうなされる場面、などなど、
人物描写が何とも言えず絶妙。
これで終わりと言わず、またかけてほしい演目でもあります。

お江戸両国亭という程よい空間で、土曜の午後をゆったりと過ごすことができました。

恐懼謹言。
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6/15(土)黒門亭1部(主任:三遊亭白鳥)

2019年06月15日 | 噺とか
久しぶりの黒門亭は、梅雨の雨の中で三遊亭白鳥師匠がトリを務めます。
札止め必至だろうなぁと思いつつ早めに行くとやはり行列が。
番頭の柳家かゑるさんが早々に整理券を配り始めておられました。
雨の中ですからこういう配慮もやはりありがたいものです。

小ごと「道具や」
粋 歌「保母さんの逆襲」
小燕枝「意地くらべ」
-仲入り-
鈴之助「紙入れ」
白 鳥「座席なき戦い」

粋歌さんは先日ギックリ腰になってしまったというマクラから。
かつて前座のころにもなったことがあるそうで、
その時も今回もどうも人とは違った形で腰にくるのだとか。
昨日まで連日の病院通いで、やっと歩けるようになったとのこと。
ネタは、初めて聞くネタで、彦いち師匠の作品のようです。
手遊び歌「グーチョキパーで何作ろう」が耳に残る話ですが、
「右手がチョキで左手がパーで、林家正楽」のくだりで笑ってしまいました。
寄席でしかできないですよねぇ。
白鳥師匠がトリということもあって弾ける新作が痛快でした。

小燕枝師匠はそんな盛り上がりの後にもしっかりと古典を聞かせてくれます。
台東区にある銭湯「鶴の湯」での話をマクラに、
江戸っ子が強情であるというような流れになったので、
「強情灸」かと思いきや、「意地比べ」。
この噺、初めて聞くんですが、なんとも江戸っ子の強情さを可笑しく表した噺。
意地の張り合いは「井戸の茶碗」に似たような場面があるような気もしますが、
あちらは武家の意地で、こっちは江戸っ子の意地。
こんなに意地を張ることもないんでしょうが、そこが面白い。
小燕枝師匠の技が光る一席でした。

仲入りをはさんで鈴々舎鈴之助師匠。
こちらの師匠は初めてお目にかかります。
語り口調もよく、聞きやすいお方。
定番の「紙入れ」ですが、出来自体はとてもいいものでしたが、
この後の白鳥師匠目当ての黒門亭のお客さんにはややウケ止まり。
鈴本とかでやればもっと受けてると思いますね。

トリに上がった白鳥師匠は、ここに来ると普段会わない人に会える、
と前に上がった鈴之助師匠をいじり倒します。
かつて同じ時期に二つ目時代を過ごし、
二つ目勉強会の際にあった、志ん朝師匠とのやりとりが秀逸。
茨城弁の「紙入れ」を聞いてみたかった。
たっぷりのマクラから本題へ。
「マグロの頭」「5番アイアン」「山手線」の三題噺なんですね、元は。
JAL名人会でこの噺をかけるも、あれこれと制限があって、
縮めて収録したり、個人名を出したために取り直しになったり、と、
とにかくいろんな苦労があったそうです。
ちょいちょいそんなエピソードを交えながら噺は進行。
白鳥師匠らしい一席を満喫させてもらいました。

コンパクトに質の高い時間を過ごすことができた梅雨の黒門亭でした。

恐懼謹言。
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6/4(火)末廣亭昼席(主任:春風亭一朝)

2019年06月04日 | 噺とか
平日の寄席に昼席から行ってきました。
小さな落語会を中心に足を運んでいたので定席は久々かも。
昨日が「落語の日」ということもあり、満員御礼だったそうですが、
今日はいたって通常通りの平日の寄席の雰囲気。
ビニール袋ガサガサとか携帯電話が鳴るなんていうのもしょっちゅう。
ま、あまり神経質になっても仕方ないですがね。

与いち「道灌」
一 刀「真田小僧」
ジキジキ「漫謡」
一 猿「たらちね」
さん福「親子酒」
小 猫「ものまね」
歌る多「つる」
志ん彌「宮戸川」
紋之助「曲ごま」
正 蔵「お菊の皿」
さん八「漫談」
正 楽「紙切り」(一朝一之輔・チコちゃん・火の見櫓・ゴジラ)
小満ん「粗忽長屋」
-仲入り-
一之輔「長短」
アサダ二世「奇術」
扇 好「権助魚」
正 雀「松山鏡」
仙三郎社中「太神楽」
一 朝「井戸の茶碗」

一猿さんは二つ目になってお初お目にかかります。
もともと発声もよく、好印象でしたが、ぜひ頑張っていただきたいもので。

歌る多師匠は、ちょいちょいいろんなことを噺の中に織り込んでくるんですが、
先代の圓楽師匠は「つる」が嫌いだったとか。

正蔵師匠の時に携帯が鳴るわ鳴るわ。挙句、客席で電話に出る人を初めて見ました。
周りからも顰蹙を買っていたわけですが、
そこをさらっとネタに入れて笑いにするあたりはやはりプロ。

一之輔師匠の噺はあれこれ聞いていますが「長短」は初めて。
決して大爆笑を誘う噺ではなく、どちらかというと所作で見せるような、
そんな噺なのですが、そこはやはり一之輔師匠。
他の師匠方のそれとは一線を画した味のある一席。

扇好師匠の「権助魚」はサゲが聞きなれたものとは少し違う?
いろいろなバージョンがあるのでしょう。

一朝師匠は「井戸の茶碗」でした。
さすが、聞いていて小気味いい語り口で楽しませてもらいました。
ちょっとした間とか、表情なんかもいいんですよねぇ。
寄席のオールラウンダーとはよく言ったもので。

で、夜席もちょっとだけ。

扇ぽう「元犬」
 扇 「宗論」
楽 一「紙切り」(寿伴さん・紫陽花とかたつむり)
寿 伴「新聞記事」
きく麿「陳宝軒」

扇さんの「宗論」は誰から習ったんだろうなぁ。
時間に追われていたとはいえ、どうも。

新二つ目の寿伴さんは「新聞記事」でしたが、どちらかというと上方の「阿弥陀池」。
あまり聞くことのない珍しい噺ですね。

きく麿師匠は私が今日聞いた唯一の新作。「陳宝軒」を聞くのも2度目。
いやー、「金明竹」の九州弁バージョンともいうべきこの噺、
何とも言えず面白いんです。
時間の都合でここで退席しましたが、満足満足。

平日の寄席ののんびりした雰囲気もたまにはいいもので。

恐懼謹言。
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