恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

9/28(土)落語ぴっぴ堂 in しながわ宿場まつり

2019年09月28日 | 噺とか
旧東海道の品川宿ではこの時期に「しながわ宿場まつり」なるイベントが開催されています。
このイベントの一環として、無料の落語会が開催されていると聞き、
品川まで足を運んでまいりました。
出演するのは、柳家小はぜさん、古今亭今いちさん、瀧川鯉丸さんの3人。
いずれもそれなりに活躍の場をもたれている二つ目さんで、
なんでも隔月でレンタルスペースを借りて落語会をしているそう。
で、今回足を運んだ「レンタルスペース松本」は何とも趣ある建物で、
明治時代に建てられたものなんだそうです。
そして、奇しくもこの9月で建物自体がなくなってしまうそうで、
今回の落語会が最後のイベントなんだそうです。
なんともすごいときに来てしまいました。

開場時間よりも早めに来たのですが、開場時間になってもガラガラ。
大丈夫かこれ、と不安になりつつもしばらくすると数人のお客が訪れ、
開演時間にはほぼ満席になる盛況ぶりでした。

今いち「英会話」
小はぜ「目黒のさんま」
鯉 丸「片棒」

1席目は今いちさん。なんとなく新作のイメージがあるお方ですが、
この噺も新作の部類なんでしょうか。
初めて聞く噺で、演題もわからなかったのですが、
調べてみたらおそらくこの噺かな?
無理やりに英訳して人の名前を呼んだり、
ドタバタしながらも面白おかしい話でした。
金坊→「ゴールデンスティック」なんて始まる。
ちなみに金坊の本名は金一らしく、「ゴールデンワン」。
おまけに苗字が左倉(サクラではない)で、くっつけると、
「レフトガレージゴールデンワン」とか。

2席目はうって変わって古典の世界へ。
この季節になって初めての「目黒のさんま」でした。
非常に落ち着いた雰囲気を醸し出す小はぜさん。
なんとなく外の喧騒が入ってくる会場でありながら、
そこに引っ張られることなくしっかりとした古典を聞かせてくれました。
途中、「スタート」という言葉が使われていましたが、
あれはまぁいいのかな。

3席目は鯉丸さん。芸協の方はなかなかお目にかからないので、私は初かな?
会場のは鯉丸さんの御贔屓のお客さんが見えていたようですが。
ケチな人のマクラから何をやるのかなーと思ったら「片棒」へ。
無料の落語会だから軽い噺で終わりかなと思いきや、
これはまたうれしい誤算でありました。
何といっても見せ場である、次男の銀が演じる太鼓や囃子が期待通り面白い。
時間の関係なのか、吝嗇な3男のところはさらっとという感じでしたが、
しっかり楽しめる「片棒」でした。

周囲の祭りの喧騒が会場の中にも入ってくるため、
落語を落ち着いて楽しむという感じではありませんが、
それでもレベルの高い二つ目さんたちの話を堪能できました。
客席には子供もいるものの、おおむね落ち着いた雰囲気だったのも〇。
帰りも街道を歩いて祭りの雰囲気を味わいつつ帰途へ。
メイン会場の一角では、翁家和助・小花夫妻が太神楽をやってました。

これもまた無料なんだからなかなかいいですよねぇ。

恐懼謹言。
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9/17(火)池袋演芸場夜席(主任:三遊亭天どん)

2019年09月18日 | 噺とか
9月中席の池袋はなかなかいい顔付けで、一度は顔を出さねばと思っていたら、
あっという間に時が過ぎてしまって今日にいたる、と、
3連休も過ぎ去って、少し落ち着いているかな、と仕事を切り上げて池袋へ。
連休明けだからさして混雑していないだろうと思ったら大間違いで、
昼の部のトリ直前の一朝師匠から入ったらなんと満席立ち見。
いやはや、久しぶりに立ち見を経験しましたよ。
かつてここで小三治師匠のトリを3時間立ちっぱなしで見た記憶が甦ります。
もっとも、昼席がハネると大方のお客さんは帰り、いつもの平日の池袋に。

【昼席】
一 朝「岸柳島」
橘之助「浮世節」
雲 助「死神」

【夜席】
扇ぽう「寿限無」
粋 歌「すぶや」
百 栄「お血脈」
アサダ二世「奇術」
小ゑん「下町せんべい」
 茜 「快談牡丹燈籠・お札貼り」
ロケット団「漫才」
窓 輝「庭蟹」
小満ん「かんしゃく」
-仲入り-
駒 治「鉄道戦国絵巻」
龍 玉「穴泥」
楽 一「紙切り」(圓丈師匠と天どん師匠・ドロップゴール・ドラゴンクエスト」
天どん「呼ぶ男」

昼のトリ、雲助師匠は「死神」でした。
先日、黒門亭で世之介師匠の「死神」を聞いたばかりでしたが、
あちらがかなり長大だったのに対して、こちらは寄席サイズ。
無駄な部分はそぎ落としながらも噺のエッセンスはしっかりと。
雲助師匠のトリを見る機会がほとんどない中、
とても良い日に当たったなぁと思いましたよ。

夜席は昼と打って変わって新作モード。
先日の独演会でお会いした百栄師匠、池袋ではあまりお見掛けしませんが、
この日は何をやるのかと思ったらまさかの古典。
先日の独演会で古典を聞いて、またここで聞けるとは思いませんで。
百栄師匠がやるので、通り一辺倒な「お血脈」ではなく、
やはりそこは百栄ワールドがあちこちに散りばめられていました。
これも池袋ならではでしょうねぇ。

小ゑん師匠はおなじみの「下町せんべい」でした。
ご本人のTwitterによると、「幽霊のところまでできた」とあり、
なるほど確かにいつもより長いバージョンでした。
聞き馴染んだ話でもその時のタイミングで変わるのも面白いもので。

窓輝師匠は本当に久しぶり。
この顔付けの中で正統派な古典をしっかりと聞かせてくれました。
もっといろんな寄席で顔付けされていいのになぁなんて思ったり。
若旦那然とした風貌もまたこの噺の雰囲気と合うような。

小満ん師匠は明治時代に作られた新作とのこと。
初めて聞く噺で、あれこれ調べてみたんですが演題がわかりません。
お金持ちの旦那が毎日4時に仕事を終えて帰宅するも、
妻をはじめ家の使用人たちが行き届いておらず、あれこれ小言を言う、という。
どなたかご存知でしたらご教示くださいませ。
何となくほろっと来る場面もある、そんなお話でした。
→ボビン様のご教示により、「かんしゃく」という噺とわかりました。
 先代文楽師匠が得意にしていたとのことで、なるほどなぁと。


仲入りをはさんで駒治さんはお得意の「鉄道戦国絵巻」。
これも久しぶりでした。
最近の京浜急行の事故のネタをサラッと盛り込んで話題にするのもさすが。

んでもってトリの天どん師匠。
ずーっとここのところ変態的な新作ばかりでフラストレーションがあるそうで。
やっと昨日古典の「らくだ」ができて満足しているそうですが、
そこは天どん師匠、観客の希望を聞いてやるネタをチョイスさせる。
古典のトリネタか、寄席でかけたことのない新作か、変態ネタか。
案の定、変態ネタに一番多くの拍手が集まって「呼ぶ男」へ。
ずいぶん前にこの噺を聞いたことがありましたが、
まさか寄席でこの噺をまた聞くことになろうとは。
龍玉師匠や志ん五師匠の裏話を随所にちりばめつつ、
会場をおかしな笑いで埋め尽くしていきます。

いやはや、池袋の自由な雰囲気、なんとも言えずいいですねぇ。
きっと鈴本ではこのネタはできないでしょうからね。
時間さえあればしょっちゅう足を運びたい池袋。
今日もそんな気持ちにさせてくれる芝居でした。

恐懼謹言。
コメント (2)
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9/14(土)西新宿ぶら〜り寄席 春風亭百栄独演会

2019年09月14日 | 噺とか
春風亭百栄師匠の独演会に初めて参加してきました。
寄席では何度も、そしてトリの興行にも足を運んだことがありますが、
独演会は初めての参加になります。
ちょうど池袋の夜席が天どん師匠で、こちらにもと思いつつも、
あえて今日はこちらに予約して参加してみます。
会場のミュージックテイト西新宿はこじんまりとした会場ながらも、
妙な一体感があっていい感じなんです。
これが3回目になりますが。
新作・古典ともに手掛ける百栄師匠の演目は、

「やかん泥」
「バイオレンス・スコ」
「鮑のし」
「露出さん」


の4席でした。

見事に古典と新作が半々という構成でした。
いずれもトリネタサイズというほどでもないので、
4席やって1時間45分(休憩込み)でしたが、いい会でした。

1席目の「やかん泥」は、寄席でもよくかかる泥棒の噺の中でも、
あまりかかることのないもので、その背景には8代目桂文楽の影響があると。
8代目文楽があまりにもうまくやるもんだから、他の噺家が比べられるのを嫌って、
寄席などではかけられなくなったといいますが、
自分は比較されることはないと開き直る百栄師匠。
過去に聞いたことのある噺ではありますが、
百栄師匠の古典をほとんど聞いたことがなかったので、新鮮な感覚でした。

そのまま2席目は「バイオレンス・スコ」。
おそらく百栄師匠の代表的な作品だと思いますが、
今迄に聞いたことがなかったので、これはこれで得した気分。
個人的に猫についてそこまで詳しくないのですが、
猫好きな人からすると笑いどころたくさんでしょうね。
小ゑん師匠のマニアックなネタと少し重なる要素もあるかしら。

仲入りをはさんで3席目は再び古典で「鮑のし」でした。
他の噺家さんがよくかける噺ではありますが、百栄師匠ではもちろん初めて。
マクラでは池袋演芸場との因縁にまつわる話もあれこれとありましたが、
これもこれで難しいものがあるんだなぁと。
意外や意外、池袋ではトリをとったことないんだそうな。
交互出演の出番に関するジレンマについても内部事情をあれこれと。
本題の「鮑のし」も百栄師匠がやるとまた違った味わいがあり。

最後の1席は「露出さん」で、これは一度鈴本で聞いています。
とはいえ、この噺も破壊力抜群ですね。
おそらくほかの噺家さんがやってもここまで可笑しくならないだろうな、と。
定席の高座と違って距離も近いので、また迫力もあり。
盛況の会場内も大いに沸いておりました。

コンパクトながら破壊力あり、そして印象に残る4席を堪能しました。
さてさて、百栄師匠の池袋の初トリはいつになりますやら。

恐懼謹言。
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9/7(土)連雀亭 昼席

2019年09月07日 | 噺とか
明日、9月8日が落語協会の謝楽祭のため、黒門亭もなし。
ちょっと手軽にどこかへ、と連雀亭へ向かいます。
とはいえ、こちらもやはり落語協会所属の噺家さんは出ておらず。
ま、こういう日もありますね。
そういう時こそ新たな発見もありそうですが。

栄豊満「太閤の白猿」
鯉 舟「浮世床」
吉 馬「たがや」
只四楼「真田小僧」

三遊亭栄豊満さんは梶原いろは亭で見て以来2回目です。
マクラから本題に入るときに眼鏡をはずすスタイル。
この噺自体はもともとが上方のものなんだそうですが、
初めて聞きました。

瀧川鯉舟さんは初めてお目にかかります。
というか、この日は栄豊満さん以外はみんな初見です。
なんだろうなぁ、なんとなく噺家さんらしくない話しぶり。
「浮世床」の読書のところでしたが、いろんな噺家さんで聞いてるもんで、
やはりどうしても比べてしまいますね。

三遊亭吉馬さん、先刻亡くなられた漫才の新山ひでや師匠の話題をあれこれ。
芸協主催の寄席にはほとんど行ったことがないので、
実際にお目にかかったことはなかったため、
訃報の話題ぐらいしか知らなかったのですが、いろいろありますねぇ。
噺はまだ夏の暑さが残る、と「たがや」へ。

トリは立川只四楼さん。
Wikiで調べてみたら、もともと漫才をやっていた人なんですね。
昨年二つ目に昇進したばかりですが、やはりベテラン感が漂う。
今日聞いた中では一番良かったと思います。
で、この日は連雀亭のワンコイン寄席・昼席・夜席とすべてに出ると。
全て同じマクラと噺をやろうとしていたら、
ワンコインと同じお客さんが昼席にも来たため、
仕方なくマクラも噺も全部買えます、と。
「お見立て」をやろうとしていたらしいのですが、どういうわけか「真田小僧」。
トリで時間もあるから最後まで行くのかと思いきや、
終演時間より10分早く途中で切り上げてしまいました。
せっかく面白かったので、最後まで聞きたかったのですがねぇ。

私にとって顔なじみの落語協会所属の噺家さんのいない連雀亭。
良きにつけ悪しきにつけ、勉強になりましたよ。

恐懼謹言。
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9/1(日)黒門亭2部(第3394回・主任:金原亭世之介)

2019年09月01日 | 噺とか
予定していなかったのですが、ちょっと時間が空きまして、黒門亭の2部へ。
最近、黒門亭に来るときはどうも人気のある顔付けの時ばかりで、
30分ぐらい前に行って並んで、という流れが多かったのですが、
この日は、ようやくつ離れするぐらいののんびりとした人数。
満員の黒門亭も熱気があっていいのですが、
ある程度の余裕があってのんびり落語が聞けるのがいいもんで。

歌つを「新聞記事」
花 飛「出来心」
歌 橘「お血脈」
-仲入り-
ジキジキ「音曲漫談」
世之介「死神」

前座の歌つをさん、いい滑舌と発声でいいですね。
やはりどことなく師匠の歌奴師匠らしさを感じたりもするのですが、
安定した噺で聞いていて楽しかったですね。
いい前座さんにあたると得した気分になります。

花飛さんも久しぶり。
花緑一門の中で、他のお弟子さんとは少し雰囲気が違うかな?
どちらかというと淡々と噺を進めていくタイプのようにも思いますが。
今日で終わる夏休みについて、小学校3年生の娘さんが宿題に悪戦苦闘している、
というようなマクラから読書感想文の話題へ。
で、この辺は特に関係なく本題は「出来心」でした。
黒門亭で持ち時間長目だから「花色木綿」まで行くかとも思いましたが、
まぁこれはこれで。

歌橘師匠も本当にご無沙汰。
浅草にまだ足繁く通っていたころにはたびたびお見掛けしましたが。
「落語界の美肌王子」ぶりは相変わらず。
マクラでは前座のやまびこさんのポンコツにまつわる話をあれこれ。
独演会の仕事のダブルブッキングやら、「宣材」と「洗剤」の間違いなど、
まぁ笑いになるからいいんですが。
上下関係の話から、自分自身の内弟子修業時代の話、
さらには日るね改めしん乃さんの話題まで。
いやはや、これだけの人数だからできる話題なんでしょう。
本題の「お血脈」もさらっとながら、楽しい高座でした。

仲入りをはさんで音曲漫談のジキジキさん。
寄席の高座で何度も拝見していますが、黒門亭の至近距離で見ると圧がすごい。
年に1度ぐらいは黒門亭に出ているらしく、
落語協会の正会員になるためのオーディションが落語協会2階で行われたとのことで、
思い出のある会場なんだそうな。
普段なら7分程度の高座がザラだそうですが、今日の持ち時間は20分。
たっぷりと2人の演奏を楽しませていただきました。
でも、あれぐらいの広さなら音響機材は不要なのでは・・・。

トリの世之介師匠はネタ出しで「死神」でした。
マクラでなんと30分近くを費やし、終演時間も20分以上オーバー。
だからと言って冗長だったかといえばそんなことなく、
もうここぞとばかりにマクラでの過激な話題がすごすぎる。
馬桜師匠にまつわる話から正朝師匠が出てきたり、なんだかもうすごい。
本編の「死神」もところどころに遊びがちりばめられており、
普段あまりチェックしていない師匠なだけに新たな発見がありました。
そりゃ二人の女流弟子がいる師匠だもの、常人ではないですね。
死神を追い払う呪文が、
「アジャラカモクレン キュウライス 浦和は全部で8つある」
と、直前に出たジキジキのネタを使うあたりがさすが。

あまり期待せずに来た黒門亭でしたが、楽しい気分で会場を後にしました。
さて、来週は謝楽祭ですね。

恐懼謹言。
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