恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

2023/03/28 池袋演芸場 新作台本まつり(主任:弁財亭和泉)

2023年03月28日 | 噺とか
3月下席池袋は恒例の新作落語台本まつり。
かなり久々になります。
休みをとって和泉師匠の出番のこの日に。






(不明)   貫いち
絹子ちゃん  ふう丈
(不明)   ぎん志
名探偵コテン 天どん
紙切り    八楽
(不明)   あお馬
だるま    文雀
−仲入り−
皿留     彦三
隣の男    時蔵
奇術     伊藤夢葉
最悪結婚式  和泉

しかしまぁこんなに演題のわからない落語会というのも久しぶりです。
これも新作の会だからなのか。

前座の貫いちさんからもう新作。
たけのこ族やらたけのこニョッキみたいな演題がつきそうな噺。
頑張ってはいるのですが、もう一息。

ふう丈さん、こちらの新作はさすが。
演題を調べたらヒットしました。
出身地熊本に関するマクラから本題へ。
深夜のコンビニアルバイトに、
絹子さんなるお婆さんが入ってくるお話。
ふう丈らしくてとても楽しい。

ぎん志師匠はかなりご無沙汰。
謝罪会見を題材にした弁当屋さんの噺。
演題わからず。盛り上がりはもう一歩。
もっとお見かけする機会があってもいいなぁと。

天どん師匠は名探偵コテン。
落語に詳しい人は楽しめるだろうなぁと。
白鳥師匠やら、新作に関するネタも散りばめられていて楽しい。
おそらく今日で1番の盛り上がり?

八楽さんは鋏試しでお嫁さん。
大谷翔平とくまモンを切りました。
話芸も紙切りもきっとこれからですね。
熱意はすごく感じる高座。

あお馬さんは古典ですが、
誰もやり手のない速記物から。
調べてみたのですが演題がわかりません。
芸者を見受けしようとする旦那、
これに迷って友人に相談すると、
試しに心中をすると持ちかけてみなさいとアドバイス。
これに従って上野清水堂の桜の木で首吊りをすることに…という展開。
なんとなく厩火事と似ているような。
引き込まれる一席でした。

仲入り前は文雀師匠。
選挙事務所を舞台にした新作。
落選した候補の事務所にあったダルマに秘書が目を入れると、
そのダルマが人間になって恩返しに来る、
というストーリー。
楽しい一席でした。

彦三さんは皿留という大岡モノ。
調べると正雀師匠のネタのようですね。
この人の語り口がとても淡白なのですが、
ストーリーはとても楽しい。

時蔵師匠は別日にトリネタでやる隣の男。
これも今日聞いた新作の中ではとてもよくできた噺だなと感じました。
幽霊ネタは台本の題材にもなりやすいのかもしれませんが、
それでもちゃんと作り込まれていないと。

和泉師匠の最悪結婚式。
2019年の入賞作とのことで、
和泉師匠はこの日がネタおろしだそうで。
結婚式当日に花嫁が逃げてしまって、
というこちらもありがちな展開から始まるのですが、
話の展開とともにおかしな方向へ。
登場人物の描き方も和泉師匠の新作に出てくるような感じで、
とてもよく合っていると感じました。
20分ほどの本編でしたが、
よくまとまっているな、と。

観客数もほどよい池袋演芸場。
マスク着用の強制もなくなり、
ちらほらノーマスクの人も。
のんびりゆったり楽しめる寄席。
そろそろそんな環境が戻ってきましたね。

恐懼謹言。




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2023/03/04 三遊亭歌る多 講演と落語の会

2023年03月04日 | 噺とか
純粋に落語ということではなく、
講演と落語がセットになった無料の会が目に留まり、
早々に予約して行ってきました。
80人満員ということで盛況でした。
会場は文京区男女平等センター。
普段ならあまり縁のなさそうな所ですが、
こういうことについて知見を広めるのもよかろう、ということで。

講演「女性落語家 真打への道
   〜セクハラ・パワハラを超えて〜」
−仲入り−
手紙無筆  二之吉
替り目   歌る多
(踊り かっぽれ)

講演は約45分間。
男女雇用機会均等法が制定される以前、
親の反対を押し切って先代圓歌に入門した歌る多師匠のエピソードを中心に。
セクハラやパワハラの概念のない時代、
様々な苦労をするものの、
自分がなりたくてなった噺家の道、
自分なりの考えと信念をもとに、
それらを乗り越えていくエピソード。
明言はされませんが、
意識しているなかな、と感じました。
落語会の常識は世間と10年はズレている。
という歌る多師匠。
これらを肯定するのではなく、
少しずつ改善していかねば理解は得られないだろうとして講演を結びました。
噺家さんの講演だけあって、
笑いもあって楽しい45分間でした。

休憩後に落語へ。
開口一番は二之吉さん。
軽くマクラと小噺から入って手紙無筆へ。
しっかり笑いをとって楽しい一席。

いつもの寄席スタイルの歌る多師匠、
先ほどの講演の内容と絡めて酒の話。
お酒のお付き合いって大事なんですね。
そこからたっぷりと替り目でした。
よくある前半で切るパターンですが、
本来の下げの由来まで説明されました。
噺の後には景気良くかっぽれでお開き。

講演では普段聞かないエピソードが聞けたことと、
落語も2席ながら楽しく拝聴しました。
これで無料ならいいですね。

とはいえ、区として行う男女平等の理解を広める講演としては正直、??です。
過去はこうだった、私はこうだった、というだけでは未来には繋がらないように思います。
古い制度の残る伝統芸能の世界で、
どうしたら男女平等を実現できるのか、
セクハラやパワハラをどうやって根絶していくのか、
そういう提言があれば良かったかなと。

落語のイベントとしては満足。
男女平等について考える講演会としてはもう一声、という気がします。

恐懼謹言。

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2023/03/01 国立演芸場(主任:柳家さん喬)

2023年03月01日 | 噺とか
2月は全く落語に触れることができず、
久しぶりに寄席に足を運びました。
3月上席の国立演芸場はさん喬師匠のトリ。
おまけにネタ出しと来ているので、
演目を見て初日に予約。
かつて復活した直後の黒門亭で、
小袁治師匠から聞いて以来の柳田格之進。
客席は半分ぐらいの入りでゆったり。


子ほめ    小きち
寿限無    やなぎ
紙切り    楽一
好きと怖い  歌奴
強情灸    志ん彌
−仲入り−
雛鍔     さん助
ギター漫談  ペペ櫻井
柳田格之進  さん喬

前座の後のやなぎさん。久しぶりです。
寿限無に入って特に何もなく過ぎるのかなと思っていたら、
通常のサゲではなくその後はオリジナル?
どういうわけか北海道の船の話に繋がり、
下げるという変化球でした。
油断していただけに楽しい一席。

楽一さんは鋏試しに馬。
続いて、大相撲・ひな祭り・柳田格之進・舞妓さんの花見、を切られました。

歌奴師匠、今年で閉鎖になる国立演芸場の思い出をあれこれと。
寄席でも珍しく風呂があるんだそうな。
内弟子時代にたびたび入ったそうな。
そこから定番の、好きと怖い。
客席も沸いていました。

さん助師匠、たびたびお見かけしますが、
楽しい高座ですね。
雛鍔も耳にする機会は多くないものの、
子どもの弾けっぷりとか、
夫婦の掛け合いが愉快でお見事。

トリのさん喬師匠はネタ出し、
長講45分の柳田格之進でした。
さん喬師匠の流麗な語り口と、
風景・人物描写に引き込まれます。
以前、小袁治師匠で聴いた際には、
最後の部分が碁盤をぶった斬るシーンで終わったように記憶していますが、
その後のエピソードまで続きました。
こちらの方が最後にホロっとくる、
そんな印象を受けます。
初めてならこのパターンの方がいいかも。
小袁治師匠の型も終演後の余韻があっていいのですが、
とにかくあっという間の45分間でした。

他の寄席に比べると時間も短い国立。
これぐらいの時間がちょうどいいかもしれません。
今日はさん喬師匠の満足度が非常に高く、
仕事をさっさと上がって足を運んだ甲斐がありました。

3月はもう少し寄席に足を運べそうです。

恐懼謹言。



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