我々の周りにはたくさんの工業製品が出回っているのですがその性能や定格などのバラつきの許容範囲は有る程度定められているものと思います。
それでも無線機などは同じ品番の物でもノイズの量が微妙に違ったりロットによってバラつきも出てまいります。
今回はギターで改めてその大きさを認識しました。
先日沢山のギターを試してみる機会がありました、自分でも音を出してみましたが腕の良いプレーヤーが試してくれました。
アメリカ製の名機、スタンダード、と呼ばれるギターを中心に音を出してみました。
2016年モデルとして一部改良された新品の物はビックリするほど音が出ません、全体に籠った感じで弦の音だけがうるさく感じます。
同じ新品で昨年のモデル、こちらは少し音は出ますが何か薄っぺらな音です。
今度は世界中のスタンダードでフォークギターのお手本と呼ばれるメーカーの標準機種を弾いてみました。
高音部が綺麗に鳴りバランスの良い音がします、しかしこの機種の特徴である豊かな低音が出てきません。
「弾き込めばよくなりますか」と聞いた所「少しは」と言う返事です。
木製の工業製品とはこんなものでしょうか。
以前は輸入総代理店の楽器店が選別し合格した物だけを市場に出していたそうでが、最近は選別せずに出荷し仕入れた店でランク付けを行い価格を決めているそうです。
上のランクの物はお店で販売し価格も高く、下のランクの物はお得なお値段になるそうです、同じお店で同じ楽器で値段が違うのはこう言う事情が有るようです。
インターネットで買えるお安くなった物の多くはそうした事情の製品のようです。
写真の物は輸入会社が選別していた時代の物でその中でも良いランクの物だそうです。
これは聴いただけで違いが分かりました強い腰の有る低音ときらびやかな高音、それのバランスが取れていて何とも気持ちの良い音です。
強く弾けばジャキッとした歯切れの良いトーン、指で優しく弾けば明るい音が響いてきます。
この辺の事情は工業製品であるだけではなく良質の木材が入手しにくくなった事、ベテランの職人の不足などにも原因があるようです。
インターネットで何でも買える便利な時代ですがこの様な製品は実際に手に取って確かめて買う事が大事な事だと再認識しました。