「台湾の声」【黄文雄】習近平の「救世主化」と天皇利用への警戒
【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」】より
黄 文雄(文明史家)
◆習近平を「新型コロナ封じ込めの英雄」として祭り上げ始めた中国
習近平の中国が、ついに「世界は中国に感謝すべきだ」と言い始めました。3月4日、国営新華社通信が
同様のタイトルで「中国の巨大な犠牲や努力なくして、世界各国は感染と戦う貴重な時間を得ることはで
きなかった」と書いたのです。
しかも中国外務省の趙立堅報道官は3月13日までに、ツイッターで「武漢に感染を持ち込んだのはアメ
リカ軍かもしれない」ともつぶやいています。中国は責任転嫁をして、習近平が新型コロナを封じ込めた
英雄として祭り上げようとしています。
ある意味で、これはきわめて「中国的」です。中華の地は世界の中心であり、中華皇帝の徳を周辺の夷
狄(野蛮人)に及ぼすことで、夷狄も人間に近づくと考えるのが中華思想だからです。実に中国らしい。
1793年、イギリス初の中国使節として清の乾隆帝に謁見したジョージ・マカートニーは、両国の貿易改
善交渉と条約締結を申し入れたが、乾隆帝は「清朝は地大物博(広大でなんでもある)だから、イギリス
から買いたいものはない」とこれを拒絶し、「欲しい物があれば恵んでやる」と言い放ちました。
現代の中国皇帝、すなわち習近平が新型コロナウイルスを退治した、だからその皇恩を野蛮人たちにめ
ぐんでやるというのが、中国のメンタリティなのです。
◆「感染のピークは超えた」として人民の不満を回避
中国政府は中国での感染のピークは超えたと発表しました。
武漢では、市のトップが習近平への感謝の気持を感じるための教育を市民に広める指示を行ったという
ことで、SNSなどで批判を浴びていますが、他県もふくめて、中国国内では中国共産党は、習近平政権
が新型コロナウイルスを退治したと盛んに宣伝しています。
もちろんそれは嘘で、単に新たな感染者をカウントしなくなっただけでしょう。また、春が近づき気温
が上昇したことで、ウイルスの感染力が弱まったこともあるかもしれません。
しかし、そうした自然的な条件もすべて利用して「偉大なる領袖の指導力」を鼓吹するのが中国共産党
であり、また、中国の「天命思想」にもとづく皇帝制度なのです。
儒教では天にいる天帝が人間の中から徳のある者を「天子」として選び、人間界を統治させるという考
えがあります。これが天命思想ですが、その徳が衰えて「不徳」になれば、天帝は別の人間を天子に選び
ます。これが「易姓革命」の理論です。
徳の衰えた天子は、次の徳のある新しい天子にその座を譲る。それが儒教の説く「禅譲」であり、前漢
末期に王莽がこれを利用して帝位の簒奪を正当化し、禅譲の儀式を行ったわけです。以後、易姓革命が正
当化されて、王朝交代時には禅譲の儀式が行われるようになりました。
いずれにせよ、徳がある天子でなくては、いつ易姓革命が起こるかわかりませんから、皇帝が「不徳」
となるような事実は徹底的に隠されるのです。だから、どんなに感染者や死者が増えても、一度、「ピー
クを超えた」と発表した以上、感染者の増加スピードは「落ちている」ということになります。
そして、人民を救ったのは習近平だという賛美が始まるわけです。習近平政権は、今回の新型コロナウ
イルス問題で、武漢市のある湖北省に300人もの記者を投入し、感染の封じ込めにあたり、感動話を集める
ように指示しています。
「習近平政権の善政によって人々が救われた」というストーリーを演出し、人民の不満を回避するのが
目的です。
こうした異常なまでの習近平礼賛は、今後、中国経済の暴落が不可避になればなるほど大きくなってい
くでしょう。
◆日本は中国の「今上天皇の訪中要望」を警戒せよ
今回、習近平の国賓待遇での来日は延期されました。しかし、習近平はいずれ訪日した際に、「自分こ
そが世界の救世主」だということをアピールするはずです。また、日本がそのお墨付きを与えてしまう可
能性もあります。
1989年の天安門事件後、西側諸国の経済制裁にあえいでいた中国は、天皇訪中を日本側に持ちかけ、19
92年にそれを実現させることで西側諸国の制裁を解いていきました。ところがそのように天皇を政治利用
して経済制裁解除を勝ち取った中国は、次第に反日を強め、反日教育が行われるようになっていったわけ
です。
新型コロナウイルスが一段落し、習近平が国賓来日した場合、ウイルスの発生源として世界中から非難
されている状況を脱するために、天安門事件後の天皇訪中と同様に、再び天皇を政治利用してくる可能性
があります。つまり今上天皇の訪中を要望してくるかもしれないということです。
日本の天皇陛下が中国をご訪問すれば、「中国は安全」という印象を世界に植え付けることできるから
です。
日本人はそのことを強く警戒する必要があります。
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台湾の声
【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」】より
黄 文雄(文明史家)
◆習近平を「新型コロナ封じ込めの英雄」として祭り上げ始めた中国
習近平の中国が、ついに「世界は中国に感謝すべきだ」と言い始めました。3月4日、国営新華社通信が
同様のタイトルで「中国の巨大な犠牲や努力なくして、世界各国は感染と戦う貴重な時間を得ることはで
きなかった」と書いたのです。
しかも中国外務省の趙立堅報道官は3月13日までに、ツイッターで「武漢に感染を持ち込んだのはアメ
リカ軍かもしれない」ともつぶやいています。中国は責任転嫁をして、習近平が新型コロナを封じ込めた
英雄として祭り上げようとしています。
ある意味で、これはきわめて「中国的」です。中華の地は世界の中心であり、中華皇帝の徳を周辺の夷
狄(野蛮人)に及ぼすことで、夷狄も人間に近づくと考えるのが中華思想だからです。実に中国らしい。
1793年、イギリス初の中国使節として清の乾隆帝に謁見したジョージ・マカートニーは、両国の貿易改
善交渉と条約締結を申し入れたが、乾隆帝は「清朝は地大物博(広大でなんでもある)だから、イギリス
から買いたいものはない」とこれを拒絶し、「欲しい物があれば恵んでやる」と言い放ちました。
現代の中国皇帝、すなわち習近平が新型コロナウイルスを退治した、だからその皇恩を野蛮人たちにめ
ぐんでやるというのが、中国のメンタリティなのです。
◆「感染のピークは超えた」として人民の不満を回避
中国政府は中国での感染のピークは超えたと発表しました。
武漢では、市のトップが習近平への感謝の気持を感じるための教育を市民に広める指示を行ったという
ことで、SNSなどで批判を浴びていますが、他県もふくめて、中国国内では中国共産党は、習近平政権
が新型コロナウイルスを退治したと盛んに宣伝しています。
もちろんそれは嘘で、単に新たな感染者をカウントしなくなっただけでしょう。また、春が近づき気温
が上昇したことで、ウイルスの感染力が弱まったこともあるかもしれません。
しかし、そうした自然的な条件もすべて利用して「偉大なる領袖の指導力」を鼓吹するのが中国共産党
であり、また、中国の「天命思想」にもとづく皇帝制度なのです。
儒教では天にいる天帝が人間の中から徳のある者を「天子」として選び、人間界を統治させるという考
えがあります。これが天命思想ですが、その徳が衰えて「不徳」になれば、天帝は別の人間を天子に選び
ます。これが「易姓革命」の理論です。
徳の衰えた天子は、次の徳のある新しい天子にその座を譲る。それが儒教の説く「禅譲」であり、前漢
末期に王莽がこれを利用して帝位の簒奪を正当化し、禅譲の儀式を行ったわけです。以後、易姓革命が正
当化されて、王朝交代時には禅譲の儀式が行われるようになりました。
いずれにせよ、徳がある天子でなくては、いつ易姓革命が起こるかわかりませんから、皇帝が「不徳」
となるような事実は徹底的に隠されるのです。だから、どんなに感染者や死者が増えても、一度、「ピー
クを超えた」と発表した以上、感染者の増加スピードは「落ちている」ということになります。
そして、人民を救ったのは習近平だという賛美が始まるわけです。習近平政権は、今回の新型コロナウ
イルス問題で、武漢市のある湖北省に300人もの記者を投入し、感染の封じ込めにあたり、感動話を集める
ように指示しています。
「習近平政権の善政によって人々が救われた」というストーリーを演出し、人民の不満を回避するのが
目的です。
こうした異常なまでの習近平礼賛は、今後、中国経済の暴落が不可避になればなるほど大きくなってい
くでしょう。
◆日本は中国の「今上天皇の訪中要望」を警戒せよ
今回、習近平の国賓待遇での来日は延期されました。しかし、習近平はいずれ訪日した際に、「自分こ
そが世界の救世主」だということをアピールするはずです。また、日本がそのお墨付きを与えてしまう可
能性もあります。
1989年の天安門事件後、西側諸国の経済制裁にあえいでいた中国は、天皇訪中を日本側に持ちかけ、19
92年にそれを実現させることで西側諸国の制裁を解いていきました。ところがそのように天皇を政治利用
して経済制裁解除を勝ち取った中国は、次第に反日を強め、反日教育が行われるようになっていったわけ
です。
新型コロナウイルスが一段落し、習近平が国賓来日した場合、ウイルスの発生源として世界中から非難
されている状況を脱するために、天安門事件後の天皇訪中と同様に、再び天皇を政治利用してくる可能性
があります。つまり今上天皇の訪中を要望してくるかもしれないということです。
日本の天皇陛下が中国をご訪問すれば、「中国は安全」という印象を世界に植え付けることできるから
です。
日本人はそのことを強く警戒する必要があります。
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台湾の声