沖縄・台湾友の会

《台湾に興味のある方》《台湾を愛する方》《不治の病・台湾病を患ってしまった方》皆んなで色々語り合いたいものです。

習近平の目玉だったCPEC(中国パキスタン経済回廊)のいま   一帯一路。砂漠に壮大な廃墟を建設、資金は汚職で消えていた

2020-03-13 22:14:17 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和弐年(2020)3月10日(火曜日)
         通巻6395号  <前日発行>
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 習近平の目玉だったCPEC(中国パキスタン経済回廊)のいま
  一帯一路。砂漠に壮大な廃墟を建設、資金は汚職で消えていた
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 パキスタンはIMFと救済案件を交渉し、60億ドルの救済が認められた。1980年以来、パキスタンのIMFとの交渉は13回目。未払いは常習。このままでは中国主導の一帯一路プロジェクトの重要案件は途中で打ちきりになりそうだ(『ザ・タイムズ・オブ・インディア』、3月8日付け)。

 IMFが60億ドル救済という意味は債権者が80%の債権放棄を意味する。当初、パキスタンは中国に追加融資を要請したが、「出来ることは何でも協力する」とのリップサービルを聞かされただけで、実際の繋ぎ融資はサウジとUAEが、土壇場で救済に乗り出した。つまり蜜月と言われたパキスタンと中国の関係は冷却している。

 中国が世界的規模で、その政治的経済的な影響力の増大を意図し、全世界に持ちかけてBRI(一帯一路)プロジェクトの目玉、最大の投資が、このパキスタンに行われていた。計画では620億ドル。現実に中国が投下した金額は190億ドル。賄賂が横行し、ふたりの前首相が刑務所に入り、壮大な「中国の夢」は砂漠の砂嵐とともに去った。

 パキスタン西南部のグアダールを拠点に石油とガスのパイプライン、高速道路と鉄道、光ファイバー網を構築し、中国のカシュガルへ繋げる。これが鳴り物入りの壮大なプロジェクト「CPEC」(中国パキスタン経済回廊)の全貌だった。習近平の目玉だった。

 工事中から労働者の賃金不払い、セメントなど建設材料の横流し、建機の盗難、鉄道工事も途中からレースが盗まれ鉄くずに売られ、政府高官は賄賂が幾らなのかという意識しかなかった。

 現場を取材した香港の特派員が「建築現場は高いフェンスで囲まれているが、内部には茶色の沙が積み上がり、輝いているのは雲母の破片だけ、砂埃、砂嵐。労働者が不在、輸出加工区、工場建設予定地も砂の中に埋もれそう」と実態をレポートした。

 港湾にはパキスタン海軍のフリゲート鑑が一隻だけ。カラチとの定期貨物船が行き来するはずなのに、商業船は見あたらないという。

港湾沿いに建設中の空港は、三年前に完成予定だった。いま、三分の一ほどの工事しか進んでおらず、パキスタン政府の公式見解に拠れば『全体の三分の一が完成した』とする。それなら、残りは?

 ましてやグアダール港の位置はイランに近く、住民はバロジスタン。独立精神が旺盛で武装ゲリラが中国人を拉致・誘拐したり、労働者を殺害したり、ついには中国が建設した豪華ホテルを襲撃し、五人を殺害した。

 こうした動きを驚異的に見ているのが近隣のスリランカ、モルディブ、そして中国資本の浸透が甚だしいネパールとバングラデシュである。

ついに始まった中国発「世界同時恐慌」   日本は心理的恐慌。「経済的な肺炎」を罹患した

2020-03-13 22:12:40 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和弐年(2020)3月9日(月曜日)弐
         通巻6394号
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 ついに始まった中国発「世界同時恐慌」
  日本は心理的恐慌。「経済的な肺炎」を罹患した
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 武漢肺炎をWHOは「コンビット19」としたが、「武漢」とか、「中国」とかの名称を避けたのは作為的である。米国は中国起源を明確化するため「武漢コロナ」と命名した。
 わかりやすく言えば「中国発伝染病」のコロナウィルス災禍であり、中国の隠蔽が災いして、全世界を恐怖に陥れた。
米国はいちはやく中国便を全面停止していたが、それでも西海岸ばかりか、ニューヨークでさえ、感染が拡大、同州は「非常事態」を宣言した。

 ところが、中国では「個人の生活が厳重に監視されているから、却って安心」と、本末転倒の議論が起きているという。町を歩いても、交差点に設置された高速測定カメラなどが顔面識別ばかりか、体温測定ができて、どの歩行者が37・5度以上かを判定する。監視大国ならではのシステムだ。

中国では飛行機乗客はもちろん、新幹線、長距離バスは以前からIDカード提示だが、イベントは軒並み中止、全土に七万ある映画館も閉鎖されていた。三月初旬に、ようやく北京で一部が再開したが、実名登録が必要となった。映画を見るのに、登録が必要な国とは、よほどのことである。日本でそんなことをしたら、映画館に行く人はいなくなるだろう。日本では身分証明証がなくても飛行機に乗れるし、新幹線はそれさえ無用だ。

 中国では、もともとホテル宿泊もIDカード必携、外国人の場合は、(盗聴設備がないところは)宿泊が出来ないことになっている。
実際に筆者も体験があって、内蒙古省の赤嶺とか、早朝に汽車でついて駅前のホテルに休憩したが、宿泊に切り替えようと要請すると、「外国人は宿泊できないことになっています」。「なぜ?」「そういう規則です」。

西側は逆である。プライバシーが尊重されるため、技術的には可能でもモニタリングには神経を使う。いや、使いすぎる。たとえば英国バークレイズは、社員の行動をモニタリングし、非効率な働き方をする社員に警告をしてきたシステムを、プライバシー監視と批判されたため撤廃した。


 ▼真実を伝えたら突如拘束される

 言論弾圧も、情報の隠蔽、操作とともに凄まじい。
死者が3000名を超えたことは当局も認めたが、巷間言われているのは、「少なすぎる、その十倍ではないか」と公式発表への疑念である。
なにしろ天安門事件を「なかったこと」にしたほど隠蔽と情報操作には天才的な得意技を持つから、犠牲者数の誤魔化しなんぞ朝飯前である。

真実を報じようと武漢へ入ったフリーのジャーナリストや、意見を述べた弁護士、学生らが「失踪」している。それもかなりの人数、とどのつまり偽造ニュースを見破られるのがいやなのだ。これは中国共産党の情報一元支配という原則に基づいた常套手段、言論弾圧の拡大である。

注目されたのはフリーの崔永元(ファンビンビン脱税をスクープした)で、一時はCCTVのキャスターだった。2018年からフリージャーナリストとして活躍し、2020年2月から武漢に入っていた。隔離病院、火葬場を取材し「真相」を取材していて拘束されたという。

弁護士の陳秋実は、1月24日から武漢に入り、病院の混乱ぶりなどを取材していたが、2月上旬に「失踪」となった。当局が「強制隔離」したとの情報がある。
北京の「外国人特派員協会」(FCCC)は記者査証(ビザ)を盾に外国人記者を脅迫しているとし、ウォールストリートジャーナル、BBCなどが国外追放処分となったほか、1年のビザを半年に短縮されたものが12人いるという。

ポンペオ米国務長官は、この事態を重く見て、「中国の国民が米国民と同様に正確な情報と言論の自由を享受できるよう望む」と発言した(2月19日)。

 日本も激甚な被害を受けた。
 いや、中国を除くと、日本の被害が世界でももっとも深刻かも知れない。
 中国人の入国を規制しなかった結果、感染者が増え続けた。これが最大の失敗で、一説に中国から執拗な政治圧力があって、アメリカ同様の措置がとれず、対策が後手後手になったからだともいう。

 しかし根本の誤謬は、日本が国防力に弱く、危機管理能力が常日頃から脆弱だったという軽武装で平和惚け国家の軟弱な体質にあり、くわえて官庁の縦割り行政と縄張り意識が弊害となった。
左翼メディアは安部批判に問題をすり替え、テレビは恐怖を煽るからトイレットペーパーの買い占めという珍現象まで産んだ。

日本経済は2019年第四四半期、消費税導入による消費の落ち込みで、GDPマイナス6・3%という衝撃だったが、これはコロナウィルス災禍前のことであり、以後はもっと悪化するだろう。


 ▼日本経済の落ち込みはこれからが本番

日本経済の凋落は株価大下落をみていても了解できる。
自宅待機、在宅勤務、学校は休校となり、昨日(3月8日)から始まった大相撲大阪場所も、春の高校野球選抜も無観客体制。イベントは軒並み中止、東京五輪は開催そのものが危なくなった。プロ野球も無観客とし、これらの被害額は巨額、とくにフリーの舞台装置、楽屋関連は月収が十万円以下というのがザラだと言う(日経新聞、3月7日夕刊)。
政府は倒産の危機にある中少零細企業へ、無利子、無担保の融資を実行するとした。

 ところが、日米株価大波乱の時期に、中国の株は上昇していたというから摩訶不思議なことが起こるものである。さすが情報操作大国だ!
上海株が「下落しなかった」。2月4日、旧正月明けに株価指数は2685・27だった。それが2月21日、世界が大騒ぎで株価下落に陥落する直前に3058・30に上昇していた。当局が投資家に「売るな」と厳命し、金融機関が無理矢理、株を買っていたからである。

日本の経済的陥没の第一幕、すなわち最初の悲鳴はインバウンド業界からあがった。
 二月末、宮崎市で筆者自身が目撃したこと。巨人のキャンプでもの凄い人である季節なのに、深閑として大通りに人影なく、レストランもガラガラ、「八紘一宇」の巨大なモニュメントのある平和台公園は、「いつもなら中国からのツアー客でバスが数十台駐車していますが、みて下さい。バスは一台もいないでしょ」とは乗ったタクシーの運転手のぼやき。

宮崎市から鹿児島県国分へ向かう特急は一車両に六、七人しか乗っていなかった。鹿児島でもホテル客は半分、朝の食堂の空いていること!

 霧島神宮にも観光客がいない。ホテルは個人客こそ多少あるが、団体客はいないようだ。とくに中国、韓国からの団体はゼロ。宴会場も空洞、ホテル全体が幽霊屋敷のようだった。

パートやアルバイトはレイオフ。しかし受付はなぜか中国人女性ばかりだ(いかに中国人ツアーが多かったか。彼らへの対応のため中国人スタッフを雇用していた。そしてツアー客がいなくとも、契約上、彼女たちは雇用し続けなければならない)。

この状況は日本全土に普遍的で、とりわけ北海道と大阪はホテル客半減か、それ以下。道頓堀には「武漢頑張れ」という旗が立っている。

ディズニーランドも上野動物園も、国立歴史博物館も休園、休館となり、次に被害が及んだのは、バス会社、ガイド、通訳。契約しているレストラン、土産屋(ラオックスもマツモトキヨシもヨドバシもドンキホーテも空いている)。バスのチャーターは殆どがキャンセル、運転手さんは手も持ち無沙汰。

盛り場の赤坂、六本木、銀座、池袋は人出が30%減、JR山手線も地下鉄も空いている。ということは娯楽施設、映画館、パチンコ、喫茶店、はては風俗業界まで、客足が遠のいた。表面的な観察だけで観光関連に絞り込んで見ただけでも、これだけ悲惨な状況、株価が下落し続ける。
札幌の人通りの無さ、まるで武漢のようだ。


 ▼トヨタ70%減、ホンダは85%減という衝撃

 自動車販売の悲惨が続く。一月の速報で中国の新車販売は19%減とでたが、二月になると、トヨタは中国で70%減、ホンダはじつに85%減となって、強気の工場拡張が裏目にでた。コマツも中国で工事が止まっているため30%の売り上げダウンという。

部品製造の下請けも中国、それも武漢に集中して進出したため、生産ラインが止まれば、出荷もできない。いや部品を造るにも材料が必要であり、その原材料が素材、輸入に頼る製品は代替品への切り替えが難しい。武漢には自動車部品メーカーが三百社以上も進出し、半導体メーカーと並んでいた。

中国の輸出、1月から2月の統計で17%減、米国の対中貿易赤字は自動的に8%ダウンだという。

武漢はとくにIT関連のメッカ、五次にわたったANAチャーター便で湖北省の」武漢から帰国した日本人の多くは、自動車と半導体製造メーカーのエンジニア、マネジャーだった。

ということは中国で自動車と半導体のサプライチェーンが事実上止まっていると考えられないか。六割の労働者がもどり工場が再開した企業が多いという中国大本営発表も明らかに嘘である。
げんに中国で最終組み立てのアップルは、一万二千人の自宅勤務に踏み切った。

国民党執行部に世代交代が起きて48歳の立法委員が当選   党勢回復に程遠いのが現実、選挙マシンの再構築が急がれる

2020-03-13 22:09:52 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和弐年(2020)3月8日(日曜日)弐
         通巻6392号
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 国民党執行部に世代交代が起きて48歳の立法委員が当選
  党勢回復に程遠いのが現実、選挙マシンの再構築が急がれる
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 国民党執行部に世代交代が起きた。
48歳の江啓臣(三期当選の立法委員=国会議員)が68%という絶対多数の得票率を得て、古い国民党の代表格・赫龍武(68歳 元台北市長)を破った。

赫の父親は元参謀総長、元行政院長(首相)の赫柏村で、李登輝最大の政敵だった。父の赫は李登輝に対抗し、当時は国民党をわって、本省人政治家の林洋港を立候補させて総統選に臨んだが、李登輝に惨敗した。
その息子の赫龍武は米国大学留学後、政界に入り、新党(中華思想丸出しの外省人二世達が政党を組織)の中核メンバーだった。数年も経ずして、新党は雲散霧消、国民党に復帰して立法委員を二期。台北市長にも一度当選した。

新しく国民党主席となる江啓臣は、中部豊原出身で、台北大学から米国留学、連続三期当選組だ、過去の選挙では初回と二回は辛勝。三回目の選挙では民進党候補を寄せ付けずに圧勝だった。江は「隠れ台湾独立派」と言われる。それゆえ従来は習近平からの祝電が新主席には届いたのだが、今回は未着という。

さて、この時期に国民党が執行部を入れ換えたのは本年一月十一日の台湾総統選と立法委員(国会議員)選で大敗したためである。執行部の交代が求められたからだ。

馬英九、呉敦義など古い国民党の支配者的体質に染まった政治家も多いが、表向き「親中路線」を掲げながらも「一国両制度」には反対するという党内事情がある。国民党は蒋介石的伝統をとうに捨てて、本省人が主流を占めており、古い体質からの脱皮が模索されてきた。

江啓臣は若さをアピールし、世代交代でしか党改革は出来ないと訴えてきた。
とはいえ国民党は党勢回復に程遠いのが現実で、選挙マシンの再構築が急がれるが、台湾国民はすでに親中路線を嫌っており、支持率は低迷し続けている。

そのうえ与党・民進党にも飽き足らない層が増えており、新党の「時代力量」と「台湾民衆党」が若い世代を引きつけているのが現実である。


 おっと、こんな手口もあった。中国のM&Aが安全保障を脅かすなら   トランプ政権、買収済みの米企業の売却を中国企業に命令

2020-03-13 22:08:58 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和弐年(2020)3月8日(日曜日)
         通巻6391号
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 おっと、こんな手口もあった。中国のM&Aが安全保障を脅かすなら
  トランプ政権、買収済みの米企業の売却を中国企業に命令
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 世界のホテルの予約(90000部屋)から管理、スマホでも予約が出来て、カード決済が出来るソフト開発の大手「ステインタッチ」(Stay N Touch)は米国で誕生し急発展してきた。
 マリオット、インターコンチから地方都市のビジネスホテルまで、夥しいホテルと契約している。

2018年、当該のステインタッチ社は、中国北京に本社のある「北京中長石基信息技術」に買収された。

 北京中長石基信息技術は1998年に北京で設立された新企業ながら、すでに世界70ヶ国に拠点を構え、中国全土に40の支社。急発展に目を付けたアリババが15%の株主である。
契約ホテルは六万、全体の従業員は3000名。日本で云うとじゃらん、楽天、一休を併せた規模だろうか。

 3月6日、トランプ政権は国家安全保障の観点から、この買収は顧客の宿泊状況やクレジットカードの詳細などが抜き取られると、米国の安全にとって脅威となると判断し、120日以内に売却するよう命じた。

 法律の淵源が何か、大統領命令で片付けられるとすれば、国防権限法との整合性が何処にあるか、等の法律議論もあるが、いちど買収した企業の売却命令は、いかにもアメリカらしい。日本でも同様な法整備ができないか、検討に値することではないだろうか。