大秘境にそびえる山岳霊場―
「日本一危険な神社」を参拝する!
「日本一危険な神社」と呼ばれている太田山神社をご存知でしょうか。
道南・せたな町大成地区というものすごい秘境に存在するこの神社は北海道最古の山岳霊場とされており、標高485メートルの太田山の中腹に本殿が存在しています。
本殿までの道のりは恐ろしいほど険しいという噂で、急な階段に高低差の激しい山道、さらには崖を垂直に登るといった試練が次々と襲いかかり、素人には参拝は難しいといいます。
道中は常に登山用ロープが張られており、滑落や落石の危険に怯えながら進まなくてはならず、冗談じゃなく命の保証ナシという、とんでもない神社らしいのです。
例によって私はこの場所に行ってみたいと数年前から思い続けておりました。
秘境の神社なので、札幌から公共交通機関を使っての訪問は到底ムリ。車をゲットしたら真っ先に行こうと考えていた場所です。
5月に念願の愛車を手に入れ、今年こそついにそのチャンスが。
8月のとある休日、車中泊をしながらの1泊2日の参拝旅へと出発しました。
お待たせしました。2016年夏の旅、スタートです。
8月6日(土)。
早朝5時に札幌を出発。
愛車エリオ君に毛布を積み込み、ひとり小樽方面へ向かいます。
運よく週末は快晴の予報。車窓から見る日本海は美しく透き通っていました。
ここ数週間、この日を楽しみに仕事を頑張って来た感じです。今年は夏を満喫できますかね?(^O^)
いきなりガソリン切れのピンチ、さらに道を間違えてトーマル峠とかいう無人の山道に迷い込んだりと色々ありましたが、8時ごろに積丹半島を抜けて岩内へと到着。
道の駅の駐車場で朝食を食べ、再び出発。
9:39 道の駅「みなとまーれ寿都」に到着
延々と海沿いの道を走って来たけど、寿都の海がこんなに綺麗だとは思わなかったなぁ~。(写真無くてすいません…)
風力発電の近くで一回休憩すればよかったかな。
それにしても、やはりせたな町は遠い。
車通りがそれほど無いので、景色を楽しみながらマイペースに運転し続け…。
10:50 ようやくせたな町へ。
しかし、目指す太田山神社はまだまだ遠い。
市街地を抜け、峠を超えた後に国道を逸れます。
大成集落の細い道を抜けた後、さらに奥の太田集落へと進む。
道路は車1台通るのがギリギリの箇所があったりと、次第に秘境の雰囲気に。
片側1車線の部分もありますが比較的新しめで、路肩に目をやると旧道らしき細道が草に埋もれています。
ここ…つい最近まで車で行くのも容易でない僻地中の僻地だったのではないか。
新しそうなトンネルを延々と越えていくと、視界が開けました。
11:57、山の麓の太田集落に到着しました。
家はポツリポツリと数えるほどしか存在しません。
道路が整備されるまで、ここの方々の交通手段は船しか無かったのでは…。
細道を延々走ってたどり着いた先は、驚くほどの大秘境でした。
そしてそびえ立つ岩山、あれこそ神社のある太田山です!!
…海が驚くほど透き通っています。
車を降りてみると予想以上に暑い。山の方からセミの大合唱が聞こえてきます。
集落から少し離れた道路沿いに、太田山神社の拝殿が建っていました。
太田山神社の創立は嘉吉年間(1441~1443年)といわれています。
もともとアイヌの人々から航海の神「オホタカモイ」が宿る山とされていた太田山。亨徳3年(1454年)に松前藩の祖、武田信広公に太田大権現の尊号を与えられ、太田山神社は航海の安全を願う場として信仰されてきました。円空などの僧侶や松浦武四郎などの探険家も訪れているほか、阿部比羅夫の伝説も伝わっているそうです。
…ところで円空といえば秘境・小幌駅を思い出します。道内の秘境には円空の伝説が多い。
拝殿より太田山神社の全景を望む
…え~、山のふもとに参道入り口の鳥居が見えます。
そしてゴールとなる本殿は山のはるか上部、岩肌の中腹辺りのようです(^_^;)
かなりの高低差がありますね…そして予想以上の急斜面。
信じられない事に本殿が見えます。
断崖絶壁に小さく開いた洞窟のような部分、そこに向かって小さな橋とクライミング用の鎖が続いているように見えます(!!)
本殿は結構ヤバい場所にあるという話は聞いていたのですが、まさかあんな場所を登らなくてはならないとは…(^_^;)。
ボク高所恐怖症ですよ。どうしよう。
太田山神社 参道入り口
拝殿からてくてく歩いて、ついに神社の入り口へと到着しました。
ずっと来たかった場所です…っていうか階段の角度を見てください!!!
傾斜45度の恐ろしすぎる階段。
太田山神社の入り口に立った参拝者をいきなり震えあがらせるのが、この139段の石段。
これ、下手すりゃ転げ落ちるよね…。まず階段なのにロープが備え付けてあるのがおかしい。
鳥居の前には不吉な注意書きがたくさん…。
「落石等の危険もありますので、参拝に当たっては充分注意して登ってください」
「敷地内等で発生した事故等については、当神社では一切の責任を負いません。」
果たして、無事に戻ってこられるのでしょうか…(^_^;)。
いったん車に戻り、登山用の服装に着替えている途中、ガラスの外に巨大スズメバチが止まっているのを発見して余計に戦意喪失してしまいましたが、ここまで来て引き返すわけにはいきません。
12:41、顔を強張らせながらも、少しずつ階段を登り始めました。
巨大爬虫類!猛毒昆虫!滑落寸前!
「日本一危険な神社」の称号は伊達じゃなかった!
続く。