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四国88ヶ所 自転車遍路の旅③

2006-07-02 22:35:41 | 遍路
 本日は、四国88ヶ所自転車遍路の旅の3-2、高知県の2日目の旅です。

 はじめて「お接待」を受け、嬉しかった。名古屋からの「自転車遍路」さんに
赤色の「納め札」を貰う。安芸市では野良時計、武家屋敷跡等に道草し野市
町では「龍馬歴史館」に立ち寄り、いよいよ土佐の歴史に浸りながら走る。

八月七日は、朝六時三十分にスタート。奈半利の町を抜け、第二十七番札所「神峰寺 (こうのみねじ) 」を目指した。二十六番札所から二十七番札所までは三十キロメートル以上あるが、奈半利からは十キロメートル程度である。国道から遥か右手の山の上になにやら搭が見えるが、おそらくあれが「神峰寺」であろう。国道から道標に従って右手に入り、小さなく川沿いに集落を抜け、午前七時三十分に集落の途切れたあたりに自転車を留め、そこから歩いて登山を開始した。十五分ほど登ると車道から別れて遍路みちが有り、それを辿り何回か車道と交叉し、それらを横切りながら、標高五百メートル以上を大汗をかきながら登りきり、八時十五分に「神峰寺」山門に到着した。大阪の高槻に「神峰山」と書いて「かぶさん」と読む「ポンポン山」に連なる山があり、神峰山寺(かぶざんじ)という寺もある。この寺もてっきり「かぶじ」とでも読むのかと思っていたが、もっと「まろやかな」感じのする読みであった。
「神峰寺」は、名水「神峰の水」が湧き出ており、飲用や浄めの水に使われている。手を清め、うがいの後一口飲んだが、湧水特有の甘さが疲れを癒す。本堂へは石段を登り左手へ、大師堂は本堂から右下へ少し行くのだが、石段をはさんで二つの堂の方に向ってさつきや紫陽花が見事に植えられ、丹精に手入れが行き届いており、驚嘆した。今まで回ってきた札所のうちで、境内がクローズでない庭園ではこの庭園が一番こまやかな手入れの行き届いた庭である。本堂からは、遥か過ぎてきた奈半利町から、室戸湾が一望である。納経所へ戻ると、記帳は中年の婦人であり、庭園の見事さに感激した旨を話すと、三十年以上かけて造園し続けてきたとのことである。このご婦人から、「歩き遍路さんや自転車で遍路されている方に、ご接待させて頂きます」と、よく冷えた西瓜を頂戴した。その美味しかった事は当然であり、その日の何よりの朝食となった。思わず合掌。「神峰寺」の奥には神峰神社があり、その先に町営の公園と展望台があるのだが、公園展望台は余り手入れがされていないようなのでパス。わざわざ立ち寄らなくとも、「神峰寺」から、町や室戸湾が一望できる。麓から見えた「搭」は、町営の展望台のようだった。
記帳を頂いて、下山をしていると後ろから「暑いやろ」と声を掛けられた。振り返ると昨日二十六番札所の遍路みちで出会った、名古屋からの「自転車遍路さん」がママチャリを押しながら追いついてきた。三十年以上農協勤めをしながら百回以上遍路に来ており、十回以上八十八ヶ所を回りきったとのこと。汗を拭き拭き、いろいろと話してくれた。

私、
「自転車を押して登ったんですか。昨夜は、何処へ泊まられたのですか。」
自転車遍路さん、
「山門のすぐ下の、見晴台の東屋で野宿した。」
「最近のバスやタクシーでのツアーやマイカーでの遍路は、駄目だ。遍路というのは修行だ。自分 が始めだした頃は、『本物の遍路さん』ばかりで、それは厳しいものだった。」
私、
「しかし、このブームでお寺さんにとっては財政的に助かる部分が多いのではないのですか」
自転車遍路さん、
「あの人たちは、ツアー会社に金は落とすがお寺にはお賽銭も入れない。納経帳や掛け軸への記帳も添乗員がまとめて、団体窓口で記帳をして貰っている。大勢いるのと、次の予定があるので掛け軸などの記帳後はドライヤーで急いで乾かしている。」
私、
「納経料が入るのではないですか。」
自転車遍路さん、
「そんなものはしれている。掛け軸もドライヤーで乾燥させるものだから後で変色するし、有り難味も何も無い。ただ、それにしてもあの人たちは、読経がうまい。何処で練習するのやら。」

というような会話をしながら下山中、自転車遍路さんが赤色の「納め札 (八回以上遍路を完遂した人が、寺に納めたり、お接待を受けた時に差し上げる赤色の御札で、七回以下は白い御札) 」をくれた。ありがたく頂戴した。人の好い、まっすぐな感じのお遍路さんだが、多少怒りっぽい。まあしかし、結構なスピードで登ってくるクーラーの効いたタクシー (二十七番札所は、車道も狭いので、ツアーの遍路さんは麓のドライブインで、バスからチャーターのタクシーに乗り換えて登ってくる) とギリギリにすれ違うと、こちらは汗を拭き拭き歩いており、余りいい気はしない。昨日と同じツアーの遍路さんに、今日は朝一番で追いつかれてしまった。その後は、先へ先へと急がれるのだろう。私は自転車を留めてある麓で、名古屋の自転車遍路さんと別れ、三十八キロメートル先の第二十八番札所「大日寺 (だいにちじ) 」を目指した。
再び国道五十五号線をひた走るのだが、この国道五十五号線を何度も交叉して、現在「土佐くろしお鉄道」が高知市から安芸市を貫き奈半利町まで建設されつつある。実は、この先安芸市から夜須町まで約十四キロメートルにわたって、自転車専用道路がある。これは現在では「遍路みち」「四国の道」とされ、歩き遍路さんや自転車遍路にとっては交通が安全であり、大変ありがたい道ではあるが、かつての土佐電鉄の廃線跡を活用しているとのこと。ローカル駅や鉄橋の跡、トンネル等に風情が残るが、再び第三セクターで膨大な公共投資をつぎ込んで、同じ路線跡と並行して新しい鉄道を新設するのは大変な浪費ではないだろうか。もちろん新しい鉄道は、地元住民のインフラ整備としては大変結構な事ではあるが、かつてモータリゼーションの普及という事で赤字路線を廃線にしてきたことを、どのように今後に教訓化しているのだろ。ちなみに、室戸岬も足摺岬も、現在は鉄道も高速道路も整備されておらず一般県道、一部観光道路が唯一の血脈のアクセスロードである。
海沿いの道をひた走っていると、道中『寅さん地蔵-寅次郎花へんろ-』などの看板が出ている。二十一世紀に寅さんがこの街で、どのように息づいているのか興味が湧いて、寄ってみたかったが時間が無く、それを過ごし国道五十五線沿いのレストランで、結構ボリュームの有る「とんかつ定食」を早めの昼食とした。後で分かったのだが、この地は『男はつらいよ』の第三十九作目の撮影地として決まっていたのだが、主役の寅さんこと渥美清さんの急逝により、中止になったとのことである。その時に誘致運動の中心となってきた日本共産党の市会議員さんたちが、浄財で記念のために建立したとのことである。
さらに走り安芸市に入った。安芸市で寄り道をする。自由な旅の気楽さである。国道を外れ、安芸川の土手上の県道を走った。あたりは田園地帯で、県道の看板に「童謡の里安芸・内原野公園・書道美術館・土居武家屋敷・野良時計」等が記されている。自由な旅ではあるが、日程の都合もあり武家屋敷・安芸城址・野良時計をざっと見て廻った。少し足を伸ばせば、岩崎弥太郎生家もあるのだが、今回はパス。土佐・高知は幕末に幾多の人材を輩出したが、こののどかで、温和な気候の田園地帯で下級武士たちは豊かな想像力を磨いていたのだろうかと思うと、心和んでくる。
安芸市のはずれに、国道五十五号線から現在建設中の「土佐くろしお鉄道」の高架線を挟んで、安芸市営球場通称タイガータウンがある。十年ほど前までは私も熱烈な阪神タイガースファンであったのだが、今ではすっかり熱も冷め、『市の風景の割には派手過ぎる球場や室内練習場だ』と思いつつ素通りした。しばらくして自転車専用道路に入り、一路二十八番札所へと向った。この道路は殆どが海岸沿いを走り、猛烈に暑い。所々松並木があり、トンネルがあって一瞬の間涼しい所もあるが、殆どは灼熱の海岸沿いであり、真夏の自転車こぎは本当に大変である。
海水浴場 (琴が浜) を過ぎ、途中一度国道に合流し、しばらくして再び自転車専用道路に入り午後一時過ぎに自転車専用道路の終了点と思われる香宗川に差し掛った。そこで右折しふたたび国道五十五線を走り、やがて野市町に入ってから県道へと右折。野市町の市街地を抜けて、午後二時に「大日寺」着。県道から山門に続く石段は、かなり古びている。石段をしばらく登り、車道に合流すると「大日寺」の山門がある。この山門もかなり古いが、境内に入ると、本堂・大師堂は最近改修されたとの掲示があり、瀟洒な建物となっていた。本尊は大日如来。
納経帳への記帳を頂いた後、「大日寺」への道すがらにあった龍馬歴史館に再び寄り道することにした。野市町の龍馬歴史館は、民間の歴史記念館で多少入場料が高い (千五十円) 。歴史的に重要な資料等が残されているわけではなく、蝋人形が大量に陳列してあった。蝋人形はなかなか精巧に作られていて、臨場感もありそれなりに面白い。しかし、後半三分の一くらいにあった『新撰組と近江屋の事変』以降は龍馬の出番も無く、だんだんと現代風になってきて、「ヤルタ会談」情景や、ついには楊貴妃やクレオパトラまで (小野小町もいたと思う) 登場してきた。ただ、蝋人形を展示しているせいか冷房は良く効いており、延々と土佐湾東半分を自転車で漕ぎ上がってきて、火照った身体にはよい冷却とはなった。

(続く)


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