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パライソメッセージ20140207 No.39

2014-02-06 19:15:35 | メッセージ

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パライソメッセージ 2014.02.07 N0.39

 Mail : isokawas@goo.jp

     Blog : http://blog.goo.ne.jp/isokawas

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 多忙の為2週間ぶりとなりましたが、「パライソメッセージ20140207 No.39」を送ります。本メールが「不要」「余計なお世話」の方は、お手数ですがその旨ご連絡お願いします。

【主張・意見・コメントのページ】

テーマ:『特定秘密保護法』を告発する⑤

(沖縄県の名護市長選挙で、基地NOの候補が自民党候補に大差で勝利する)

 沖縄県の名護市長選挙で、辺野古の米軍基地建設(移設)に反対する稲嶺さんが、安倍・自公政権のなりふりかまわない総力戦で推した辺野古での基地推進を唱える末松候補を大差で破った。昨年来から石破幹事長が沖縄に乗り込み、強権で自民党沖縄県国会議員に『県内基地移設反対』の公約を投げ捨てさせた。更には仲井真県知事に対して500億円の名護地域振興基金をちらつかせるなど、札束で人の心を変節させようとしたが、民意は米軍基地の辺野古への移設を拒否した。それに対して防衛施設庁は辺野古埋立て工事の入札を公示するなど、民意を圧殺して基地建設を進めようとしている。

 沖縄県は在日米軍基地の70%が集中しており、第2次世界大戦後のアメリカの世界戦略にとって、重要な役割を担っている。冷戦時代には対共産圏の防波堤であり最前線基地であった。ベトナム戦争ではベトナムへの侵略や無差別の北爆の最前線兵站基地となり、ペルシャ湾での紛争でも重要な役割を果たし、今日においても中国の『封じ込め』も含む戦略要地となっており、沖縄は未だにまるで戦時体制である。沖縄でアメリカ軍が展開しているのは、海兵隊でありオスプレイであり、つまりは侵略や“殴りこみ”の為の部隊である。日米安全保障条約に基づく日本の防衛の為の基地とは程遠いアメリカの国際戦略の為に利用されており、沖縄はアメリカ軍国主義の象徴として世界からは見られている。そのような役割を果たす為に、沖縄では原発が置かれていない。これはなにも沖縄電力の『叡智』でもなんでもなく、米軍の戦略上の都合であることは知られている。

 沖縄の戦後史が示しているように、沖縄県民の人格や人権は米軍とそれに従属する歴代の日本政府によって大いに侵害され蹂躙されてきた。米軍による凶悪犯罪と治外法権や日米地位協定による米軍の横暴は、戦後一貫して沖縄に悲劇の歴史を刻んできた。名護市長選挙は、そういったアメリカ軍国主義、安倍・自公政権による猛烈な“アメとムチ”が荒れ狂い、内では県知事の歴史的な裏切り、自民党国会議員の集団での『米軍基地の県外移設』という公約の破棄といった中で闘われて来た。だから今回の選挙は、単なる地方の首長選挙ではなかった。平和と戦争、民主主義と強権、県民の生活と膨大な利権が鋭い争点として闘われ、アメリカ軍国主義と安倍・自民党は凶暴な本性をむき出しにして、総力を挙げて襲い掛かってきた選挙であった。その選挙に、平和と民主主義と生活と権利を守る人たちが大きく勝利した。私は、名護市民の勇気と叡智を心から称え尊敬している。

 (安倍・自公政権は実は脆弱な政権) 

 政府・自民党は名護市長選挙戦の敗北後『(500億円の名護復興基金は)市長がなにも言っておられないので』ないものとするとか『基地の移設は政府が決める』とか、民意を無視して強権を押し進めようとしている。実際沖縄県では、辺野古の埋立てについて、工事業者を集め入札を行なうことを公言している。入札を行なう等というのは、『手続き』であり政治家ではなく官僚の発想だろう。一体民主主義は何処に言ったのか。安倍・自民党あるいはその背後の官僚権力は何処まで暴走し、強権を進めようとするのか。彼らは更にはファシズムを目指し、ひた走っているのか。

 安倍・自公政権は、議会において確かに絶対的多数の議席を占めている。しかし、それは絶対的な支持を得た磐石の政権ではなく実は脆弱な政権である。その根拠は3点あると思う。

 第1に、圧倒的・絶対的多数の議席ではあるが、それは広範な国民の支持によって支えられているのかというとそうではない。それは民主党前政権の余りにもふがいない体たらくに対する国民のリアクションが、小選挙区制という選挙制度のおかげで“相対的多数票”が集約されたに過ぎない。全体としての国民の自民党への支持率は20%台に過ぎない(投票率×得票率)。20%台の支持率の政党が、いまや強権を駆使して日本を戦争と民主主義破壊の国へと押し進めようとしている。表面上磐石に見える政治も、実は20%台の支持率しかない政党が進めている。だからこそ今の内に強権でもって戦争と民主主義破壊のレジームを押し付けているのかもしれないが。

 第2に、安倍・自公政権のこの間の政策の一つ一つが、国民の生活や利益に大きく反対することばかりであり、国民との矛盾がますます大きくなってきていることである。原発の推進や輸出、昨年末の特定秘密保護法、消費税の値上げ、TPPの合意、今後押し進めようとしている競争主義、道徳教育の必須化と“富国強兵”の教育政策、共謀罪の導入、そして何よりも解釈改憲し集団安全保障を実践し“戦争を出来る国”へと歩もうとしている。これらが多くの国民の反対や抗議の運動となって、“新しい市民運動”に対して『本質的にテロ』と呟いてしまうほどに政権は追い詰められている。

 第3には、靖国参拝に見られるような、従来の保守政権の枠をも突き抜けた右翼化に対して、国際的にも批判され孤立化している現状である。靖国参拝では中国、韓国のみならずアメリカからも『失望した』と評され、EUからも懸念の意が明らかにされた。麻生副総理の『ナチスの手口を見習ったら』発言や石破幹事長の『戦線離脱なら死刑』発言によって国際的に顰蹙を買ったが、今回の安倍首相の靖国参拝とその後の“居直り”発言が、国際的な顰蹙に止まらず、日本の為政者に対する不信と、世界での孤立に繫がっている。昨年11月のアメリカによるシリア攻撃に対して、国連を始め国際世論がアメリカを批判し攻撃を断念させたように、世界の政治は戦争でなく外交で“紛争”の解決を目指すのがトレンドである。そんな中で安倍・自民党、一部官僚も含めた権力者のアイデンティティは、日本を世界からの孤立への道へと猛進させようとしている。

 安倍・自民党政権は、強権を持って暴走しているが、実は脆弱な政権であることは間違いない。その政治を糺す為にはどうするのか、名護市長選挙はどういうメッセージを伝えたのか、次回にそのことを考えたい。

 

「一押しBook」

書名:社会の抜け道

 

著者:

 古市憲寿⇒1985年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍。若手論客で、著書に『希望難民御一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想』『絶望の国の幸福な若者たち』。

 国分功一郎⇒1974年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。高崎経済大学経済学部准教授。専攻は哲学。若手哲学者であり、計画道路建設では住民運動に取組む。著書に『スピノザの方法』『暇と退屈の倫理学』『来るべき民主主義-小平市都道328号線問題と近代政治哲学の諸問題』

出版社:小学館

書評:

 古市も国分も最近の若手の論客である。この本はテーマを絞って議論を交わすとか、メッセージを発するといったものではなく、二人の日常会話に近いおしゃべりパフォーマンスを対談として編集している。だから非常にテンポも速く、脳にも心地よい刺激になって響く。どちらかというと未だ20台の古市は少しシニカルな風であり、テーマに対して自分を客体化しながらものごとの本質を軽妙に論じているが、国分は都道の建設をめぐって住民運動に参加したり、子育て世代として保育園にも関わり、話に生活のリアリティは有る。ただ『第6章 僕達の「反革命」』などに出てくる対話は、今の若者世代の社会との関わりでは共感を持つ部分があるのだが物足りない。自分を客体化し、「革命」や「政治を変える」といった行動(自分を主体化)をすることに距離を置く感じである。しかし、現実に政治を変えるとか権力者に対する意思表示の決定打は、合法的な選挙しか手段は無いのではないか。名護市長選挙での稲嶺さんの勝利は、人々の平和への固い意思表示であるし、アメリカ軍国主義や安倍・自公政権に対する痛烈な批判のパフォーマンスを世界中に発信した。シニカルに、しかも自分の言いたいことは十分に言って、それがある種ファッションのように世間に受けるというのは“勝ち組”願望の人たちには心地よいかもしれない。しかし、それだけではなにも変わらないのではないか。彼ら、感性の鋭い若手論客が、叡智と言われるように主体的にメッセージを発信し行動すれば変革へのトレンドも実感し、日本も少しは良くなるのではないかという思いがする。

 

イソの評価:★★★★☆

蔵書:イソ蔵書(貸し出しOK)

 


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