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四国88ヶ所 自転車遍路の旅⑫

2006-07-14 23:05:20 | 遍路

                        68番神恵寺と69番観音寺は同じ場所            

                 仁王門も仲良く共有

  

 

  本日は四国88ヶ所自転車遍路の旅7-4で通算12回目です。

  いよいよ「涅槃の道場」讃岐路です。  

 

  ここからは一気に九百十メートルの下りだ。延々と自転車を押して登ってきた尾根道も、あっという間に県道八号線の「曼陀トンネル」口の広場に戻った。ここから讃岐の国に入り、札所を回る。とりあえず県道八号線を一気に下り、国道三百七十七号線を目指す。県道はよく整備された舗装道路で、しかも交通量が少ない。今までのアルバイトで充分に火照った体には、一気の下りは『至福のとき』というか快適なツーリングのひと時だ。自転車は前田川に沿って走り、右手には今登ってきた雲辺寺山頂が頭上にかぶさってくる。「五郷渓温泉」「五郷ダム」「雲辺寺ロープウェイ乗り場」への分岐道を次々に越え、どんどんと走って行くとやがて下り坂の山道からだんだんと讃岐平野の平地になってくる。そこからしばらく走りつづけるうちに、やがて国道三百七十七号線の交差点に至り、そこを右折。そして第六十七番札所を目指して、東へと走った。しばらくして、どうやら国道三百七十七号線の旧道を走っているようで、左のほうに広くて交通量の多い道が併走している。しかしそれもやがて合流するところが五差路になっていて、「山本町」に入っていく。そのまま国道を直進し、陸橋をくぐりしばらく走ると第六十七番札所「大興寺(だいこうじ)」の案内看板が出ており、それにしたがって田園の中の道を辿ると、やがて寺が見えてくる。

  十六時に第六十七番札所「大興寺」に着いた。田園の中の落ち着いた雰囲気の寺である。石橋を渡って門をくぐり、手口を清め、本堂にお参りした。大師堂にお参りしようと思うと、本堂を挟んで大師堂が左右二か所に分かれている。どうやら向かって左の大師堂にお参りするようなのでそうした。後で聞くと、かつてこの寺は真言宗、天台宗の両方の伽藍が建立されており、大師堂はその名残で右が天台宗(というと最澄-伝教大師を祭っているのか)で、左が真言宗の大師堂とのことである。納経帳に記帳を頂いたこの寺の寺名は小松尾山という山号の「小松尾寺」と記帳していた。十六時十五分に「大興寺」を後にした。

  第六十八番札所と六十九番札所は同じ場所にある。十七時に間に合うか、微妙な時間である。来た道を戻り、先ほどの五叉路まで戻ると遍路道の道標がある。それに従い、観音寺市街地方面に向けて走り出す。途中で男性に、

 

   「すみません、ちょっとお尋ねしますが観音寺(かんのんじ)はどう行けばよいのでしょうか?」と尋ねると、

  「そうですね、この道なりに行くと観音寺(かんおんじ)駅のほうに出ますので、そこからすぐですのでもう一度観音寺(かんおんじ)を尋ねてください。」

 

  といわれた。以後私はこの旅の間「かんおんじ」と発音したが、寺も駅もそう読むのが正解らしいが、使い分けについてはよく分からない。とにかく指示された道を急いだが、結局十六時五十分に予讃線の観音寺駅に着いた。ここから十分ほどかかるということなので、とりあえず本日は断念し、駅に近い「ビジネスホテル・サニーイン」にチェックインすることとした。大変充実はしたけれど、火照った体を癒しつつ風呂に入りながら、本日も汗まみれの衣類の洗濯をした。とはいえ、昨日の洗濯物の生乾きの物を乾かすのが優先で、干場に苦労した。夕食はホテルでお造り定食と、おいしいビールを頂いた。

  早朝に、「神恵院(じんねいん)」「観音寺(かんおんじ)」に参り、弘法大師の生まれた讃岐平野の寺々-涅槃の道場を駆け巡る 二〇〇三年四月二十九日朝、五時四十五分に起床。本日も五月晴れである。ただ夕方には天気は崩れ、雨も降るだろうとの予報である。この二日間で随分と日焼けしたが、本日もより一層焼け増すのだろう。起床してすぐに出発の準備を整え、朝食前の六時二十分に昨日お参りできなかった六十八番と六十九番の札所へ、頭陀袋だけを肩から下げて出かけた。

  六時三十分、第六十八番札所「神恵院」第六十九番札所「観音寺」に到着。途中二人の歩き遍路さんを追い越し、挨拶を交わす。「神恵院・観音寺」と二つの寺名の書かれた看板をかけてある門をくぐり、石段をあがると、いくつかの堂が境内に建立されている。左端から「神恵院」大師堂、そして鉄筋で新築された本堂、少し右に「観音寺」の本堂、そして大師堂と並んでいる。手口を清め、順番とおりにお参りしている内に、次々とお遍路さんがやってきて六~七人になった。お参りを済ませ、二つの札所共通の納経所で待っていると七時丁度に「お待たせしました」とご婦人がやってきた。さっそく納経帳に記帳を頂いた。

   七時十五分にホテルに戻り、二十分からバイキングの朝食。いつものように結構満腹を感じるまで頂き、本日のエネルギーを補給する。朝八時に七十番札所を目指して出発した。観音寺市内を「財田川」という川が流れている。その右岸の堤防を上流に辿っていけば、第七十番札所に至ることとなっている。ホテルを出てしばらく走り「財田川」土手の上に出ると、遠くのほうに五重の塔が朝の霞の中に見える。その方向を一路目指して走りつづけているつもりだったが、そのうち「財田川」の支流の土手を走っているようで、どうもだんだんと遠ざかっているようだ。方向を修正し、田んぼの中の作業農道を通り本来の土手の道に戻ると、「本山寺(もとやまじ)」はすぐそこであった。境内のほうから、リズミカルで力強い太鼓の音が朝の空気を裂いて聞こえてくる。

  午前八時二十五分第七十番札所「本山寺」に到着。「本山寺」は「財田川」の土手の方から入って仁王門があり、仁王門をくぐると広い境内の奥に本堂がある。その左手に歴史のある立派な五重の塔が配せられている。少し高音で乾いた感じの音のする太鼓は、本堂の前で、男性のお遍路さんが韓国の民族楽器の太鼓を叩き、奉納していたのだった。心地よいリズムで、他のお遍路さんや地元のおばさんたちとともに、しばらくの間聴衆となっていた。広い境内は、かっては多くの塔中や伽藍が建立されていたのだろう、そんな名残が充分に残っている。お参りを済ませ、納経帳に記帳を頂き、出発の準備をしていると、ご婦人のお遍路さんが、納経所のご婦人に、「本山駅」の場所を尋ねている。JRやバスなどの交通機関を利用して遍路をしているのだろう。お遍路さんもいろんな回り方がある。八時四十分出発。「本山寺」から第七十一番札所「弥谷寺(いやたにじ)」までは、国道十一号線を十二キロメートル以上の距離を走る。たいしたアップダウンもなく走りつづけてきたが、「鳥坂峠」という百メートル弱の峠を上り詰めるると、国道から離れ、左へと入っていく案内看板がある。看板に沿って左への下り坂を一気に降りると、三叉路がありそこを右に折れ、今度は再びかなりの傾斜の上り坂を登っていく。途中で自転車を降りて押して登って行く。いく手はちょっとした山があり、どうやらまた山登りのようである。

  しばらく自転車を押していると、やがて九時十五分に「弥谷寺」の参道に着いた。参道と道路を挟んで「道の駅」と「ふれあいパーク」があり、そちらのほうは結構家族連れで賑わっている。平地かと思っていたが「弥谷寺」は「弥谷山(標高三百八十一.五メートル)」に作られた山寺である。山のあちこちにいくつもの塔中が建立されており、修験場である。本堂へは合計五百二十段の階段を登らなければならない(数えて登った)。九時四十分に本堂到着。山寺の狭い本堂でお参りを済ませ、本堂横の磨崖仏に手を合せた。少し下にある大師堂は、岩盤をくりぬいた場所に建立され、中はひんやりとして気持ちがいい。お参りの後納経帳への記帳を済ませ、参道の麓にある茶店(「俳句茶屋」というらしい)で「オロナミンC」を飲み、十時二〇分に「弥谷寺」を後にした。

  再び国道十一号線に戻り、七十二番七十三番札所を目指した。国道の「鳥坂峠」まで戻り、左折して東の方面へと走るとまもなく、第七十二番札所「曼荼羅寺(まんだらじ)」第七十三番札所「出釈迦寺(しゅっしゃかじ)」の看板が出ている。それにしたがって国道を離れ県道四十八号線を右折して走りさらに地道に右折して入って行くと、まもなく「曼荼羅寺」の門が見える。寺の横にはお遍路さんがよく利用する民宿門前屋(もんまえや)さんがある。十一時に「曼荼羅寺」に到着。この寺は田園地帯のこじんまりとしたのどかな寺である。寺には大きく枝が張った立派な松があり「笠松」と言うそうだ。お参りを済ませ、納経帳への記帳を頂いた後、ベンチに座って荷物を整理していると、村のおばあさんから「ご苦労様です。頑張ってください。」と声をかけられた。                       

                                                                             (続く)


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