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四国88ヶ所 自転車遍路の旅⑭

2006-07-19 22:33:40 | 遍路

          天皇寺高照院の門  
          崇徳天皇の無念がなにやら漂う雰囲気  
 

  さて四国88ヶ所自転車遍路の旅も7-6 通算14回目です。いよいよ結願(けちがん)が少し見えてきました。

  「この先 のバイクやさんのところで道が分かれているので、そこを右に折れ、すこし上り坂になっているところを登っていってください。しばらく行くと有名な『ところ てん屋』さんがあります。そこからは、道がふたつ有りますので『ところてん屋』さんで聞いてもらったほうが良いと思います。」
 

 と、懇切丁寧に教えてくれた。教えてもらったとおりに行くと、やがて「ところてん屋」さんに到着。石組みをし、水を蓄えた小さな池を配した涼しげ なところに床机を出し、そこに七~八名の客が居り、二名の歩き遍路さんもところてんを食べながら談笑をしていた。店で道を聞くと、「上の道も下の道もどち らも行けます」とのことなので、上が遍路道なので、そちらの方へ行くと、一分ほどで白峰宮の境内の裏に到着した。
 第七十九番札所「高照院(こうしょういん)」は 白峰宮と境内が隣接しており、遍路道から入ると白峰宮を通り抜けて行く。十五時三十分に到着し、境内を抜けて寺の正面に回ると、仁王門や山門はなく赤い鳥 居が立っており、看板には「崇徳天皇白峰宮」と書かれ、大きな石碑には「四国第七十九番霊場天皇寺」と記されている。寺号は「天皇寺高照院(てんのうじこ うしょういん)」というのがフルネームらしい。山号は金華山。名前の通り、この神社・寺は崇徳天皇を鎮魂しているとのことである。
 崇徳天皇は百 人一首の『瀬をはやみ いわにせかれる 滝川の われてもすえに会わんとぞ思う』の作者として有名。保元の乱に敗れ、この地に封ぜられ失意のうちに没したとのことである。怨念が漂うというほどのことはな いが、なんとなく鬱蒼とした雰囲気の寺である。納経所で記帳を頂いた後で納経所のご婦人から声をかけられた。
 

 ご婦人
「お遍路さん、歩いて回ってられるのですか。」
  私
「いいえ、区切り打ちですが自転車で回っています。」
  ご婦人
「そうですか、それではご接待をさせてください。」

  と言って、バナナを二本くれた。

  私
「それはどうもありがとうございます。納め札は持ち合わせてないのですが、大阪の五十川と申します。」
 ご婦人

 「結構ですよ。ご丁寧いにどうも。バナナでも食べて栄養を付けてください。」

  ありがたいことである。回り始めた頃は、何も知らずに御接待を返したりしていたのだが、こういうやり取りが、自然とすなおにできるようになったのだなと感じた。
 十五時五十五分「高照院」を出発。 JR予讃線の踏切を越え、農道を走り再び県道三十三号線に出て東へと走る。少し行くと国道十一号線が高架になって交錯していく。国道のほうは交通量も多いので、県道を辿りつづけることとする。
 十六時二十五分に第八十番札所「国分寺(こくぶんじ)」へ 到着。仁王門の前で年配の男性の自転車遍路さんが休憩しており少し話す。松山の人で、ママチャリで、悠々とマイペースでお遍路をしているとのこと。雲辺寺 の山門まで自転車を押して登ったことを話すと、あきれていた。ご本人は、下の道に自転車を置いておき、ゆっくりと歩いて上がったとのこと。ニコニコと笑顔 を絶やさない、心休まる自転車遍路さんである。「国分寺」は、聖武天皇が各国毎に建立した寺である。四国の札所も阿波、土佐、伊予、讃岐それぞれにあり、 なんとなく雰囲気が似ている感じがする。いずれの「国分寺」も里にある寺で、境内の庭が良く手入れされており、本堂も大師堂も立派で、往時には多くの伽藍 や塔中が建立されていただろうと思わせる雰囲気がある。讃岐の「国分寺」は、七福神の石像なども祀っており、すこしはなやいでいる。大師堂と納経所は同じ 場所にあり、お参りの後記帳を頂いた。
 境内に戻り、御堂の横で先ほど貰ったバナナを二本食べた。おいしかった。八十番札所を後にして、本日はこ こまでとし一路県道三十三号線を高松の市内へと走った。高松市には、かって何度も仕事で訪れており、自転車を漕いでいるうちに、だんだんと懐かしい風景に 再会してきてほっとした気持ちになってくる。香川大学を過ぎ、番町を通りフェリー通りから高松駅のほうへ行くと、玉藻公園や高松城址があり、屋島のほうへ 行くと競輪場がある。みんな懐かしい風景だ。のんびりと高松市内を回りながら、今回の自転車遍路の旅の最終日の宿泊場所を探したのだが、やはり、以前によ く利用した琴電「片原町駅」に近いビジネスホテル「高松キャッスルイン」に十八時二〇分にチェックイン。本日は最終日なので、洗濯もせずに入浴。入浴後外 出し、やはり以前によくいった商店街にある「お好み焼き屋」さんで、おいしいビールとお好み焼き(ライスつき)を食べ、ホテルに戻った。
 ずっと天気は快晴であったが、夕方からは雲が増え、夜半にはかなりの雨が降り出し、部屋の中まで雨音が響いてきた。しかし、ある種の達成感と、心地良い疲れとでゆっくりと睡眠をとることが出来た。
  

   いよいよ「結願」まであと八カ寺。最後は歩いて回ろうか。

 今回の自転車遍路の旅は一応ここまでで、四月三十日には我が家に戻り、ゴールデンウィークには次の予定がある。夕方に「ジャンボフェリー」の加藤 汽船に明日のフェリーの予約を入れようと思い電話をしたら、予約なしでも充分乗船できます。直接乗船場まで来てくださいとのことである。以前は大変人気の ある航路であったが、明石大橋開通後は便数も減り寂しい思いがする。これまでゴールデンウィーク、夏期休暇あるいは年末年始休暇を利用し、区切り打ちで四 国八十八ヵ所自転車遍路の旅を続けてきたが、いよいよ次回で「結願」である。次回は奥方とともに「歩き遍路」をしようかとも思う。いろいろとそんなことを 考えつつ、四月三十日十時三十分、船上の人となり、我が家への帰路についた。                       (この章終わり。次回から8 へ)


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