"いそ"あらため、イソじいの’山’遍路’紀行’闘病、そしてファミリー

“いそ”のページは、若者のキャリア形成を、目一杯応援するためにも“いそ”改め“イソじい”でリニューアル。

パライソメッセージ20130628

2013-06-28 16:17:06 | メッセージ

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  パライソメッセージ 2013.06.28 no.17

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  「パライソメッセージ20130628  no.17」を送ります。「不要だ」「余計なお世話だ」といわれる方は、お手数ですがその旨ご連絡お願いします。

 【主張・意見・コメントのページ】

テーマ:何故日本(経済)は『壊滅的な状況』になってしまったのか①

 このテーマで論述すれば、分厚い本が一冊できる。悲しいかな今日の日本の文化・経済・政治、いずれを見ても、『壊滅的』ともいえる状態になっており、多くの大衆は不安感・閉塞感に苛まれているのではないだろうか。ツイッターなどでは『何者』状態が蔓延して、『負け組』がより弱いものを攻撃したり、観察者となって主体的には何も行動せずに、息を潜めていたりする。一方ではメリハリを利かせて喋れる者、橋下市長やユニクロの柳井会長やワタミの渡邊会長やらは、なにを言ってもヒーローのように許され、崇められそしてポピュリズムが形成されていく。安部首相と高級料亭で『懇親』を重ねて恥じることの無い大手マスコミは退廃の極みで、日本の思想・文化を蝕んでいる。一方では憲法改悪の企みや、2011年の大震災によって未だに多くの人たちが故郷を離れて苦しみ、将来の展望が暗澹である原因を作った原発事故のトラウマを抱えているというのに、他国への原発セールスや亡国のTPP協定に狂奔する総理大臣を見ていると、政治の世界も『壊滅的』状況に陥ろうとしているのを感じる。

 言いたいことは山ほどあるが、このパライソメッセージでは、とりあえず『日本経済』について焦点を当てて考えてみる。

 何故、日本経済が『壊滅的』ともいえる状態になってしまったのか、ほんの2008年のリーマンショックまでは、戦後最長の好景気で、いざなぎ景気といわれていたのはたいていの人は覚えている。企業の利益は膨れ上がりGDIは史上最高を更新し続けた。企業の内部留保は230兆円を越え、これはさらに更新し続けている。しかしその一方ではパナソニックが2期連続7000億円超の赤字や、ソニーの家電からの撤退や、電機業界の20万人にも及ぶリストラ、解雇規制の緩和、ホワイトカラーエグゼンプションなど、まるで働く者にとっては、殺伐とした荒れ野のような状況である。日本経済のドメスティックの部分だろうが、このように惨憺たる状況に至った背景を知るには、戦後の日本経済の歴史を見なければならないだろうし、歴史を振り返ることによって惨憺たる日本経済の構造が分かり、それを打開するいくつかの道筋も見えてくるのではないか。

 当然のことであるが、世界の誰もが日本に好意的で、日本経済の自立的・持続的発展を祝福してくれていたのではなく、今後も好意的に見守ってくれるなんてことは一切ない。世界の国々は、生き馬の目を抜くような厳しい国際間競争の歴史を繰り広げてきた。その大きなトレンドの中心は、第2次世界大戦後、軍事的には圧倒的優位に立つアメリカだが、アメリカ経済の一貫した劣化つまり資本主義の構造的矛盾の深化とそれに対する軍事力をバックグラウンドとした『アンチ・インフェリア』としての世界経済戦略の中で日本が歩んできた道を見る必要がある。

 日本は、戦後一貫して『属国』と言われるほどに、アメリカに従属してきた。対米従属という重たい鎖に繫がれた戦後史を辿り、その中で日本経済は完全な自主・自立ではなく、アメリカ経済のあるときは捨石、あるときは強力なサポーターとして『成長』してきた。

 戦後の日米関係の歴史を辿ると、3つのステージがある。以下、ごく簡単に説明。

 日米関係の第1のステージは戦後から朝鮮戦争時頃まで。この時期の日米関係は、戦勝国と敗戦国、占領国と被占領国の関係であった。全ての権力はGHQに集中され、戦後日本の施政方針は『英語を標準語とする』『日本の生活水準はかつての植民地国の水準より低いものとする』等々であった。日米行政協定(現日米地位協定)では『米国は何時でも何処でも在日基地を持てる』といった関係であった。

 第2のステージは朝鮮戦争以降。当時のソ連を筆頭とする社会主義国との冷戦時代の日米関係である。朝鮮戦争の休戦以降、核兵器開発競争などの大愚行を競い合い、アジア・アフリカの民族独立運動の抑圧にCIAが暗躍、米軍が介入、キューバでの一触即発の危機など、人類の滅亡に関わる国際紛争が頻発した。この時期、当時の中曽根首相は日本のことを「(アメリカのための)不沈空母」と呼び、反共の防波堤の役割を積極的に果たそうとする。一方経済のほうでは朝鮮戦争特需で、復興の基盤が築かれ、その後高度経済成長を成し遂げGDP世界第2位へと躍進する。

 第3のステージは、経済大国日本に対する、日本潰しのバッシングが猛烈に行われる時期で、それが今日まで至っている。日米関係で言うなら、1985年のプラザ合意から始まるが、その後88年のBIS規制やバーゼル合意など、アメリカを先頭として世界からの日本潰しの嵐に晒されることになる。

 

 全てを論述しようと思えば、政治・経済あるいは文化をも含めた大論文になってしまうので、パライソメッセージでは、今回のテーマ「何故日本(経済)は『壊滅的な状況』になってしまったのか」に即して、第2ステージの後半から、第3ステージと現在について、「これからの道」の私案も含めて概略的に書いていく。

 次回のパライソメッセージは、プラザ合意のバックグラウンドからBIS規制まで書く予定。

(続く)

 「一押しBook」

※ 紹介したい本は沢山ありますが、今週も以前紹介の「一押しBook」の説明と蔵書場所案内です②

 書名:20130426「過労自殺と企業の責任」

著者・説明:川人 博 ・過老死事件や自殺の労災認定や判決の紹介と告発

蔵書場所:キャリアセンター資料(部長室・自由開架)

 

署名:20130510「ニッポンを幸せにする会社-あってよかった応援したい-」

著者・説明:鎌田 實 ・医師、ルポライターの著者が出会った心の憩う会社のルポルタージュ

蔵書場所:茨木市民図書館

 

署名:20130517「日本でいちばん大切にしたい会社」

著者・説明:坂本 光司 ・MBAの経営学者が紹介する『良い会社』。心洗われる珠玉のエピソード

蔵書場所:キャリアセンター資料(部長室・自由開架)

 

署名:20130531「哲学の自然」

著者・説明:中沢 新一、国分 功一郎 ・若き哲学者の対談。自然(フェシス)と原発、開発等

蔵書場所:イソ蔵書(いつでも貸し出しOK)

 

署名:20130607「若者は何故「就職」できなくなったのか?」

著者・説明:児美川 孝一郎 ・法政大キャリアデザイン学部教授著。若者の雇用問題に深く切込む

蔵書場所:キャリアセンター資料(部長室・自由開架)

 

次回の【一押しBook】は「日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか」他の予定

(続く)

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パライソメッセージ20130621 no.16

2013-06-21 17:49:43 | メッセージ

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   パライソメッセージ 2013.06.21 no.16

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 【主張・意見・コメントのページ】

テーマ:新聞記事から読み取る、もはや避けることが出来ない『グローバル社会化』への対応②

 『グローバル社会化』への対応を、キャリア教育の中でどのように落とし込んでいくのかを考える前に、そもそも「キャリア教育」や「キャリア形成支援」について考えたい。

 私が日常取り組んでいる、「キャリア形成支援」の一環としてのキャリアカウンセリングやコンサルタントは誰のため、何のためのものだろうと考えることがある。いかに世の中の雇用情勢が大変厳しい、ブラック企業などの社会問題が若者の周辺に覆いかぶさってきているとはいっても、私が関っている若者の多くは、『正社員』『巨大企業・大企業』『有名企業』『教員・公務員』がモデルである。いわゆる『勝ち組レール』に乗っかって、その延長で就活に取り組んでいる学生が殆どではないか。それでもたまには自らのキャリアをデザインできなかったり、更には学校から社会への移行について自己決定の自覚すらできていない学生もおり、丁寧に関らなければならない若者もいるが、割合からいうならそう多くは無い。私はそれが自分にとって、少し違和感として感じている思いがある。与えられたタスクとして現状にだけ対応していればいいのだろうかといった問題意識はずっとあったし、それなりの勉強や研究も個人的には取り組んできた。そのことと、ライフワークとしての『若者のキャリア形成支援』については、別の機会に書かせていただくとして、今回は『グローバル社会化』への対応とキャリア形成支援をキャリア教育を通して、どう実現するかについて、考えてみたい。

 「パライソメッセージ20130614」で、グローバル化は、優秀でガッツのある若者だけの課題ではなく、すべての若者に関ってくる課題となるだろうと書いたが、どういったキャリア教育を通してすべての若者に関っていくのか、私案というかアイデアを考えてみたい。その前に二人の若者を紹介する。総合商社でもグローバル・インフラ企業でも国際機関でも多国籍企業でもなんでもない、普通の企業・職業である。

 A君。有名大学理工系出身。32才。現職は中国料理中堅チェーン店の基幹店店長。飲食店ではあるが和民のようなブラック企業ではなく11時閉店。現在は基幹店店長として正社員・アルバイトを含め50名以上の調理場・ホール・バックのスタッフをマネージメントしており、スタッフの半数以上は留学生も含めた外国人。彼は、有名大学理工系出身で『勝ち組の就活』が十分に出来たのだが、当時の店に請われて、自分の意思で中国料理店に就職した。現在は人望の厚い店長として多くの外国人にも慕われている。店の売上げはチェーン店でもトップクラスで、スタッフとともに新しいチェーン店の展開に意欲的に取り組んでいる。彼が信頼するスタッフには外国人が多い。

 Bさん。看護師。学校卒業後大手病院に就職したが退職して1年間の外国留学。特にTOEIC800や900なんてことはなく、ごく普通のレベル。留学から帰りしばらくは、国境無き医師団の活動に参加して、途上国や紛争地域に看護師として参加した。やがて大手病院に復職し、そこでも貧困国や地震災害国への医療支援の一員として率先して参加している。

 A君もBさんも、『勝ち組』のように見えるかもしれないが、彼や彼女は特別な若者ではなく、ごく普通の好感の持てる若者である。何よりも言いたいのは、ただ自分が主体的に自分のキャリアをデザインし、実現していったこと。そして彼や彼女はこれからの『グローバル社会化』の中でも揺らぐことなく、昂ぶることなく、ごく自然にリーダーシップを発揮して行くだろうということである。

 さて、キャリア教育として試行したいことは以下のとおりである。

★ 講義授業・・・グローバル社会化の理解と対応

-若年労働力の世界的な流動化の実態、世界比較、バックグラウンドとなる世界経済、アジア動向特にASEANなど東アジア経済圏諸国の動向理解-

★ 日本人若者によるプレゼンテーション・・・テーマ:ボーダレス世界で日本の果たすべき役割

 -グループワーク→文化・経済・政治の分野でグループ分け→プレゼン 

★ 外国人留学生とのワークショップ・・・テーマ:日本の近未来予測

 -ワークショップ→文化・経済・政治の分野での近未来予測→プレゼン

★ 外国人労働者とのワークショップ①・・・テーマ:日本への期待と若者の可能性

 -ワークショップ→プレゼン→レポート

★       外国人労働者とのワークショップ②・・・テーマ:日本が担う役割と若者のタスク

 -ワークショップ→プレゼン→コンペ→表彰

 など、A君やBさんにも参加していただいて、世界の若者とのコラボレーションを通して、日本人若者が社会のグローバル化に対応する資質を培うのをサポートしていきたい。勿論これらは『キャリア教育』の一環として行うのであり、さまざまな機会を通して、あるいは活用してグローバル社会化をポジティブに受容する若者を輩出するのをサポートしたい。

 (次回以降別テーマ)

 

「一押しBook」

 

※ 紹介したい本は沢山ありますが、今週は以前紹介の「一押しBook」の再説明と蔵書場所案内①

 

書名:20130320「ブラック企業~日本を食いつぶす妖怪~」

著者・説明:今野 晴貴 ・子や孫にも読ませたい話題の本。現在ベストセラー。

蔵書場所:キャリアセンター資料(部長室・自由開架)

 

署名:20130322「人権としてのディーセントワーク」

著者・説明:西谷 敏 ・人間らしい働き甲斐のある仕事とは

蔵書場所:キャリアセンター資料(部長室・自由開架)

 

署名:20130405「私たちはなぜ働くのか(マルクスと考える資本と労働の経済学)」

著者・説明:佐々木 隆治 ・資本論入門書であり現代資本主義の分析にも論及

蔵書場所:キャリアセンター資料(部長室・自由開架)

 

署名:20130412「『属国ニッポン』経済版 アメリカングローバリズムと日本」

「『属国ニッポン』経済版② 新自由主義の犯罪」

著者・説明:大門 実紀史 ・共産党国会議員の実践的・実証的で分かり易い新自由主義批判の力作

蔵書場所:大学図書館(衣笠図書館2階、分類・経済)

 

署名:20130419「就活前に読む-会社の現実とワークルール」

著者・説明:宮里 邦雄、川人 博、井上 幸雄(いずれも弁護士)・ワークルールについて必読書

蔵書場所:キャリアセンター資料(部長室・自由開架)

 

次回の「一押しBook」は「説明と蔵書場所案内②」

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パライソメッセージ20130614

2013-06-14 19:01:46 | メッセージ

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パライソメッセージ 2013.06.14

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【主張・意見・コメントのページ】

テーマ:新聞記事から読み取る、もはや避けることが出来ない『グローバル社会化』への対応①

 2013年5月18日の日本経済新聞の朝刊に、『若者雇用世界で深刻』という記事がかなりのスペースをとって書かれていた。記事の内容は、国際労働機関(ILO)のまとめが紹介されており、『世界の若年層(15~24歳)の失業率は13年見込みで12.6%と、全年齢の6.0%を大幅に上回』り『世界で7300万人が働きたくても仕事がない』。具体的には2012年の若年層失業率は『アメリカ16.3%、EU22.6%、東南アジア13.1%』で一方『日本8.2%』(主要地域、日米欧は第2四半期時点、他はILO集計)といったことが書かれてある。

 一方、世界の大学卒業者の就職率は、世界の工場といわれる地域の中国が30%(中国教教育省)、韓国が58.6%(教育科学技術部)、台湾でも70%以上(教育部)など、日本の94%と比較すると若者の就職率は極めて低いのが現状である。諸外国は日本のように新卒一括採用ではなく通年の採用とはいえ、鴻海、現代、サムスンやハイアールといった巨大多国籍企業を擁する国でさえそういった状況である。私は先の新聞記事を見たときに、BRICsや周辺の発展途上国の若年労働力の状況に思いが行き、『日本社会のグローバル社会化』は避けられない、もはや泣いても笑ってもグローバル社会へとならざるを得ないと、強く実感した。

どういうことかというと、先進諸国や中韓台は生産拠点をアジアやさらにはアフリカ新興国に進出し、途上国・新興国の多くの労働者が多国籍企業に就労する一方、国内過剰労働力は移民として先進国や中韓台等へと『出稼ぎ』に行く。ところが中韓台での労働力、特に若年労働力はすでに飽和・過剰状態で、多国籍企業はコストカットの一環として劣悪な条件で移民労働者の雇用を進める。そのことが若年労働力の更なる過剰流動性をもたらす。世界的な教育レベルのアップやグローバリズムの中で過剰流動性は製造現場の現業労働力のみならず、トップクラスの技術者、管理者等にも拡がる。それらが要因となって中韓台諸国の大卒就職率に見るように厳しい状況として現れてくる。中国では、更に農民層が製造労働者として流れ込み、いまやユニバーサル化した大卒の中間層はますます溢れてしまう。そういった社会の仕組みが世界的規模で顕在化してきており、今やこれは世界資本主義の構造的問題となっている、と私は思う。若年労働力の過剰による流動性は資本主義社会の構造・骨格に関わる問題だろう。『それでは一体どうすれば良いか』の私論については、別の機会に述べる。

 そういった状況の一方では、日本国内の外国人労働者の就労状況はどうなっているか。日本は『鎖国』といわれているが、実際は日本で働く外国人労働者は、東日本大震災と福島原発事故以降一旦減少してはいるものの、多い。外国人労働者の数は2012年10月682,450人(2008年比140%)で、企業規模別では100名以下の企業が53.7%、500名未満の企業が24.1%(厚労省)となっている。職種で見ると、かなり以前から自動車産業等で働く季節工など、劣悪な雇用条件下で、生産工程を担う外国人労働者が多かったが、近年は介護や看護師、サービス業、飲食店などより広範な職域で外国人労働者の雇用が拡がってきている。

 日本企業の外国人留学生の雇用動向を見ると、かなり積極採用が見られる。ユニクロなどでは2015年卒業の求人予定600名のうち半数の300名が外国人留学生枠となっている。パナソニックでは『国籍に関係なく優秀な人材を採用する』などと言い、留学生枠240名のほか、現地採用の外国人労働者の日本国内での基幹社員としての登用も進めている。たまたまブラック企業やリストラ企業が例えに上ったが、このトレンドは大小の企業規模を問わず、グローバル展開を目指す企業の殆どが、外国人留学生の採用の方針を持っているために、若年労働力はより一層ボーダレス化してくるだろう。

 こういった世界の労働力市況、分けても若年労働力市場の世界的な流動化は、加速度的に日本にも押し寄せてくるので有り、それに対する日本の若者のグローバル人材の養成は、優秀でガッツのあるトップ層の若者だけの課題では無く、全ての若者にとっての必然的な課題となるだろう。

 日本社会のグローバル社会化の中で、全ての若者はどう対応しなければならないのか。『グローバル人材になるためのキャリア教育』ではなく、『日本社会のグローバル社会化に一人ひとりがどう対応するかのためのキャリア教育』が必要なのではないだろうか。

 次回は、キャリア教育の中身ついて、考えてみる。

(続く)

 

 

「一押しMovie」

題名:奇跡のりんご

出演:阿部サダオ 菅野美穂 山崎努 笹野高史 池内博之

監督:中村義洋

内容:

 青森県弘前のりんご農家の木村秋則さん家族が、絶対不可能・神の領域と言われた無農薬りんごを11年間かけて作った実話の映画。最初は、題名からして『子供向き』のハートフルな映画かと思っていたが、結果はなかなか見ごたえのある映画であった。

 りんごはあれほど甘くて、ジューシーなのに虫が食わない。当たり前と思っていたが、大量の農薬のおかげであった。その農薬が妻の健康を蝕む、それが無農薬のりんごを作ろうと思った原点。当初はりんご農家の若者たちも、ともに作ろうと熱くなって取り組んでいくが、木が病気になったり虫が大量に発生したりして、遅々として進まないどころか、やがて私財をつぎ込み、蓄えも使い果たす。他の若者たちも、挫折していく。

 そのうち木村さんは畑の一部も売り、電気代、税金も滞納し『竈(かまど)消し』と言われ、村八分のような状態にもなる。それでも妻や子供、妻の父親(山崎努が好演)に支えられ続ける。無農薬りんご作りを始めて10年目には万作尽きて、ある夜に死に場所を探して山中を彷徨う。人手の入らない自然のままの夜の山中で、虫も食わず病気にもならない元気な胡桃の木を見つけ、自然農法のヒントを得る。それが起死回生となり、独特の自然農法で11年目に無農薬りんごの栽培に成功するといった話しである。

 この話の中で、弱そうに見えても図太いほどに強い家族の愛情に、自分の家族の姿を投影し、感慨。私も好きなことをやって、家族にずいぶん心配と迷惑をかけたことが、心をよぎる。

 私がこの映画で心に残ったもう一つのことは、自分が思ったことはそのイメージが適うまで粘り通す、イメージ通りならなければパニクってしまうようなタイプの人が、それを成し遂げるなんともいえない爽快感が、十分に共有できたこと。これは前回の【一押しMovie】の『舟を編む』にも共通した感覚でもある。単に感動ドラマというだけでなく、そういったメッセージも伝える映画であった。

 

パライソの評価:★★★★☆

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パライソメッセージ20130607

2013-06-07 18:00:07 | メッセージ

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パライソメッセージ 2013.06.07

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 【主張・意見・コメントのページ】

テーマ:【良い会社】の見つけ方(4)-『物』『金』『人』『情報』から見る【良い会社】③-

 【良い会社】かどうか、『金の』面から見るのは幾つかの普遍的な指標はある。ただしこれにしても価値観次第ではどうともいえない場合もある。中には、『自分は過去の自己資本の蓄積や内部留保はどうでもいい。要は利益が出るかどうかだ』とか『事業というのは一発勝負で、ハイリスク・ハイリターンが良いのだ』『自分が会社を作っていくのだ。全て自己責任だ』といったような考えもあるので、比較的普遍的な【良い会社】の指標であるかもしれないが、『正解』はないだろう。

 【良い会社】かどうかの指標を『人』からアプローチするとどうなるか。いろんな指標があるだろう。例えば、

・社員を育てる・・・OJTや研修が充実していたりメンターなどの制度がある

・評価制度によって待遇が決まる・・・自分が正当に評価されたい。それが報酬に直結すべきだ。

・年功賃金・・・長く働き続けたい。年数に応じて報酬も上げて欲しい。

・下請けや協力会社を大事にする、育てる・・・下請けや協力会社にも社員や家族がいる。

・福利厚生が充実・・・自分のワークライフバランスを大事にするために、待遇を考える。

・家族的な雰囲気・・・助け合う仲間的雰囲気がいい。

・希望する人の殆どが正社員・・・実際にこういった会社がある。中小に多いが、大手企業にも。

・多様な雇用形態・・・非正規社員の活用などでコストカットを優先するべき。

・徹底的な実力主義・・・コミッションセールス、完全歩合給で実力が報酬に現れる。

等々。これも個々の価値観によって【良い会社】の指標が異なってくるだろう。

 『情報』からアプローチすればどうなるか。

・情報受容拒否・・・外部の情報には影響されない、鵜呑みにしない。信念で行動(仕事)する。

・情報の活用・・・イノベーションの為に、積極的に情報を活用する。

・情報を発信する・・・リスポンスを期待してあるいは実益の為情報を発信する。

・情報を開示する・・・情報を共有することによってアイデンティティを形成。

・企業情報が社会に公開されている・・・会社のCSRが明確。社会的説明責任を果たす。

 等々。その会社が情報にどう関わり、どう処理しているかは自分にとって【良い会社】かそうでないかの判断の指標になるだろう。

 ブラック企業の対極に有る【良い会社】の探し方はその会社を物、金、人、情報のそれぞれから見て、そしてそれらが自分の価値観にどれだけ重なってくるか、ということになるだろう。それではどのようにして、物、金、人、情報を調べるかということだが、これは前に述べたように、会社のHPから業種、取扱品目、トップの話、企業理念、CSR等を見る、また会社四季報、就職四季報、日経テレコン21就活版、学校・ハローワークのウェブ、イントラネット等を読み込むとかなりイメージが出来る。しかし、非常に有効な方法はOB・OGや先輩社員を訪問し話を聞くことではないか。仕事の内容、その仕事の働き甲斐、夢の実現、ワーク・ライフ・バランスや、福利厚生について、社員教育や研修について、など自分が働くことに際してのイメージが随分具体的になるのではないか。

 勿論、OB・OG訪問して話をすれば全てがクリアになるわけでもない。『この会社はひょっとするとブラックではないか』と思っていても、ブラックに染まった先輩の話を聞くと、生き生きと確信を持って仕事をしているかのように話すかもしれない。それはそれで話を聞いて、違和感があったり自分には出来ないなあと思えば、その会社を選択しない判断をすれば良い。

 【良い会社】の判断は、そうして集めた情報を重ねてみれば良い。物、金、人、情報が、なるべく多く重なるのがいいのではないか。例えば『人を幸せにする物』を扱っていても超過酷な労働条件の企業も沢山ある。ハウジングメーカーなど、『お客様の夢を実現する商品』を扱っているというのに、極めて苛酷な労働条件であったり、ハラスメントまがいの研修があったり、といった話は珍しくない。また、また、『従業員や下請けを大事にする』が経営状態は実は火の車といったことも時々は聞く話である。自分にとって【良い会社】としての指標が重なる会社をリサーチするのが、【良い会社】の探し方ではないか。

 物、金、人、情報全てに自分の価値観に適った会社を探すのは、なかなか手間がかかるかもしれないし、考えているうちに就活の時間も過ぎていく。そういったときにもう少し『能率的に』就活をすすめるには、とりあえず大体イメージの適う企業の採用選考にどんどん挑んでみる。そして幾つかの内定がもらえたら、それからOB・OGあるいは会社訪問をして、より自分にとって主体的なキャリアデザイン形成の実現に結びつきそうな企業を選んでいくことも有効である。ただし、そうして会社選びをしてうまくいったときには複数内定があるのだから、内定辞退もしなければならない。その時には、ルールとマナーを守って、丁重に辞退しなければならないことは、いうまでもない。

(次回は「新聞記事から読み取るグローバル社会化への対応」)

 

「一押しBook」

書名:若者はなぜ「就職」できなくなったのか?

著者:児美川孝一郎 1963年生まれ。法政大学キャリアデザイン学部教授(現在学部長)。著作は『権利としてのキャリア教育』『若者とアイデンティティ』『ニート・フリーターと学力』等。

出版社:日本図書センター 2011年2月初版 本体1,500円+税

内容:

 法政大学のキャリアデザイン学部は、創設メンバーとして主要な役割を担われた清宮先生をはじめとして、一貫して学生が主体的に自らのキャリアをデザインしその実現を目指すための教育・研究を進めてきた。その中でも、児美川先生は一貫して学部のミッションの実践を推進してこられた。学部教員は他にも上西充子先生や宮城まり子先生等活躍されている先生方が多くおられる。

 本著において問題意識の軸となっているのは『若者たちの「学校から仕事への移行」プロセスの変容をめぐる諸問題の構造を、できる限り客観的に描き出し、若者たちはそうした変化にどう向き合い、学校や教師たちはどのように若者を支援していけばよいのか』といったことである。

 内容は『学校はいつから『職業人養成所』になったのか』の章では「エンプロイアビリティ」に論及し、現在盛んに行われている文部科学省や経済界が主唱する「キャリア教育」に対して根本的に疑問を呈している。その背景となっている、雇用状況の厳しさ特に若者の雇用環境の厳しさの分析や、従来型の新卒一括採用の功罪の特徴とその問題点の分析も、次章で論及されている。その上で若者が自らのキャリアをデザインしていく上での学校教育の課題を述べている。

 全体を通して、雇用環境の劣悪さを分析・論述し、若者の自己責任への追い込みという社会のトレンドや「エンプロイアビリティ」「就職基礎力」を批判し、若者の主体的な自立を支援する教育の課題について述べられている、極めて実践的に即した問題提起の本である。

 本書は、教員・研究者、先生方の立場からの論述である。現場にいる職員は如何にあるべきか!!

 

イソの評価: ★★★★☆

(続く)

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