胃 癌 日 記 59
スキルス胃癌手術から1年(2012年12月9日)までの日々(1)
‐1年目の胃カメラ-
スキルス胃癌発見の日(2011年10月15日)から1年の2日前、2012年10月13日に手術後初めての胃カメラの検査を受けた。転移もなくまずは大丈夫とは思っているが、やはり緊張する。なるべくクリアに見えるようにと思い、前日の食事から昼はご飯だが、夕方は6時ごろにねぎ抜きの卵とじうどんを食べ、以後検査の時間である13日午前10時30分までは絶食とした。13日は10時過ぎにNクリニックに行き、胃カメラの開始時間を待つ。
いよいよ10時40分頃から検査開始。経鼻による胃カメラで、今回も比較的スムースに入り食道を経て胃まで入っていくのがモニターでよく見える。経鼻胃カメラの場合胃にカメラが入っていても、呼吸も普通にできるし、嘔吐反応もなく楽な状態で普通に話もできる。医者の説明にいちいち質問したり逆に質問されたりしたときには喋って答えることもできる。冗談も言ったりしてリラックスしてできるのは大きなメリットではあるが、なにやら「物足りない」。「物足りない」と言えばおかしいが、私はなんとなく口から入れるときの『オエーッ』といった嘔吐反応をしこたまやって、終わったあとに『アーッ、胃カメラをやった』といった余韻に浸る、なんとなく達成感を感じるのが好きだ。それに口から入れるより管も細いため、多少の不自由もあるようだ。
N先生が話しかけてきた。
「Iさん、食道は異常がないです。ただねー、胃に残渣が残っていて見えない部分がありますね。」
「先生、昨日は夕方うどんを食べてそれ以降何も食べてないですよ。」
「そんなこと言ったって、ほれ、御飯粒が残ってますよ。」
モニターを見れば確かに御飯粒のようなものが見える。
「先生。夕方はうどんで、御飯は昼に食べたのですが、消化しないんですか。」
「消化しないですね。口からの胃カメラでしたらこれくらいの残渣なら吸いだしてしまいますが、鼻からの胃カメラは管が細く詰まってしまいますので、吸い出せません。まあ、後で説明します。」
「絶食状態だったのに、甲斐がありませんね。」
「まあ、仕方ないでしょう。見える範囲では異常はありませんし、十二指腸も大丈夫です。胃の色も以前と違って綺麗です。異常無しということでよいでしょう。」
とのこと。N先生はそう言いながら胃カメラを抜き、私も診察室の椅子に座りなおした。N先生は説明をしてくれた。
「残渣があって見えなかった部分も有りますが、大丈夫でしょう。問題なしと言うことです。」
「先生。幽門部を切り取ってしまったのに胃に食べたものが残るのですか?」
と聞くと、N先生はメモ用紙に絵を描いて、
「Iさんは胃が下がった胃下垂で下のほうに胃が伸びていたかも分かりません。あるいは胃の切り方と腸への繋ぎ方の角度によって、食べたものが溜まりやすい形になっているのかも知れません。」
「幽門がなくなって、食べたものが胃に溜らないせいだと思いますが、食べても満腹感が無いんですが。」
「それはあまり関係ないでしょう。実際に残渣が残っているんですから。」
とのこと。また少し鬱陶しい事だ。まあしかしノープロブレムでなにより
(続く)