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パライソメッセージ20130726 No.21

2013-07-26 18:19:23 | メッセージ

パライソメッセージ20130726 No.21

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パライソメッセージ 2013.07.26 N0.21

 Mail : isokawas@goo.jp

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 「パライソメッセージ20130726 No.21」を送ります。「不要だ」「余計なお世話だ」といわれる方は、お手数ですがその旨ご連絡お願いします。

【主張・意見・コメントのページ】

テーマ:何故日本は『壊滅的な』状況になってしまったのか⑤ 

 『壊滅的』な状況から、日本のサステイナビリティ・ディベロップメント(Sustainability Development:持続可能な発展)はどうあるべきなのか。私は、その骨格となるのは平和外交と新自由由主義からの脱却であると思う。

 外交について言うと、日本には平和憲法があり憲法9条がある。しかし世界の国々は平和憲法があるにもかかわらずイラクへのPKO派遣などを行っている日本に対して、いぶかしい思いを持ち、少なからぬ不信を抱いているのが現状だろう。先進工業国も途上国、紛争当事者の国も、日本への評価はアメリカの強固な同盟国といった見方であろう。同盟というのは国際的には軍事同盟のことであって、平和『同盟』という概念は存在しない。平和の場合は友好条約や協定であり、対等平等の関係の具体的約束となる。日米軍事同盟における双方の権利・義務は具体的には日米安全保障条約で規定される。しかし、それは決して対等平等ではなく、日米地位協定に見られるように片務的、屈辱的軍事同盟である。

 日米地位協定とは安全保障条約つまり軍事同盟の前提となる協定で、米軍は日本の国土の『好きな場所を自由に』(第6条)『日本の負担で』(思いやり予算)『自由気ままに』(治外法権)使用することが出来る、というものである。協定を根拠にして在日米軍基地があり、沖縄の基地があり、断罪されない治外法権の米兵による犯罪行為が過去から重ねられてきた。  

 一方、現在アジアの23カ国の中で、アメリカと軍事同盟を結んでいるのは日本と韓国だけである。冷戦時代のアジアには、SEATO(東南アジア条約機構)といった反共軍事同盟が存在し、多くの国が参加していた。しかし1990年代の旧ソ連の崩壊後冷戦が終息し、SEATOも実質的に機能しなくなり消滅していく。ASEANは、当初反共同盟的色合いで、ベトナム戦争に派兵したフィリピンが当初の加盟国であったりして、長い間大きな進展は無かった。しかし今日では当のベトナムも参加し、新聞でも報道されるように10カ国が加盟し、東南アジアの地域統合体としての役割を果たし、その政治力・経済力は国際的にも大きな影響を持っている。ASEAN全体のGDPは日本のそれの40%くらい、人口はEU全体よりも多い。ASEAN諸国ではフィリッピンをはじめ全ての国から米軍は撤退し、中立的な連合体として周辺地域に影響を広げ、ドル経済圏、EUに続く第3世界としての存在感を増している。

 日本はASEANの発足当初から関係は深かったが、2000年前後から中国、韓国が加わりASEAN+3、2000年以降はオーストラリア、ニュージーランド、インド等も加わり経済連携が進められているが、自由貿易協定は中国が先行した。日本はアメリカの対中国政策に配慮したのかここでも中国に遅れをとり、逆転されてしまった。

 さて、日米軍事同盟だが、肯定論者は中国、北朝鮮の脅威に対抗する抑止力として必要と論じている。日本と韓国だけがアジアでアメリカと軍事同盟を結んでいるが、片務的、屈辱的軍事同盟は日本だけである。世界でも顰蹙を買っている屈辱的、片務的軍事同盟を解消するのは2つの道しかない。つまり憲法9条を改訂し自主独立の軍隊を持ち、韓国のようにアメリカとは形式上『対等の』関係で軍事同盟を締結するのか、それとも軍事同盟そのものを廃棄するのか、である。当然のことだが、独立国が自衛権を有するのは当然のことであり、そのことは否定しない。

 私は、軍事同盟そのものを廃棄し、自主独立の日本を希求することが日本のこれから生きるべき道であると確信する。理由は3点。

 第一に、戦後の日本が世界の中で評価され、大きな経済成長を達成してきたのは、日本が憲法9条を持ち戦争をしない国であるということが世界の、わけても途上国での信頼を得る大きなバックグラウンドであったいうことである。今日本の世界からの信頼は大きく揺らいできている。イラクへの継続的派遣、安部自民党による憲法改悪の企て、中国の領土問題を巡る大義の無い振る舞いや北朝鮮の動向を煽り立てたり、橋下の慰安婦問題本音発言に絡め歴史を捏造しようとしたりで、安物のナショナリズムを煽り立てることによって、周辺国のみならず世界の国々から大きな懸念と顰蹙をかっている。先日、テレビ討論で自民党の石破幹事長は『軍法会議』に言及した。現在の自衛隊は『軍隊』ではなく、法的には通常の法体系で律せられる。それでは駄目なので、軍に関する規則や命令への服務を律する『軍法会議』が必要で、命令に背いたり脱走、離脱等の場合最高刑で処分する、つまり死刑ということである。このことは安倍首相も思いを共有しているのだろう。テレビ討論以降、弁明も否定も一切行っていない。これには一部の報道で、現職自衛官でさえ『われわれは専守防衛を宣誓して自衛官になった』と言い、大いなる懸念を表明しているとのこと。

 こういった日本の右傾化、ナショナリズムの鼓舞、戦争が出来る国への転換が、外国からどう見られるのか。憲法改悪、再軍備にうつつを言っている間に、ASEANにおける経済協定は中国に持っていかれている。そのアメリカが日本を飛び越えて中国と同盟を結ばない保証は何も無い。そのほうがアメリカにとっては明らかにメリットがあるだろう。片務的・屈辱的日米軍事同盟は破棄することが、世界の中で日本が生き延びていくこと、日本再生にとって重要であると思う。

 第二、第三の理由は次回以降。

(続く)

 

「一押しBook」

 

 

書名:知の逆転

著者:吉成真由美インタビュー編、MIT卒業、ハーバード大学院修士(脳科学専攻)、NHKディレクターからサイエンスライター

出版社:NHK出版、2012年12月初版、903円(税込み)

内容:

 この本は、吉成氏が6名のアメリカの叡智にインタビューしたものを編集している。ジャレド・ダイアモンドは科学と宗教を脳科学から分析、ノーム・チョムスキーは資本主義、権力をアメリカ社会批判から延べ、科学の可能性に論述。オリバー・サックスは脳、音楽、教育と遺伝子などを論じ、マービン・ミンスキーはロボット工学、人工知能の可能性を『なぜ福島にロボットを送れなかったか』という問いかけから述べている。トム・レイトンは数学者が数学を武器に前人未到のサイバーワールドを展開し、アカマイを設立しスティーブ・ジョブズから賞賛される。DNAの二重らせん構造を発見したジェームズ・ワトソンは科学研究の将来の可能性、ダーウィンと神の関係、真実、教育、尊厳死を語る。

 現代の世界には哲学が無いと、私は嘆いている。新自由主義は、資本主義・自由主義からの後退的・退廃的反動へまっしぐらである。その様相はブラック企業に象徴的なように、封建制、いや奴隷制への逆戻りさえ思わせる。そんな世界的な殺伐とした刹那的トレンドの中で6名の叡智は、大変貴重で筋の通った『哲学』を語っており、これは人類に対するサジェッションに値すると思う。是非お勧めの一冊。

イソの評価:★★★★★

蔵書:イソ蔵書(貸し出し随時)

(続く)


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