札幌から函館へのメモリアルジャーニー 1
(トワイライトエクスプレス号、入線)
2009年11月18日から22日まで4泊5日の日程で、私と連れ合いはトワイライトエクスプレスに乗って北海道へ、そして札幌を出発点に、レンタカーを駆って一路北上し小樽へ、その後西進し積丹半島をぐるりと廻って南下、ニセコ、長万部、大沼公園経由函館まで、道路のオプションはそのときの気分次第という「メモリアルジャーニー」を楽しんだ。いまさら2年前の古い話を持ち出して、はなはだ恥ずかしい限りだが、この旅は私が60才の定年記念に勤め先から旅行クーポンを頂き、それを使って行動に移したもの。私としては自分で自分を「慰労」するというか、波乱万丈の人生を「良く」頑張ってきて、それに対するとりあえずの人生途中の自分への褒美というか、またなによりも長きにわたり良きパートナーであり大変世話になった連れ合いへの感謝の気持ちを顕す旅として、連れ合いと二人で計画した「メモリアルジャーニー」だ。 今回は「山行記録」ではなく「紀行文」で、その文章のまとめが今頃になってしまった理由は、この旅の記録を残しておかないとどうも落ち着かない「困った性格」、マイウェイを振り返るときに、心残りな空白部分を作ってしまいどうも落ち着かない、そういった私の思いが、遅ればせながら紀行文を掘り起こすインパクトとなっていた。
2009年11月18日 昼に、大阪駅からトワイライトエクスプレスで出発。あこがれのサンセットディナーは…。
2009年11月18日、朝10時10分に荷物の最終チェックを済ませ、茨木の自宅を出発。この年にもなるとトワイライトエクスプレスに乗って、日本海のサンセットを眺めながら連れ合いと二人、ワインで乾杯などというのはささやかな「夢」であった。その「夢」が今、実現しようとしていて、なにやらわくわくしながら南茨木から阪急電車に乗り梅田へと向かった。
梅田では、連れ合いは大丸の地下で、昼食のパンと晩飯の弁当を仕入れている。あれれ・・・、晩はワインでディナーではなかったの。あれれ・・・。連れ合いいわく「もったいない。弁当で十分」。
ともかくも11時30分にJR大阪駅の10番線に上がり、トワイライトエクスプレスの到着を待った。やがて11時55分頃列車は10番線に入線。乗り込む前にホームの先端の方へ行きその堂々としたトワイライトエクスプレスの雄姿を記念撮影。わが一行以外にも多くの客、その多くが団塊の世代の「同志」のようだが、記念撮影をしている。
たっぷりとその雄姿を撮影後トワイライトエクスプレスに乗り込み、12時30分大阪駅を発車。列車は堂々とそして哀愁を漂わせ動き出した。「のんびりと」というか、「威風堂々」というか、新大阪、京都、堅田、敦賀、鯖江、福井・・・とローカル駅にも立ち寄り、湖西線、北陸本線をゆっくりと北東へと進んでいく。15時38分金沢、16時16分高岡、16時32分富山と「堂々と」北陸本線をさかのぼり、やがて新潟県へと入る。
親不知を過ぎたあたりの海岸線でサンセットを迎えた。旅の出発前には個室の車窓から少し昂ぶった気持ちで日本海に沈む太陽を凝視する、といった映画に出てくるような1シーンをイメージしていた。
のだが、当日は少し曇り空でオレンジ色に燃える太陽が日本海に沈んでいくといった、「絵に書いたような」サンセットとはならず、全体に雲に映った夕焼けといった感じで、若干「気合抜け」ではあった。
糸魚川を通過し17時58分直江津からは信越線を辿り柏崎からは内陸に入って行き19時22分長岡、20
時に新津、そこからは羽越線を辿る。列車は新潟駅には寄らず、羽越線をそのまま北上し、車窓を凝視すると外は真っ暗闇の中に時々人家の灯が点在する寂寥とした光景が続く。
そういった光景をぼんやりと見過ごしながら、時々哀愁を漂わせる汽笛をぼんやりと聞いていると、車内にはディナータイムの案内が流れてきた。が、連れ合いと私は、「お弁当」。まあ、しかしゆっくりした旅、大丸のお弁当を美味しくいただいた。やがて車内ではディナータイムも終わり、20時30分頃に再び車内放送でパブタイムの案内が流れてきた。ディナーはパスしたが、パブくらいは記念に行きたい。
「パブに行こう。地ビールを飲もう。ワインも。」
と連れ合いにねだり、何とかOKが出て、勇躍パブへと向かった。20時45分二人のパブタイムが始まる。オーダーは地ビール、チーズ盛り、前菜3種、追加でワイン。約1時間、二人で心地よい話に興じる。
その後部屋に戻り、自分でベッドメイクをし、就寝。部屋の照明を消すと、外の光は殆ど無く真っ暗な状態。規則正しい列車の音も心地よく、ここはどこかな、山形は過ぎて秋田かな、黄金崎海岸はまだ過ぎてないだろうな、などと思いを馳せながら私はすぐに寝入ってしまった。
2009年11月19日 夜半に青函トンネルを過ぎ北海道へ、札幌観光地めぐりの後、小樽へと
日が超えて11月19日。夜半の午前3時頃に、約40分間を要して、青函海底トンネルを通過したようだ。私は、寝込んでいて良く覚えていないが連れ合いはずっと起きていて、青函トンネルの哀愁に浸っていたとのこと。私はというと海底駅に一旦停車したようだなとか、すれ違い列車の音が「轟音」のようで、少し起こされたような思いがかすかにあるといったところだった。
北海道の朝は早く、午前5時頃にはすっかり明るくなる。私は5時45分頃目が覚めた。天窓から見ると線路沿いの木々に薄っすらと雪が積もっている。まだ11月中旬というのに北海道にやってきた実感を味わった。7時18分洞爺駅、7時20分には車内放送で朝食の用意が出来たとのことこと。2人で昨日オーダーしていた和朝食をレストランカーに食べに行く。美味しい朝食を食べながら、朝のトワイライトエキスプレス号は、高層クレーンが立ち並ぶ工業都市の東室蘭を7時52分に過ぎていった。朝食を済ませ部屋に戻る。列車は規則正しい音を響かせながら8時12分登別、50分苫小牧、9時12分には南千歳を過ぎ、千歳空港のターミナルビルや自衛隊其地を過ぎ、ここからは仕事で見慣れた風景をぼんやりと眺めながら、やがて9時53分大阪から延々21時間50分をかけて、トワイライトエキスプレス号は札幌駅に到着した。
札幌駅からは北口へ出て、オリックスレンタカーの営業所へと向かった。駅前ターミナルに出ると肌寒い。晩秋というより冬の朝。やがてレンタカーの営業所に着き手続きを済ませ、車に乗り込む。決まりきった行程を組んでいるわけでもなく、とりあえず駅北だから北海道大学へ行ってみようとなった。
ポプラ並木やクラーク像、農学部などと言っていたが、北海道大学に着くと守衛さんが、
「北海道大学関係者以外の方は学内駐車は出来ません。」
とのこと。そこを何とかと、私も大学関係者だからと頼んだが駄目。近所にコインパーキングはあったが、まあいいか、ということになり、市内観光をすることとした。
札幌時計台 ![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/46/9f/6afef751ecfcf145696c61901a000889_s.jpg)
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大通り南にあるコインパーキングに車を停め、まず向かったのは時計台。10時55分に時計台着。時計台博物館の中に入り見学。北海道大学や北海道開拓の歴史記念物や資料が多く展示されていた。外に出ていろんな角度から時計台を撮影、その後すぐ近くのテレビ塔へと向かった。11時30分テレビ塔着。せっかくだから札幌市の全貌を見ようと展望台に登る。展望台は高度はそう高くないのだが、札幌の街が一望できる。市内の北海道庁の先、西のほうは中央大通りのその先に円山とスキーのジャンプ台、その左手西南方面は藻岩山とスキー場、南を見れば札幌ドーム、その左南東の江別方面には野幌森林公園や開拓記念塔、東方面は道央自動車道が一望できる。直下には豊平川が見え、ここには今でも鮭が遡上する。一通り札幌の街を堪能し、展望台を後にした。おなかも空いてきて、テレビ塔の地下のラーメン屋さんで、本場札幌ラーメンの昼食。アッサリ系で美味しかった。
12時25分テレビ塔を出て車に乗り込み小樽を目指す。カーナビの指示通り走り、道に気を遣うことも無く楽な運転。快適な道を走り続け13時頃小樽へ到着し、そのまま小樽の町を展望しようと天狗山を目指す。天狗山は小樽市街地の南西、標高も高くスキー場もあり小樽市街地展望には絶好の場所。
天狗山まではカーナビの迷ナビゲートもあり地道に侵入したり人家の敷地に侵入したりで難儀したが何とか13時15分に山麓に到着。途中あちこちで残雪があり、どうかなあと思っていたが、麓まで来るとここはもう一面の銀世界。おまけに深々と雪が降ってきている。スキー場はまだ営業しておらず、頂上へ登るロープウェイもストップしたままで、スタッフも観光客も誰もいず、閑散としている。
「あかんね。あきらめよう。」
といって、次の目的地を目指す。雪は深々と降り、寒い。
次の目的地は県道454号線、通称小樽海岸公園線を走って、祝津(ほうづ)の先にある小樽市鰊御殿だ。カーナビに導かれ順調に走って13時50分に鰊御殿に到着。小高い岬の上にあり、小樽の海が一望。中に入ると、かつて北の海を潤した鰊漁の歴史や当時の漁具、生活用品などが多く展示されていた。何か薄暗い中哀愁の漂う説明のナレーションを聞きながら、展示物や当時の漁師の生活空間に同化し、浸っていた。鰊が来なくなったのは、いろんな原因が考えられるのだが、森林を伐採し肥沃な大地の恵みが海に流れ込まなくなり、プランクトンが激減したことが最大の理由ではないかとのこと。それでも最近はいろんな努力が奏功しているのか、鰊が徐々に戻ってきているとのことだった。
(小樽の鰊御殿と日和山灯台)
鰊御殿を出て、日和山灯台を見、車を走らせて14時20分に祝津パノラマ展望台に到着。展望台といっても手摺以外に何も無く、客も我々だけ。寒い中記念撮影。祝津には観光パンフレットで「おたる水族館」が書かれているが、閉館中。その後小樽市内に戻る途中に小樽総合博物館に立ち寄り見学。16時15分北海道の初冬の夕暮れは早く、暗くなりかけた頃本日の宿泊地、小樽運河の中央橋ほとりの「ホテルノルド小樽」にチェックイン。
(続く)