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パライソメッセージ20130531

2013-05-31 17:50:39 | メッセージ

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パライソメッセージ 2013.05.31

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 「パライソメッセージ20130531」を送ります。「不要だ」「余計なお世話だ」といわれる方は、お手数ですがその旨ご連絡お願いします。

【主張・意見・コメントのページ】

テーマ:【良い会社】の見つけ方(3)-『物』『金』『人』『情報』から見る【良い会社】②-

 【良い会社】かどうかの判断の指標を『金』の面から見ると、以下のような指標もあるだろう。

◎ 売上・経常費支出・人件費対自己資本比率(自己資本÷売上・自己資本÷経常費支出・自己資本÷人件費)は自己資本比率と連動するが、これも重要な指標になる。つまり、会社が緊急事態に陥った場合どれほど(何年間)耐え抜くことができるか、を見る指標になる。売上ゼロになってもどれほど会社が維持できるか、人件費をみるとどれほど社員に給料を払い続けることができるかがわかる。自己資本は公開されている場合は容易に計算が可能であるし、公開されていなければ○○準備金や□□引当金などの内部留保を合算すればよいが、公表される財務諸表では分かりにくいことが多い。

 「まさか売上が0になることは無い。」

 と、誰でもそう思うかもしれないが、そんなことは無い。ほぼ100%下請け仕事で、元請が倒産したとか、単価の安い競合先が出てきて発注が0になったとか、天変地異の可能性も考慮する必要がある。この指標は業種によって異なる自己資本比率より、その会社の実態がよりリアルに分かる。

 かつてトヨタは売上がゼロになっても3年間従業員に給料を払い続けることが出来るといわれていた。ただし今はもっと自己資本を溜め込んでいるかもしれない。R学園は自己資本(内部留保)が1,000億円以上といわれている。それを公開されている経常費支出、あるいは人件費で割れば、R学園の安全度が分かる。R学園は、収入が0になっても約3年間教職員に給料を支払い続けることが可能なほどで、大学基準協会の大学評価では『磐石の財務』といわれているのだが、OIC展開の大投資や移転学部と学園一部トップが癒着した『物取り』のような大浪費によって、維持継続する以上は『手を付けてはいけない』減価償却引当金(引当特定資産Ⅱと言っている)を500億円(50%、シナリオCの場合)を残すのみとなる。しかもその場合は、毎年30億円のリストラが必要で、その場合でも新たな内部留保の蓄積は0、つまりリスク対応度が限りなく0に近づく。

 この指標は、中小企業を見る場合には有効だ。中小企業ほど下請け仕事を切られたり、得意先の倒産といったリスクが大きいからである。

◎ 従業員一人当たりの売上(売上÷従業員数)を見るのも有効な指標となる。つまり、営業(粗)利益、製造(粗)利益に対して、一般的に人件費率は30~50%である。粗利益は売上-営業・製造原価(仕入れや工場原価等々、要するに売って支払って、残る金)。業界によって粗利益率は変わる。商社・流通で物を売って右から左だとすると10%~30%だろう。つまり1人当たり1億円売って、粗利益率20%とすると仕入原価は8,000万円で粗利益は2,000万円となる。そこで人件費は粗利益×30~50%だから、2,000万×0.3~0.5だから、600万円~1,000万円となる。製造業の場合粗利益率は30~50%位だから、一人4,000万円の売上で粗利益率50%と仮定すると、600万円~1,000万円の人件費となる。そのようにして算出した人件費で【良い会社】を判断することも有る。つまり商社の場合一人当たりの売上が1億円、メーカの場合2,000円は一定の目処か。ただし、特に製造業の場合は特殊技術を持つ等付加価値の高い商品を扱う場合と、競争が厳しく安売りの低付加価値商品の製造メーカーとでは、粗利益率にかなりの差があるので、注意が必要。今をときめくベンチャー企業の中には一人当たりの売上げから計算した人件費が100万~200万円そこそこといった会社もあり、要注意だ。

 いずれにしても商社で一人当たり2億円以上の売上や、メーカーでよく知った会社で言うと日本スペリアやチョーヤ(梅酒の)やヒロボーやらイシダ、一人当たりの売上が1億円以上やそれに近い売上を計上している会社は、その指標から言うと【良い会社】であることは間違いない。

◎ 過去5年間(10年間)経常利益を出し続けているかどうか。これも分かりやすい指標となる。ただし注意が必要なのは『純利益』ではなく『経常利益』であること。『経常利益』は本業での損益を示している。ここに特別損益を加減したものが『純利益』となる。例えばパナソニックは3月決算で7,500億円の赤字だが、これは約9,000億円の減損処理という特別損を計上したからであり、本業では1,300億円の黒字であることは以前に説明した。逆にサッポロビールホールディングは2012年度30億円の純利益であるが、これは前年の10月にR学園の一部トップが学内の反対を押し切って190億円で茨木工場跡地を取得し、土地売却益という特別利益が発生した為で、本業は深刻な赤字であったということも、身近な例だ。というと経常利益はそんなにコンスタントに出し続けられないと思うかもしれないが、そんなことは無い。昨年の地方優良企業へのアンケートで、「継続して5年間経常利益を出している」と答えた企業は結構多い。プレイスメントデータ地方版に載っている。

◎ 他に、流動負債比率(流動資産÷流動負債)も参考になる。キャッシュフロー表はあまり参考にならない。例えば、2020年のR学園のキャッシュフロー表のように、いかに楽観的展望を言おうが、実際に行き詰っていればよほど深でに酷いといった状況。他にも指標はいろいろあるが、書くスペースが無いので、機会があれば説明する。

(続く)

「一押しBook」

書名:哲学の自然

著者:中沢新一(1950年生、明治大学野生の科学研究所長、著書多数、近著は『野生の科学』『大阪アースダイバー』)、国分功一郎(1974年生、高崎経済大学経済学部准教授、著書は『スピノザの方法』『暇と退屈の倫理学』等)の対談

出版社:太田出版

内容:

 私事ながら、胃癌の手術をして酒を止めて何が良かったかというと、本をよく読むようになった。従来の倍以上は読んでいるし、量だけでなく哲学書のように論理的思考を張り巡らせなければ読めない書物も、何とか読み込めるようになってきた。酒が入っていれば、到底無理だろう。

 この本は自然科学と哲学の関わりから事象にアプローチする気鋭の哲学者と、形而上倫理を脱し行動する若き哲学者が2011年1月~12月にわたって4回の対談をしたものを纏めてある。対話の出発点は福島第一原発の事故。中沢は〈原子力技術の存在論〉という課題に着手し、国分は哲学に携わる者として何ができるかを考えて対話にいどんだとのこと。「自然」(フェシス)を軸に古代ギリシャの哲学者や、古代民主主義の評価からハイデッガー、ニーチェにいたる哲学の歴史を解釈し、現代の技術と自然(フェシス)への関りを説明する。一番典型的な民主主義は里山である、とか「どんぐりと民主主義」とか、脱書斎の哲学者らしい感性で自然と民主主義の関わりを語るのは面白い。国分は、先日新聞を賑わした、小平市の計画道路の是非を問う住民投票に、率先して取り組むという、従来の哲学者とはまったくイメージが異なった行動派である。住民投票は残念ながら50%の投票率に届かず、開票もしないということになったが、挫折することもなく、また行動を起こすのだろう。

 少し読みづらいところも無いではないが、全編を通じて面白かった。アマルティア・センやマータイさんやアガンベンなど、現代思想家へのアプローチなどあれば、もっと面白いと思う。

 

イソの評価: ★★★★☆ 

(続く) 


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