いしころにっき

石原石子の日記です

近況です

2016-09-01 14:03:28 | 知らないひと
さいきんの話をします。


お能の稽古にいく道すがら
強風が吹きつけ
おじさんが私の体にもたれかけました。

いろいろとふんばりました。


おじさん・・・


腰がヤバイ期間に
なんとかしようとさまざまなことをしました。
そのひとつとして
都内にある温泉銭湯にいきました。

中身が黒湯と黄金湯の2つの温泉からなる銭湯です。

もちろん料金も普通の銭湯と同じです。
気に入ったのと腰のために通います。

私は黒湯と黄金湯を交互に入浴します。
黄金湯に入ったとき
真正面に恰幅のよいおじさんが温泉につかっていました。
私はおじさんと正対しています。
視線を合わせるとはずかしいので
すこしズラします。
それでもおじさんは視界にはいります。
きっとおじさんも私のことが目にはいっているはずです。

ま、それくらいはよくあることと
気にしないでいると
おじさんはおもむろに

鼻をほじくりました。

そして
ほじくられたものを黄金湯に溶かしていきます。

このお湯はおじさんの鼻くそ成分で成り立っているかのように
まるで日々の業務をこなすかのように
私などいないかのように

三度

くりかえし

でていきました。

その数日後
私の腰はよくなりました。



療養・・・


今回のはなんだかいろんなことがひどかったです。
突如発生した頭痛からの
腰痛からの
耳鼻科。

最後は耳に膜ができたような感覚になり収束をむかえました。

現在はすべての機能がもとどおりになったのですが
耳が不安だったので耳鼻科にいきました。

知り合いの方に良い耳鼻科として
教えていただいたところにいったのですが
ものすごい静寂と待ち人ひとり。

院内はとても清潔だったのですがなんだか侘しいです。

名前を呼ばれて入室すると
ゆったりと落ち着いて丁寧で
やさしい感じの女性の先生でした。
先生にいままでの経緯を説明して
もう治ったのですが不安なので念のためきました
というようなこと伝えると
両耳の中を覗かれ
聴覚の検査をするのでこちらにと
小型の電話ボックスのようなところに閉じこめられました。
イヤホンをして
音が聞こえている間はボタンを押していてください
とのことです。
正面には長方形の硝子窓があり
目の前にはさきほどの先生が座っています。

でははじめます

助手の方が扉を閉めると
音が鳴ったり止まったり
大きくなったり小さくなったり
しかもそれが忙しなく
先生はとても真剣に機械を操作していました。

けれど問題はそこではなかったのです。

硝子窓のむこうで先生が
音響さんやDJの人が扱いそうな機械のボタンやフェードの
上げ下げやON・OFFしています。

そうなのです。

音が聞こえていなくとも

まるわかりでした。

私は目を逸らして必死に音に集中します。
けれどわずかに視界にはいる先生の手元が気になって仕方がありません。


まるでDJのように
それでいて真剣に
先生はスイッチを パーンッ
ボリュームを ヒュイーンッ
緩急をまじえながら操作します。

私は先生の手の動きでいま音が鳴っているかどうか
どうしてもわかってします。
けれどもそこをなんとかこらえ

私も必死になって

いまの手の動き
きっと間違っているかもしれないけれど
自分の耳を大切に
聞こえたとおもう
耳を信じて
ボタン
押す
外の世界は絵画
動く絵画だ

それは私と先生の戦いでした。



そうして最後の音を鳴らし終えると先生は
満足した表情でひとつ大きくうなづいておりました。


検査室からでて私を外の椅子に座らせると
先生は機嫌よく

全然問題ないですね
よく聞こえてます

とおっしゃいました。
私はなんだかよいことがあったような気分になりましたが
どこまでが耳で
どこからが目で
音をひろったのかよくわかりませんでした。

とりあえず今回は私の耳は、健全のようです。



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