いしころにっき

石原石子の日記です

お寺の親子

2013-10-08 10:32:13 | 知ってるひと
今年の8月に私のおじいさまが亡くなりました。
そのようなわけで8月にお葬式に出席しました。
お寺のご住職が跡取り息子を連れてお経をとなえにきて
息子は脇で合いの手の木魚をたたいて一緒にお経を読んだりしていました。
親族席ではまわりに聞こえるほどのひそひそ話で

あーだれだれちゃん来たんだー
あっあの人

などと終始なごやかなムードのなか
お葬式は進行していきます。
親族席後方で私は黙って眺めます。

そのような中、ご住職が淡々とお経をとなえていると
脇にいたご子息はなんだかまわりをきょろきょろして
落ち着きがなくまったく集中できておりません。
いったいなにが気になるのか皆目見当がつきません。
そこへ親族の話し声と。
私は黙ってまわりを眺め変にしんみりするよりいいよなと
おもってご子息に目を戻すと
あわてふためいてお経の冊子をひたすらに
ものすごい勢いでめくっています。

ご住職がどこまでとなえているかわからなくなった模様です。

ご子息はめくります。
親族は焼香にきた人達の話しでもちきりです。
ご子息はなんとなく読んでいるふりをしながら
必死に真顔を装ってものすごい速度でお経の冊子をめくっていきます。

ご住職はおじいさまにむかってお経をとなえます。

私は目が離せません。
お経がどこまで進行しているのか不明ですが
間に合うのか!?
間に合わないのか!?
これはもう真剣勝負です。

そしてご子息は勝利したようです。
するとまたあたりをきょろきょろしだします。
なにが彼を駆り立てるのか。
きっと私ごとき凡人には計り知るところではないのです。

そうしてつつがなくお葬式も終わり数日前のことです。
おじいさまの49日法要のためお寺さんにいきました。

お経のまえにご住職のお話からはいります。
横には息子もひかえています。
その話の途中
私のお父さんがご住職に

卒塔婆が足りない

と言いました。
代金は払い済みらしいのですが
頼まれたことすら忘れていたようです。
さらに言えば位牌は普通の代物をお願いしたのに
料金二倍の黒檀を渡された模様です。
ご住職は電話で親戚の方から頼まれたと言い張ります。
けれど誰ひとりとしてそのような電話をした人はおりません。

私は思いました。


お前もか。ご住職。



さてはて

その親にしてこの子あり

とはこのことだと
お寺のお坊様は親子そろって
身を持って
お教えくだされたのでしょう。