もっと笑顔の写真などがあるはずなのに、歯を食いしばったような顔を表紙に使っていた。
でも、この写真が山中先生の人柄を表していると編集者も考えたに違いない。
帯には「中学生から読める」と書いてあるけれども、中身のかなりの部分は研究の話で、難しい細胞の名前なども出てきてきちんと理解はできなかった。3つに分割して、前半と後半の人生を語る部分だけは理解できた気がする。真中は???だった。
この本で語られている自分なりに読み取った山中先生の魅力
1、家族との仲
奥さんと一緒の映像はテレビでも流れていたが、お父さんとの関係も興味深かった。
お父さんが自分のような町工場ではなく「医者になれ」と言って、山中先生もそれに従う。この本の最後に「僕の父は、息子が臨床医になったことをとても喜んで死んでいきました。」とある。
現代は「親が子供の将来に口出ししすぎはよくない」などと言われるが、「親が子供の幸せを願い、子供もその思いを受け止める」という構図がいまでは懐かしい。
2、挫折をばねに変える良い意味での柔軟性を持っている。
医学部にはいいた後も理学部に行った友達を羨んだり、大学卒業後の就職先に手当たり次第手紙を書いて(30~40通)やっと雇ってもらうなど、挫折感を味わったことは多いみたいだ。でも、先生は自分の進む道をいったんは迷っても、自分の選んだ道で頑張る、とにかく全力をかけるという志で突き進んでいることだ。
好きな言葉は「人間万事塞翁が馬」。何かにぶつかっても、それを良いほうに考えて進んでいくという気持ちが潔い。
気持ちが弱くてすぐへこんで立ち直れない若者が多すぎる現在、泥まみれになっても頑張るというこそ姿勢が共感を呼んでいると考えた。
山中先生の生き方は古き良き日本人の姿がオーバーラップするのである。