いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
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自民党などの改憲は世界の潮流と逆行/山崎孝

2008-12-10 | ご投稿
【共同基金創設で合意 中米統合機構が首脳会議】(中日新聞HPより)

【メキシコ市=島田峰隆】中米七カ国でつくる中米統合機構(SICA)の首脳会議が12月5日、ホンジュラス北部サンペドロスラで開かれました。会議は、金融危機への対処で相互支援を強めることなどを内容とする宣言を発表しました。

 宣言は、中米は特に貧困率が高く、経済的に弱い地域であることを踏まえて、「金融の共同基金創設」を目指すことで合意しました。

 地域統合の促進のために、中米諸国の共通パスポート、共通通貨の採用、移住や教育にかんする法律の共通化を検討することも決めました。

 中米統合機構SICAは一九九二年に発足。エルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、ニカラグア、ホンジュラス、パナマ、ベリーズが加盟しています。

【「ASEAN憲章」の発効を15日に内外に宣言】(12月10日のNHKニュースより)

ASEAN=東南アジア諸国連合は、来週15日にインドネシアの首都ジャカルタで外相会議を開き、多国間組織として初めての基本法となる「ASEAN憲章」の発効を内外に宣言することになりました。

ASEANのスリン事務局長は9日、声明を発表し、今月15日に「ASEAN憲章」が発効するのにあわせて、ジャカルタにあるASEAN事務局で外相会議を開くことを明らかにしました。「ASEAN憲章」はASEANにとって初めての基本法となるもので、内政不干渉などの原則と並んで、民主主義の進展や基本的人権の尊重なども「共通の目標」として盛り込まれています。外相会議では憲章の発効を宣言し、ASEAN加盟10か国が、経済にとどまらず政治や安全保障の分野でも地域の統合を目指すことを内外に示します。また、議長国タイの政治混乱のため来年3月に延期されたASEAN首脳会議など、今後の日程についても話し合う予定で、一部の加盟国からは、金融危機への対応策を協議するため、日本、中国それに韓国を加えた「ASEAN+3」の財務相会議をできるだけ早期に開催するよう求める意見も出ています。

【コメント】2007年1月14日に東南アジア諸国連合と日本、中国、韓国の首脳会議は、東アジア共同体の創設に向けた取り組みを強化することを確認しています。

EU、中米統合機構(中米地域の政治経済の統合を図り平和・自由・民主主義・開発の達成を目的とする)、東南アジア諸国連合、そして日本、中国それに韓国を加えた「ASEAN+3」による東アジア共同体構想、そして現在行なわれている6カ国協議の枠組みもすべて多国間による平和と安定や6カ国協議を除き経済統合を構築する取り組みです。

しかし、自民党などの改憲の動きは日米軍事同盟を更に強化するためのもので、これらの世界の動向と逆行するものです。

現在しなければならない緊急支援とは/山崎孝

2008-12-08 | ご投稿
 12月5日の予算委員会で麻生首相は定額給付金を「どんな気持から実施することにしたのか」という質問に「家計への緊急支援だ」と答えました。

 定額給付金の支給を考えた当時は物価の値上がりが目立っていたから「緊急支援」という理由はつけられたかも知れません。

しかし、今日の緊急な課題は景気の悪化を理由に非正規雇用者が解雇されて大量の失業者が生まれていることであります。

 私は高額所得者にも支給されるという「緊急支援」の意味を持たないことが含まれる定額給付金支給は止めて、定額給付金に使う予定であった財源を、本当に困る状態になる失業者の生活支援にあてるべきだと思います。

 景気の回復は早期に望めそうもないから、雇用保険の支給期間延長の財源にも使って欲しいと思います。

 社員寮に住んでいた労働者は、解雇されると社員寮を出なくてはならないケースが多く生まれています。企業は利益を追求することばかりでなく、本来は担っている社会的な責任を自覚してほしいと思います。

大江健三郎さん、小田実さん 加藤周一さんの志を引き継ごう/山崎孝

2008-12-07 | ご投稿
【加藤周一氏死去 評論家、『九条の会』結成】(2008年12月6日付東京新聞)

 東西にわたる深い知識と幅広い視野で評論活動を続け、護憲派文化人らによる「九条の会」を結成した加藤周一(かとう・しゅういち)氏が五日、死去した。八十九歳。東京都出身。葬儀・告別式の日取りや喪主などは未定。胃がんを患い都内の病院に入院していた。

 東京大医学部卒。血液学を専門とするかたわら文学に傾倒、フランス文学や古典に親しんだ。戦後間もなく福永武彦、中村真一郎氏と「1946 文学的考察」を著し、若手文学者として注目を集めた。

 その後三年間、医学留学生としてパリなどに滞在。欧州各地を回ることで日本を見つめ直し、日本文化の雑種性を指摘した評論「雑種文化」を発表した。

 次いでカナダ、ドイツ、米国などの大学で日本の古典文学などを講義。日本文学を世界史的視点から通観した大作「日本文学史序説」で大仏次郎賞を受賞した。

 上智大教授、東京都立中央図書館長などを歴任、林達夫氏のあとを継いで平凡社「世界大百科事典」の編集長を務めた。

 主な著書に自伝的回想録「羊の歌」、評論集「言葉と戦車」、「加藤周一著作集」(全二十四巻)などがある。

 二〇〇四年には作家の大江健三郎氏らと「九条の会」を結成し、憲法改定に反対した。(以上)

【天声人語】12月7日

亡くなった評論家の加藤周一さんは、67年前のあす、日米が開戦したとき東大の医学生だった。半生を回想した『羊の歌』(岩波新書)で、(周囲の世界が、にわかに、見たこともない風景に変わるのを感じた)と心境をつづっている▼それは、住み慣れた世界と自分とをつなぐ糸が突然切れたような思いだった、という。高揚と無縁だったのは戦争の行く末が想像できたからでもあろう。帰って母親に先行きを聞かれ、「勝ち目はないですね」と吐き捨てるように答えたそうだ▼そして迎えた8月15日には、(もし生きるよろこびがあるとすれば、これからそれを知るだろう)と思った。医者として東京大空襲の悲惨を目の当たりにし、人間として戦争の不条理を考え続けた。厳しい怒りに、そのリベラルは根ざしていた▼4年前、作家の大江健三郎さんらと呼びかけてつくった「九条の会」も、深い怒りの根から咲いた花だ。花は種子を飛ばし、平和憲法を守ろうという草の根グループを全国に広げている▼長く本紙に連載した「夕陽妄語」は7月が絶筆になった。最後の回に、何事も逆さまに眺めるクセのある、話し好きな「さかさじいさん」なる隣人を登場させている▼むろん、ご本人の分身だろう。国民が下にいて、雇われた役人や政治家が上で威張る国は、民主主義を逆さに吊したもの。もう一度逆さにするほかない、などと「じいさん」は言うのである。夕陽とは老境のたとえでもある。妄語どころではない多くの宿題を今の世に残して、「知の人」は旅立って行った。(以上)

【追記】12月7日の朝日新聞に、大江健三郎さんは「大知識人の微笑とまなざし 加藤周一さんのこと」、井上ひさしさんが「北極星が落ちた」と題して、追悼文を寄せています。

私たちは今年は二人もの「九条の会」の発起人を失いました。「大知識人の微笑とまなざし」の中で、加藤周一さんが小田実さんを記念する集会で話された《現在は戦争とグローバリゼーションの時代に入った(中略 この時代に)…持続的な抵抗を続けなければならない。それが、小田の志を継ぐということだと思います》の言葉を紹介した後、大江健三郎さんは《真の大知識人加藤周一の広さと深さをひとりで継ぐことはできないが、あの人の微笑とまなざしに引き寄せられた者らいちいちの仕方で、その志を継ぎ、みんなで統合することはできるだろう》と述べています。

なお、「天声人語」が紹介した「夕陽妄語」は、2008年7月26日付けの朝日新聞に掲載されています。

働く人の暮らしと人間の尊厳を守れ/山崎孝

2008-12-05 | ご投稿
【派遣切りノー怒りの夜 2千人が抗議集会】(朝日新聞12月5日付朝刊1面トップ)世界不況のあおりを受けて、非正社員らを減らす勢いが加速している。相次ぐ「派遣切り」に、不安を抱える労働者からは、対策を求める大合唱が起きている。

 4日夜、東京・日比谷野外音楽堂は、2千人の非正社員や労働組合の関係者らで埋まった。怒りと不安が満ちていた。

 「僕たちにも2009年を迎えさせて下さい」「寮から追い出さないで下さい」「どうかホームレスにしないで」

 壇上にのぼった派遣社員の叫びが、会場に響き渡る。「厳冬のなか、数十万人が放り出されようとしている」。日本労働弁護団の棗(なつめ)一郎弁護士も訴えた。

 発言者のうち1人は50代。神奈川県内の自動車関連工場で働いていた。「暇になってきたのでダメですね」。10月31日、派遣会社の営業担当者から突然、契約打ち切りを宣告された。会社が借り上げているアパートは今月16日までに出なければならない。「年末年始をしのぐため必死で仕事を探しているが、見つからない。こんな切り方をされるとは思ってもみなかった」

 自動車、電機、工作機械……。製造業を中心に非正社員の大規模な削減が相次ぐ。その数は厚生労働省が把握しているだけでも来年3月までに約3万人。日ごとに増える。

 減産を理由に期間従業員や派遣社員ら440人が契約打ち切りを通告されたいすゞ自動車栃木工場(栃木県大平町)では、期間従業員の松本浩利さん(46)らが労組を結成。4日午前、同僚らと解雇の撤回などを同社に求め、仮処分を申し立てた。松本さんらは10月に来年4月までの契約更新をしてから1カ月後、11月末での契約打ち切りを告げられた。「期間従業員というだけでの解雇は、納得がいかない」。泣き寝入りする非正社員が多い中、法的手段に訴えるのは異例だ。同社は「世界不況の大波が、想像を超えていた」(広報部)。

ヒル国務次官補 実効性ある検証枠組みの確立が不可欠/山崎孝

2008-12-04 | ご投稿
【「次期政権でも方針不変」 6カ国協議でヒル氏】(2008年12月3日東京新聞のHPより)

 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補は3日、都内で共同通信と会見し、同協議をめぐる米政府の立場が「オバマ次期政権でも大きく変わるとは思わない」と言明、来年1月の米政権交代後も、多国間協議の枠組みで外交解決を図る方針が継続されるとの見通しを示した。

 また、8日に始まる見通しの同協議首席代表会合や4日からの米朝協議で最大の焦点となる核計画申告の検証方法に関し、北朝鮮との合意に基づいた実効性ある検証枠組みの確立が不可欠だと強調した。

 検証に欠かせないサンプル(試料)採取をめぐり、米朝間の主張に食い違いが生じた経緯を念頭に、明確な合意形成で実際に機能する検証体制の構築を目指す決意を示した発言。寧辺の核関連施設など現地での検証実施に一定の道筋を付けた上で、次期政権に引き継ぎたい考えとみられる。

 次官補は首席代表会合で検証議定書を作るとし「後になって北朝鮮側に『合意した覚えはない』と言わせないよう(議定書の解釈を)明確にしなければならない」と説明。「議定書より、実際の検証作業に着手することが重要」とも述べ、検証実施段階へ早期に移行する必要性を指摘した。

 また国務省がオバマ次期大統領の政権移行チームに6カ国協議の進ちょく状況を説明するなど、引き継ぎを進めていることを明らかにした。

 拉致問題に関しては「進展があるとは聞いていない」と述べる一方「被害者の消息を解明しなければならない。北朝鮮側との交渉のたびにこの問題を提起している」と言及。(共同)

【産経抄】11月29日 産経ニュース(抜粋)

▼なぜ金正日総書記は核兵器を持ちたがるのか。航空自衛隊の田母神俊雄・前幕僚長は、1発でも米国に届く核ミサイルを北朝鮮が開発すれば、「(米が)武力で制圧するのは、絶対できなくなるから」と小紙のインタビューに明快に答えている。

▼「核兵器を持たない国は持った国の意思に従属させられる」という田母神氏の指摘は一面の真理を突いている。むしろこちらで論文を書いてもらいたかったが、悪意ある隣人が核兵器保有を黙認されればどうなるか。日米同盟の根幹を揺るがしかねないヒル氏の功名心にかられた暴走を外務省は全力で止めてほしい。(以上)

【コメント】「産経抄」の考え方の根底にあるのは、ネオコンの考え方である、話し合うことよりも圧倒的な力を示してこそ目的が達成できるという考え方だと思われます。この考え方はイラク戦争のベースとなり、破綻した考え方です。

「日米同盟の根幹を揺るがしかねないヒル氏の功名心にかられた暴走を外務省は全力で止めてほしい」という主張は全く的を外れた主張です。ヒル氏の行動は米国の国務省の方針に基づくものであり、6カ国協議という枠組みの参加国の同意が得られなければ進むことが出来ないものです。だから、日本と韓国の懸念したことについて、共同通信との会見で「実効性ある検証枠組みの確立が不可欠」と述べています。

「日米同盟の根幹を揺るがしかねない」とは奇妙な考えです。この考えを裏返しすれば、6カ国協議の最終目標である東アジアの平和と安定が構築できれば、日米安保は、極東地域の脅威から日本を守るとしてきた大義を失うことです。軍事的な政策より対話により勝ち取られる平和こそ尊いとしなければならないことなのに不思議な物言いといえます。

「産経抄」の筆者のおそらく6カ国協議が進展することは「話し合うことよりも圧倒的な力を示してこそ目的が達成できる」という世界観が崩れるあせりがあるのかも知れません。これは日本国憲法の理念と対極にある世界観です。軍事力で物事を解決しても良いとする考え方は、目的を達成するためには、民衆の犠牲も仕方がないとする考え方です。

私は6カ国協議がスムーズにいかなくても、粘り強く続けられることは東アジアの緊張緩和に役に立っていると考えます。

トヨタ期間工の日記/山崎孝

2008-12-02 | ご投稿
トヨタで期間工として働く20代の青年の綴った日記の一部を紹介します。(しんぶん赤旗日曜版11月30日号掲載)

(前略)11月5日 九州出身の幸男君(23)がこの日で満了。仕事中、僕に手をふってくれた。別れのあいさつか?

11月6日 東北出身の40代の邦夫さんの話にしんみりとなる。食べ物店を営んでいたが赤字で、毎月、家族に仕送りしているという。「夢は家族と暮らすことだ。子どもの成長が見たい」

 僕は思った。なぜ2年11カ月で満了なんだ。なぜトヨタはもっと働かせてくれないんだ。正社員にしてくれないんだ。

寮の食堂で食べていると、トヨタの中間決算発表の様子をテレビが放送していた。期間従業員を来年3月には、3千人減らして半分にするという。家族心中や秋葉原事件のようなことが起きないか…。

11月11日 寮の玄関には、日に日に布団や毛布の山が増えてゆく。

11月12日 夜中に友人の正次君(25)から電話。「期間満了になったら、ハローワークに通う」という。僕は、「図書館で新聞を読んだけども、トヨタには13兆円のためこみ利益があるというよ。僕らを雇い続ける体力はある、と書いてあった」と話す。正次君は、「不景気だからしかたがない」というのだが…。(以下略)

【コメント】しんぶん赤旗日曜版11月30日号には、トヨタが株主への2008年度の中間配当金のうちの5%を減らせば、3千人の雇用は守ることが出来る。資本金10億円以上の大企業全体を見ても、ため込み利益は229兆円(2007年度)そのごく一部を使うだけでも、非正規雇用労働者の雇用は守ることができる、と指摘していました。

政治のあり方は、富の配分(余剰利益)を国民に公平に配分することに心がけなければならないと思います。すくなくとも憲法25条に規定されたことを守る社会であらなければならないと思います。

「古寺巡礼」を少し読んで/山崎孝

2008-12-01 | ご投稿
私は日曜日に「いせ九条の会」の「平和憲法九条を守る賛同署名」に参加して、二人の好青年に出会いました。

一人は署名に快く応じて下さりました。しかし「いせ九条の会」の存在を知りませんでした。そこで私たちは2004年6月に東京で「九条の会」の発足したこと、「いせ九条の会」が2004年の暮れに初めての講演会を開いて以降、月例会、宣伝活動や講演会や学習会を開いていることを話しました。そして次の催し物の案内をお送りすることになりました。

もう一人の青年も快く署名に応じてくださいました。この青年は古書店を営んでいました。いま流行の全国展開をする古書店とは違い、哲学書や文学集や珍しい民俗学者の宮本常一の本が10冊もあり、なかなかの品揃えをしていました。

私は和辻哲郎の1979年改訂し1980年1月発行の第6冊である「古寺巡礼」を購入しました。家に帰ってきてから「改訂版」の序を読みました。

序には大正8年に初版を出して重版を重ね、昭和13年か14年に「紙型」が磨耗して印刷が出来なくなり、これを機に和辻哲郎氏は改訂版を出そうと思った。改訂原稿にてまどっている間に数年が経ち、その間に社会の情勢は「古寺巡礼」の刊行を不穏当とするような状況になってしまった。そして絶版となり、78年の歳月を経て再版となった。

しかし当時、近く出征する身で生還は難しい。ついては一期の思い出に奈良を訪れるから、ぜひ「古寺巡礼」を手に入れたい、とかなりの方から申し入れを受けたと書かれています。

随分昔のNHKの朝の連続ドラマ「都の風」にも、出征する人が奈良の都をおとずれるシーンがよくありました。

「古寺巡礼」の記述の一例を紹介すると「百済観音は朝鮮を経て日本に渡来した様式の著しい一例である。源は六朝時代のシナであって、さらにさかのぼれば西域よりガンダーラに達する」と書かれています。この記述は当時の国粋主義者が容認出来ない記述となっています。

「憲法に生かす思想の言葉」という著書の中で、辻井喬氏は、軍閥、財閥、国粋主義者が日本を支配していた時代は、伝統文化は歪められていた。その一例として「万葉集」よく出てくる「大君」というのは、その当時は部族の長であったが、そこから引用してきて、万葉の時代から天皇は偉い人だったとされてしまったという趣旨のことを述べています。

現在も、歴史を歪めて歴史に学ばず、そして憲法理念を活かそうとする日本の未来おも歪めようとする勢力が蠢いています。