伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

長刀鉾に若冲

2016年06月24日 | 祇園祭
この前菊水鉾の胴掛け新調の話題をしたら、
弩級のニュースが入って来た。

長刀鉾の見送りに伊藤若冲の「旭日鳳凰図」を新調したと。

http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20160623000064

http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20160623000064/1
写真を転載してはいかんそうなのでリンクで見てください。

長刀鉾、いきなり攻めて来たな、という感じだ。

今まで長刀鉾といえば
お稚児さんばかりがクローズアップされて、
懸想品に関してはあまりやいやい言われていなかったが、
今まで見送りに使われてきたのは、
中国製の龍が真正面を向いた絵柄のもの
(江戸・天保年間のものの復元品だったらしい)
で固定されていたはず。

それがいきなり若冲の見送りとは。

記事にある通り、長刀鉾保存会の発足50年記念と、
若冲生誕300年記念というので作ったという。
制作は例によって川島セルコン。
3年がかりで作ったというから、
3年前から企画していたわけか。
そういうことは作る際にひとこと言ってほしいよね。
びっくりするから。


この旭日鳳凰は宮内庁三の丸所蔵が原画というから、
やはり動植綵絵の一つから取ったものだろう。

若冲「鳳凰」が京都を舞う、と言うタイトルになってるが、
見送りというのは上を固定させてるだけで、
ぶら下がっているだけなので、
巡行の時はゆらゆらと揺れるものだ。
だから舞う、
というのはあながちオーバーな表現ではないのだよ。


これまで各山鉾の見送りや懸想品は、
わりと現代作家のものが多かった。
梅原龍三郎、加山又造、竹内栖鳳、平山郁夫、
などなどの原画。

それから上村松篁、
上村淳之親子の胴掛け競演は霰天神山だそうだ。
京都ゆかりの日本画家が多いね。

この親子競演を見られるのは眼福だな。

山口華楊原画の前・後ろ(見送り)は芦刈山。
覚えられん、テキスト見ながらだ。




この山口華楊の「凝視」というライオンの絵は、
いつまで経っても慣れることが出来ず、
なぜ山鉾にこんなものが?という違和感がいつもつきまとっていた。
見送りの「鶴」もしかり。


山口華楊という画家を良く知らなかったせいでもあるだろう。
いつも違和感を感じつつ巡行を見ていたのだが、
こういうのも含めてしまうのが祇園祭ということなんだろう。


若冲を山鉾に使うのは今回が初めてということだが、
それはそうだろう。
私も聞いたことがない。
祇園祭に若冲、という発想がなかった。
だから今回は虚を突かれたという感じだ。


同時代の円山応挙は祇園祭に関係も深く、
月鉾の屋根の裏の草花図が有名だが、
保昌山の胴掛けの原画なども担当している。
原画は屏風として仕立てられ、
宵山飾りで会所で公開されている。
(題材が中国風のものなので、あまり応挙らしくはないが)


応挙はこのように祇園祭にかかわっていたが、
若冲が祇園祭に関わったことは一切ない。
だけど、記事にもある通り、
「ご近所さん」だったから、
祇園祭見物に行ったことは絶対あるはず。

若冲の住んでいた錦通りは四条通のすぐ北、
当時、山鉾の巡行は
今のルートとは違うコースを取っていたが、
高倉は通っていたはず。
だから歩いてすぐ見に行けたのだから、
必ず見ていたと私は思う。
純京都人の若冲なんだから、当然見ていたと思う。


で、今は復元新調されて
会所飾りでしか見られなくなっているベルギー製のタペストリー、
重要文化財に指定されている鯉山のとか、
函谷鉾のとか、鶏鉾のとか。
あれらは1700年代に日本に来ていたらしいから、
若冲もあれらを見ていたはず。

私も鶏鉾が本物の重文のタペストリーを
ひらひらさせながら巡行しているのを、
一度だけ見たことがあるが、
…あれが最後の本物の巡行だったかもしれない…、

若冲がああいうのを見てどう思っていたのか、
それが興味ある。
西洋の、想像もつかない服装や、風物の数々。
画面隅々まで、ごてごてと隙間なく埋め尽くす画風。

それらを見て、
若冲の絵に影響がなくはなかったのでもないかなと、
私は想像の翼を広げて思ったりもするわけだ。

若冲の旭日鳳凰図は、祇園祭の巡行で、
どのように写るだろうか。
わりとすんなり普通に溶け込むだろうと思うんだな。

山鉾の懸想品は、基本色が赤。ど派手、鳳凰の図も、
中国製のすごくごてごてしたものが既にある。
だから、若冲といっても、
きっと何気なく通って行くんだろうなと、
そんな風に思っている。




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