伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

ロシュフォールの恋人たち

2010年05月31日 | 映画
突然、「ロシュフォールの恋人たち」という映画を
レンタルして見た。
昔も大昔、1967年というから今から40年以上も前の映画。

楽天ブックス



これには思い出があって、
その昔烏丸五条に大きな映画の看板があり、
そこにこの映画の宣伝がしてあったのを今でもよく覚えているのだ。

レンタル更新の連絡があり、
これまで更新の時にはレンタルが一回無料サービスがあったのだが、
今年から10枚綴りの割引券になってしまった。
一回無料よりも、10回割引で、沢山レンタルしてもらうためだろう。
だいぶ不況のようだ。


まあそんなでDVDレンタル店へ様子を見に行った。
最近はもうビデオをレンタルしていない。
店内はすべてDVDに変わった。
当たり前なのだろうけど…。

うちの近所のレンタル店は、歩いていけるのがありがたいが、
店の半分くらいが韓国ドラマで埋まっている。
あんなもの誰も見ないと思うのにどうしてだ…といつも思う。

しかし、外国(アメリカ)テレビドラマや、
日本のテレビドラマもどっさり扱っている。
それから、目立つのはお笑い。そしてアニメ。
そういったものが多くて、
肝心の映画のDVDが隅っこの方に肩身が狭そうに追いやられている。
そういう時代なのか、とレンタル店へ行く度に切ない。

映画って、もう置かないの?
昔のビデオレンタル店には、カルト映画やら、
誰も借りなさそうなマイナー映画のビデオが置いてあったりして、
私はウハウハ言いながらそういうマイナー映画ばかりを
借りていたものなのだけれど。

いや、レンタルそのものがもう、流行っていないのだろう。
インターネットで動画をダウンロードしたり、
そんな時代だから、
もうレンタルなんていうアナログな行為はみな行わないのだろう。


そんなレンタル店の棚になんと
「ロシュフォールの恋人たち」が置いてある。
こんな昔の映画なのにDVDになっているなんて。
(フェリーニの「道」なんかもあった)

私は感激して、つい、昔を思い出し、
見たことのない映画だったけど、
常々気になっていたこの映画をレンタルしたのだった。


これはフランス製ミュージカルである。
「シェルブールの雨傘」もミュージカルだけれど、
ミュージカルというより、
ダイアローグがすべて歌になっているという珍しい作品だった。
フランス製ミュージカルは、
後にも先にもその「シェルブール」と「ロシュフォール」だけ。
なぜだろう。

見始めたしょっぱなから
「これは(私には)ムリかもしれない…」と呟いたが、
我慢して見ているうちに慣れて来て、しまいには病みつきになった。
一週間「ロシュフォール」づけだった。


ミュージカル嫌いのタモリが絶対にけなしそうな映画で、
不自然極まりない作りなのだ。
バックで、
エキストラで町を歩いている人たちさえもがもう不自然で、
その人たちがいきなり踊り出す場面もある。
だけど逆にそれに慣れさえすれば、
簡単にその世界に入っていける。


でも何と言っても「ロシュフォール」は
カトリーヌ・ドヌーヴとフランソワーズ・ドルレアックの姉妹。

彼女たちが歌って踊る
(歌は吹き替えだし、踊りはちょっとだけだが)のを見るのがメイン。

特にフランソワーズ・ドルレアックは
この映画の直後に交通事故死しているので、
この映画の、元気に歌い踊っている映像は貴重品だ。
というか、もう涙ものだ。

私生活ではドヌーヴの姉で、映画の中では双子の姉妹となっている。
初めてにして最後の共演だった…。

相手が歌を歌っている間にその頬にそっと手を当てたりするしぐさなどは、
私生活が姉妹ならではだと思った。
それともフランス人はああいうボディタッチを良くするのかなあ。

双子のおじいさんが模型を作っていることを
3回目ではじめて気がついたくらいだから、
やっぱり映画は一度見ただけでは分からないことも多いなあという気がした。


双子の衣装を始めとして、
コスチュームデザインがとてもおしゃれ。
ミシェル・ルグランの音楽もとてもおしゃれだ。
でもダンスを見ていると、
私はどうしても当時の「シャボン玉ホリデー」だとか
「夢で逢いましょう」等のテレビ番組を思い出すのだった。

こらまた古い話になったが、
当時、40数年前に、そういうテレビ番組があったのだ。
コント入りの音楽番組というタイプの。
歌ったり踊ったり、小芝居をしたり…、という、
今では見られない構成の番組だ(近いのはスマスマか?)。
そこで踊られていた踊りが「ロシュフォール」のダンスに良く似ていたような気がする。

そうです。
「ロシュフォールの恋人たち」もそういう映画だと思えば良い。
歌や踊りの間に入るお芝居はコントだと思えば良いのだ。

あの烏丸五条にあった看板を思い出しながら、
懐かしさに震えながら見続けた「ロシュフォール」であった。


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親鸞

2010年05月14日 | 本・書評
五木寛之の「親鸞」がちょっと前に発売された。

これは、北海道から沖縄(?)まで、
全国の地方新聞に連載されていたものを加筆訂正した、
「2500万読者を熱狂させた」
新聞連載を単行本化したものだ。


今回、WEBサイトで上巻全部を無料で読めるようになったと
新聞記事に書いてあった。
そこで、ずっとアップし損ねていたこの記事を今回上げてみよう。





母が親鸞ファンなので、
毎日の新聞の連載を楽しみにしていたのだったが、
単行本になったらそれも買って来てくれと言うので、
買いに行った。

私はむしろ毎日の連載についていたイラストが楽しみだったので、
単行本になり、
そのイラストがまったくなくなってしまったのが悲しい。
山口晃という面白い作風の人が書いていたイラストだ。

山口晃はこちら



六角堂のてっぺんに雪だるまがいたり、
病床の恵心尼(親鸞の奥さん)がカーディガンを羽織っていたり、
親鸞が歩く街角に電線と電柱があったり…。
そんなイラストが面白かった。

ブルータスにも時々イラストを書いていて、
どこかで似たような絵を見たなとバックナンバーを見てみたら、
伊藤若冲特集のブルータスに、
若冲の一生というすごろくを描いているのが山口晃だった。
その時実に達者なマンガ家だなあと思っていたら、
画家であったらしい。
狩野派などの古い技法を再現するのがすごく上手なのに、
マンガチックで、現代の風俗が当たり前のように出て来たり、
面白い画家だ。


↓さて大山崎というのも、面白い


それはさておき、五木寛之の親鸞は、終わった時にえっ?と思った。
えっ、これで終わり?
おそらく、
全国の2500万読者も同じような突っ込みを入れただろう。
親鸞が、まだ親鸞と名乗ることなく、
越後へ流される所で終わってしまう。

親鸞はとても長生きしたので(90歳くらいまで?)、
流されてからが波乱万丈の人生の始まりで、
エピソードにも事欠かないというのに、
何だこの中途半端な終わり方は。

私は、連載の始め、
親鸞が8歳のままなかなか成長しないので、
きっと2、3年くらいのスパンでの連載なのだろうと思っていたのだが、
1年で終わってしまった。
1年では長い親鸞の生涯を書ききれないのだ。


それでも連載が終わった時、五木は大変な感慨があったらしく、
ものすごい達成感を感じたというようなと感想を述べていた。
いつか命があれば続きを書きたいとも述べていたが、
これは当然、書かなくてはならないだろう。こ
んな中途半端な終わり方をしたのならば。


五木の「親鸞」は、言ってみれば非常にあざとい作り方で、
悪役がはっきりしていて、
法然の弟子のうちの二人が親鸞の敵役として活躍(?)する。

保護されているはずの親鸞の奥さんをいつの間にか拉致したり、
あまりにも都合の良い暴れ方をする。
そんなあからさまなことをしたら法然上人にばれるのではないか、
よく法然が黙っているものだと
連載中は何度も一人で突っ込みをしていたが、
それでも新聞小説の連載など普段はあまり読まない私が読んでいたのだから、
五木氏のストーリーテリングというか、
話の進め方が上手だと言っていいのだろう。


ほかにも、後白河法王の隠し子の何とかいうのが意味ありげに登場して、
意味ありげに活躍するのだが、でもその落ちがなかったような。。
あの人はどうなったの?
後白河法王も出て来る割にはいつの間にか死んでるし。

六角堂で親鸞が観音の夢を見るエピソードは
もっとあからさまに性的なものになると思っていたのに
肩透かしだったし、
恵心尼との結婚に至る過程にもあまり納得が出来なかった。
親鸞が、どうしても女が欲しい、
女なしでは生きていけないのよと悶えるくだりが欲しかった。

というわけで、
私は必ずしも「親鸞」を無条件に賞賛する気持ちはないのだが、
でも、何度も言うがイラストが良かった。
母は連載中に新聞を切り抜いて前部持っていると言うから、
ウチには山口氏のイラストを全部確保してあるのだ。
それだけは母の快挙である。




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