伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

ブラック・ジャック展

2024年09月08日 | 展覧会・絵

手塚治虫「ブラック・ジャック」の展覧会が
美術館「えき」KYOTOで開かれていたので行って来た。




手塚治虫の漫画の中でも人気作品である「ブラック・ジャック」、
東京からの巡回で、
展示はブラックジャックの生原稿・原画を中心に展開されていた。
(今回は展示品の写真撮影は禁止。
但し美術館へ通じる通路のパネルは撮影OKだった)






パネルは沢山あり、手あたり次第写真に撮った。



美術館えきKYOTO
https://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/
Museum「EKi」KYOTO ジェイアール京都伊勢丹7階隣接

https://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/exhibition_2407.html
連載50周年記念
手塚治虫ブラック・ジャック展
50th Anniv. Tezuka Osamu’s BLACK JACK Exhibition
2024.9.1日 - 10.6 日

なんと連載から50年になるという。
思ったより生原稿の展示が多く、
ほぼブラックジャックの膨大な生原稿で埋め尽くされていた。
各エピソードごとに2ページ、もしくは4ページの原画が展示されていた。
その前後の話が分かるようにパネルでおおまかな粗筋も展示。

つい読んでしまい、時間がかかった(>_<)。
見終わるのに2時間くらいかかった。
最近の展覧会でこんなに時間がかかったことはなかった。






「ブラック・ジャック」はコミックスで揃えていたと思うが、
もしかしたら抜けがあったかもしれない。
グッズ売り場には全25巻くらいあった。



展示は虫プロ倒産、というスキャンダラスな逸話から始まる。
劇画が当時の漫画界を席巻し、手塚の漫画は古い、
手塚ヒューマニズムはぬるい、という風潮の中、
虫プロが倒産、借金に追われ自宅を手放し、
手塚治虫はどん底にいた━

当時の少年チャンピオンの編集者のインタビューが、
大きなモニターの映像で流れている。
「手塚の死に水を取る」つもりでブラックジャックの連載を持ちかけた、と。

モニターは他に手塚治虫の長男・手塚真と
長女・手塚ルミ子の映像が流れていた。

手塚真によると、家を手放した時、
一家で狭いアパートに引っ越すのかと思ったが、
一戸建てで庭もあった、のでひもじい思いはなかった、とか。




NHK大阪のローカル番組「ぐるかん」(ぐるっと関西お昼まえ)で
「ブラックジャック展」が紹介されていた。
なんと、その手塚真がゲストで解説していた。
(いっばい裏話が聞けて良かった
真さんも本籍は宝塚にある、とか)

・手塚はほとんど家に帰らず、ずっと制作スタジオにこもりっきりだった。

・「ブラック・ジャック」の連載が始まった時は中学生で、
毎週楽しみにしていた。

これによると手塚真は手塚治虫を父親というより、
漫画家として作品を楽しみに読んでいたようだ。

そして手塚の話を作る能力がすごい、と。
ブラックジャックだけで200話以上あるが、
ひとつの作品で言うと700くらいの漫画を描き、
ひとつひとつの漫画についてエピソードもあるから
全部で数千のお語を作った、と。

手塚自身、アイデアはバーゲンセールに出すほどある、と言っていた。
それくらい物語を生み出す能力があった。
彼の頭の中は一体どうなっていたのだろうと思う。
話を作るのが時に上手すぎる。
だから予定調和すぎたり手軽なヒューマニズムに寄り過ぎたりもした。
手塚は多作だった。
だから名作も多いが駄作も多かった。

「冬の時代」であったどん底の時代は本人が述懐している通り陰惨で、
グロテスクに偏った作品もあった。

「ブラック・ジャック」の連載が始まり、徐々に評価されてゆくと、
それが手塚復活のきっかけとなったのだった。








手塚真はそれまで医者が主人公の少年漫画はなかった、と言っていた。
確かに(青年向けはともかく)少年漫画、子供向け漫画は、
スポーツ選手のヒーローやSFアクションのヒーローなど、
ヒーローものが多かった。
大人の男性が主人公になることも珍しかった。
当時、医者という職業を少年漫画の主人公にしたことは画期的だった。

「ブラック・ジャック」以降、医者が主人公の漫画が増えたり、
様々な職業の人物が主人公として描かれるようになったのは、
「ブラック・ジャック」の影響ではないか、と思っている。








さて「ブラック・ジャック展」では手塚治虫の医師免許も展示されていた。
賞状で、手塚治と書かれていた。

そして医学生時代の顕微鏡を覗いて描いたスケッチも。
それが後年のブラック・ジャックの医療場面に生きて来るのだと思った。


生原稿は思っていたより小さかった。
少年雑誌の大きさより2割くらい大きいと思っていたが、
雑誌と同じような大きさだった。
小さいコマの中にとても丁寧にキャラクターが描かれている。



手塚真の言っていた通り、線描がとても美しい。
キャラクターを描く線が自在の太さで、
どことなく雪舟の筆遣いを思わせた…。

背景やベタ部分はアシスタントの仕事だろうが、
どこまで手塚の手が入っているのだろう、
キャラクター自体はすべて手塚の手によるものだと思うが、
漫画家の描く線は原画を見るとその美しさがよりはっきりと分かる。


そして手術場面のリアリティも実感したが、
あの内臓などを正確に描いた手術場面も
当然手塚自身の手によるものだっただろうから恐るべし。





しかし展示を見ているうち、つい読んでしまい、
ああこのエピソード、あったなあ、とか
このエピソードは好きだった、とか、
ついつい物語に引き込まれてしまい、
夢中になり時間をかけて読んでしまった。


宇宙人が登場するエピソードなどは突飛な発想なので、
きわ物になりがちな所を人情ものにまとめるなど、
手塚のストーリテラーぶりが発揮されていたと思う。

それと登場人物の動かし方のうまさ。
手術代金を値切りつづけるケチなキャラクターによって
(この手術は別料金か?と聞いたり💦)、
よりブラック・ジャックの思想が浮かび上がる仕掛けだったり。







手塚マンガの中でも、
ブラック・ジャックに焦点を当てた展覧会が開かれるということは、
それだけ人気があることでもあるだろうが、
恐らくリアルタイムでは読んだことのない若者に向け、
手塚マンガを体験してもらいたいという思いもあったのかもしれない。

手塚プロダクションの労力を総結集した膨大な生原稿の数々と
パネル内容の選択に熱意を感じることが出来た。







グッズ売り場では久しぶりに展覧会グッズを買った。
ブラック・ジャックのマスクケース大のマルチケースとキーホルダー。
クリアファイルは売ってなかったのでマルチケースにした




ぐるかんで手塚真が言っていた、
ドクター・キリコとのからみで京都が登場する、
というのを展示を見ているうちすっかり忘れてしまっていた(>_<)。
会期中にもう一度行ってみようかなあ💦。
今度こそ、読むより絵を堪能したいので…。






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みうらじゅんFES in京都

2024年08月07日 | 展覧会・絵
美術館「えき」KYOTOで、
「みうらじゅんFES マイブームの全貌展in京都」という、
驚くべき、呆れるような展示会をやっていた。
みうらじゅんにはどういうわけかシンパシーを感じるので、
この馬鹿げたというか、
ガラクタばかりを集めたとしか思えない💦展覧会へ行って来た。

(自分もそんなにいらないのに無料うちわを沢山集めていたり、
美術展のチラシを捨てず、ずっと保管していたりしているので💦)
(京都出身者でもあるし)

美術館「えき」KYOTO
https://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/


https://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/exhibition_2406.html
みうらじゅんFES 
マイブームの全貌展 in京都
2024.7.13 土 - 8.25 日

この展覧会はツアーであるらしく、各地を回っているという。



展覧会のメインビジュアルは
みうらじゅんのかわいいイラストが描かれているが、
本物はもっとむさくるしい(>_<)




マイブームやゆるキャラの名付け親としても名を馳せているが、
みうらじゅんの活動は多岐にわたる。
というより、趣味を仕事に出来た幸運な人という印象だ。




美術館の入口へ行く通路にはみうらじゅん飛び出し坊やのほかに
遺影が飾られている。



それを見ると単なるコレクションの展示ではないことが分かる。
みうらじゅんという、一人の人の人となり、思想、
生涯で残して来たもの。
みうらじゅんという人間を丸ごと表現している展示なのだった。



彼の集めているコレクションは他人にはどうでもよい、
ガラクタばかりのように思えるが、
しかし本人にとっては意味のあるものである。
積もり積もってそれらの大量のクズ?がみうらじゅんを形成しているのである。


ところどころにみうらじゅんの等身大フィギュアが置いてあったが、
それもみうらの人そのものの展示であることを強調したいからだろう。
膨大なコレクションによってその人が浮かび上がるのである。




会場内は一部を除き撮影OKだった。
撮影NGの部分もあったが、なぜNGなのか分からないくらい、
他の部分と同じようなどうでもよいパートだった((´∀`))
そうして客は殆ど写真を撮っておらず、
撮影をしているのは自分一人くらいだった(>_<)




この展覧会ではまず、子供の頃の絵画や漫画から展示されている。
みうらじゅんの人となりが分かるように。
子どものころからマイブームに憑りつかれて来た人物なのだった。



漫画家気取りブーム、エッセイスト気取りブーム、
仏像スクラップブーム・・・etc,etc...
とくに仏像スクラップの完成度には驚きを隠せない。
(まだ少年時代のもの)


みうらじゅんのスクラップは偏執狂的でさえある。
いや、律儀というか丁寧というか、
ここまで完成度が高いとひとつの作品と言ってもいい。
今でもみうらはスクラップを続けているらしく、
コクヨからゴールドのスクラップブックを贈呈された。



それほどスクラップはみうらにとって重要な作業である。
才能だと言える。


子どものころからマニアック、オタク気質を発揮していて、
大人になっても…いや、やがてそれを職業にまでしてしまった。
それはそれで才能だと言わざるを得ない。


自分の受験票まで残している(◎_◎;)
志望はデザイン学科、などと書いてあるから、
もともとグラフィック関連が好きだったのだろう。




初見はこれだけよく集めたなあと驚き呆れるばかりであり、
凄みというか、凄まじさすら感じる。
天狗に関するもの、金プラ、用をなさないような栓抜き、
ゴムへびのおもちゃ(大量)、土産物のご当地掛け軸、
観光地のへんてこな絵ハガキ(カスハガ)、飛び出し坊や、
甘えた坊主、カニパンフ、
などなど…。





それらのコレクションをみうらは(自分の中の)ブームと名付け、
テングーブーム、カスハガブームなどと呼んで大事に愛でているのである。

普段はこれらのコレクションは倉庫に入れているというが、
ガラクタがこのように美術館で整然と飾られているのを見ると、
何か価値があるようにさえ思え、これらのガラクタがとてもうれしそうで、
日の目を見て喜んでいるかのようである。


コレクションの中でとくに気に入ったのは英字の入った紙バッグのコレクション。
紙バッグは自分もなぜか捨てず、押し入れに溜まったままだが、
なるほどこのように的を絞って集めれば良いのだと気がついた(笑)。



般若心経ブームのパートは、見たいと思っていたもの。
街の中で般若心経の一文字ずつを探して写真に撮り、
お経を完成させるという(一人)プロジェクトだ。
半分しか写ってないが、下の解説札には般若心経全部が載せてある。
こういう酔狂なことに手間をかけるのがみうらじゅんの真骨頂だろう。




冷蔵庫に貼る水道屋のマグネットのコレクションも悪趣味ではあるものの、
大量に集めて整然と飾ってあると、ある種の凄みがある…。
中にみうらじゅんのマグネットがあるのがご愛敬だ。
(わざわざ作ったのかも?)



みうらはイラストレーターでもある。
いや、元来、イラストレーターとして知られているはず。

「見仏記」のイラストがずらりと並んでいた。


それだけではなくいろんなイラストが展示されていたが、
ポップな部分と写実的な部分が入り混じった独自の画風である。
ギャグ漫画家でもあるが仏像などは写実的に描きたいらしい。



圧巻だったのはコロナ画である。


コロナ禍の期間中、外に出ることが出来ないで家で籠っている間、
作品を描き続けたらしい。
パネルではなく、本物だろう。


展示室の壁一面に張り巡らされたカラフルな作品は、
各パートごと仕切りがあり、
一つの小さいパネルごとに描かれているが、繋げて描かれてもいる。
まずその大きさに圧倒されたが、細かさにも驚かされた。


描かれているのはみうらじゅんの好きなモチーフばかりで、
様々な仏像が描かれているのを始め、彼の好きなボブ・ディランや
ラクエル・ウェルチ、デヴィッド・ボウイ、松本清張など様々な人物像、
青江三奈や一昔前のグラビアアイドル、
その他数え切れないモチーフがびっしりと埋め尽くされた大作である。
その迫力、みうらじゅんの異才ぶりが発揮されていた。


モチーフは通俗的で低俗なものばかりだが、
壁一面の大作の迫力にただならぬものを感じる。



そばにモニターがあって、
みうらじゅん本人が登場して「コロナ画」のモチーフの解説をしていた。
いつものように飄々とした語り口で、何気なく喋っているが、
本人でなければ気づかないディテールを細々と説明していた。
時間があったとはいえ、相当な労力が要っただろうに、
相変わらず冗談かのように軽く喋っている。
そしてこれで終わりではなく、コロナ画はまだ続くような話もあった。


この「コロナ画」を見て、ポップアートを思い浮かべた。
市販の商品や宣伝広告をそのまま描いたり、
マリリン・モンローの写真をシルクスクリーンで刷ったアンディ・ウォーホール、
漫画の一コマを拡大してカンバスに描いたリキテンスタイン、
通俗的なテーマを描きつつアートにまで高めたアメリカのアーティストたちを。

どんなテーマであれ、これだけ手が込んでいればそれはアートになるのだ。
みうらじゅん畢生の大作が生まれたと言ってもいいだろう。



美術館えきKYOTOの来月の展示はブラックジャック─
これも楽しみ







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日本の巨大ロボット群像展

2024年07月08日 | 展覧会・絵
なんと、京都文化博物館で「日本の巨大ロボット群像」展と称して、
日本のロボットアニメに登場する巨大ロボット特集をしていた。
博物館が?と、ちょっとびっくり。


京都文化博物館
https://www.bunpaku.or.jp/

日本の巨大ロボット群像
−鉄人28号、ガンダム、ロボットアニメの浪漫−
https://www.bunpaku.or.jp/exhi_special_post/20240706-0901/
2024.7.6(土) 〜 9.1(日)


マンガミュージアムではなく、
博物館でロボットアニメを特集するのは異例ではないだろうか?
最近の京都文化博物館はなかなか攻めているというか、何でもあり?
いや、夏休みだから家族向け・親子向けの展示なのかな?
でも安彦良和の展覧会があったりするし、これも時代の流れなのだろう。





でも行って見たところ、お客さんは男性が7~8割くらい、
一見してオタクと分かる若い男性連れが多し💦。
それでなくても男性が多くて壮年男性も熱心に展示を見ていた。
もちろん(オタクらしき)女性もいたけれど。
それでもいつもの展覧会とは明らかに違う客層に戸惑ったりした(;^ω^)。
どこを見てもオタクぽい人が展示をしげしげ見つめている。


パブリシティのメインビジュアルはすごくカッコよくて、
それだけで(そして博物館で展覧会というだけで)
何となく高尚な感じがしてしまう…。




展示は最近の展覧会がそうであるように、殆どが撮影可能だった。
ただガンダムの設定経過のみは撮影不可だったが、
ロボットアニメの歴史からプラモデルの展示から、
巨大な実物大ガンダムを描いた床まで工夫された展示がいっぱいであった。
撮影可能なので片っ端から撮って行ったが、しまいには疲れてしまい(>_<)、
集中していた始めの方ばかり撮ってしまっていた。






ロボットアニメといえば(最近では)ガンダムがすぐに思い浮かぶが、
この京都文化博物館の展示はさすがに博物館だけあって、
学術的でもあって、巨大ロボットの歴史を紐解くことから始まっていた。





展示は4階と3階でまずエレベーターで4階まで上がり、
そこで巨大ロボット前史というべき鉄人28号の展示から始まる。
プラモデルや昔の漫画雑誌も展示されていてなかなか楽しい。

ロボットアニメとは切り離しても切り離せないプラモデル。
ロボットアニメによって一大市場を築いた。








やっぱり昔人間には鉄人あたりが感性に一番フィットするのかな💦。
でも鉄人28号の展示は他と比べてかなり多かった。




それからマジンガーZや勇者ライディーンなどへと進む。
鉄人28号のように外から操縦するのでなく、巨大ロボットの中の操縦室へ入り
操縦するようになったのはマジンガーあたりからなのだろうか?





それほどロボットアニメに詳しくないので(世代が違うから💦)
良く分からないが、
ただプラモデルのロボットの造形はとても細かくてカッコいいと思う。

ライディーンでは富野由悠季などがすでに参加していたようで、
勇者ライディーンあたりからロボットアニメの転換があったのかも?。
コン・バトラーVとか、ボルテス5とか闘将ダイモスなどの
懐かしい名前が並んでいるコーナーもあり感涙。




展示は学術的?で真面目なものだが、
それでも展示内容が巨大ロボットなのでワクワク感がある。







壁には巨大なロボットをテーマにした壁画が飾られている所もある。
まるでアートのようで、壁面いっぱいに描かれた描写には迫力があった。







設定図や分解図なども迫力満点で詳細な設定がリアリティを出している。
詳細であればあるほどカッコいい。マニアは大喜びかも?





3階に降りると3階全体がほぼガンダムコーナーだった。
(1部撮影不可)
何といっても16メートルあるという等身大のガンダムが床に描かれているのが
迫力があり、そしてあまりにも大きくて、カメラが全体を捉えられない(>_<)。




それぞれのパートに説明がついていた。
ここをカメラで撮影している人はあまりいなくて、?だった。
みんな、設定や設計図の方が興味があるのかな。



セル画のコーナーもあり、遠近が出るように背景が奥まっていたり、
立体的に作られていた。
3階のガンダムコーナーは初代だけのようで、歴代ガンダムを展示、ではなかった。



左端のお兄さんのような、いかにもオタク、マニアな人たちで埋まっていた。


展示場を出て2階の踊り場?へ行くと(無料スペース)、
そこにも関連する展示があった。



巨大ロボットはなぜ2本足?とか、
ロボットには顔があるのにどうして人間が乗り込むのか?
という自分も感じていた疑問にその道の詳しいマニアが答えているのが
パネルになっていた。
それを読んでそれらの理由が分かった気がした。

これも含めてトータルで巨大ロボットの人気、繁栄を解明する試みの
意欲的な展示だった。



まだ会場へ入る前、無料エリアの1階のロビーに飾ってある
(3メートル?くらいはある)装甲騎兵ボトムズの巨大なパネル。
巨大さを表すために作成したのだろう。
このパネルがお迎えして巨大ロボットの世界へ誘う。
(そういえばエヴァンゲリオンはまったくなかった。なぜか)



まさか京都文化博物館でロボットアニメとは思ってもみなかったが、
真面目でありつつ、楽しむことも出来る。
博物館でアニメや巨大ロボット展示を見るような時代になったのだ…
と感慨も一入だ。





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文化博物館の祇園祭展示

2024年06月21日 | 展覧会・絵
7月から始まる祇園祭に合わせて京都文化博物館で、
総合展示として祇園祭展示が行われている。

新館の2階の小さな1室のみでの展示だが、
無料招待券で行って来た。

1室だけの展示なので展示品も非常に少ないが、
祇園祭自体が歴史のある祭りなので意外なほど見どころがあった。




京都文化博物館
https://www.bunpaku.or.jp/

総合展示
https://www.bunpaku.or.jp/exhi_sogo_post/20240605-0804/
祇園祭-山鉾巡行の歴史と文化
会期 2024年6月5日(水)〜8月4日(日)



祇園祭が済んでも展示は8月まであるようだ。




まず展示室に入るとすぐの所にガラスケースの中に
巨大な鉾の模型が飾られている。
放火鉾の模型だった。

鉾の心柱はあまりに長すぎるので3つのパーツに分けて置かれていた。
何十分の一か忘れたが、本物が10メートルくらいあるので、
模型になってもびっくりするほど巨大だ。

放火鉾の模型は江戸時代作だそうで、
そのため鉾の音頭取りと、鉾の中で祇園囃子を奏でている囃子方は
皆ちょんまけで、江戸時代の風俗を反映させている。

細部まで細かく作られていて、懸装品も前掛け・胴掛け、見送り、
土台となる石持ちまで忠実に再現してあった。

月鉾の模型も展示されていた。
こちらは明治時代の作だが、
こちらも音頭取りも囃子方もちょんまげを結っていた。
このミニチュアサイズの人形たちの表情はすごくうれしそうで、
ニコニコしながらお囃子を奏でているのが印象的だ。

模型は江戸時代から頻繁に作られたようだ。
祇園祭の期間に宵々山などへ行くと、
鉾町では玄関先に鉾の模型を飾っている町家が多くある。
今でもこうした模型は大事にされているのだ。
何より鉾の模型は細部までこだわって作られているので楽しい。




次に江戸時代に発行された祇園祭について書かれた冊子が展示されていた。
「祇園御祭礼記」とか「祇園絵鉾記」などというもので、
図版入りで祭と鉾についての説明がしてある。
当時(江戸時代)より、祇園会(祇園祭)の案内記が発行されていたようだ。

室町時代の屏風にも祇園祭が描かれているように、
どの時代でも祇園祭は京の観光の目玉だったのかもれしない。




「都名所百景」(江戸時代後期)の中より
「祇園会宵錺」という彩色豊かな版画は、
宵山の鉾に飾られている駒形提灯が現在のものより小さくて、
やたらに数が多い。無数に飾られている。
もしかしたら誇張して描かれたものなのかもしれない。

江戸後期には宵山ではすでに、
現代と同じ駒形提灯を飾る風習があったことがとても興味深い。



そうして山鉾の懸装品の本物そのものがいくつか展示されていた。



保昌山の見送り「仙人図」は16世紀前半の刺繍だそうで、
全山鉾の中でも最も古いものらしい。
刺繍が殆ど剝落して何が描かれているか分からないほど
褪色しているが、それでも16世紀の色彩は残っている。
刺繍が所々剥がれかけているのがかえって生々しく、
精緻な刺繍が施されていたのだと分かる。
(あまりに古すぎて巡行には使われない)


保昌山は東洞院通松原という、烏丸通より東側、
四条通より南側という、他の山鉾からぽつんと一つだけ離れた場所に建つ。



その保昌山の見送りがもう一点展示されていた。
日本で製作された綴れ織で「寿星図」という名前で、
描かれているのは寿老人たちだろう。
日本で綴織の技術が確立したころ、1798年に作られたというが、
300年以上前の織物が残っているのも脅威だ。

懸装品の多くが中国の逸話を描いているが、当時は中国の影響が濃かった。
そのため山鉾の装飾には中国の影響によるものが多い。





白楽天山の前掛けは、なんとヨーロッパ製である。
16世紀前半のタペストリーを切張りしたもので、
鯉山や函谷鉾に通じる西欧の作品を取り入れている。
中国だけでなく、装飾的で華やかだと思ったものは取り入れたのだろう。

白楽天山の前掛けは「イーリアス」がテーマの16世紀のタペストリーに、
そのほか18世紀・中国の官服を裁断して両側に繋ぎ合わせたものだという。
大胆に繋いでいるが、それが違和感なく調和しているのを思うと、
それが当時の美意識だったのだ。
良いと思うものはどんどん躊躇なくパッチワークして取り入れたのだろう。




最後に竹内栖鳳の見送りが展示されていたのはとても嬉しかった。
孟宗山の見送りとして、栖鳳が直接墨で描いた墨絵である。
始めて間近で見た気がする。
いつもは孟宗山の後ろに飾られているのを見ていたが、
改めて壁に吊るされているのを見ると、こんなに大きかったのかと驚く。


孟宗竹がまっすぐに伸びているのではなく、
左右の竹は中央に向けてしなっている。
その迫力に圧倒される。

他の見送りなどの懸装品は色彩豊かで、
極彩色で飾り立てられているが、
この栖鳳の見送りのみ墨一色で描かれた異色の作品である。
極彩色の山鉾の中で逆にかえって目立ち、
また竹の伸びやかさが清々しく感じられる。


文博の祇園祭特集はほんの少しの展示数だったが、
竹内栖鳳の本物を見られたし、
祇園祭好きとしてはとてもうれしい企画だった。



7月に入るといよいよ祇園祭マンスが始まる。
文博の2階のロビーには粽がディスプレイされていた。
「蘇民将来の子孫也」・・・
祇園祭が近づいて来たなと感じる展示だった。



(画像はパンフレットより)
-----------


前祭の山鉾巡行(7月17日)をプレミアム観覧席(40万円!)で
観光客向けに売り出すことに八坂神社の宮司が反対していた件、
観光協会はプレミアム席では酒類と食事を提供しないことにした。

宮司は巡行はショーではない、と理事の辞意を表明していた。
(京都新聞より)

祇園祭・山鉾巡行は八坂神社のお祭りで疫病退散のために行う。
確かに酒を飲みながら鑑賞するショーではないが、
近年は(いや、江戸時代より)巡行が観光目的の客が増え
観光が主眼になって来ていた。

山鉾行事には膨大な費用もかかる。
維持してゆくだけでも大変だから毎年クラウドファンディングを募って
宵山や巡行の際の警備費などに当てている。

神事ではあるけれど、費用もまたかかるから、
観光目当てでお金を落とす人たちもまた大切なお客様。
けれども今回の宮司辞意の件は、お酒を提供しない、との結論で、
改めて祇園祭を双方が大事にしたいという気持ちの表れだ。
皆、祭を大切に思ってるのだ。
どのような形になったとしてもこの先何百年と続いてほしい。




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Mozuミニチュア展

2024年06月07日 | 展覧会・絵

昔から人形や、ミニチュアが好きなので、
大丸京都店の大丸ミュージアムで開かれていた
「Mozuミニチュア展 ようこそ、ちいさな世界へ。」
という展覧会へ行って来た。
ミニチュアなら1/6のドールはもちろん、
ドールハウスもリーメントも好きなので。


どこかの展覧会でチラシをもらい、それでこの展覧会があることを知り、
興味を持ったのだった。
作者も知らないままだったが
四条烏丸の大丸京都店のギャラリーへ行って来た。





ミニチュアというか、
ドールハウスをまだもう一つ小さくしたような作品たちが展示されていた。

ドールハウスといえば基本的には1/12のスケールで作られているようだが、
今回行って来たMozuという人の作品はもっと小さく、
1/24くらいまたは1/30くらい?にも見えた。


公式サイト
https://mozu-miniature.com/
Mozuミニチュア展 ようこそ、ちいさな世界へ。



大丸・松坂屋の展覧会
https://dmdepart.jp/museum/kyoto/mozu-miniature/
Mozu ミニチュア展 ようこそ、ちいさな世界へ。
京都 | 大丸ミュージアム<京都>(大丸京都店6階)
2024年5月29日(水)~2024年6月16日(日)

今回の展示は殆どが撮影可能だった。
フォトスポットもある。
だまし絵のような楽しいフォトスポットだったが、
おひとり様なので記念撮影は出来ずだった(T_T)。




Mozuという人はまだ20代の若いミニチュア作家で、
ミニチュア制作だけでなく映画のジオラマや
コマ撮りアニメなども手掛けているそうだ。




ドールハウスは数多ある中で、
このMozuという人は独自の、独特の世界観を表現している。
だからこそ、個人での展覧会が可能なのだろう。
(彼の作成したキットも販売している)




その世界は「こびとシリーズ」に集約されていると思う。
今回の展示もこびとシリーズが主なものだった。



まず実物大のコンセントがある。
家庭のどこにでもあるコンセントの挿し口をまず展示し、
その横に小さな扉や窓が開いている。
その扉や窓の内側に極小の部屋があるのである。



(公式サイトからの画像)


極小の部屋の中には、ちゃんと人が生活している気配があるのである。
玄関口のミニチュアには靴が乱雑に脱ぎ捨てられており、
ハイヒールや子供靴があり、
スツール椅子もあればスケートボード、紙袋、ランドセル、皮のバッグもあり、
床にはテスト用紙が散らばっている。
散らばり具合に生活臭が感じられる。



それらがコンセントの横のほんの小さく作られた扉の向こうに、
あたかも生活空間のように世界が広がっているのである。
まるでこびとがそこに住んでいるかのように。
だからタイトルが「こびとのお風呂」だの「こびとの牛丼屋さん」
だのとついているのだろう。



その再現度は神経症的なほどで、
細部にわたるまで忠実に再現してある。
作り込むことが楽しみでもあるのかもしれない。



冷蔵庫やレンジ、テーブル
お風呂場にはアヒルのおもちゃまで。
牛丼屋さんには忘れ物のビニール傘まで
(指摘されなければ気がつかない)。


(公式サイトからの画像)

隣りのコンセントで光る仕掛けがしてあったり、
展示もとても工夫されていた。



本棚にある本も小さい写真では分からないが、
全部タイトルまで再現してある。
「鬼滅の刃」だとか「ドクタースランプ」などが揃っている。





旅館のインスタレーションは、等身大の旅館のセットの下にコンセントがあり、
その横に小さな窓が開いている。
そしてその小窓の中は、小さな旅館の一室なのである。
この展示のしかたもしゃれていた。
旅館in旅館、マトリョーシカ旅館?




さらにMozuという人にはもう一つの方向性の作品群があり、
後半にはそれらが展示されていた。




算数の教科書の表紙に起用されたイラスト集だった。
一種のトリックアートである。




正面から見ると、平面的な歪んだ虹に見える。
ところが体を左へずらして見ると、
肉眼でも虹が浮き出て立体的に見えるのである。



決して立体ではないのに、影の付け方で浮き出て立体的に見える。
まるで紙から物体が立ち上がっているかのようだ。
錯視を利用しているのだろう、
何度も行ったり来たりしながらどのような仕掛けになっているのかと、
しげしげとトリックを見破ろうと見つめ続けたが、
いかにも不思議だった。
影の付け方で立体に見えるのだ。






このように、Mozuの作る作品はミニチュアといい、
算数の教科書イラストといい、
精密に考えられていて緻密に再現しつつ、
遊び心があり、トリック的な人を驚かす楽しさがあり、
何度も眺め直したりして楽しめる作品たちなのだと思った。

ミニチュア自体にこんなに小さなものをどうやって作るのだろう?
という驚きと、小さなものに対するときめきがあり、
見ていて飽きないし、見るだけで楽しさがあり発見もあるのだと思う。
しかも見る側も参加できるようになっているのが、
より一層面白さが倍増だった。

思った以上に面白く楽しめた展示会だった。



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