だいぶ前に書いたものを、今ごろアップしておく。
以前にNHKのクローズアップ現代を見た直後に書いた文章だ。
お寺の襖絵が次々にデジタル複製に変えられている、
というデジタル複製の功罪についての番組を、
NHKのクローズアップ現代で放送していた。
テレビでは銀閣寺の方丈や、大徳寺の塔頭、
西本願寺の襖絵が取り上げられていた。
二条城の襖絵もデジタル複製をしている最中だと思う。
このことは、
京都新聞でもずいぶん前から取り上げられていた。
京都新聞は、そのつど、
このお寺で襖絵が最近デジタル複製になった、
と写真入りで報告をしていた。
それで市民は
西本願寺や銀閣寺がデジタル複製に取り組んでいることを知った。
けれども新聞では、ここがデジタル複製に変えられた、
と、すでに複製になり、すげ替えられてからの報告だけで、
これからここが複製をしますということは報道しない。
だから新聞を読んでも、
いつの間にかあの有名なお寺の襖がデジタルになっている、
あそこもデジタルになったのか、
とあとから知るばかりだ。
せっかくお寺へ行っても、見せられるのが、
いくら精密であっても複製では何となく趣きが半減してしまう。
損をした気分になってしまう。
私など、あそこはまだ本物だろうか、
あそこあたり、
今のうちに行っておかなければそのうち複製に替えられてしまうぞ、
などと疑心暗鬼に陥っている。
これは我々見物客からすれば当然の反応だろう。
何度も言うけれど、いくら精密であってもデジタル複製では…。
と思うのだ。
日本の建築は木と紙で出来ているから、損傷が激しい。
火が起れば一発で駄目になってしまう。
雨が降っても、雨漏りなどで襖がずくずくになってしまう。
だから、
安全、保護のためにも本物は博物館で保存・管理してもらい、
お寺には複製を置いておき、安心して、気軽に来て、見てもらう。
このことは良く分かるし、理解出来る。
当然、そうしなければならないだろうということも分かる。
文化財保護のために、今、しておかなければならないのだ。
良く分かるのだ。
でも、見る側の立場になると、がっかりもいいとこだ。
せっかくお寺へ行ったのににせものかよ。ってね。
まあ、でもデジタル複製と言うのはものすごく精細で、
ただ印刷するだけではない。
風神・雷神など、複製したものに職人さんが金箔を施したり、
周囲を立派に表装したりして、かなり手が込んでいるのだ。
それなりのお値段もする。
だけどやっぱり…、にせものだよなあ。
建仁寺も複製だし、
高山寺の「鳥獣戯画」も普段は複製が置いてある。
「鳥獣戯画」は京都と東京の博物館が別々に保管している。
で、「鳥獣戯画」の一番美味しいところは東京の博物館が持っている。
何でやねん、と怒り狂う。
いや、関係なかった。
「クローズアップ現代」では、
イタリアの例を出して、
イタリアでは本物指向ということが紹介されていた。
「最後の晩餐」の裏側を初めて見た。
見物客が見られるのは15分(25分だったか?)だけということも知った。
まあ、イタリアと日本を同等に語ることは出来ない。
日本は紙と木の文化だから。
燃えやすいし、劣化しやすい。
だからそのままを残すことが、ものすごく難しいということになる。
日本では湿度も高いから、
石に描いた絵さえ劣化してぼろぼろになるくらいだ。
ただ、何の説明もなくお寺の襖がデジタル複製になっていたらいやだ。
やっぱり最低でも、そこに複製ですという説明が欲しい。
出来れば、実際にお寺へ出向く前にそういう情報は知らせておいて欲しい。
お寺へ行って見てから、
実はそれが複製でしたではがっかりもいいとこだ。
そして、年に何回か、
例えば春季とか秋季とかに本物を出して来て、
特別公開という形で、短期でいいから本物を展示して欲しい。
それくらいなら、してくれても良いのではないか…、
と思うわけなのだ。
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以前にNHKのクローズアップ現代を見た直後に書いた文章だ。
お寺の襖絵が次々にデジタル複製に変えられている、
というデジタル複製の功罪についての番組を、
NHKのクローズアップ現代で放送していた。
テレビでは銀閣寺の方丈や、大徳寺の塔頭、
西本願寺の襖絵が取り上げられていた。
二条城の襖絵もデジタル複製をしている最中だと思う。
このことは、
京都新聞でもずいぶん前から取り上げられていた。
京都新聞は、そのつど、
このお寺で襖絵が最近デジタル複製になった、
と写真入りで報告をしていた。
それで市民は
西本願寺や銀閣寺がデジタル複製に取り組んでいることを知った。
けれども新聞では、ここがデジタル複製に変えられた、
と、すでに複製になり、すげ替えられてからの報告だけで、
これからここが複製をしますということは報道しない。
だから新聞を読んでも、
いつの間にかあの有名なお寺の襖がデジタルになっている、
あそこもデジタルになったのか、
とあとから知るばかりだ。
せっかくお寺へ行っても、見せられるのが、
いくら精密であっても複製では何となく趣きが半減してしまう。
損をした気分になってしまう。
私など、あそこはまだ本物だろうか、
あそこあたり、
今のうちに行っておかなければそのうち複製に替えられてしまうぞ、
などと疑心暗鬼に陥っている。
これは我々見物客からすれば当然の反応だろう。
何度も言うけれど、いくら精密であってもデジタル複製では…。
と思うのだ。
日本の建築は木と紙で出来ているから、損傷が激しい。
火が起れば一発で駄目になってしまう。
雨が降っても、雨漏りなどで襖がずくずくになってしまう。
だから、
安全、保護のためにも本物は博物館で保存・管理してもらい、
お寺には複製を置いておき、安心して、気軽に来て、見てもらう。
このことは良く分かるし、理解出来る。
当然、そうしなければならないだろうということも分かる。
文化財保護のために、今、しておかなければならないのだ。
良く分かるのだ。
でも、見る側の立場になると、がっかりもいいとこだ。
せっかくお寺へ行ったのににせものかよ。ってね。
まあ、でもデジタル複製と言うのはものすごく精細で、
ただ印刷するだけではない。
風神・雷神など、複製したものに職人さんが金箔を施したり、
周囲を立派に表装したりして、かなり手が込んでいるのだ。
それなりのお値段もする。
だけどやっぱり…、にせものだよなあ。
建仁寺も複製だし、
高山寺の「鳥獣戯画」も普段は複製が置いてある。
「鳥獣戯画」は京都と東京の博物館が別々に保管している。
で、「鳥獣戯画」の一番美味しいところは東京の博物館が持っている。
何でやねん、と怒り狂う。
いや、関係なかった。
「クローズアップ現代」では、
イタリアの例を出して、
イタリアでは本物指向ということが紹介されていた。
「最後の晩餐」の裏側を初めて見た。
見物客が見られるのは15分(25分だったか?)だけということも知った。
まあ、イタリアと日本を同等に語ることは出来ない。
日本は紙と木の文化だから。
燃えやすいし、劣化しやすい。
だからそのままを残すことが、ものすごく難しいということになる。
日本では湿度も高いから、
石に描いた絵さえ劣化してぼろぼろになるくらいだ。
ただ、何の説明もなくお寺の襖がデジタル複製になっていたらいやだ。
やっぱり最低でも、そこに複製ですという説明が欲しい。
出来れば、実際にお寺へ出向く前にそういう情報は知らせておいて欲しい。
お寺へ行って見てから、
実はそれが複製でしたではがっかりもいいとこだ。
そして、年に何回か、
例えば春季とか秋季とかに本物を出して来て、
特別公開という形で、短期でいいから本物を展示して欲しい。
それくらいなら、してくれても良いのではないか…、
と思うわけなのだ。
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