南座で6月に特別公演があった坂東玉三郎の「阿古屋」を見て来た。
半月に及んだ公演はもう終わってしまったが(>_<)。
が、発表された時から見たい公演だったので、チケットが取れてうれしかった。
ただチケット代をケチって2等席にしたら3階だった。
南座に3階なんてあったのか、と思うくらい南座で初めての3階席だった。
南座はそれほど広い小屋ではないので席数がそれほど多くはなく、
傾斜があるので3階もあるのだった。
席数は全部で1022席。
見づらい席には空席があり、満席ではなかった。
半月の公演だからすべてを満席には出来ないのだと思った。
席にはすべてエアウィーヴのクッションが敷かれていた。
さすが・・
玉三郎はエアウィーヴの宣伝をしているからその関係で
玉三郎が南座の全席にクッションを配備したのだろう…
南座へ行くのは少し難しい。
京阪が一番の最寄り駅で四条京阪の駅からすぐだが、
家からは最寄りの京阪五条駅までは鴨川を渡り、歩かなければならない。
タクシーも考えたが、頑張って京阪の駅まで歩くことにした。
四条京阪に着くと出雲阿国の銅像があった。
歌舞伎の創始者として顕彰されているのだ。
南座は四条通に面しているので車の通りが激しくて
ちゃんと撮れなかったが記念に撮影。
入り口では解説付きのパンフレットを客に配ってくれていた。
なんと親切な…。
顔見世の時のように解説の冊子を買おうと思っていたのだが、
買わずに済んだ。
これもきっと玉三郎さんの配慮だろうなと思う。
-----------------
玉三郎さんの「阿古屋」は20数年前、
同じ南座の顔見世興行で見たことがある。
その時は父親がいつ死ぬか分からない状態の時で、
母の分と2枚チケットを予約していたが、母は行かないと言い
(当然だ)、一人で行って来た。
そして玉三郎の阿古屋を見て来たのだった。
その数日後、父は亡くなった。
なんて親不孝者と今でも思ってるが、
玉三郎が南座の顔見世に来ることは滅多にないのでどうしても見たかったのだ。
南座の顔見世興行は沢山の演目があり、
その時も「阿古屋」はいくつかある演目の一つだったが、
今回は「阿古屋」だけの演目で、口上と解説が本編の前につく。
女形の最高峰と言われ、難役とも言われる「阿古屋」を
20数年前から今に至るまで演じ続けている玉三郎もすごいが、
以前見た時よりいっそう美しく見えたのもすごい。
席は舞台から見て右寄りの上方で舞台は遠かった。
顔の表情は見えない。
まず幕が開くと中央に玉三郎が座っていて、口上が始まる。
今回の舞台は「阿古屋」一演目に絞っているので、
口上と解説がつくのだ。
観客の拍手が南座じゅうに驚くほど大きく響く。
玉三郎の口上も大きく聞こえる。
マイクはないはずだが、はっきり聞こえた。
玉三郎さんはこれまで自身が演じて来たこの作品の思い出や、
南座や京都との思い出も語っていた。
そして次に「阿古屋」で詮議役の岩永を演じる片岡千次郎が
「阿古屋」の解説をする。
阿古屋は女形の芸(琴、三味線、胡弓)を見せる演目だが、
物語のバックグラウンドはある。
それを分かりやすく解説するのだ。
阿古屋は傾城という最高位の遊女で、
源平合戦のあと敗れた平家一門の景清という武将の愛人であった。
源氏方が行方をくらました景清の行方を問いただすため、
阿古屋をお白州(問注所)に引き出す。
問注所には二人の源氏の代官がいる。
阿古屋は(景清の)行方は知らぬと言うが、
代官のひとり、岩永は拷問して白状させようとする。
が、もう一人の秩父重忠は阿古屋に琴、三味線、胡弓を弾かせて
その音色で阿古屋の心中をはかろうとする。
阿古屋が嘘を言っているなら楽器の調べに乱れがあるはず、と。
そこで阿古屋は三つの楽器を順番に弾いてゆく。
玉三郎は口上で、この阿古屋の演じ方には二つの方法があると語っていた。
一つは阿古屋は景清の居場所を知っているが知らないと言い張っている、
もう一つは本当に居場所は知らないでいる、
玉三郎自身は本当に知らないでいるという演じ方をしていると言っていた。
幕が開くと舞台の右端に並んでいる三人の三味線弾きの三味線の音色が
会場じゅうに大きく鳴り響き、
浄瑠璃の長唄がこれも大きく聞こえて来て、その迫力には驚くばかりだ。
南座はそれほど広くはないが3階席からだと花道の一番奥は見えない。
幕が開く音と、観客の拍手だけで花道に玉三郎が登場したと分かるのみだ。
でも大丈夫、
花道を進んで舞台近くまで来るとそこで止まり、
阿古屋に扮した玉三郎はその場で観客へ向けてゆっくりと振り返り、
その姿をじっくり眺められるようにポーズを取ってくれる。
観客大拍手。
花道から登場した玉三郎は艶やかというも美しさが輝くばかり。
登場しただけで場を圧倒していた。
衣装も豪華だが(重そう)、その存在感に言葉を失うくらいだった。
(パンフレット、チラシの写真撮影は篠山紀信)
阿古屋が奏でる琴、三味線、胡弓は厳密にはソロではなく、
琴は舞台の右側にいる三味線の人とのデュエット、二重奏である。
20年前に見た「阿古屋」もソロではなかったので
やはり阿古屋はソロでは弾かないのだろう。
ただ、二重奏は二重奏で息を合わせて弾くのは難しそうだ。
伴奏者がいても難易度は変わらない。
難役と言われる所以だ。
(着ている衣装が重いのに加えて帯を前に結んでいるので元来、
楽器を弾くこと自体が困難なはず)
そして最後の胡弓になった時、
ここから玉三郎の超絶技巧が始まった。
胡弓を弾き始めてから後半になると、正真正銘のソロになるのだ。
まるでアドリブのように胡弓を操り、弾きまくる。
ロックバンドのギターソロのリフも顔負けの胡弓のソロにびっくりだ。
当然客席からは大拍手が沸き起こる。
(大向こうからは掛け声も、ここ、というタイミングで何度もあった)
詮議役の秩父重忠は、その阿古屋の演奏を聞いた後、
もし心に偽りがあれば音色が乱れるはず、
だが先の演奏には一糸の乱れもなかった、と言い、
阿古屋を無罪放免して劇は終わる。
・・・という筋ではあるが、
自分的には演奏があまりにも素晴らしかったので、
それに感動してお咎めなし、ということになったかのようだった。
それほど玉三郎の芸には感嘆した。
筋書きがどうこう言うより、
やはりこれは弦楽器のテクを堪能する芝居だと思った。
久しぶりに南座へ行き、久しぶりに歌舞伎を見たが、やはり良いものだ。
とくに玉三郎は何度でも見たい。
彼が現役でいる間は何度でも見ておきたい。
また南座にも是非来てほしい。来てくださいm(__)m
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半月に及んだ公演はもう終わってしまったが(>_<)。
が、発表された時から見たい公演だったので、チケットが取れてうれしかった。
ただチケット代をケチって2等席にしたら3階だった。
南座に3階なんてあったのか、と思うくらい南座で初めての3階席だった。
南座はそれほど広い小屋ではないので席数がそれほど多くはなく、
傾斜があるので3階もあるのだった。
席数は全部で1022席。
見づらい席には空席があり、満席ではなかった。
半月の公演だからすべてを満席には出来ないのだと思った。
席にはすべてエアウィーヴのクッションが敷かれていた。
さすが・・
玉三郎はエアウィーヴの宣伝をしているからその関係で
玉三郎が南座の全席にクッションを配備したのだろう…
南座へ行くのは少し難しい。
京阪が一番の最寄り駅で四条京阪の駅からすぐだが、
家からは最寄りの京阪五条駅までは鴨川を渡り、歩かなければならない。
タクシーも考えたが、頑張って京阪の駅まで歩くことにした。
四条京阪に着くと出雲阿国の銅像があった。
歌舞伎の創始者として顕彰されているのだ。
南座は四条通に面しているので車の通りが激しくて
ちゃんと撮れなかったが記念に撮影。
入り口では解説付きのパンフレットを客に配ってくれていた。
なんと親切な…。
顔見世の時のように解説の冊子を買おうと思っていたのだが、
買わずに済んだ。
これもきっと玉三郎さんの配慮だろうなと思う。
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玉三郎さんの「阿古屋」は20数年前、
同じ南座の顔見世興行で見たことがある。
その時は父親がいつ死ぬか分からない状態の時で、
母の分と2枚チケットを予約していたが、母は行かないと言い
(当然だ)、一人で行って来た。
そして玉三郎の阿古屋を見て来たのだった。
その数日後、父は亡くなった。
なんて親不孝者と今でも思ってるが、
玉三郎が南座の顔見世に来ることは滅多にないのでどうしても見たかったのだ。
南座の顔見世興行は沢山の演目があり、
その時も「阿古屋」はいくつかある演目の一つだったが、
今回は「阿古屋」だけの演目で、口上と解説が本編の前につく。
女形の最高峰と言われ、難役とも言われる「阿古屋」を
20数年前から今に至るまで演じ続けている玉三郎もすごいが、
以前見た時よりいっそう美しく見えたのもすごい。
席は舞台から見て右寄りの上方で舞台は遠かった。
顔の表情は見えない。
まず幕が開くと中央に玉三郎が座っていて、口上が始まる。
今回の舞台は「阿古屋」一演目に絞っているので、
口上と解説がつくのだ。
観客の拍手が南座じゅうに驚くほど大きく響く。
玉三郎の口上も大きく聞こえる。
マイクはないはずだが、はっきり聞こえた。
玉三郎さんはこれまで自身が演じて来たこの作品の思い出や、
南座や京都との思い出も語っていた。
そして次に「阿古屋」で詮議役の岩永を演じる片岡千次郎が
「阿古屋」の解説をする。
阿古屋は女形の芸(琴、三味線、胡弓)を見せる演目だが、
物語のバックグラウンドはある。
それを分かりやすく解説するのだ。
阿古屋は傾城という最高位の遊女で、
源平合戦のあと敗れた平家一門の景清という武将の愛人であった。
源氏方が行方をくらました景清の行方を問いただすため、
阿古屋をお白州(問注所)に引き出す。
問注所には二人の源氏の代官がいる。
阿古屋は(景清の)行方は知らぬと言うが、
代官のひとり、岩永は拷問して白状させようとする。
が、もう一人の秩父重忠は阿古屋に琴、三味線、胡弓を弾かせて
その音色で阿古屋の心中をはかろうとする。
阿古屋が嘘を言っているなら楽器の調べに乱れがあるはず、と。
そこで阿古屋は三つの楽器を順番に弾いてゆく。
玉三郎は口上で、この阿古屋の演じ方には二つの方法があると語っていた。
一つは阿古屋は景清の居場所を知っているが知らないと言い張っている、
もう一つは本当に居場所は知らないでいる、
玉三郎自身は本当に知らないでいるという演じ方をしていると言っていた。
幕が開くと舞台の右端に並んでいる三人の三味線弾きの三味線の音色が
会場じゅうに大きく鳴り響き、
浄瑠璃の長唄がこれも大きく聞こえて来て、その迫力には驚くばかりだ。
南座はそれほど広くはないが3階席からだと花道の一番奥は見えない。
幕が開く音と、観客の拍手だけで花道に玉三郎が登場したと分かるのみだ。
でも大丈夫、
花道を進んで舞台近くまで来るとそこで止まり、
阿古屋に扮した玉三郎はその場で観客へ向けてゆっくりと振り返り、
その姿をじっくり眺められるようにポーズを取ってくれる。
観客大拍手。
花道から登場した玉三郎は艶やかというも美しさが輝くばかり。
登場しただけで場を圧倒していた。
衣装も豪華だが(重そう)、その存在感に言葉を失うくらいだった。
(パンフレット、チラシの写真撮影は篠山紀信)
阿古屋が奏でる琴、三味線、胡弓は厳密にはソロではなく、
琴は舞台の右側にいる三味線の人とのデュエット、二重奏である。
20年前に見た「阿古屋」もソロではなかったので
やはり阿古屋はソロでは弾かないのだろう。
ただ、二重奏は二重奏で息を合わせて弾くのは難しそうだ。
伴奏者がいても難易度は変わらない。
難役と言われる所以だ。
(着ている衣装が重いのに加えて帯を前に結んでいるので元来、
楽器を弾くこと自体が困難なはず)
そして最後の胡弓になった時、
ここから玉三郎の超絶技巧が始まった。
胡弓を弾き始めてから後半になると、正真正銘のソロになるのだ。
まるでアドリブのように胡弓を操り、弾きまくる。
ロックバンドのギターソロのリフも顔負けの胡弓のソロにびっくりだ。
当然客席からは大拍手が沸き起こる。
(大向こうからは掛け声も、ここ、というタイミングで何度もあった)
詮議役の秩父重忠は、その阿古屋の演奏を聞いた後、
もし心に偽りがあれば音色が乱れるはず、
だが先の演奏には一糸の乱れもなかった、と言い、
阿古屋を無罪放免して劇は終わる。
・・・という筋ではあるが、
自分的には演奏があまりにも素晴らしかったので、
それに感動してお咎めなし、ということになったかのようだった。
それほど玉三郎の芸には感嘆した。
筋書きがどうこう言うより、
やはりこれは弦楽器のテクを堪能する芝居だと思った。
久しぶりに南座へ行き、久しぶりに歌舞伎を見たが、やはり良いものだ。
とくに玉三郎は何度でも見たい。
彼が現役でいる間は何度でも見ておきたい。
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