1910 (明治43) 年制作。 木・34.0×11.5×15.3cm
国立近代美術館蔵
美術品を見て所有したいと思うことは、小生、めったにないのだが、この作品は、そのような気持ちにさせる。
まずは、そのサイズ。
高さが34cmと、手頃な大きさ。手に取って愛でるには、ちょうどいい。
飾り然と、ケースに収めておくのではなく、日頃から適宜手にすることができるというのが、小生好むところ。そのような意味では、茶碗と似たところがある。
次に、その表情の愛らしいこと。
この写真でははっきりしないが、西欧彫刻の彫りの深さとは異なり、まるで浮き彫りのような目鼻立ち。
そして、柔らかなS字を描いた身体付き。
女性というよりは少女の像であろう。
タイトルからすれば、仙人に仕える婢女(はしため)らしく、身に一点の装飾品も着けていないのがかえって好ましい。
ちなみに、作者の米原雲海(よねはら・うんかい、1869~1925)は、高村光雲(光太郎の父親)の「右腕」と呼ばれた高弟。
島根県立美術館蔵の『稚児天神像』も木彫で、少年時代の菅原道真像。
どうも雲海の作品で、小生好みのものは、このような少年少女像であるようだ(善光寺にある光雲との合作『阿吽仁王像』などは、あまり好ましくない)。