駆けこみ交番

乃南アサさんの文庫新刊が出たので、さっそく読みましたが読みはじめてすぐに、あれっ失敗したかなって思いました。
4つの連作短編集になっているのですが、最初の「とどろきセブン」が以前に読んだ警察小説競作『鼓動』の中に収録されている話でした。

それでも今度は続きと完結編が読めた感じで、それなりに楽しめました。
警察小説と言うよりもちょっとほのぼのとした感じのある「交番のおまわりさんの物語」です。
当然、タイトルからも表紙の絵からもその雰囲気を期待してましたから、期待通りではあります。

主人公は不動前交番に勤務する若い警官高木聖大君なのですが、3話目だけは、老人クラブ？とどろきセブンの一人、ナヲさんの視点で書かれています。
私としては、この3話目で明かされるとどろきセブンの秘密で何も知らない高木君がちょっとかわいそうに感じる部分もありました。

でも孫のような警察官の高木君を盛り立てる地域住民である７人の自立したお年寄りの話は、葛飾区亀有公園前派出所程ではありませんが、人情味があってなかなかいい味が出ています。