のんびりかな打ち日記  ini's blog

NikonD7100やSonyRX100M3で撮影した画像と日々の出来事を“ かな入力 ”でのんびり綴るブログです。

天空の蜂

2007-04-04 23:20:12 | 通勤快読
東野圭吾さんの1995年の作品。
文庫化されたのももう10年近く前だから、いくら短い通勤時間読書専門の私でも東野圭吾さんの本は20冊ほども読んでいるのに、本屋さん今までなぜ手に取らなかったのかが不思議なぐらいの本です。

とても面白く読みました。
最新鋭のヘリコプターを盗んで、これまた新型の高速増殖炉原発に墜落させようという事件の話なのですが、登場人物の描写やストーリーの組み立てなど見事な大作です。
ミステリーというより先日、読んだ笹本稜平さんの長編冒険小説「グリズリー」を思い起こしました。

とにかく東野圭吾さんの懐の深さには驚かされます。推理や謎解きの本格ミステリー以外に「変身」や「時生」、はたまた「手紙」のように単にミステリーとは呼べないような作品もたくさんあります。
この「天空の蜂」も最初から最後までひとりも死なない話です。
例によって不自然さや無理な設定がなく(あってもそれを感じさせない)有無を言わせぬ気遣いが嬉しいですね。
あえて言うなら、ストーリーの最初から最後までが10時間(ヘリコプターの燃料が切れるまでの限られた時間)という時間制限のスリリングさも醍醐味のハズなのですが、その部分はあまり感じられず、こんなにのんびりしてていいのかなって言うか実際もっと長く経っているように感じてしまう点でしょうか。

文庫本の帯に著者の「今まで書いた作品の中で一番思い入れが強いのはどれかと訊かれれば、これだと答えるだろう」とのコメントがセールスコピーとして書いてありましたが、それも十分理解できるような作品です。