のんびりかな打ち日記  ini's blog

NikonD7100やSonyRX100M3で撮影した画像と日々の出来事を“ かな入力 ”でのんびり綴るブログです。

猟犬探偵

2006-09-15 00:05:51 | 通勤快読
この本は、すでに亡くなっている稲見一良さんの作品です。
でもこれを読むなら先に同じ著者の「セントメリーのリボン」(短編集の中の表題作)を読んだほうがいいです。
直接の続編ではありませんが、人物がオーバーラップして登場しますので間違いなくその方が楽しめますので。
ただし「セントメリーのリボン」がつまらないという人には、同じくこれもつまらないと感じますが(笑)

ところで私はこの本のような連作短編集ってのは、形式として気に入ってます。
ベースが好みのものに限られるのは当然ですが、横山秀夫さんの第三の時効や乃南アサさんの音道貴子シリーズなど長編のいいところと短編のいいところが両方味わえるってところがあるんですよね。

この「猟犬探偵」は、主役の竜門卓が日本の大阪西北端の能勢の山奥?に住んでいるという設定がまたいい。
基本的に軽いハードボイルドタッチなのですが、この設定のおかげでハードボイルド小説にありがちな外国人かぶれ感とかカッコつけすぎってところが巧く薄れています。
ただこの連作の最後の話で、それまで読んできて生まれた安心感のようなものがちょっと裏切られてしまいます。
これは賛否がわかれるところじゃないでしょうか。

とにかくすでに他界されている稲見さんですので、絶版になっているデビュー作のダブルオー・バックなどの復刻再版に期待したいところです。