北緯43度

村上きわみの短歌置き場です

「未来」11月号(2015)

2015-12-12 | 未来

いたましくはやる緑をくるしんで根方に凝るくちなわの舌

枝先に声の残滓をにじませて鳥のかたちに闌けてゆくのか

こめかみに泥がつまっているような盛夏の底をいざる暮らしは

本意からおおきく逸れて咲きながら錆びながら落下する夏椿

きまじめなゲラの赤字のトルツメに添えば涼しい一文となり

午後深く熟れるにまかせGoogleに確かめているfuenteの綴り

虫癭をいくつも載せたみどり葉に似ているだろう今のわたしは

しずかだ 白桃に刃を入れながら誰の無念を生きているのか

やまなみに覆いかぶさる白濁をこの世の雨の表情として

ずぶ濡れのバスがひらいた横腹に今日の身体をすべりこませる

 


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