北緯43度

村上きわみの短歌置き場です

「未来」10月号(2016)

2016-11-06 | 未来

わずらいの底方に小さき咎あるを知りそむる日の粥の白さは

長兄の指に拭われまなぶたは淡く少しく死ににじりよる

かあさん、と呼ばう声音のくぐもりを部屋に残して帰りきたりぬ

間際まで水に親しむやさしさよ木綿の夜着にからだを包む

滾滾と湧き出ずるがに身を絞りひとりの夜を閉じてしまえり