はつあきの水の硬さをたしかめる嘴もつものの健気をまねて
桃ばかり食べて暮らして甘たるい手足になった 始めていいか
祀られたこころのような蚊柱を見つけるたびにかきまぜるひと
鎖編みほどいて眠るあけがたの体はときに怯えやすくて
この世しか知らない腕で生きているわたくしたちのなかのわたくし
短めの休暇にゆるみ君が飲むとてもからだに悪そうなもの
書き癖の残るペン先なだめてもなだめても父の筆跡に似る
鯉が鯉をさいなむさまを詳細に記しただけで終わる一日
棒寿司を提げて歩けばすこやかな酸つきまとう帰路のわれらに
曇天をほめながらゆく(この夏はよみがえるのがじょうずだったね)