北緯43度

村上きわみの短歌置き場です

「未来」02月号(2015)

2015-03-08 | 未来

両耳を風に咬まれて立っている そうだね、みんな誰かの子ども

あかるみに出るのだろうか海沿いをゆくときバスが少しこわばる

真夜中の薬罐の湯気の奔放を犬と見ていた くるしくはない

曇天のつづく暮らしのなかほどをドリンクバーのみどりで汚す

声ひくくなじりあう一組がいて傘がつくっている水たまり

火が舐める海苔のうらがわ こなごなになるのはとても簡単なこと

よいひとのよい骨格をやわらかい火があたためてくれますように